六月病にかかっているのかもしれない。
まぁそんなのあるのか分かりませんが。
それにしても何とか今日に投稿できてよかった……予想外だ。
まさかこんなに時間がかかってしまうとは、
って感じです。
それもこれも六月病のせい、
にしたら一年中病気ってことになってしまいます。
とにかく投稿。
平成24年12月24日10:46
寮のクリスマス会に三人は来ていた。食堂内はいかにもクリスマスと言う感じの内装に仕上がっており、賑やかな様子からも非常に浮かれた気分が伝わってくる。
そんな中、友達との話を終えてオードブルなど料理を皿に取っていた藤重が鏡を見つけて、話しかける。
「それにしても……わかってたけど凄い人気よね。大童君」
「そうだな」
藤重の視線の先には、主に女子に囲まれている大童がいた。
「あれでホントに気づいてないのよね」
「それはお前も分かってる事だろ」
「……そうね」
微妙な表情で同意する。
「まぁ、だからこそ人気も出るのかもしれないがな」
「どういうこと?」
と、隣を向く。
「鈍感で下心がないからこそ、人気が出て、結果モテてるんじゃないかってことだ」
「あーなるほどね」
「ただ、そうじゃなくても顔も頭も良いし、結局モテていたかもしれないけどな」
「むしろ、そっちの方が大きいきがするんだけど」
「そうかもな。『鈍感』は+αってところか」
「そうね」
暫くの間、そんな感じで雑談をしていた二人の所に、ようやく解放された大童が合流する。
「楽しめてる? 藤重さん」
「ええ、数日ぶりに友達とも話せたし」
「そっか」
「『数日ぶり』って言うか、まだ2日だろ」
「『数日』には変わりはないでしょ」
ムッとしたように言う。
「だがお前は学校で月曜が始まるたびに、『数日ぶり』なんて思うのか」
「それはー……思わないけど」
「だろ」
「まあ、そうね」
鏡は溜息をつくと、
「休みボケか。ボケが早いな」
馬鹿にした声で言い放った。
「違うわよ!」
(……でも実際にそう思った以上、違うとも言い切れないのが……)
実際の声と心の声が正反対の藤重。この場合は心の声の方が正しいだろう。
「まあ落ち着こうよ。ジュースでも飲んで」
言いながら、近くにあったリンゴジュースをコップに入れて渡す。
「ありがと」
藤重はそれを受け取って飲んだ。
「そういえば、ここの飾りつけって誰がやったの?」
室内を見回して聞く。
「寮長と、後は自由参加だね」
「へー……っていうことは、片付けもそうなの?」
「そうだよ」
「大変ねー」
「そう思うなら手伝ったらどうだ。どうせクラスの方までは時間もあるしな」
その提案に藤重は考えるそぶりを見せて。
「それもそうね」
「じゃあ僕も手伝おうかな」
「え、いいわよ? 先に帰ってても」
「いや、片付けてくよ」
「ならお前等は歩いて帰ってこい。先に部屋に行ってるから」
「了解」
「……って、鏡君は片付けていかないの?」
「片付けていくと思っているのか?」
「思ってないけど」
「ならいいだろ」
その後、終わりの時間になると鏡はアパートに行き、大童と藤重は片付けを手伝った後一緒に帰った。
平成24年12月24日21:56
クラスのクリスマス会。非常に騒がしい。他に客がいないことがせめてもの救いだ。
その中心の喧騒から離れた、ある程度の落ち着きのある場所。
「二人はこの後はどうするの?」
「二次会のこと?」
「ええ」
「いかないよ」
「同じく」
「藤重さんは?」
「私も帰るわ。場合によっては明日まで騒ぎそうだし」
「そうだねー」
言いながら、向こう側を見る。本当に騒がしい。
「明日と言えば」
視線を戻す。
「私、明日昼から友達と出ることになったから。お昼と夕飯はいらないわ」
「了解」
「そういえば、二人は何もないの? 明日」
「無いな」
「何回か誘われたりもしたけど、明日はゆっくりしようと思って」
「そう。まあ、そう言う過ごし方もありよね」
言って、ジュースを飲んだ。
外では雪が降り始め、この日はホワイトクリスマスイヴになった。
平成24年12月25日0:01
日の変わった頃。
「4段上った あと3段 上がり終ったら 遊びましょう♪」
さらに近づく歌声。
