前回が3編構成になったので、
今回は非常にあっさりと行きます。
なので前編とタイトルは関係ありません。
と言うか、
内容的にそんなに長々と書けるものではないです。
これでどうやって話を広げろと……。
それでは十一話前編をどうぞ。
炭酸飲料には骨を溶かす働きがある。
だから炭酸飲料ばかり飲んでいると体がボロボロになってしまう。
平成24年9月3日7:14
「おはよ、二人とも」
「おはよー」
「はよ」
夏休みが終わり、二学期が始まった。その一日目、教室に入ってきた藤重が挨拶をし、それにそれまで話していた二人が挨拶を返す。
教室に他の生徒は三人しかいない。そのうち二人が寝ていて、うち一人は対角線だ。
「今日から二学期ね」
椅子を引いて席に座る。
「二学期って言うと文化祭の準備も始まるね」
「まぁ、このクラスには関係のない話だが」
そう言って、パソコンから手を離すと背もたれによっかかる。
「このクラスだけじゃなくて、二学年は全体的にそうだよね」
「やっぱり修学旅行があるから、そっち優先なんでしょうね。私たちもそうなんだし」
この学校では小六、中三、高二の時に修学旅行がある。いずれも9月の4週目にあり、距離によって二泊三日と三泊四日があるが、最終日が土曜になるのはどちらも同じだ。
ちなみに大童達の班は、大童と藤重、鏡+他二名といった感じだ。
「それで、二人は自由行動は何処行くとか決めたの?」
「まだ決めてないよ」
「いっその事、決めなくてもいい気もするが」
鏡は再びパソコンで作業をしている。
今年の修学旅行は三泊四日なので、一日目と四日目がクラス行動。二日目が班行動。三日目が自由行動でクラス・班関係なく行動できる日だ。
「全部じゃなくてもある程度は決めておかないと不味いんじゃないの?」
「そうは言っても、クラスと班で目ぼしいところは大体回るだろ」
「そうだねー。そう考えると決めなくてもいい気がしてきたよ」
「まあ、二人がそれで良いならいいんだけど。自由行動なんだし」
「藤重さんは決めてあるの?」
「私? 私はまだ友達と決めてるところよ。沖縄何て滅多に行かないでしょうからお土産とかも慎重に決めたいし」
「……そうだね。趣味じゃなかったら気軽にはいけない距離だよね」
一瞬表情が曇ったが、それを悟られないようにすぐに戻す。藤重に気づいた様子はない。
「場所によっては海外の方が近いしな」
「でも近くても海外の方が気軽にはいけないと思うんだけど」
「どうして?」
純粋に疑問に思う大童。
「だって……ほら、言葉とか」
その言葉に納得したのか手をポンッ、と叩くと的外れなことを言う。
「あー確かに。学校でやってるのは英語だけだし、中国語とかハングル語はやってないからね」
「いゃ、そういうことじゃなくて英語自体……」
「?」
そう言いかけたが、疑問符を浮かべた大童を見て、
「……はぁ、まぁいいわ……やっぱりトップ10は違うわね」
溜息をつくと、小声でそう言ったが大童には聞こえなかった。ようするに英語は書けるけど話せない、である。
そして大童は話せるということだ。
その後も修学旅行の話をメインに、雑談は続いた。
平成24年9月3日17:10
大童の部屋。
「朝の時に思ったんだけど」
ふと思い出したように、何もしていなかった藤重が口を開く。
「何?」
「海外にもULってあるの?」
「あるよ」
「あるんだ」
「だがULが全てをカバーしているわけじゃない。いくら世界的企業でも無理はある」
「カバーできない場所はどうしてるの?」
「ULの協力組織があって、そこがやってる感じかな」
「へー」
「協力、といっても戦闘とかだけだけどな。言霊に関する研究はULでしか行われていない」
「そうなの?」
「あまり広めるべきものでもないしな」
「それもそうね」
「本来なら」
そういうとソファに座っている鏡は後ろに体重をかけて天井を見上げる。
「ULで全てを行えるならそれが一番なんだがな」
「そうだね」
「でもそれは不可能なんでしょ」
「不可能ではないが無理だ」
「どう違うのよ」
「『不可能』は誰がどうやってもできないことで、『無理」は様々な条件を無視したり他の誰かならできることだ」
「なるほどね……」
「で、話は戻るが、さっきも言った通り広めるべきものではないしな。言霊の存在自体」
「悪用されないとも限らないしね」
