UL   作:招代

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携帯ゲーム機のバッテリーが膨張しすぎて蓋が破損した結果、
閉めることができなくなりました。
いつでもむき出しです。

しかも何故かバッテリーがヒビ割れています。
さらには充電しっぱなしでないと起動できません。
もう携帯できません。

さすがに新しいのを買うべきか……。

では前編を。


第十四話 『一週間の入居者』 前編

中学生時代に聞いた話です。

当時住んでいた町に入居者が1週間以内に引っ越してしまうアパートの部屋がありました。

そこは階段から一番近い2階の部屋だそうです。

 

その部屋を借りていた人の話ですが、

寝ていると日が変わったくらいに童歌のような歌が子供の声で聞こえてきたそうです。

「1段上った あと6段 上がり終わったら 遊びましょう♪」

と言うような内容の歌だと言うことでした。

その歌は日ごとに階段を上ってくるので、

怖くなった入居者は1週間以内に引っ越してしまうそうです。

過去に1週間住み続けた人がいたそうですが、

1週間を過ぎると連絡がつかなくなってしまったそうです。

その人は翌日に変死体で見つかったと言われています。

 

住んだら何か有る無しは別として、

その物件自体は本当に有るらしいので詳しい場所は書けません。

 

 

 

平成24年12月20日21:30

「明日で二学期も終わりねー……」

 藤重のアパート。エアコンの暖房の効いた部屋に三人はいる。

「そうだねー」

 藤重の呟きに、大童も頷く。鏡は反応せずに本を読んでいる。

「二人は24日のは出るの? クラスのやつ」

「でるけど、僕達は寮の方のもでる予定だよ」

「寮の?」

「うん。寮長主催のクリスマス会が24日の昼からあって、それにも出る予定」

「へー、そんなのやってたんだ」

 チラッと大童を見る藤重。その視線には気づかず大童は提案する。

「よければ藤重さんも出る?」

「え、いいの? 私寮生じゃないんだけど」

 と、言いつつも何処か嬉しそうな藤重。

「良いと思うよ。毎年寮生じゃない人も交じってるし、その日は部活休みでしょ?」

 こういった催しがあるため、24、25日は全ての部活が休みになるのだ。

「じゃあ……私も行こうかな。時間は?」

 携帯を取り出して予定を入れ始める。

「10時からだよ」

「なら――」

「一緒に出ればいいだろ」

 今まで本を読んでいた鏡が藤重の言葉を遮って、本を閉じた。

 

「……は?」

 意味が分からず鏡を見ると、鏡はパソコンを取り出して挟んでいた紙を二人に渡す。

「仕事だ」

 それを受け取って読む。

 

「もしかしなくても……ここに住めってこと?」

「お前は一人暮らしだし、問題ないだろ」

「それはそうだけどー……ほら、部活とかもあるし」

 どこか言い訳がましい。

「距離はそんなに遠くないし、何だったら送り迎えを車でしてやる」

「……それならいいんだけど」

 そう言って麦茶を飲んだ。

 

「つまり僕も一緒に住めばいいんだね」

「ッ! ゲホッ!! ゴホッ! ……ゴホッ!」

「だ、大丈夫!?」

 いきなり咳き込んだ藤重を心配する大童。それに対して、手で無事を伝えてから。

「ちょっ、と麦茶が……変なところに、入った……だけ、よ」

 軽くむせながら答えた。

「まぁそれでいいだろ」

 そんな二人を余所にあっさりと言う。

「い、いいわけ……ない、でしょ」

 先ほどの影響か、少し涙目になった藤重は途切れ途切れながらも抗議の声を上げる。鏡はそれを無視して大童に視線を移す。

「問題ない。こいつほど安全な男は中々いないぞ」

「あ、うん。もしもの時はどうにかして見せるから!」

 ……やっぱり大童は意味を理解しなかった。

「……まぁ、そっちの意味もあるから間違ってはないな」

「そっちって?」

「気にするな」

「? 了解」

 首を傾げながらも言うとおりにする。そして鏡は視線を藤重に戻した。

「で、どうなんだ?」

「そっちが問題なくてもこっちがー……で、でも仕事だしー……でもー……ぅ~……」

 俯きながら時々大童の方へと視線を向けてブツブツと何かを言っている。終いには頭を抱えてテーブルに突っ伏した。

 

