UL   作:招代

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都市伝説の内容は、
ウィキや都市伝説紹介サイトにのっているものから使えそうなのを選んでいます。
なので、
マイナーなものもたぶん混じっていると思います。

何故「たぶん」かと言うと、
何がマイナーでどれがメジャーなのかが分からないのです。
自分にとってはどれもメジャーな気がするんですよ……。

では後編です。





第十一話 『炭酸飲料で骨が解ける』 後編

平成24年9月19日21:50

 修学旅行一日目、旅館。

 飲み物を買いに来た藤重は、一人ロビーのソファに座って本を読んでいる鏡を見つけた。

「あれ、大童君は?」

 本から目を離し、声のしたほうに顔を向ける鏡。

「枕無双をしている」

「つまり枕投げをしているのね」

 一日目の旅館は大部屋で3クラスずつ、男女別々の部屋になっている。そして1~3組の男子部屋では枕投げが行われている。

「まあ、その辺の人じゃ大童君には勝てないわよね」

 と、

 

「ここにいたんだ、夕夜」

 大童がロビーに来て、自動販売機から飲み物を買ってこちらに歩いてきた。汗は一つもかいていない。

「藤重さんも、こんばんは」

「こんばんは、大童君」

「枕投げは終わったか」

「うん。勝って一段落ついたから抜けてきた」

「そうか。なら戻るか、百物語をやるらしいからな」

「そうなの?」

「あぁ」

 そう言って、鏡は本を閉じるとソファから立ち上がる。

「じゃあ僕も飲み物買い終わったし戻ろうかな」

「そう。また明日ね」

「うん。また明日」

「またな」

 

「あぁそういえば」

 部屋に戻りかけた鏡が立ち止って藤重のほうを向いたので、大童も立ち止まる。それを聞いた藤重は自販機から目を離し、鏡を見た。

「部屋にある額縁裏の札ははがすなよ」

「え……」

「それだけだ、じゃ」

「ま、また明日ね」

 言うことを言って去っていく鏡を大童が追う。

「ちょ……」

 

 その後、部屋に戻った藤重に額縁裏を確認する勇気はなく、そこが気になってなかなか寝付けなかった。

 

 

平成24年9月20日14:19

 修学旅行二日目、水族館に来た大童班。何故大童班かと言うと、大童が班長だからである。

「大きいわね」

「そうだねー」

 大童と藤重はジンベイザメを見上げている。他の班員の姿は周りには見当たらない。

「……そういえば昨日の百物語はどうなったの?」

 話題がないためそんなこと言ってしまった藤重。

「百話話し終えたけど、何もなかったよ。もしかしたらお札のおかげかもね」

「そう。とりあえず何もなくてよかったわ」

 ホッと胸をなでおろす。

「まったく、学校もよく札を貼ってあるような旅館を選んでくれたわよね」

「でも百物語をやるにはむしろ安全だったかも。部屋の窓側に絵が飾ってあったでしょ?」

「そういえば……」

「それが全部屋にあったから、旅館を囲むように結界が張られてたんじゃないかな」

「つまり?」

「旅館の外は幽霊とか妖怪がいっぱいだったのかも」

「……お札様様ね」

 本気でそう思っている藤重であった。

 

 

平成24年9月21日10:11

 修学旅行三日目、自由行動。

 大童と鏡は当てもなく海岸からいける洞窟内を彷徨っていた。

「何となく入ってみたが、どこかに繋がっていそうだな」

「そうだね。向うから風を感じるし。でも行き止まりの可能性もあるよね」

「最悪行き止まりでも上をぶち抜けば地上に出るだろ」

「そうだね」

 笑いながら返す。

「じゃ、とりあえずこのまま進むぞ」

「了解」

 

 この後二人がどこに行きついたのかは、二人しか知らない。というか、こんなところに行っていることを二人以外は知る由もなかった。予想すらできるわけがない。ただ、時間内には帰ってきていたことだけは事実だ。

 

 

