UL   作:招代

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危ない危ない……。

作者は理由を付けないと名前をつけることのできない人間です。
毎回毎回ゲームキャラの名前とか迷いまくってすごく時間がかかります。

「大童」は刀を使っているのでウィキってたらあった、
「日本刀の東西の両横綱」と例えられることもあるらしい、
「大包平」と「童子切安綱」の頭文字からとりました。

それでは第三話前編です。


第四話 『下水道の白いワニ』 前編

ある日、

下水管理者が下水道で点検業務を行っていると、

暗闇に蠢く何かを見つけた。

それは白く巨大なワニであった・・・・・・。

 

そのワニはもともと下水道に捨てられてしまったが、

下水道の環境に適応し、

日が当たらなかったため脱色し白くなってしまったという。

 

 

 

平成24年2月14日6:35

 世間はバレンタインデー。しかしこんな早くではそれも関係なく、大童達はいつも通りの朝を送っている。

「今年も袋は持ってきたのか」

「一応ね。自惚れなのかもしれないけど、去年はいっぱい貰っちゃったし。今年も可能性はあるかと思ってさ」

 鞄から大き目の袋を取り出して見せる大童。

「去年は中学生活最後だったしな。一貫校だからあまり関係ないと思うが」

「んー……中学生活の感謝をこめてって感じだったのかな?」

「それ、も、あるかもな」

「そっかー。じゃあ今年はまだ一年だしそんなに多くは貰わないね」

「いゃ、人数が増えた分貰う可能性も多くなるだろ」

「そうかなぁ……?」

「恐らくな」

「そっか」

 

 と、そこまで話したところでいつもの朝とは違い、ガラっとドアを開けて教室にはいってくる人が一名。

「やっぱりいた」

「あ、藤重さん。おはよー」

「おはよ、大童君、鏡君」

「ぉはよ」

 そして二人の方へと近づいてくる。

「どうしたのこんな時間に? 珍しいね」

「今日ってバレンタインデーでしょ。二人には去年からお世話になってるし、感謝の気持ちを込めて……はい、チョコ」

 鞄からラッピングされたチョコを取りだして二人に渡す。

「ありがと、藤重さん」

「あぁ、ありがとな」

 そう言って受け取る。大童は袋ではなく鞄の方にそのチョコをしまった。

「どういたしまして。本当は学校始ってからでもいいと思ったんだけど、人がいない時の方が良いと思って」

「……そうだな」

 鏡と藤重は大童の方を見る。だが、当然大童はその視線の意味を理解していない。

「あー藤重さん有名だからね。確かに人がいない時の方が良いよね」

 その発言に藤重は溜息。鏡は呆れている。

「はぁ……」

「それもあるが、一番の問題はそこではないだろ……」

「ん?」

「まぁ、いい」

「それじゃ、私は部活に戻るわね」

「あ、ちょっと待って」

 部活に行こうと後ろを向いたところを呼び止められる。

 

「何?」

「ホワイトデーのリクエストとかある?」

「あーホワイトデーはいいわよ。感謝の気持ちなんだし、お返しを求めているわけではないから」

「いゃ、もらっとけ。どうせこいつは他の人にもホワイトデーを返すからな」

 そう言って親指で指し示された大童を見る藤重。

「そうなの?」

「名前が分かる範囲で、だけど。それに僕も藤重さんには感謝してるから、その意味も込めてね」

「……そう? それじゃー……って言っても特にリクエストは無いわね。あ、でも甘すぎない方が良いわ」

「分かったよー。それじゃ、引き留めてごめんね。部活頑張って」

 片手を上げる大童。

「ええ、行ってくるわ」

 そして教室を出て言った。

 

「律儀だねー藤重さん」

 たった今出て言った方を見て大童が言った。

「そうだな」

「ホワイトデーどうしよ。甘すぎない方が良いならクッキーでいいかな」

「いいんじゃね」

 何でいる大童とは反対に、鏡はどうでもよさげ。

「夕夜はホワイトデーはどうするの?」

「ついでだな」

「そっか、例年通りだね」

「あぁ。どうせ送られてくるんだろ」

「だろうね」

「いっそのこと一まとめにしてくれれば楽なんだが……ふぅ」

 肩肘をついて面倒そうに溜息。

「まぁまぁ。どうせこっちもまとめて送るんでしょ? だったらあまり変わらないよ」

「こっちの消費量が変わるだろ。お前も去年は苦労しただろうに」

「あははー……うん。さすがに去年は量が多かったかな」

 去年を思い出したのか、上を向いて苦笑い。

「だろ?」

「でも、きっと皆個人的に感謝したいんだよ」

「それは分かる、が、それとこれは別だ。気持ちは有り難いが、気持ち以外が有り難いとは限らない」

「そう?」

「例えば、チョコアレルギーが好きな奴からチョコもらって、気持ちは嬉しいかもしれないがチョコはどうしようもないだろ」

「確かに」

「そういうことだ」

「そういうことかー」

 分かったような分からないような、そんな感じの大童だった。

 

