3500はいけた……。
こんなのはもうできないかもしれない。
今書いている十八話は4月になります。
そして題材が決まっている月が、
5・6・7・9・10・11・1・3月です。
いくつか月が仮なのもありますが、
だいぶ決まってきたなと思います。
題材が決まっているってことはありがたいですよ……。
では十五話前編を投稿します。
ある男性が暇つぶしに鏡とじゃんけんをしていたときのこと。
何回何回も繰り返すうちになんと、
鏡の中の自分に勝ってしまったらしい。
鏡の中の男性は悔しそうな顔をしていたそうだ。
平成25年1月18日6:30
「おはよー」
「はよ」
三学期。暖房の効いた教室に、いつも通りの時間、いつも通りの二人がいた。
「来週はスキー授業だね」
「そうだな」
席に座りながら、大童が言った。
この学校の高等部3年以外は、一泊二日のスキー授業がある。場所はそれなりに近いのだが。日にちは金、土曜日で、月曜は振り返り休日になる。
「三年になったらスキーは無いし、これが最後なんだよね」
「そりゃぁそうだな。というか、これからはそんな事ばかりだろ」
「……そうだね」
「まぁ最後だからってわけでもないが、悔いの内容に楽しめよ」
「うん。もちろん、そのつもりだよ」
笑顔で答える。
「ならいい」
それに対して鏡はパソコンを操作しながら答えた。
平成24年1月23日21:30
暖房のそこそこ効いた藤重の部屋。
「仕事が来ている。が、どうする? 別に急がないが」
「どうするって?」
いつもは言われない言葉に藤重は首を傾げる。
「今回のは危険は無いが、一日で終わらない可能性がある」
「つまり?」
「実現したままスキー授業に突入するかもしれない」
「それはあまりよくなさそうね……危険は無くても」
難しい顔をする藤重。鏡は大童の方を見て言う。
「まぁ、対象は康だから康が決めろ。ちなみに分類は超常現象で場所の指定は無しだ」
「うーん……」
少しの間考え込む。
そして結論を出した。
「それならスキーが終わった後にしよっか」
「なら27日でいいな」
「了解」
その後。特に何も話すことなく時間は過ぎていたが、ふと、藤重が聞く。
「そういえば二人ともスキーウェアはレンタル?」
「板とかストックとか一式レンタルだね」
「同じく」
「藤重さんは?」
「私もよ。一日ならともかく、二日となるとちょっとね」
「そうだねー。だから殆どの人がレンタルなんじゃないかな」
「かもしれないわね」
「実際レンタルは9割を軽く超えている」
「そうなんだ」
「一泊二日と言うのがやっぱり大きいんだろ」
「だね」
その会話を横で聞いていた藤重は、
(なんでそんなことを知ってるのかって言うのは、言っても無駄なんでしょうね……はぁ)
そう、心の中で溜息をついた。
平成24年1月25日15:56
スキー授業午後。午前とは違い、藤重は大童達と滑っていた。
「……やっぱり二人とも上手いわね」
リフト乗り場の広いスペースで座って休憩中の三人。
「藤重さんも上手だよ」
「まあ、昔は行ってたから」
「最近は?」
「最近は無いわね。一番新しいので去年の授業になっちゃうし。でも、結構体が覚えてるものよね。問題なく滑れるわ」
「そうだね」
「ちなみに二人は休みの日とかに来たりしないの?」
「ないな」
「ないね」
「そ」
それから三人は休憩を終えて、再び滑り出した。
平成24年1月25日20:50
夕食後。ホテルの休憩室の角に大童と鏡がいた。一応他にも生徒はちらほら見て取れる。
ちなみにこのホテル、外見は木でいかにも雪山にある感じだが、中身はいったって普通のホテルだ。強いて言うなら外見上2階建てで、横に広いくらいか。
「こんばんは、二人とも」
そこに藤重が来た。
「こんばんは」
「あー」
二人もそれに返す。
「また枕投げでもしてるの? そっちの部屋は」
修学旅行の時と似たような状況に、藤重が大童の向かいのソファに座って尋ねる。大童はそれに首を振る。
「ううん。普通にみんなそれぞれしたいことしてたよ」
「怪談はするみたいだがな」
「……」
その言葉に固まる藤重。
「……ここは大丈夫なの?」
「百物語をやるわけではないからな。それにそんなにネタも無いだろ」