平成24年9月22日9:30

 修学旅行四日目、防空壕内。

「お前、幽霊とかぶってるぞ」

「えっ!」

 慌てて飛び退く藤重。

 周りの生徒は何事かと声のほうを向くが、暗いため人物の特定はできなかったようだ。

「そういうことは早くいってよ」

 小声で怒る藤重。

「言わないほうが面白そうだったしな。別に害はないし」

「それでも……って大童君も笑ってないで」

「ごめん、でも面白くって……!」

 笑いをこらえている大童。

「とっとと行かないと置いてかれるぞ」

「あーもう、わかってるわよ」

 仕方なく、同クラスの生徒を追いかける藤重。その後ろを大童と鏡は笑いながら歩いていく。

 

 

平成24年9月24日11:50

 そしてあっさりと修学旅行が終わった明後日の振り返り休日の大童の部屋。三人は集まっていた。

「浮かれているところ悪いが、仕事だ」

「さすがに一日も経てば浮かれてないわよ」

「そうか」

 それを軽く流して、紙を渡す。

 

「溶けないわよね?」

 読み終えて、分かっていても念のために聞く藤重。

「溶けてたら販売できてないよ」

「そうよね」

「まぁ、そりゃ虫歯になる可能性はあるし、本当に飲みまくれば骨が脆くなることはあるだろうが溶けないな」

「じゃぁ『飲みすぎると骨の溶ける炭酸飲料』が実現するのね」

「そうなるね」

「ちなみに切り離すとどうなるの? ……まさか全部の『炭酸飲料が骨を溶かす』ようにはならないわよね」

「さすがに今ある成分の特性を変えるのはできないと思うよ」

「そうよね」

「あって今ある炭酸飲料を作っている工場のタンクとかに『飲むと骨を溶かす』効果のある成分が混じるくらいか」

「くらいかって……大変なことじゃない」

 本当に大したことではないという風に言った鏡に対し、呆れている藤重。

「別に飲みすぎなければ多少溶けるだけだしな」

「それにそうならないために今どうにかするわけだし」

 

 その言葉に少し考えてから納得をすると、紙を見る。

「……そうね。それで、今回のはどうするの?」

「簡単だろ」

「簡単なの?」

「簡単だね」

「どうするの?」

「飲んで少しも骨が溶けなければいいんだろ」

「いや……『飲んだら骨が溶ける』なんだから無理でしょ」

「飲んでも骨が無ければいいんだよ」

「別に人間とは書かれてないしな」

 そのヒントに閃く。

「……タコ?」

「タコには限らないがそうだな」

「確かに簡単ね」

「でしょ」

「何だったら生物しか飲むことができないわけでもないし」

「無生物でもいいの?」

「物によるけどね」

 

「で、いつ行く。場所は駅前スーパーだ」

「あそこね」

「営業時間は夜の12時までだったよね」

「そうだな。だから現地には夜1時くらいに着けばいいだろ」

「なら日曜がいいわ」

「康もそれでいいか」

「問題ないよ」

「集合は藤重の家に0時50分で良いな。歩いていける距離ではあるが、夜中に出歩く距離ではないしな」

「持ち物はいらないわよね」

「必要ないな。あぁ、もしもの時のために黒系の服と手袋をしてくるといい。無くても構わないが」

「了解」

「わかったわ」

「他に質問はないか」

「んー、無いわ」

「無いよ」

「なら仕事の話は終わりだ」

 その後は雑談したり、藤重が仕事や宿題をしたり、大童と鏡が本を読んでいたりと、いつも通りの時間を過ごした。

 

 

平成24年9月30日0:50

 深夜の藤重のアパート前、一台の車が止まり、すでに待っていた藤重が乗りこむ。

 車に乗った藤重も、すでに乗っていた助手席の大童も鏡も黒い服だ。

「こんばんは、藤重さん」

「二人ともこんばんは」

「あぁ」

 そして車は発進する。

 

 

平成24年9月30日0:57

 車をどこかにおいてきた鏡が戻ってきた。

「駐車場があるんだからそこに止めればいいのに」

「もしもの時に怪しまれるからな」

「それもそうね」

 視線を真っ暗なスーパーに移す。真っ暗と言っても非常灯などが点いているため多少の光はあるが。

「じゃあ行こっか」

 三人は入口のほうに歩いていく。

 

