バカとテストと監視者   作:汰灘 勇一

1 / 7
プロローグ① 優子の夢

優子side

 

アタシは今、家の近くにある公園に来ている。なぜ、ここに来たのかというと、

 

「ねえ、蓮。本当に行くの?」

 

 幼馴染の川上蓮を見送りに来たからだ。蓮はこれからアメリカに行こうとしている。

 

「ああ、行く。祖母ちゃんの命令だし、面白そうだからな」

 

「そう……」

 

 アタシは蓮のことだから日本に残ってくれると思っていた。だけど、蓮の答えは違った。

 

「……寂しいのか?」

 

「っ! そんなことはない!」

 

 蓮がアタシをからかうように言ったからつい、何時ものように否定的な態度を取ってしまった。本当は寂しかった。行かないで、そう言いたかった。だけど、アタシの性格が邪魔していた。

 

すると、そんなアタシを見て何を思ったのか、蓮がいきなり抱き締めてきた。

 

「っ! 蓮?」

 

「大丈夫だよ。祖母ちゃんの研究の手伝いが終わったら帰ってくるから。それに終わらなくても、三年たったら戻ってくる」

 

「……なんで三年なの?」

 

 蓮が三年後っていった理由が、アタシは気になった。なんでそんな事を言うのだろう。

 

「何となくかな?」

 

 ……何となくなんだ。

 

「何でそんなことを軽々しく言うのよ! 三年経っても戻ってこないかもしれないのよ!」

 

「いや、戻ってくる。絶対だ。何があっても戻ってくる。だから、優子。俺が戻ってくるまで待っててくれないか?」

 

 蓮は笑顔でそう言ってきた。その笑顔を見て、何故だか蓮は戻ってくる。そう思えてしまった。

 

「っ、本当に馬鹿。バカ蓮!」

 

 アタシは泣きながら蓮を抱きしめた。蓮もアタシのことを抱きしめてくれた。

 

 そして、何分間かこうして抱き合ってると、

 

「でも、俺だけが帰ってくるわけにはいかないな。たぶん、絵美里も戻ってくるって言うだろうし……」

 

絵美里というのは蓮の双子の妹のことで、アタシの弟、木下秀吉のことが好きだ。

 

「えっ? 何で?」

 

「いや、多分、今頃秀吉に『戻ってきたら付き合って』って約束しているんじゃないのかって思って」

 

「……確かにあの子なら言いかねないわね」

 

 秀吉も大変よね。まあ、秀吉のことだから忘れると思うけど。

 

「じゃあ、そろそろ行ってくる。またな、優子」

 

 そういうと、蓮はアタシから離れ、背中を向けて離れていく。

 

 待って、蓮。まだ、話したいことがあるの。伝えたいことがあるの! だから、行かないで! 蓮!!

 

 

 

 

 

『姉上!』

 

「はっ」

 

 気がつくと、アタシは自分のベットで寝ていた。どうやら、三年前の夢を見てたのね。

 

「姉上? どうしたのじゃ? 魘されていたように見えたのじゃが」

 

「……何でもないわよ」

 

 心配してくれた秀吉を邪険に扱ってしまった。

 

「なら、いいのじゃが。朝ごはんが出来ておるから着替えて降りてくるのじゃぞ」

 

「……わかったから、先に行ってて」

 

 秀吉がアタシの部屋を出て行ったのを確認すると、アタシはため息をついて、

 

「……蓮」

 

 そう、つぶやいてしまった。蓮、会いたいよ……

 




どうも、にじファンから間をあけて移転しました!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。