優子side
アタシは今、家の近くにある公園に来ている。なぜ、ここに来たのかというと、
「ねえ、蓮。本当に行くの?」
幼馴染の川上蓮を見送りに来たからだ。蓮はこれからアメリカに行こうとしている。
「ああ、行く。祖母ちゃんの命令だし、面白そうだからな」
「そう……」
アタシは蓮のことだから日本に残ってくれると思っていた。だけど、蓮の答えは違った。
「……寂しいのか?」
「っ! そんなことはない!」
蓮がアタシをからかうように言ったからつい、何時ものように否定的な態度を取ってしまった。本当は寂しかった。行かないで、そう言いたかった。だけど、アタシの性格が邪魔していた。
すると、そんなアタシを見て何を思ったのか、蓮がいきなり抱き締めてきた。
「っ! 蓮?」
「大丈夫だよ。祖母ちゃんの研究の手伝いが終わったら帰ってくるから。それに終わらなくても、三年たったら戻ってくる」
「……なんで三年なの?」
蓮が三年後っていった理由が、アタシは気になった。なんでそんな事を言うのだろう。
「何となくかな?」
……何となくなんだ。
「何でそんなことを軽々しく言うのよ! 三年経っても戻ってこないかもしれないのよ!」
「いや、戻ってくる。絶対だ。何があっても戻ってくる。だから、優子。俺が戻ってくるまで待っててくれないか?」
蓮は笑顔でそう言ってきた。その笑顔を見て、何故だか蓮は戻ってくる。そう思えてしまった。
「っ、本当に馬鹿。バカ蓮!」
アタシは泣きながら蓮を抱きしめた。蓮もアタシのことを抱きしめてくれた。
そして、何分間かこうして抱き合ってると、
「でも、俺だけが帰ってくるわけにはいかないな。たぶん、絵美里も戻ってくるって言うだろうし……」
絵美里というのは蓮の双子の妹のことで、アタシの弟、木下秀吉のことが好きだ。
「えっ? 何で?」
「いや、多分、今頃秀吉に『戻ってきたら付き合って』って約束しているんじゃないのかって思って」
「……確かにあの子なら言いかねないわね」
秀吉も大変よね。まあ、秀吉のことだから忘れると思うけど。
「じゃあ、そろそろ行ってくる。またな、優子」
そういうと、蓮はアタシから離れ、背中を向けて離れていく。
待って、蓮。まだ、話したいことがあるの。伝えたいことがあるの! だから、行かないで! 蓮!!
『姉上!』
「はっ」
気がつくと、アタシは自分のベットで寝ていた。どうやら、三年前の夢を見てたのね。
「姉上? どうしたのじゃ? 魘されていたように見えたのじゃが」
「……何でもないわよ」
心配してくれた秀吉を邪険に扱ってしまった。
「なら、いいのじゃが。朝ごはんが出来ておるから着替えて降りてくるのじゃぞ」
「……わかったから、先に行ってて」
秀吉がアタシの部屋を出て行ったのを確認すると、アタシはため息をついて、
「……蓮」
そう、つぶやいてしまった。蓮、会いたいよ……
どうも、にじファンから間をあけて移転しました!