その日の昼、藤重がいないので大童と鏡が部屋にいる。
「そういえば、今回のってどんな見た目だったの?」
本を読み終えた大童が、そんなことを聞く。
「現代版座敷童だな」
本を読みながら答える。
「現代版?」
「分かりやすく言えば、世間一般的なイメージの座敷童が現代風の服装をしているって感じだ」
大童は頭の中で座敷童をイメージする。出てきたのは着物を着た、おかっぱ頭の人形のような女の子だった。その服を現代っぽくしてみる。
「なるほど。でも切り離しても座敷童にはならないよね」
「分類するうえで大事なのは、見た目じゃなくて力だしな」
「ちなみに切り離すとどんな感じの力になりそうなの?」
「例えば、『一定範囲内に入る階段を一日一段上ってく過程を踏んで上り切ることで、その範囲の人間とかに無条件に接触できる』とかな」
「『無条件で』っていうと、結界とかも無視できそう?」
「そうだな」
「でも階段が多かったら大変そうだね」
「だが場合によってはすぐに上り切れる」
「……確かに」
「それにあくまでも『例えば』で、切り離すつもりもないんだから、考える必要もないだろ」
「それもそうだね」
大童は次の本を取ると、再び読み始めた。
そして藤重も帰ってきて、日付の変わった後。
「5段上った あと2段 上りが終えたら 遊びましょう♪」
歌声は近づいてくる。
翌日。
「6段上った あと1段 上がり終えたら 遊びましょう♪」
近づいてくる。
その日の夜。
「とりあえず窓はそんなもんでいいだろ」
「そうだね」
「ちょっとやり過ぎじゃない……?」
そこには動きそうにない窓が出来上がっていた。ここ以外の窓もそんな感じである。
「終われば戻すし問題ないだろ」
「それにこっちからなら簡単に開くし、逃げるのには大丈夫だよ」
「……はぁ」
悪気の欠片もない二人に、溜息だけをついて諦める。
「それじゃ、ドアの方もやっとけよ」
「了解」
そう言って鏡は部屋を出ていった。
「じゃあ、ドアの方もうるさくならないように固定しないとね」
「そうね」
「うるさくならないように」というのは相手がドアなどを開けようとする音をさせないように、と言うことで、先ほどの窓もそのような感じだ。そうしなければ音で人を集めてしまう可能性もある。
「これでよしっ、と」
そして動かなくなったドア。ドアノブすら回りもしない。後、一応チェーンもかけてある。
「それで、この後はどうするの?」
「とりあえず最初は僕が見張っておくから、藤重さんは寝てていいよ。起きたら交代してもらうし」
「わかったわ。でも日付が変わるまでは起きてるわ」
「了解」
二人は玄関から押入れに向かうと、布団を取り出して、いつものように設置。そして、電気を消して日付が変わるのを待つ。
そしてついに、その時が来た。
「7段上った もう0段 上がり終えたから 遊びましょう♪」
ドアのすぐ向こうでそんな歌声が聞こえた瞬間、
ガッ。
何かがドアノブを掴んだ音がした。そしてドアを開けようとしているのが分かる。それでも音があまりしないのは固定しているおかげだろう。特にドアノブが回らないというのは大きいかもしれない。
それを聞くと、大童は起き上がる。
「確認も出来たし、おやすみ。藤重さん」
「……そうね。おやすみなさい」
(今さらだけど、こんな状況で寝るってどうなのかしら……)
そう思いつつも、目を閉じると睡魔はすぐにやってきて、藤重は私服のまま寝た。何故私服かと言うと、着替えに戻れないからである。
暫らくボーっとしていた大童。
「でもどうしよ……やることないなぁ」
藤重を起こさないように小声で呟く。
(せっかくだし、見てこようかな)
大童は立ち上がると玄関に向かい、開けられようとしている開かないドアのドアスコープを覗く。
(確かに現代版座敷童だね)
ドアが揺れて見にくいが、スコープ越しに見えるのは正しく、その表現がピッタリだった。
(……本でも読んでようかな)
見終えた大童は、ドアから離れると布団の上に戻って読書を始めた。
朝、藤重の携帯が鳴る。
「ん……」
藤重が起きると、大童はまだ本を読んでいた。
「あ、おはよー」
起きたのに気付いて挨拶する。
「……ええ、おはよ」