 そしてHRが始まるまで雑談が続く。それまでに大童はチョコを10個貰った。それが帰る頃には袋一杯になっていたらしい。そして、それらを食べきるのが大変だったことは言うまでもない。

 

 

平成24年3月2日22:30

「はい、麦茶」

 ここは藤重の部屋。

「あぁ」

「ありがと」

 麦茶を渡してから藤重も座る。

「それで、今回はなんの都市伝説なの?」

「『下水道の白いワニ』だ」

 そう言って紙を渡す。そして紙を見ながら。

「えっと……もしかしなくても下水道に入るのよね」

「一応入る方法は川とマンホールの二つがあるけど」

「入ることには変わりないじゃない……」

「今回は川からだがな」

「……どっちでもいいわよ」

 紙を返してテーブルに突っ伏す藤重。

 

 ……暫く突っ伏し続けていた藤重だが、いきなり顔を上げた。

「ワニって下水道にいるの?」

「捨てられる可能性はあるかもしれんが、冬の下水道だぞ」

「それに『巨大』で『白い』だしね」

「常識的に考えてないだろ」

「幽霊や妖怪や都市伝説のせいで常識が分からなくなりかけている自分がいて……」

 再び突っ伏す。

「一応確認したが、憑依している感じは無かったしな」

「憑依型だったら凄い偶然だよね。『巨大』で『白いワニ』が下水に捨てられるんだもんね」

「脱走の方がまだ現実味があるな」

「日本じゃ小さいころ捨てられて育つっていうのも厳しいだろうしね」

「ってか無理だろ。不可能ではないと思うが」

「不可能じゃないの?」

 復活した藤重が尋ねる。

「偶然温かいところがあり、偶然餌があり、偶然誰にも見つからずとかな」

「ありえないわね」

「だから無理だ」

「そうだねー……でも下水道って何かいそうな気はするよね」

 大童は人差し指を立てる。藤重は少し考えてからそれを肯定する。

「未知の領域って感じかしら」

「そうそう。身近な場所にある分余計にね」

「わかるわ。でも、入りたいとは思わないわね」

「だが今回は入ってもらうぞ」

 鏡がそう言い放つと、不貞腐れながらも了承する。

「……分かってるわよ」

 

 そんな藤重を見て雰囲気を変えるように明るい声で聞く。

「それで、今回はどうするの?」

「時間は深夜か早朝……深夜の方が時間的に安心か」

「そうだね。人にも見つかりにくいだろうし」

「ワニって夜行性だっけ?」

「確かそうだったと思うよ。まぁ、冬だしそんなに活発的にはならないと思うけど」

「それはよかったわ」

「案外速いからな。体調万全だったら下水道で逃げ切れるかどうかと言うと微妙だな」

「ワニって速いの?」

「うん。それに地上なら兎も角、下水道だしね。中腰にならないといけないところもあるだろうから」

「冬で良かったわ……」

「ま、最悪噛まれたら」

「噛まれたら……?」

 慎重な面持ちで鏡を見る。それを見てから一息つくと、穏やかな声で、

 

「諦めろ」

 

 そう言った。

「嫌よ!」

 当たり前である。

「でも実際噛まれたらどうしようもないよね」

「本物だったらまだワニを切断とかできるが、言霊だしな」

「切っても意味ないよねー……」

「えっ! ホントにどうしようもないの!?」

「運が良ければ千切れないかもな」

「運が良くてそれなのね……」

「ま、まぁ、噛まれた時の事より噛まれないようにしようよ」

 麦茶を勧められ、それを飲む。

「それも、そうね」

「それに康もついてるし、喰われるとしたら康だからお前は大丈夫だ」

「あ、それなら安心ね」

 ホッと胸をなでおろす。大童は慌てて鏡の方を見た。

「え、いや、食われないよ!?」

 それに対しあっさりと。

「まぁ、康なら喰われることはないだろうな」

「あ、うん。確かに、食べられる気はしないね」

 それがあたりまえのように答える。

「余裕ね」

「ワニだし。都市伝説と言ってもまだ動物だからね」

「でも『巨大』なのよね」

「むしろ大きい方が的もでかいしな」

「だね」

「ふーん……そういうものなのね」

 自信あり気にいう二人を見て、自分を納得させる。そして麦茶を飲んで一息つく。

 