 しばらくの間、藤重が苦悩し続けていたところに鏡が声をかける。

「仕方ない。部屋は二つ用してやろう」

「……ホント?」

 突っ伏したまま顔だけを鏡に向ける。

「ただし、寝る時は大童の方の部屋で寝る事。これだけは譲れないな」

「う……」

「でも部屋は二つ空いてるの?」

「空いてるし、金は経費で落とすから一つでも二つでも問題は無い」

「そっか」

「……一緒に住んだ方が面白そうだったんだが、仕方ない」

「それが本音か!! 仕方ないって何よ!」

 藤重は即座に反応すると、ガバッと一気に起き上がった。

「まあまあ」

「何にせよ、寝る時は一緒なのは決定事項な。拒否権は無い」

「う……分かったわよ」

 勢いも消えて、渋々ながらも了承した。

 

「じゃぁ、詳しい説明に入るぞ」

「うん」

「場所は学園から車で10分。広さはここより少し広いくらい。キッチン風呂トイレはそれぞれついている」

「生活には問題なさそうだね」

「……ちなみに、今までにそう言った事実は……?」

 恐る恐る尋ねる。

「あったら既に専門の所が対処してるだろ」

「さすがに死者が出たところを放っておくことは無いよ」

「それならいいんだけど……今回は自立型ってことよね」

「今回はな。本来は憑依型が多いから、自立型は珍しい」

「そうなの?」

「悪意の有無に関わらず、『人と遊びたい』と思っている妖怪は少なくないということだ」

「そうなんだ」

「ちなみに一番多いのは座敷童だな」

「座敷童ってアレよね。その家を栄えさせるやつ」

「そうだね。『子供、童歌、遊ぶ』ってなると、当てはまりやすいしね」

「でもこれ栄えさせるどころか殺しちゃってるけど……」

「どちらかというと『遊びたい』という方が強いだろうから、その辺は不可抗力だろうな」

「不可抗力て」

「まあ、憑依型だから絶対死ぬわけではないから」

「そう」

 

「そんなことより今回の話だ」

「そうね。それで、具体的にはどうするの?」

「とりあえず明日の終業式終了後に移るとして」

「明日からなの!?」

 あまりにも急な日程に驚く藤重。

「早めの方が良いだろ。正月とかに被るよりは」

「いゃ、まあ……それはそうだけど」

「ちなみに洗濯機はある。で、一週間、つまり来週の木曜までは普通に過ごして構わない」

「冷蔵庫はあるの?」

 大童が手を上げて発言をする。

「小さいのがある。一週間ならそれで充分だろ」

「だね」

「それで問題の七日目、金曜だがこの日は部屋を出るなよ」

「逃げないの?」

「一日だしな。それに逃げるよりも立てこもった方が被害が出る可能性が少なくなるだろうな」

「流石に一日だといろんな問題が出てくるよね」

「でも立てこもるにしても、具体的にはどうするの?」

「とにかく扉や窓を開かないようにすることだな」

 

 ……。

「……え、それだけ?」

 完璧に聞き続ける姿勢だった藤重が、呆けたように聞く。

「幽霊ではないし、壁をすり抜ける可能性は無いな」

「絶っ対にないの?」

「妖怪でも壁をすり抜けられるのはいるが、まだ妖怪ではなく言霊状態なわけだから、妖怪共通の特性を持っているだけだろう。だからすり抜けない」

「共通の特性って?」

「例えば幽霊なら霊感が多少は無いと見えないとかだな。じゃなきゃお前等が『音楽教師の霊』が見えなかったことの説明にならんだろ」

「あー、そう言えば言霊の状態でも見えなかったわね」

 古川小学校でのことを思い出す。あの時二人は見えていなかった。

「感じとしては、『戸締り+大童』の二段構えで充分だろ」

「それなら……まぁ」

「万が一中に入ってきたら外に出た方が良いよね? さすがに部屋は狭いだろうし」

「そうだな。その時は誘導する」

「了解」

「後は質問は無いか?」

「そうね、特に無いわ」

「なら今日は帰ろっか」

「そうだな」

 大童と鏡が立ち上がる。

 

