3.出会い
コロコロ鉛筆の悪夢だ。私の隣の席がコロコロ鉛筆ちゃんだ。グラサンマスクだもん。間違いないよ。嫌だ、嫌だよぉ。この高校には希望なんてないよぉ。
ーーコロコロコロコロ……カタンっ!
って、なんでコロコロ鉛筆転がしてるの? その鉛筆が私の方に転がってくる。できるだけ関わりたくないんだが、私の足元に転がってきた鉛筆を拾わないのも不自然だ。渋々それを拾い、グラサンちゃんに返す。
「あれ?」
うわっ。なになに?
「ムンクちゃんじゃない!?」
え?何ムンクって?そう思いながらも無視と心に決める。
「え?なんでムンクちゃんかって?」
聞いてねーよ!
「よく叫ぶからムンクちゃん。叫びだからムンクちゃんだよ」
「……あのね? あんたが叫ばせてるんだからね!!」
と言いながら、またもや叫んでしまった……。
「ほら、またムンク発動した!」
「ムンクって言うな!」
一応恥ずかしいんだよ! こいつのせいでこんな恥ずかしいあだ名広まったらどうしよう。
こ、こうなったら……
「じゃ、じゃあ、あんたはコロちゃんだね。コロコロ鉛筆のコロちゃん」
いやなあだ名返しだ。どんな嫌がる反応をするのか楽しみにしていると……
「お、それいいね。私の相棒のコロコロ鉛筆から名前をとってくれるなんて、君サイコーだよ!」
ぎゃ、逆に喜ばれた!? こんな変な人と関わってるとろくなことがなさそうだ。
しかし、一つ気になることがあるし、それだけは聞いておこうかなぁ……
「ねぇ、なんで、マスクとサングラスしてるの?」
「あ、これ? 実はね……。あたし、極度の人見知りなんだ……」
え?今までのあれでそんなこと言っちゃいます?
「マスクとサングラスでバリアって感じにしとけば、なんとか人と喋れるんだけど……」
「ふーん……」
本当は関わりたくなかった。でも、好きの反対は無関心っていうってことは、嫌悪する感情の裏には関心があったのかもしれない。少し、この子、コロちゃんのことが気になってきた。
「あのさ……。あたしと友達になってくれないかな?」
コロちゃんの突然の申し出。関わりたくないと思ってたさっきまでが嘘みたいに受け入れてしまいそうになったが、やはりこの格好の人と友達になるのはちょっと……
「わかった」
だから、私は
「サングラスとマスクをとってくれたら考えてあげる」
彼女はマスクとサングラスをバリアといった。なら、そんなバリアを心に張ったままの友達なんて作りたくない。友達なら心の底からわかりあいたい。
すると、彼女はあっさりとその二つを取り、私に頬を赤く染めながらも笑顔を見せた。 目はクリクリとしていてとても可愛らしい印象を受けた。
「よろしくね、コロちゃん」
私は手を差しのべるた。彼女はそれを握り返した。そして
「よ、よろしく……ムンクちゃん」
「だから! ムンクって言うな!!!」
これが、叫びである。
4.コロコロ鉛筆
「ねぇ、コロちゃん。そのコロコロ鉛筆ってどのくらい信憑性あるの?」
「えーとね、あたしはこのコロコロ鉛筆で入試98%取ったから信憑性は高いよ」
「……ねぇ、コロちゃんってバカなの?」
「さあ?」
その反応に少しムカッとしたので私はコロちゃんに少し問題を出してやることにした。
「中和反応でできるのは水と何?」
「突然どうしたの?」
確かにそう思うだろうな。しかし、コロちゃんがバカだったら……。いや、友達やめるとかそうゆうことではないけど、なんかね(笑)
「いいから、答えて」
「わかったよ」
そう言うと、コロちゃんは鉛筆を転がし始めた。
ーーコロコロ……ピタッ
その鉛筆が出した数字は6……って答えは数字じゃないから不正解だな。なんて思ってたのに。
「答えは塩だね」
「え!?」
六がどうして塩になるの? これはコロコロ鉛筆の力なの? いや、そんなはずはないこの子が普通に理解してただけに決まってる。
それを検証するために私はある行動に出た。
「えい!」
「え、ちょっと」
私はコロちゃんの手からコロコロ鉛筆を取り上げた。
「コロちゃん、問題! 半径3の円の面積は?」
「知らないよー。返してよー」
「いいから、答えて」
「知らないよー、50くらいじゃないの?」
え!? 私は唖然とした。この子が学年トップ? そんな馬鹿な……。
私は無言でコロコロ鉛筆を返した。
「わー、ありがと」
本当に嬉しそうな顔をするな、この子は。
で、
「コロちゃん、さっきの問題、もう一回答えて」
「いいよ」
すると、コロちゃんは鉛筆をコロコロ。鉛筆が示した数字は4。
「これは9πだね」
???
ますます、コロちゃんを理解出来なくなった。そんなふうに思った。
一つわかったことはコロちゃんもコロコロ鉛筆もどっちも凄いということだ。