幻想と魔導書と伝説と 〜The Magic of Calligraphy〜 作:名状し難いもふもふのような何か
第一話 不死の森
〜村の前 不死の森への道〜
「とりあえず、俺達は港町カンプへ向かう。そのためにはこの不死の森を通らなくちゃならない」
「不死の森って確かアンデッドが多く出るところだよね?」
「そうだ。俺達が住んでる村の周りをぐるっと囲っている。夜になったらアンデッドがとても増えるから出来るだけ昼間に抜けてしまいたい。それでなんだが、ルフ、お前剣は扱えるのか?」
サグナが僕の腰に差している剣を見やる。
「うん、なんかこの剣、木の棒みたいに軽いんだ。小さい頃よくチャンバラしたじゃん?あれとそんなに変わらないくらいで振れるよ」
少し離れてから剣を抜き、素振りをしてみる。やっぱり軽い。とても鉄で出来ているとは思えない位に。
どうみても装飾の多い鉄の剣なんだけど、魔術でもかけられてるのかなぁ?
「まあそれならいい。出来るだけリーリエには戦わせず俺たち二人で突破するぞ」
「了解。リーリエちゃんを危険に晒すわけにはいかないもんね」
「…私も戦えるんだけど……」
リーリエちゃんが不満そうに頬を膨らませる。戦えるとはいえ年下の女の子だからね。大事にしないとダメだよね。
「さて、あまり時間をかけるのもあれだし行くぞ。とっとと抜けて街道に出るんだ」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「で、迷ったと」
「……面目ない」
今僕達は森の中にいる。まっすぐ歩いてたはずなんだけどいくら歩いても出られないし、夜になってしまった。
「ええぃ、くよくよしてても仕方ない、野宿の準備をしよう。燃えそうな木の枝を拾ってくるからルフは周囲の警戒をしておいてくれ」
「うんわかった。気をつけてね」
そういうとサグナは歩いていった。暗いけど見えてるのかな?まあそれはおいておくとして、これは結構まずい状況になった。アンデッドは夜はとても活発に動くから、出来るだけ会わないようにしたかったんだけど……。
「リーリエちゃんは大丈夫?怖くない?」
「うん、ルフ兄もお兄ちゃんもいるし怖くないよ」
リーリエちゃんは偉いなぁ…この年でこの森に入れって言われたら僕は絶対躊躇うけど…
……ザッ…ザッ………
「ん、サグナが戻って来たかな?ちょうどよかった、夜は冷えるから早く暖を…」
そこまで言って僕は固まった。来たのはサグナじゃなく、アンデッドだったからだ。
「っ、ルフ兄危ない!」
リーリエちゃんが僕を全身を使ったタックルで押し倒す。二人して地面に転がる羽目になってしまった。
「ごめん、リーリエちゃん。助かったよ」
「うぅん、いいの」
何をやっているんだ僕は。
『だらしないわねぇ』
「うぅ、面目ない。まあここから挽回するから」
いつの間に起きたのかフェイの念話が届いた。女の子二人からこういうこと言われるの慣れてないから涙が出そうだ。
っと、そんなことをしている場合じゃなかった。僕は鞘から剣を抜き放ち、アンデッドと対峙する。先に動いたのはアンデッドだ。のそのそと動きながら腕を振りかぶり、僕を殴ろうと振り下ろす。が、それはあまりにも遅すぎる攻撃だった。腕を振り下ろす前に懐に入り、脇に腕を入れて衝撃を止め、すれ違いざまに顔に逆回し蹴りを入れる。反撃を食らってよろめいたアンデッドの後ろから剣を振りかぶり、アンデッドの攻撃と同じ要領で振り下ろす。アンデッドはいとも簡単に真っ二つになった。
「……ふぅ。慣れないことすると緊張するなぁ…」
「「……………」」
あれ、女の子の視線が痛い。フェイもいつの間にか妖精になってるし、なんで僕のことを「何こいつ」みたいな目で見てるの?
「おーっす、戻ったぞーってなんだ。もうアンデッドにばれてたのか。なら早く火を作っちまうぞ。アンデッドも火だけは苦手だからな」
「そうだねー」
とりあえず女の子二人組は置いといて暖を作る。サグナが拾ってきた木に僕が魔法で火を付けるだけの簡単な暖だけどね。
「大気に宿りし炎精よ、我が祈りの前に現れて、行く先々の道を照らせ。
僕の手に光源となる火が灯される。これを木に移して、と。
「本当すごいよな。普通光源で焚き火なんて出来ないぞ…」
「え、そうなの?」
火で出来てるんだからこれでいいやと思ったんだけどどうやら違ったらしい。普通じゃない?
「いや、光源はあくまで光しか出さないはずなんだが…なんで熱まで持ってるんだ…」
「私も光源で焚き火する人なんて始めてみたわ…フロウでもそんなことしてなかったわよ…」
「ルフ兄すごーい」
そんなに褒められると照れるじゃないか。
「それにしてもルフって強いのね。気弱な読書家かと思ってたわ」
「あ、私も。ルフ兄はかっこよくて強いんだねー」
「昔サグナとチャンバラしてて少し扱いがわかるってだけだよ。アンデッドは攻撃も単調だしね」
それに僕よりサグナの方が強いし。
「さ、リーリエはそろそろ寝るんだ。明日も動くからちゃんと寝た方がいいぞ」
「お兄ちゃんとルフ兄はー?」
「僕達は寝ないで火の番をするよ」
「やー!私はルフ兄と寝るのー!」
「ちょ、えぇ!?」
リーリエちゃんが腰に抱きついてくる。困ったな…。リーリエちゃんもやっぱり不安なのかな?
「うーん、でも僕は一緒に寝るわけにはいかないしなぁ…」
「あー、そうなったらリーリエは言うこと聞かないからな。一緒に寝てこい」
「え、いいの?」
「あぁ。ただし、次はお前がやれよ?」
「うん、わかった。助かるよ。じゃ、寝よっか、リーリエちゃん」
「うん!お兄ちゃんおやすみー!」
「おう、おやすみ」
僕らは近くにあった木にもたれる。荷物が多くなるのは困るから寝具は持って来ていない。
「んぅ〜…気持ちいいのー…」
リーリエちゃんも夢現になってるようだ。ただ、僕の尻尾を抱き枕にするのはやめて欲しい。くすぐったい。
そうしていくらか起きていたんだけどやっぱり疲れはあったようで瞼が重くなってくる。僕は睡魔に身を任せ、意識を手放した。
……ここは、どこだろうか。
夢の中ということはわかる。何故なら《僕をみている》からだ。僕は川の横にある舗装された道をひたすら走っている。いくら走っても同じ景色でそれが延々と続く。
僕はこの景色に既視感を感じつつ、また意識を手放した。
はい。ルフ君prp(ザクッ)
どうも、異形のもふもふです。やっと第1話です。
本当はサグナに戦闘させようかなとも思ったのですがルフ君の活躍を書きたくなってしまい手が勝手に。
話は変わりますがUAが増えてて内心喜んでます。誰かに見ていただいてるってだけで喜びを感じることが出来るって幸せですね!
ではこの辺で。よろしければ感想お願いします!