その言葉に考える藤重。
「でもULで全てを行ったとしても言霊のことを知る人が増えることには変わらないんじゃないの? だったら他の所に協力してもらうのとあまり変わらないんじゃ……」
「でもULの社員かそうでないかっていうのは、大きいよね」
「そうは言ってもできないんでしょ?」
「あぁ。一番の問題は金だな。慈善事業じゃないんだ。支部を作る以上、利益を生まなくてはいけない」
「むやみやたらには作れないよね」
「だったら支部を作らなければいいんじゃない? 私たちみたいにすれば」
「それこそ無駄になるから、他の所に協力してもらっているわけだ」
「どういうことよ」
「少し長くなって面倒だが、説明してやろう」
鏡はだるそうに姿勢を戻すと、藤重のほうを見た。
「そもそもここみたいにと言っても、事務ばかり増やしても仕事がないから支部を作らなければいけない。もし、そうでなくても人数が増えればその分の給料を払わなくてはいけないのだから、結局支部を作って利益を出さなくてはいけない。利益を出さなければいけない以上むやみやたらには作れない。さらに問題は金だけではない。支部は利益のためだけでなく、社員の管理・監視にも必要になってくる。しかし、ここみたいな所ばかりが増えればそれらの管理・監視が行き届かなくなってくる。一応社員は厳選しているが、人数が増えれば質も落ちる。それならよその奴らに協力を頼んだほうがいいに決まっている。金もかからないし、内部に質の悪いやつを置くのは外部に言霊のことが広まるより危険だ。まぁ、増幅機などを貸す必要は出てくるが、技術に関してはブラックボックスだからどうしようもない。ただ研究内容に関しては外部から知ることはできなくても内部からだと違ってくるしな。そのあたりが漏れることのほうが、言霊の存在が漏れることより危険だろう。と、まぁ少し話がずれた気はするがいろいろと理由がある。それらを全部クリア出来ないから、『本来なら』で『無理』なわけだ。理解したか」
「理解したわ。完璧にしてるかどうかは分からないけど」
「ある程度分かればいい」
鏡は藤重から視線を外すと、息を吐いてソファに寝っ転がり本を読み始めた。
「でもそう考えると全都道府県にあるっていうのは結構無茶してるんじゃないの?」
説明が終わった後、しばらく仕事をしながら麦茶を飲んでいた藤重が大童のほうを向いて聞いてきた。何故鏡でないのかというと、特に理由はないと思われる。
「そうだね。でもほら、都道府県は区切りとしては分かりやすいから」
「まぁ、利益は出てるんでしょうから大丈夫ではあるんでしょうけど」
「場所によって規模も違うしね」
「一番大きいのはやっぱり東京なの?」
「本社だからね」
「まぁそうよね」
「ちなみに新潟は二番目に大きいよ」
「そうなの? 大阪とか北海道じゃなくて」
意外な事実に少しの驚きを見せる。
「二番目にできたのがここだったから」
「できた順で大きいわけではないでしょ。二番目ならそうでも不思議ではないけど」
「確かに三番目が三番目に大きいわけではないよ。その辺はやっぱり経営方針とか業績とかがいろいろ関係してくるわけだし」
「でも二番目ってことは、もぅ……問題ないってことね。その辺りは」
「うん。儲かってるよ」
「……」
と、わざわざ藤重が誤魔化したことを笑顔で言い放つ大童。その為、誤魔化しの意味が無くなった藤重は硬直から復活して肯定をする。
「ま、まぁ儲かってるってことは良いことよね」
「そーだねー」
そこで藤重がふと何かに気付く。
「そういえば私って新潟県支部とかに挨拶とかしなくてもいいの? まだアルバイトだけど一応働かせてもらってるわけだし……」
「あーそれに関しては夕夜と話し合ったんだけど、Cランクの試験の時で良いんじゃないかってことになったんだよ。ほら、ただ顔見せだけして帰ってくるのは勿体ないでしょ? それに報告だけはしてあるし」
大童はチラッと鏡のほうを見た。鏡は相変わらず本を読んでいる。
「それならいいんだけどー……年賀状とかだけでも出すべきかしら?」
「それは顔見せしてからで良いんじゃないかな。顔も知らない人から年賀状が来てもなんだかー、ね?」
「それもそうね。分かったわ。でもCランクの試験っていつ受けられるの?」
「そーだねぇ……確実に言えることは今週のは受けられないってことかな」