若干寝ぼけ気味に挨拶を返す。
「大丈夫? とりあえず顔洗ってきたら?」
「……そうね」
藤重はゆっくり立ち上がると、フラフラしながら洗面所に向かった。
戻ってきて。
「目が覚めたわ。改めておはよ、大童君」
「うん。おはよー」
再び本を読み始める。
「……」
「……寝ないの?」
「んー……これ読み終えたら寝ようかな」
「そう」
大童が本を読み終えたのは30分後。そして読み終えた大童は布団に入った。
その後、暇になったため、大童の読んでいた本を藤重は読み始める。
起きたのは3時間後。
「うん。起きた」
「早いわね……おはよ」
「おはよー。もう朝ご飯は食べた?」
「まだよ」
「そっか。じゃあ布団片付けたらご飯にするね」
「お願いね」
大童は布団を畳むと、押入れの中にしまい、朝ご飯の準備に取り掛かった。
朝ご飯を食べ終わり、歯を磨き、勉強や仕事をして、昼ご飯を食べ、雑談したり暇したり、おやつを食べて、雑談したり本読んだり、お風呂に入って、夕ご飯を食べ終わり、雑談したりして残り少し。それらの行動の際や、残りわずかになった今も一応の警戒は怠っていない。
そして今もだが、座敷童モドキは扉を開けようとしている。が、開かない状況だ。しかし時々、静かになる時があったのだが、そのときに外で何が起こっているのかは藤重は知らなかったし、特に気にもしていなかった。そんなこともあるのだろう、と。
だが、大童はその理由を知っていた。いや、理解していた。でも何も言わなかったのは、言う必要はないと判断したからだ。
「何て言うか……ホントに何もないまま終わりそうね」
明かりのついた部屋で藤重がドアの方を見ながら言う。
「何もなければそれが一番だよ」
それに答える大童は布団の上でドアを見ている。
「まぁ、そうね」
「それにほら、ドアが壊れたら修理費用も出さないといけないし。余計な出費は抑えないと」
「それはそうなんだけど……何て言うの? 拍子抜けと言うか、予想より随分簡単に終わっちゃいそうと言うか」
その言葉に口元に手を当てて、んー……と考えるそぶりを見せる。
「なら扉開ける?」
「遠慮するわ」
即答。
「別にそれを望んでいるわけではないのよ。ただー……達成感? 仕事感? が、あまりないなってだけで。結局いつも通りみたいな一日を過ごしただけだし」
藤重は言葉を考えながら話す。
「それはー確かに。それに関してはそう言う仕事だっ、て割り切るしかないんじゃないかな。こういう仕事の方が少ないから、慣れるのは難しいかもしれないし」
「……割り切るしかないのね」
「うん」
「はぁ……せめて音がもう少ししてれば、仕事をしている感じも出たかもしれないわね」
「でも周りのことを考えて音は最小限にしないとだから」
「わかってるわよ」
と、言い終えたところで外で雑音がし始めた。
「って、この音は大丈夫なの?」
「まあ、
「そう。ならいいんだけど」
雑音が消えた。
「完全に消えたみたいだし、僕はドアの方を元に戻してくるから、藤重さんは窓の方をお願い」
「わかったわ」
大童はドアに向かい、藤重は窓に近づく。
そして元に戻し終えたところで、ドアが開いて、
「明日の8時に来るからそれまでに準備しておけ」
唐突に来た鏡が、それだけ言うとドアを閉じた。閉じたドアに向かって大童が返事をする。
「りょーかーい」
「……それだけ言いにきたのね」
対して藤重は呆れている。
「それじゃ、私は自分の部屋に戻るわね」
窓やドアから外したものを片付け終えて、藤重は自分の荷物を持つとそう言った。
「うん、おやすみ。藤重さん」
「おやすみなさい。大童君」
藤重は部屋を出て、隣の自分の部屋に戻っていった。
朝8時。準備を終えていた二人は、鏡の車のトランクに荷物を入れると、9日間お世話になったアパートに別れを告げ、7日ぶりに本来の自分の部屋に戻った。
第十四話『一週間の入居者』終了。
今回は思いっきり日常回って感じでしたね。
ですので、
次回の投稿は早めにします。
と、
いきたいところなんですが……土曜の午後からと日曜にPCが使えません。
午前だけで4500文字はちょっと……。
次回は十八話を途中まで書いたら載せます。