「じゃ、また明日ね」

「ええ、また明日」

「明日な」

 そして二人は帰って行った。

 

 

平成24年12月20日22:03

 帰り道。

「本当は立てこもらなくても、連絡がつけば消えるよね?」

「あぁ」

「やっぱりこれも経験?」

「それもあるし、気づかないほうも気づかない方だろ」

「確かに」

「それに基本的には連絡はできないだろうから、問題ないだろ」

「そうだね」

 そんな感じで雑談しながら二人は夜道を歩いていった。

 

 

平成24年12月21日12:16

 終業式が終わり、通知表も渡され終わり、HRも終わって帰り、玄関出て少しの分かれ道に三人は立っていた。

「じゃぁ帰ったら必要なものは揃えておけよ。2時ごろに向かうし」

「分かったわ。また後でね」

「うん、後でね」

「後でな」

 藤重は二人と別れると校門の方へと歩いていく。

 

 それを見送る二人は寮の方へと歩きだす。

「さて、それまで暇してるか。康はもう準備終わってるだろ」

「準備って言っても一週間だし、大して荷物も無いからね」

「あぁ」

「それじゃあ……とりあえず寮長の所に届け出だしてこないと。一週間と少しいなくなるんだし」

「それはそうだな。先に行ってるからとっとと出してこい」

「了解。行ってくるね」

「行ってこい」

 大童は寮長室のある寮の方へと駆け足で向かっていった。

 

 

平成24年12月21日2:00

 アパートの前に一台の車が止まる。

「荷物はトランクに入れろ」

 窓が開くと、そう言われた藤重が荷物をトランクに入れて後ろの座席に乗る。

 

 

平成24年12月21日2:12

 目的のアパート前に到着。鏡は車を駐車場にバックでいれた。

「ここだ」

 三人は車を降りる。

「普通ね」

「別に曰くつきのアパートではないから」

「それもそうね」

 二人の言うとおり、特にこれといった特徴の無いアパートだ。強いて言うなら二階への階段が七段で、少しだけ古さを感じるくらいか。

「大家には話をしてあるから、とっとと荷物持って上がれ。康が203で、藤重が202だ。荷物置いたら康の部屋にいったん集合な」

「わかったわ」

「了解」

 二人はトランクから荷物を降ろすと、アパートの階段を上っていく。鏡はその後ろをついて行って、大童と一緒に部屋に入っていった。

 

 

平成24年12月21日2:17

 大童の部屋に集合した三人。周りには特に何もない。

「それで、これからどうするの?」

「特にやることは無いんじゃないかな」

「まあそうね」

「とりあえず買い物に行ったらどうだ。冷蔵庫に何もないだろ」

「あー、そうだね。買い物にいこっか」

「車を出してやるから必要な分はまとめて買え。後、レシートは取っておけ。食事分は経費で落とす」

「それは助かるわ」

「それじゃあ、もう行く?」

「そうね。特にやる事も無いなら行きましょうか」

「ならとっとと行くぞ」

 三人は部屋を出ると、買い物をしに車に乗り込む。

 

 そうして、買ってきた分は大童の方の冷蔵庫に全部入れて、料理は交代で行うことになった。

 

 

平成24年12月21日22:30

 様々なことを終えて、再集合してそれなりの時間が経った。

「実現も終えたし、そろっと帰る」

「そっか。また明日」

「あぁ、明日な」

「またね」

 鏡が立ち上がって軽く手をあげると、帰って行った。

 

「それじゃあ、私も一旦自分のところに戻るわ」

「うん」

 そう言って藤重も自分の部屋に戻った。

 

