幻想と魔導書と伝説と 〜The Magic of Calligraphy〜 作:名状し難いもふもふのような何か
BGMにcampoを聞きながら読んでみるとイメージしやすいかもしれません、よければ聞いてみてください!
朝起きた僕達は早めに森を抜け出すことに決めた。
「にしてもどうやって抜けよう…」
道を調べていたサグナでさえ迷ったくらいだ。普通に行ったらまた迷う羽目になるだろう。あれ?詰んだ?
『仕方ないわね。私が道案内してあげるわ』
「え?フェイが?」
なんというか意外だ。胸がない傍観者かと思ってた。
「なんか失礼なこと考えてない?」
「痛い痛い!僕の尻尾を引っ張らないで!引きちぎれるから!」
事実なんだけどなぁ…。
「ルフ兄を虐めちゃダメー!」
あ、リーリエちゃんが止めてくれてる。優しい。
「虐めてなんていないわ。正しい教育をしていただけよ」
「ルフ兄の尻尾はリー専用なのー!」
「え、そっち?」
リーリエちゃんが僕の尻尾をもふもふしてる。僕より僕の尻尾なのか……。
「…涙拭けよ」
「……うん…」
〜不死の森出口 カンプ街道〜
「はぁ〜!やっと出られた!」
大きく伸びをする僕。
「にしてもフェイ、詳しいんだね」
「そりゃね。フロウもよくここを通ってたし。この大陸ならまだ大丈夫よ」
父さんもここを通ってたのか。……なんで村の地図なんかよりこの大陸の地図とか用意してくれなかったんだ……。
「さて、カンプはあっちよ。日が暮れる前に行きましょう」
そういって僕の肩に座るフェイ。軽いからいいんだけど僕の肩に座るのか。リーリエちゃんがすごく恨めしそうにこっちを見てるからあまり居心地がよくないんだけど仕方ないので放っておこう。
〜港町カンプ入り口〜
「ここがカンプかぁ!広ーい!」
「俺も久々に来たな。懐かしい」
「私も初めてー!」
ようやくついた。村の中とは違っていろんな建物が大きくて道が広くていろんな人が行き来してる。まさに街って感じ。
僕達が田舎者みたくキョロキョロしていると後ろから聞き覚えのある声が聞こえた。
「お?もしかしてルフ君かー?」
この独特の訛りとハキハキした声は…
「やっぱりルフ君やんかー!久しぶりやなー!元気しとったー?」
「うわっ!?」
後ろから抱きつかれて頭を撫でられる。
「もう、やめてくださいよルーチェさん。僕ももう子供じゃないんですから」
「なに言うてんの!まだ子供やろー!」
そういいつつ僕の頭をなで繰り回す。さりげなくリーリエちゃんも混ざる。サグナが哀れみの視線を僕に向けてくる。
「とりあえず離れてください、目立ちますから」
「照れ屋さんやなー、ルフ君。昔となんも変わってない」
そういってやっと離れてくれるルーチェさん。
彼女は母親の友人で珍しい銀色の獣毛に身を包んでいる。本人曰く、【銀狼】という種族だそうだ。ちなみにサグナやリーリエちゃんは【眼狼】、僕は最も一般的な【狗狼】らしい。というのも、僕の種族は確定的ではないらしく、定かではなかった。
ルーチェさんは背中の大剣を揺らしつつ僕達に背を向けた。
「どうせ宿ないんやろー?泊まって行きー!」
「え、いいんですか?」
「かまへんかまへん!数人増えたところでやることなんて変わらん!」
そういって歩き出す。ルーチェさん、こういうところは面倒見いいんだけど…
「わぁー!可愛い!このペットかわぃぃぃ!!」
可愛いものに目がないんだよなぁ……。今も他の人が連れていたペットのミニドラゴンとじゃれあってる。普段はかっこいいのになぁ…
〜港町カンプ ルーチェ宅〜
「ほんま遠路はるばるよう来たなぁ。大変やったやろ?」
現在僕達はルーチェさんの家でソファーに座ってルーチェさんの向かい合って座っている。
「いえ、それほどでもなかったですよ。サグナが迷ってなければ」
「昨日も謝ったんだから許してくれよ…」
サグナが珍しく落ち込んでる。
「君がサグナ君で君がリーリエちゃんやな。ウチはルーチェゆうもんや、気軽にルー姉さんって呼んでな!」
ルーチェさんがそこそこ質量のある胸を張りつつ言う。あ、サグナの目線が釘付けになってる。
「リーはリーリエっていうのー!よろしくね、ルーお姉ちゃん!」
天真爛漫の笑顔で挨拶するリーリエちゃん。あ、ルーチェさんが身悶えてる。…そんなにお姉ちゃん呼びが嬉しかったのかな……
「それで、わざわざカンプまで来たってことはなんか用でもあるんか?見たところ物騒なものも持ち歩いとるしな」
急に佇まいを正して聞いてくるルーチェさん。顔も真面目な顔つきに変わってる。