「それで、どうやって下水道から出すの? やっぱり餌?」

 コップを置いて不安そうに聞いてくる。

「人間でも十分餌になるが……今回は生肉を使う」

「どう使うのよ」

「紐でもつけて引っ張るつもりだ。そうすれば万が一食べられても紐切れば逃げれるだろ」

 指でチョキを作って切る風にする。

「その方が安全性も増すね」

「そう。何にせよ自分自身が餌じゃなくてよかったわ」

 安心した藤重を見て、笑いながら答える。

「流石にそんなことはしないよー」

「本当は拘束して引っ張り出すのが手っ取り早いんだがな」

「危なすぎでしょ。それは」

 即座に反応して呆れ顔で鏡を見た。

「僕たちは刀と弓だしね。拘束は専門外だし」

「初めから期待していないから大丈夫だ。できる方法でやればいい」

「そうだね」

「でも、餌に食いつかなかったらどうするの?」

 その疑問に、ふむ、と考えてから、

「挑発するか」

 と言った。

「例えば?」

「定番は石を投げるとかかな?」

「定番だがそれでいいだろ。ま、そんなことにはならないだろうから気にする必要はない」

「本当に、気にしなくていいのね」

 その疑問に当然のように答える。

「あぁ」

 

「それと、まぁ、大丈夫だと思うんだけど。この『下水管理者』っていうのは問題ないのよね?」

「あたりまえだ。その程度どうとでもなる」

「やっぱり問題ないのね」

「性別以外は大体どうにかなるよ」

「やろうと思えば性転換することで性別もどうにかできるといえばできるがな」

「それなら人を呼んだ方が安いでしょ」

「あくまでも可能、と言うだけだからな」

「本当にする人は見たことないよね」

「今までで一人もいないな」

「それはそうでしょ……」

 

 少しの間くつろいでいたが、時間も遅くなってきた。

 大童がカレンダーを見る。

「んー……実行日は明日の夜がいいかな」

「その方が良いだろ。明後日は日曜だから学校にも響かない」

「藤重さんもそれで良い?」

 その提案に藤重も特に用事は無いので賛成する。

「いいわ」

「今回は場所が下水道だから服等はこっちで用意する必要があるな」

「さすがに普段着や制服で下水道は無いわよね」

「臭いが染み込んじゃうよ」

「それに汚れるしな」

「そうね。そっちで用意してくれると助かるわ」

「あぁ。それと下水道だから水もある。下には水着を着ておくのが良いだろう」

「冬に水着ってのも違和感があるわね」

「でも温水プールとかあるよ」

 しばらくの思考……。

 

「……それもそうね」

 違和感はなくなったようだ。そして必要なものを確認する。

「今回は弓はいらないわよね」

「邪魔になるだけだな」

「じゃぁ特に私が準備するものは無し?」

「もし落ちたときの着替えだな。それ以外はこっちで準備するから問題ない」

「着替えね、わかったわ。集合場所は?」

「着替えの必要があるし、集合場所はまたここで良いかな」

「それでいいわ」

「時間はどうする?」

「夜10時くらいでいいだろ」

「了解」

「わかったわ」

 一通りの確認を終えて時計を見と立ち上がる。

「それじゃ今日はもう帰ろうか。藤重さんは明日も部活あるんだろうし」

「そうだな」

「それじゃ、また明日」

 玄関に向かう二人。

「うん。二人ともまた明日ね」

 

 そして玄関を出ていった二人を見送りながら思う。

(下水道かー……はぁ)

 どうしても気分は沈んでしまう。

(でも、やると決めた以上嫌とは言ってられないわね!)

 と、握り拳を作ってやる気を出そうとする。が、

(でも下水……)

 やっぱり沈む藤重であった。

 

 一方、雪道を歩く大童と鏡。

「そういえば明日の天気は?」

「晴れだな」

「あー……それだと水位が上がりそうだね」

 空を見上げた大童は鬱陶しそうに言う。

「とは言え、冬と言っても最近は雪がだいぶ解けてるしな」

「真冬ほど大変なことにはならないかな」

「そうだな。そこは安心していいだろう」

「そっかー」

「あと、晴れと言っても夜だし気温も高くないからな」

「それなら大丈夫そうだね」

 鏡の方を見ながらそういった。

 

 

平成24年3月3日21:55

 五分前に来た車から鏡が出てきて、袋を外で待っていた藤重に投げ渡した。

「とりあえず服と靴だ。その他は車の中で渡す」

「これに着替えればいいのね」

 袋の中身を見ながら言う。鏡は既に着替えており、つなぎのような服にゴム靴だ。

「あぁ。サイズは問題ないはずだ」

「わかったわ」

 一旦部屋へと戻っていく。鏡は車の中に戻った。

 

 そして待つこと数分。着替えてきた藤重が車に乗ったのを確認して目的地へと車が発進した。

 




SSを読みたい衝動に駆られて少しばかり執筆意欲が落ちていましたが、
本屋で大量の漫画の表紙などを眺めていたら不思議と意欲が湧いてきました。

でもそのあとすぐにある新曲が発表。
そっちを見たい衝動に駆られましたが、
数回だけ見て後はそれを聞きながら書いています。

後編は第七話を途中まで書いたら載せます。
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