「そうだね。修学旅行で100話やっちゃったわけだし」
「……そもそも百物語かどうかって関係あるの?」
ふと思いついた疑問を口にする。
「ある」
「あるの?」
「百物語は一話話し終えるたびに蝋燭、と言っても正確には『明かり』であって、その時は携帯を使ったんだが。まぁ一本ずつ消していくだろ」
「そうね」
「実はあれが一種の交霊術になる」
「そうなの!?」
と、つい大声で言ってしまった。
周りの人たちは何事かとこちらを見て、複数の視線が藤重に注がれる。
「あ」
それに気付いた藤重は、
「あははは……」
誤魔化すように笑って、
「ははは……」
結果誤魔化した。
周りの視線が無くなって、会話を再開する。
「それで、交霊術って霊を呼ぶ奴よね」
「霊以外にも妖怪を呼び寄せたりもするな」
「『こっくりさん』とか『ひとりかくれんぼ』とかが有名だね」
「ひとりかくれんぼは聞いたことないわね……でも、それって危なくない? 百物語とかこっくりさんは結構やる人とかいそうだし……」
心配そうな藤重。
「誰でもやればできるわけではない。それなりに霊力や妖力が必要になる」
「ってことは前は、百物語をやってる人たちの中に霊感とかがある人がいたのね」
「そうなるな」
しれっと。
……。
「……それって鏡君じゃないの?」
「いゃ?」
「……ホントに?」
訝しむような目でジトーっと鏡を見る。それに大童が答える。
「夕夜はその時は聞いてるだけだったからね。参加はしてなかったよ」
「……そう。なら参加した人の中に霊感がある人がいたのね」
少し疑わしげだが納得したようだ。
「そうなるね」
(実はこのクラスに妖怪がいるとかは言わない方が良いんだろうなー……)
その後、暫くゆったりとした時間を過ごす三人。
「怪談ではないが」
「ん」
人が少なくなってきたころに背もたれに寄りかかりながら唐突に鏡が口を開いた。
「雪山の都市伝説と言えば『テケテケ』と『スクエア』だな」
「あーそうだね。特に『テケテケ』はスキー場だしね」
同意する大童だが、藤重は話しについて行けない。
「そうなの? 前に『テケテケ』は旬だって言ってたけど、あれは雪山じゃなくて踏切だったわよね」
「『テケテケ』と言うより、『テケテケ亜種』って感じかな。バージョン違いみたいな」
「へー……どんなのなの?」
一応仕事関係だからか、興味を示す。
「『スキー場で雪に埋まったと思わしき女性に助けを求められた男性が、女性を助けようと手を引っ張ったら予想以上に軽いことに気づく。不思議に思って下を見ると雪に埋まっていた形跡はなく、女性は上半身しかなかった』みたいな感じだね」
「確かに『テケテケ』みたいね。危害は無いの?」
「『笑った』っていうパターンが多いけど、『追いかけられる』っていうのもあるね」
「ふーん……それだと切り離さないと駄目そうね」
「そうだね」
「ちなみにこの地区であったことは?」
「僕は数年前に一回だね。そこまでメジャーではないし」
「聞いたことなかったものね」
「こういったのも含めて、『テケテケ』は冬が旬ってことになるな」
「上半身しかないっていう設定は、冬だといろいろと使い勝手が良かったんだろうね」
「かもな」
「それで、『スクエア』の方は?」
「『雪山で遭難した4人が山小屋の中で寝ないように、それぞれが四隅に立って次の人の肩を叩いていくっていうのをやったんだけど、実はそれは4人では成立しなくて、もしかするといるはずの無い五人目が……』ってやつだね」
話を聞いた藤重がそれを頭の中でシュミレートする。
「確かにできないわね」
「話によっては『五人で来てたんだけど、一人が死んじゃって、その死んだ人が参加していた』っていうのもあるよ」
「それで、この『スクエア』には二つの側面がある」
「二つ?」
その言葉に疑問符をあげる。
「一つはさっきの『百物語』とかと同じように、交霊術としての側面だ。四人で行うことによって、居ないはずの一人を呼び寄せる」
「やっぱりそれにも霊感とかは必要なのよね?」
「そうだな。まぁ、これに関してはほぼ害はないから、さして問題は無い」
そう言って、膝に肘をのせて姿勢を前傾にする。
「問題なのはもう一つの方だ」