 自動ドアの前。

「どうやって入るの?」

 大童のほうを見る。

「どうやってて……」

 言いながら自動ドアに手をかけると、指を入れて躊躇なく左右に開いた。

「こう」

「……凄く堂々としてるわね」

「こっちのほうが近いしな。とっとと入るぞ」

「わかったわ」

 大童が開けている間に鏡が中に入り、それに続いて藤重も入ったのを確認すると大童は自動ドアをゆっくりと閉じた。

 

 そして次の自動ドアも同じようにして入る。

 

 

平成24年9月30日1:00

「なんか強盗な気分ね……」

 わずかな光を頼りに大童たちの後ろをついていく藤重。

「どちらかと言えば強盗じゃなくて窃盗じゃない?」

「何だったら覆面もあるが使うか?」

「使わないわよ」

 即答する。

「でも店の中のものを持ち帰るわけだから、そういう気分になるのもわかるよ」

「店のものではないがな」

「……つまり窃盗ですらないのね。なら不法侵入かしら?」

「そうだね」

 そんな会話をしながら奥に進む。何て警戒心のない侵入者だ。

 

 そうしてたどり着いたペットボトルの並んでいるコーナー。

「この中のどれかの炭酸飲料と同じ見た目で実現するはずだ。だから実現の瞬間を見逃すなよ」

「どの種類かはわからないのね」

「統計ではコーラ系が多いな」

「でも絶対じゃないし、やっぱり全体を見ておかないとね」

「そうね」

 大童と藤重が二手に分かれて、スキのないように見える位置に立つ。ちなみに大童のほうが炭酸飲料が多いほうに立っている。それを見てから鏡はパソコンを取り出して作業を始めた。

 

「あと10秒」

 その声に大童と藤重はペットボトルコーナーでの実現を見逃さないように見る。

「5、4、3、2、1、0」

 カウントダウンの終了と共に店内に雑音が響く。すると黒い液体、と言ってもコーラではなく、炭酸コーヒーの最後列に一本のペットボトルが形作られていくのが大童の目に見えた。

 そして実現した『飲むと骨が溶ける炭酸コーヒー』。

 大童はそれをとった。手に持つとよく冷えているのがわかる。

 

 自分の所には何もなかった藤重は、大童が何かのペットボトルを持ったのを確認してそっちに向かう。

「コーラ?」

 黒い液体が見えたのでそう尋ねる。

「ううん。炭酸コーヒー」

 大童は手元のそれを藤重に渡す。

「ホントだ……何でまた、炭酸コーヒーなのかしら」

「新発売だから、かな?」

「関係ないでしょ」

 炭酸コーヒーを大童に返す。

「回収したし帰るぞ」

「そうね」

「了解」

 

 三人は来た時と同じように、しっかりとドアを閉めて店から出た。

 

 

平成24年9月30日1:12

「あとはこれを骨のない何かに飲ませるだけだから、それはお前らを帰した後にこっちでやっておく」

「こういった場合ってタコとかも支給されるの?」

「必要ならされるよ」

「へー……でも消した後って送り返さないといけない?」

「いや、自由にしていいことになってるよ」

「そうなんだ」

「使い終わったらいるか? イカだが」

 暫しの思考。

 

「……そうね。貰ってもいいかしら」

「問題ない。いらなければ康に押し付けていたところだしな」

「大童君はよかったの?」

「うん。いいよー」

「なら貰うわ」

「じゃぁ、明日康に届けさせる。学校に持っていくわけにもいかないしな」

「そうだね、了解」

「わかったわ」

 よって、明日の夕飯の材料が決まった藤重は、イカを使った料理を考えながら家までの時間を過ごした。

 

 

 翌日、イカを貰った藤重は届けに来た大童と一緒に夕飯を食べた。ついでに、藤重の料理の腕前は大童と大差ない。

 

 

 

第十一話『炭酸飲料で骨が溶ける』終了。

 




昨日まで欲しいアルバムあったので、
それに気を取られていました。

今は欲しい小説もあって非常に読みたい衝動に駆られています。
なので明日買に行って土日に読んでしまいます。
こういうのは早めに解消しないと集中できませんからね。

次回は十五話を途中まで書いたら載せます。
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