UL   作:招代

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作者はチェーンメールが来た経験はありません。
不幸の手紙もないですね。

題名は『チェーンメール』か『お菊ちゃん』かで迷いましたが、
『チェーンメール』にさせていただきました。

……まぁ、
チェーンメール的要素なんてないんですけど。

それじゃぁ前編始まります。


第十三話 『チェーンメール』 前編

090-****-****からの電話が鳴る前にこのメールを10人に送って下さい。

送らなかったり自分からかけた場合、

お菊ちゃんから電話がかかってくるそうです。

夜にお菊ちゃんが現れてあなたの足をもぎとっちゃいます。

最近いたずらメールが流行っていますがこのメールはマジでヤバイです。

気を付けてね。

 

送り返しは厳禁。

 

 

 

平成24年11月22日13:20

 チャイムが鳴ると、テストの終了が教師から告げられて一番後ろの席の人が回収を始める。生徒達は椅子をガタガタと音をさせながら立ち上がり、教室内は労いや答え確認の声で一気に騒がしくなった。

「お疲れ様」

 大童が、テストの回収を終えて戻ってきた藤重に声をかける。

「ええ、疲れたわ……でも、今日はもう帰りだし」

「今日は部活無いの?」

「テスト休みよ」

「そっか。じゃあもう帰る? 夕夜も戻ってきたし」

 と、鏡に視線を向ける。鏡はそれに目で返事をした。

「そうね。帰りましょ」

 机の上の筆記用具を鞄にしまい、帰り支度を始める。

 

 そして準備を終えた三人は教室を出た。

 

 

平成24年11月22日13:30

 大童の部屋。三人は寄り道せずにここに向かったのだ。

「だらけきってるな」

 鏡が藤重を見て言う。

「いいじゃないー……テストが終わった後くらいー……」

 むっくりと起き上がってそれだけ言うと、再度突っ伏した。

「まあ、期末だから中間より範囲も広かったしね」

 麦茶を持ってきた大童は座ると、それぞれのコップに注いだ。

 

「ただ、仕事だ」

 パソコンを取り出して、キーボードを打ち始める。

「内容は?」

 今回はちゃんと起き上った藤重が尋ねる。その時、大童と藤重の携帯が同時に鳴った。

「メールね」

 二人は携帯を開いて中身を確認する。

 

 読み終えて、携帯を閉じる。

「そう言えば前にこの辺りでも回ってたらしいよね」

「友達の所にも来たって言ってたわ」

「内容は少し違うかもしれないがそれだな」

 パソコンを閉じた鏡が言う。

「で、今回のはこっちから電話を掛ければいいのよね」

「そうだね」

「んー……」

 そこで少し考える藤重。

 

「でも、これって実現した時に他の人が掛けたりする可能性もあるわよね?」

「あ、それは無いから大丈夫だよ」

「無いの?」

「うん。掛けれないし」

「掛かってくることも無いな」

「あれ、でもこの記号携帯にあるわよね……?」

「それは『スターマーク』。『星印』とも言われるものであって、『チェーンメール』のは『アスタリスク』だ」

「ほら、こっちは『×(ばつ)』に『(たて)』だけど、こっちは『×(ばつ)』に『(よこ)』でしょ?」

 自分の携帯で先ほどのメールを開いて見せる。

「あ、ホントだ」

 そういいつつ、自分の携帯も確認する。

「確かにこれじゃ掛けられないわね」

「でしょ」

「それでこれが専用の携帯だ」

 バックから携帯を取り出して、藤重に投げ渡す。

 

 藤重はそれを難なく受け取り、開く。

「アスタリスクになってるわね……」

「特注品だ」

 そこ以外には特に変わったところは無い、見た目もいたって普通の携帯だ。

「これって普通に携帯としても使えるの?」

「問題ない」

「ふーん……」

 しばらく携帯をいじっていた藤重だったが、いじり終えたのか携帯を鏡に返した。

「使うのは大童だからな」

 鏡は大童に投げ渡す。

「うん」

 それを片手で受け取る大童。

 

「それで今回の内容だが」

 一呼吸置いて。

「日にちは自由。時間は夜。場所は何処でもいいから、廃工場の予定。持ち物は各自武器な」

「藤重さんの予定は?」

「明日が午前部活だから、明日がいいわ」

「なら日にちは明日。時間は『夜』だし開始は17時、集合は16時40分でいいか」」

「ええ」

「了解」

 