 藤重が戻ってきたのはそれから数十分後。

「まだ時間は早いけど、もう布団敷いて寝る? 確認の方は僕がやっておくし」

「いえ、まだ寝ないわ。それに私も聞かないとこっちで寝る意味がないんだから」

「あー、それもそうだね」

「それに……なんかバレそうな気がするし。鏡君に」

「うん。バレると思う」

「でも布団は敷いておきましょ」

「了解」

 二人は押入れから寝具一式を取り出して、テーブルを挟んで敷く。

 ちなみにこれらはもとから入っていた。

 

 それからさらに一時間近くが経過した。

「そろそろ寝る?」

「そうね。寝てないと聞こえないのよね」

「うん」

「……ちなみに聞くんだけど、大童君って何時もどのくらいに起きるの?」

「4時半くらいかな」

「早いわね……目覚ましとかは?」

「使ってないよ。習慣みたいになっちゃってるからね」

「そう。私は携帯の目覚まし使うんだけど問題ないかしら?」

「うん。いいよー」

「わかったわ」

 藤重は携帯を取り出すと、目覚ましを4時25分に変更する。そしてそれを枕元に置いた。

 

「電気消していい? あと暖房も」

「ええ」

「それじゃ、おやすみ」

「って言っても、まだ寝ないんでしょ?」

「あ、そうだね」

 その会話を最後に、二人は布団の上に横になった。

 

 そして日付が変わる頃、

「1段上った あと6段 上がり終わったら 遊びましょ♪」

 ホラー映画に出てきそうな子供の歌声が聞こえてきた。夜、というのもあって不気味さは増している。

 

「これよね」

 小声で大童に確認を取る。それに対して大童も小声で返す。

「そうだね。それじゃあ寝よっか」

「そうね。おやすみなさい」

「おやすみ」

 時間が遅いこともあって、藤重は目を閉じるとすぐに寝入った。

 

 4時25分。携帯のアラームが鳴り響く。

「ん……」

(……ねむ)

 藤重はアラームを切ると起き上がり、とりあえず布団を畳んで自分の部屋の方へと戻った。

 

 アラームから5分後。大童が上半身を起こす。

「……藤重さん起きるの速いな」

 テーブルの向こう側の畳まれている布団を見て、そう言った。

 このせいで、大童の中の藤重の起きる時間が4時半前になってしまったことを藤重は知らない。知る由も無かった。

 

 それから、大童が着替えた数十分後に藤重がきて一緒に布団を片付け、朝ご飯を食べて歯磨きなどのことを済ませた後に、藤重は宿題、大童は仕事に取り掛かる。それが終わった後は特にやらなければいけないことも無いので、雑談したり本を読んでいたりして時間は経過していく。

 

 そして昼ごろ。チャイムが鳴ると、すぐにドアが開く。

「邪魔するぞ」

「あ、夕夜。おはよー」

「おはよ、鏡君」

「あぁ」

 鏡は大童達の方へと歩いてくると適当なところに座る。

 

「一応確認するが、聞こえたよな」

「うん」

「ならいい」

 そう確認した後、藤重の部活も土日は休みで三人とも特にやる事も無く、いつも通りの日常を過ごす。

 

 この日の二人の行動範囲は、藤重が大童と自分の部屋の行き来、大童は途中で走り込みに出かけたくらいで、基本は家の中にずっといた。

 

 その夜、日付が変わって少しした頃。歌声が聞こえる。

「2段上った あと5段 上がり終わったら 遊びましょう♪」

 歌声は少し近くなっていた。

 

 そして日曜も土曜とほぼ同じように過ぎる。

 

 その夜も聞こえてくる歌声は、だんだん近くなる。

「3段上った あと4段 上がり終わったら 遊びましょう♪」

 




すごく中途半端に終わった感じがします。
まぁ、
移動が少ないので仕方がないということにしておきましょう。

次回の投稿は十七話を書き終えたら載せます。
十七話が終わると大童たちは3年生なので、
何かラストスパートって感じになれる気がします。

だからって執筆速度は上がらないと思いますが。
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