「えぇ。父さんが残してたこの本の謎を解くために。フェイ、お願い」
「はいはい」
そういってフェイに本になってもらう。ルーチェさんはその本をペラペラとめくって言った。
「なんや、全部白紙やないか。どないなってんねんこの本。魔道書かなんかか?」
「えぇ、多分。フェイが言うには冒険を進めたらわかるって」
『そういうことよ。だからルフには旅をしてもらっているの。フロウの頼みで私も付き添いにね』
フェイが念話で説明する。この頭に響く感じはもう慣れた。
「おぉ、なんや妖精さん念話までできるんか、器用なやっちゃな」
「えぇ、まあ。それでメモにはルナの友人を頼れって書いてあったらしいからあなたのところまで来たというわけ」
フェイが妖精に戻り、僕の肩にとまっていう。僕の肩が定位置になりつつあるんだけど。
「なるほどなぁ…でもウチにもようわからんで?冒険の手助けいうても魔道書のことはウチにもさっぱりやしなぁ…」
思案顔になるルーチェさん。美人だから絵になるね。リーリエちゃん、横から耳引っ張るのやめて、痛い。
「あ、そうや。神殿に行けばなんかわかるんちゃう?といっても入れるかどうかはわからんのやけどな」
ルーチェさんが提案する。なるほど、神殿か。もしかしたらこの本を知ってる人もいるかもしれない。そうじゃなくても行ってみる価値はありそうだ。
「神殿か。俺はいい思い出ないからなぁ…パスで。俺は今後の旅に必要なものでも探してくるよ」
サグナは行かないのか。何かあったのかな。
「リーはルフ兄と一緒に行くー!」
後ろから抱きついてくるリーリエちゃん。フェイも一緒に行くだろうから四人で行くのか。
「ほな、行こか。あんまり遅いと閉まってまうからな」
〜港町カンプ 神殿〜
「ここはすまないが立ち入り禁止だ。資格のないものを通すことはできない」
文字通り門前払いを食らってしまった。そりゃそうだ。この街の住人のルーチェさんですら通れないのに僕達旅人が通れるはずがない。
「そう言わんといてや!ウチらも用なく来たわけじゃないんやから…」
「そう言われても通せないものは通せない。すまないがお引き取り願おう」
ルーチェさんが食い下がる。うーん、無理っぽいな。
「ルーチェさん、とりあえず今は無理だから…」
「なんじゃ、騒がしい。神殿の前、無礼を働いとるのはどこのどいつじゃ」
「し、神殿長!」
衛兵二人が姿勢を正す。神殿長って偉い人なのか。
「おー、ラムウのおっちゃん!ちょうどええとこに来てくれた!」
「わしをその名で呼ぶのはお主とフロウだけじゃよ…して、何か用か?」
白衣の老人が降りてくる。
「あ、はい。この本のことなんですが、何かわかりませんか?」
Grimoire of Emeraldを取り出して見せる僕。フェイにはあらかじめ本に戻ってもらっておいた。
老人はGrimoire of Emeraldを手に取るとペラペラとめくり、そして口を開いた。
「…どこでこれを手に入れた…?」
その顔つきはとても厳しいものだった。
「それは、父の書斎で…」
「………そうか。お主、名はなんというんだ」
「ルフです。ルフ・マレフィカ」
「っ!?マレフィカ…じゃと…?まさか、フロウの…?」
「父さんがどうかしたんですか?」
そういえばさっきルーチェさんに呼ばれてた時も父さんの名前が出て来てたな。知り合いかな?
「…いやなんでもない。ルフといったな。ついてきなさい。見せたいものがある」
そういうと神殿に向かって歩いて行くラムウさん。えっと、なんだろう?
「んー、なんかありそうやな。ウチらはここで待っとくわ。行ってきぃ」
「えー!リーも一緒に行くのー!」
「わがまま言わんの!」
「やー!行くのー!」
和む。
「リーリエちゃん、悪いんだけどお留守番お願い。後で一緒に遊んであげるから!」
「むー、わかった。絶対だよー?」
ちょっと膨れてるけど了承してくれた。あぁ、リーリエちゃんはいい子だなぁ…。
そうやってリーリエちゃんとルーチェさんの会話で和みつつ僕は神殿に向かって歩いて行った。
はい、リーリエの一人称が崩れつつあることに危機感を抱こうとしない異形のもふもふです。
最近餌付けという単語がよく頭に浮かぶので試しにルフ君とリーリエの餌付けシーンを考えてたらすごい和みました。これは………萌えるっ!!!
最近あったかくなったり寒くなったりと気温の寒暖が激しいですが体調にお気をつけください(知り合いみんな風邪やインフルにかかっていく)
それではこの辺で。よければ感想などよろしくお願いします!