「でも『夜』って長過ぎない……? 大丈夫なの?」

 心配そうに大童を見る。

「大丈夫だよ。むしろ『ごみこさん』より楽かも」

「……そうなの?」

 不思議そうに、今度は鏡を見る

「何だかんだ言って場所が指定できるのは大きいからな」

「こっちに有利な、やりやすい場所を選べるからね」

「例えば?」

「例えばー……人気の無いところとか、足場がしっかりしてるところとか、障害物が多いところとか」

「障害物って逆に邪魔にならない?」

 その問いに大童は少し考えて。

 

「障害物っていうか、何て言えばいいのかな……ほら、相手だって壁をすり抜けるわけじゃないし、こっちの位置は分かっても建物内の道が分かるわけじゃないでしょ? だからそう言う所で時間が稼げるってこと」

「壁すり抜けたら攻撃があたらないことになるわよね」

「『テケテケ』みたいに壁を破壊なら有り得るかもしれないがな」

「そう言えばそんなこともあったわねー……」

 その時のことを思い出す。

「まぁ、あれはあの速度があってのことで、今回はそこまでの速度は無いだろう」

「そう。なら相手が絶対これない所にずっといるとかはできないの?」

「例えばどういう所?」

「え、うーん……高い壁の上とか?」

 特に具体的には何も考えていなかった藤重。その結果がこれだ。鏡は呆れている。

「んー……でも駄目だと思うよ」

「どうして?」

「速くないといっても、『足をもぎ取る』ぐらいの力はあるわけだ。だからそんな状況になったらよじ登ってくるだろうな」

 藤重の頭の中で着物を着た女性が壁をよじ登る姿が想像される。

 何故着物かと言うと、『お菊ちゃん』からのイメージだ。

 

 想像修了。

「それはちょっと怖いわね……」

 少し青い顔で言う。

「けど時間稼ぎには使えるから、そういった場所を使う可能性は高いよね」

「と言うか、使うだろ」

「そうだね」

「なんだったらよじ登ってる相手を撃ち落としてもいいぞ」

「試しては見――」

「あぁ、そうだ。折角だし大童と一緒に逃げてみるか」

 鏡は藤重の言葉を遮って、軽くそんなことを言った。

 

「……え?」

 言われた方は軽く受け止められない。

「今回は場所もいいし、相手も速くないだろうからな……何も一人でやれと言っているわけじゃない、康がいる。康ならお前を連れてても余裕だ。それにこういった経験もしておくべきだと思うが」

「僕は藤重さんが良ければいいんだけどー……」

 チラッと藤重を窺う大童。

「……」

「別に嫌ならいいぞ。だがこういった経験は好条件の時にやれるなら、やっておくべきだと思うがな」

「……やるわよ」

「そうか」

「大丈夫……?」

「鏡君の言う通りよ。こういう経験も必要だものね。いつまでもやらないわけにはいかないんだから……」

「……うん。そうだね」

「というわけで……よろしくね! 大童君」

 緊張からか少し震えているが、それでも明るくそう言った。

「よろしく。大丈夫、絶対に逃げ切るから!」

 大童は落ち着けるように藤重の震える手を握る。

 ……ただ、微妙にかっこ悪い宣言のような気がするのは気のせいか。

「え、ええ……」

 少し赤いのも気のせい。

 だが、鏡がそれを見て笑っていたのは事実。二人が気付く前に戻したが。

 

「それで終了だが、およそ6時だな」

「あれ……12時間以上ない?」

「約13時間だね」

「ホントに大丈夫なの……?」

 心配そうな藤重。

「康なら大丈夫だろ。動き続けるわけじゃないしな」

「もしかしたら止まってる方が多いかもね」

「ならいいんだけど」

「とりあえず仕事中に寝ないようにな」

「う……気を付けるわ」

「ガムいる?」

「……何味?」

 大童は近くにあった自分のバックの中を漁って、目的のものを取り出す。

 