その言葉に藤重は携帯のカレンダーを確認する。
「そういえば第二土曜日ってもう今週なのね」
「うん。それに、さすがに半年で昇格はできないよ」
「さすがにそんなに早くはできるとは思ってないわよ」
「そっか。でも確定では無いけど、このままいけば来年の三月か九月、つまり卒業前には受けられると思う」
一応だが、再来年の三月も卒業前である。
「ふーん……ちなみにCランクの試験って難易度とかはどのくらいなの?」
「んー、一般的な普通高校で平均点以上をとる程度の頭と、悪くないと言われるくらいの運動神経があれば受かるかな」
「なんかBランクとの差が激しいわね。Bは『気』による身体強化が使えないと駄目なんでしょ」
「そうだね……あれ? 『気』について話したことあったっけ?」
首を傾げて記憶をたどる大童。
「この前の時に鏡君に聞いたのよ」
「あ、そうなんだ」
傾げた首を戻す。
「それで差、なんだけど確かにBになると一気に人数が減るよ」
「やっぱりね。それじゃあAとBはどのくらいの差なの?」
「Aは『気』を武器からでいいからしっかりとばせることが最低条件だったかな」
「『気』を使えないからいまいちどんな感じかわからないんだけどー……大童君はとばせないのよね」
「うん」
「じゃあ相当難しいのね」
「そうだね。どうしても自分から『気』を離すと霧散しちゃうんだよね。まだ武器を通してる分、直接よりは簡単なはずなんだけど……やっぱり難しいね。しかもそれが最低条件だし……前回はAになった人はいなかったみたい」
(でも鏡君が「今後次第」って言ってたし、そのうちできるようになるのよね……)
そこで変わらず本を読んでいる鏡の言葉を思い出して、
「まあ、頑、張って?」
しかし、どう頑張るの分からないため曖昧な応援をした。
「ありがと、頑張るよ」
大童はそれを気にした様子もなく応援を素直に受けとる
「それにしてもー……そのさらに上のSっていったい……?」
恐る恐るといった感じの藤重。
「今いるAランクが22人なんだけど」
「十分少ないわね。全都道府県にはいないってことになるし」
「その上のSランクは三人しかいないんだよね」
「少ないわね……」
「それでも多いみたいだよ。だいたいは一人で、二人いれば良いほうだったみたいだから」
「……そうなんだ。Sランクはどんな人ならなれるの?」
「どんなって……うーん……」
腕を組んで考え込む大童。
「今の僕が何人集まって何時間かけて何をしようとも勝てる可能性がゼロなくらい……かな? 正直言葉で表すのは難しいよ」
「大童君が何人いても……」
「SランクになるにはSランクの人に試験で認められる必要があるんだけど……前回の時に試しにAランクの人全員がまとめて挑ませてもらったみたいだけど、何もできずに終わったみたい」
「大童君より強い人が22人同時に挑んで全く歯が立たない相手……」
藤重はイメージしようとするが、そもそも大童より強い人がイメージできない。
「今いる人Aランクの人たちじゃなれないだろうね」
「そのSランクの人は人間なの……?」
そんな疑惑の目、いゃ、その目には「人間じゃないでしょ、絶対。そんなのが同じ人類なんて認めないわ!」という思いが込められている。
「その人は紛れもなく人間だよ……まあ確かに疑いたくなるのもわかるけど」
「……はぁ」
思いも虚しく、認めたくない非情な現実を突きつけられて藤重は只々ため息を漏らした。
「その人のほうが今までの何よりよっぽど非現実的よ……」
「それはー……否定できないね」
「はぁ……その三人は日本にいるの?」
「他所のランク基準は分からないからね。全員日本にるよ」
「……そう」
それだけ言うと、黙ってしまった。
藤重が現実を認めたのは30分後だ。
その後、藤重は普段通りに仕事や雑談で時間を過ごし、夜も遅くなると大童の作った料理を食べてから、大童に送られて家に帰った。
ちなみに大童の料理の腕は一般家庭のお母さんくらいだ。三ツ星レストランのような腕前ではない。
少し無理をしてしまった……
まだ十四話が半分も書けていません。
何というか、
煮詰まっているというより、
ズレてきているような気がしてどうしようもないです。
一体全体自分は何を書いているのだろう……?
次回の投稿は十四話を書き終えたらです。
まだ半分も書けていないので時間かかります。
でも今週中には……。