先ほどよりも少し小さな声で話し始める。すると、三人の周りに不明な緊張感が漂う。
「……」
雰囲気的にゴクリ、と唾を飲み込んだ藤重。二人は聞く姿勢になる。
辺りに人はいなくなっていた。
「『スクエア』はある条件の元5人で行うことにより、神隠しになる」
「……神、隠し?」
「聞いたことはあるだろ」
「人が突然いなくなったりするやつよね」
「地方とかの言い伝えにもよくあるね」
「そうだな」
「『ある条件』っていうのは?」
「それはいろいろだな。時間や場所、場合はもちろん、運なども絡んでくる。よって5人でやっても絶対に神隠しに会うわけではない。むしろ神隠しにあうのは稀だろう」
「そうなんだ」
「それで神隠しについてだが、俗に言われる『神隠し』は大きく二つに分けられる。一つは人為的、と言うか妖怪とかの仕業だな。前にあった『七不思議』の『大鏡』の話なんかはそれに当たる」
「確かにアレ系の話の結末は神隠しみたいだよね」
「ただ、これに関しては本当は神隠しではない」
「違うの?」
「違う。今いる『世界』から消えたわけではなく、例えば『大鏡』なら妖怪の体内、妖怪の作り出した空間に閉じ込められることになる。この作り出された空間は『世界』の中の妖怪が作り出したわけだから、今いる『世界』からは消えていない。だからこの場合は原因である妖怪をどうにかすれば大体は助かる」
「助からない場合もあるんだね」
「そりゃぁ中で死んだりしたらさすがに無理だからな」
「……そうね」
「それで本物の方だが、さっきのと違いこれは超常現象になる」
「確か世界が引き起こす現象だったわね」
「そうだね」
「そしてこれもさっき言ったが、本物は対象が今いる『世界』から消える」
「『消える』っていうと神隠しにあうと消滅するってこと?」
「正確に言うなら今いる『世界』から少しズレた『世界』に迷い込むと言えばいいか。あくまでも、今いる『世界』、からだからな」
「それは戻ってこられるの……?」
「無い、と、ほぼ同列だ」
「……そう」
「そもそもの話、『スクエア』の場合なら奇跡的に条件がそろっていた場合に5人で行なって、うち1人がランダムで神隠しにあうわけだ。『スクエア』を使っても奇跡的確率の上の5分の1。しかも戻る時は基本独りで『スクエア』を行えない……まぁ、独りで行なえるものもあるが、今はどうでもいい。で、そうなれば低い確率はさらに低くなる。さらに、神隠しにあって行った『世界』から出れたとしてもそこが元の『世界』とは限らない。ズレた『世界』は多数存在するからな」
「それなら、偶にある『帰ってきた』っていうのはかなり運が良かったってこと?」
「いゃ、それのほぼ全部がさっき言った妖怪や別の超常現象、例えば『タイムスリップ』とかだな」
「そっか……」
「まぁ、神隠しなんてないと思っていいから気にするな。というか、気にしても仕方がないしな。どうこうできるわけでもないんだから」
「……うん、そうだね」
「それはそうだけどー……」
「そんな事より、そろそろ部屋に戻るべきだ。周りに人がいない」
その言葉に、二人はハッ、として辺りを見回すとすでに誰もいなかった。
「そうだね。戻ろっか」
大童が立ち上がると、他の二人も立ち上がる。
「そうね。おやすみなさい、二人とも」
「おやすみー」
「また明日な」
そして三人はそれぞれの部屋に戻った。
平成25年1月26日16:59
「そろそろ下まで降りる?」
翌日の午後。リフトでいける最も上のリフト降り場に三人はいた。
「そうね。時間も丁度良さそうだし」
藤重が腕時計を見ると、午後5時を表示していた。
「そうだな。ある程度余裕を持つべきだ」
「それなら止まらないで一気に下りよっか」
「問題ないわ」
「じゃぁ降りるか」
「了解」
三人は下に向かって、一気に下り始めた。
そうして、下にたどり着いた三人は早めに肩付けを済ますと、帰りのバスに乗り込んだ。
今回スキー授業をやって、
あとやってないのは体育祭と文化祭の中身ぐらいでしょうか。
少しでいいからそれらも書きたいですね。
けど書けるかなー……。
次回の投稿は十八話を書き終えてから。
これからと日曜に書けないので少し遅くなるかもしれません。