「『ハイパーハードハーブ』」

「遠慮するわ」

 即答する。

「っていうか、まだあったの? それ」

「いや、前のは終わったんだけどー……この前買い物先でくじ引いたら当てちゃってさ」

 苦笑いを浮かべながら手の中のガムを見ている。

「運がなかったわね」

「んー……確かにくじ運は無いほうかも」

「そうなの?」

「うん。と言っても、そんなにくじの経験はないんだけどね」

「じゃあ例えば?」

「そうだねー……中学の時の演劇で王子役を引いちゃったこととか」

「それむしろ当たりじゃない。主役でしょ?」

 呆れ顔の藤重。

「いや……『王子』何て僕には似合わないしさ」

 照れくさそうに頭を掻く。

「その時のクラスの人は分からないけど、適役だと思うわ」

「そんなこと、ないよ」

(『王子』……何て……違うよ)

「で、実際どうだったの? どうせ同じクラスだったんでしょ」

 視線を鏡に向けたため、この時の大童の表情には気づかなかった。

 

「あの服は中々似合っていたぞ。客の受けも良かったしな」

「やっぱり合ってたんじゃない」

 大童の方に向きなおす。

「……そうかな?」

 大童は再び照れくさそうだ。

「大童君は謙遜しすぎよ。もう少し自分の見た目を自覚するべきね」

「ははは……うん。気を付けるよ」

「と言って、できてれば今頃自覚してるんだがな」

「つまり意味がないってことね」

「今のところは効果がないな」

「はぁ……」

 溜息をつく藤重。

 

「ちなみにその時鏡君は何やってたの?」

「大道具だな」

「何となくそのあたりかなー、とは思ってたわ」

「でも今でもその時に使った大道具が使われてるらしいよ」

「? 基本、ある程度は再利用するものじゃないの?」

「ほら、うちの文化祭って最後燃やすでしょ? だから基本的に残ることは無いんだよね」

「そいえばそうね……ってことは」

 ジトっと鏡を見る。

「……何かした?」

「してないな」

「ホントに?」

 疑わしげな目で問いかける。

「第一、他の奴らだっているんだぞ」

「あ、それもそうね」

 疑わしげなジト目を止めて、大童の方を向く。

「なら単に出来が良かったのね。クラスの人の腕がよかったとかで」

「はは、そうだね」

(いつの間にかできてたものがあったとか、絵が微妙に書き換えられられてたとか、衣装とかの材料が良いものになってたとか、僕の小道具の剣が本物だったとか……は、言わなくてもいいよね……)

 そんなことを思い出していた大童の笑いは乾いていたという。

 

 まだまだ時間も速いので、それからも雑談は続く。

 

 そして、かなりの時間が経ち、明日の午前に部活がある藤重が帰る時間。

「そろそろ帰るわね」

 立ち上がる藤重。続いて大童も立ち上がる。

「なら、最後に明日の確認。集合は16時40分。持ち物は各自武器。睡眠はしっかりとっておくこと」

「了解」

「わかったわ。それじゃ、また明日ね」

「うん。また明日ー」

「またな」

 そう言って玄関に向かう藤重と大童。鏡はソファに座ったままだ。

 

 玄関扉を開ける。窓から見える外はもう夜だ。

「またね」

「うん。またね」

 大童は藤重がエレベーターに乗るを確認して、扉閉じた。

 

 大童がリビングに戻ってくる。

「明日はコーヒーでも持って行った方が良いかな」

「コーヒーでなくても水分は持って行った方が良いかもな」

「そうだね」

「あぁ。それと、明日は藤重がいても遠慮しないで動けよ」

「了解。でも藤重さんと一緒に行動するんだよね?」

「標的は康だしな。一緒にいないと意味がないだろ」

「だよね」

 悩む大童。

「まぁその辺は自分で考えろ」

「了解」

 その後も暫く本を読んだり、他愛もない話をしたりして時間は過ぎていった。

 

 

平成24年11月23日16:35

 アパートの前に一台の車が止まる。あたりは薄暗い。

「こんばんは、藤重さん」

「こんばんは、二人とも」

「ちゃんと寝たか」

「問題ないわ」

「何だったら車の中でも寝てけば?」

「そうね」

 そう言って車に乗り込むと早速横になる。それを確認してから車は発進した。

 




字体でアスタリスクとかの形が変わってしまうんですね。
危うく話が合わなくなる所でした。

ワードでの字体は、
タイトルと都市伝説の内容がHGPゴシックE。
本文はMS明朝。
数字はCenturyです。

次回の投稿は十六話を書き終えたら載せます。
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