UL   作:招代

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えーっと……何と言いますか、
はい。
十八話を全然書き進められてません。

理由としましては個人的興味を満たすために、
他の小説にはまっていました。

なので書き終えていないのですが、
そろそろ期間も空いてきたので投稿しないといけないと思い投稿します。
まぁこういう時のためのストックです。

では後編。



第十五話 『じゃんけん』 後編

平成24年1月27日13:13

「それで、内容だがこれだ」

 予定通り大童の部屋に集まった三人は、今回の内容の確認を始める。

 

 読み終えて。

「これって超常現象なの?」

 疑問を口にする藤重。

「『鏡』に映るものが別の行動をするなんて言うのは超常的だろ」

「それはそうだけどー……妖怪とかじゃなくて、ってことよ」

「どの『鏡』でも起こりえる現象だ。妖怪ではないな」

「そう」

 

「今回も『男性』だから僕だね」

 紙を返して言う。

「あぁ」

「でも凄い地味よね。ずっと『鏡』に向かって『じゃんけん』し続けるんでしょ?」

「そうだな」

「でも『鏡』の中の自分が何時、違うのを出すか分からないし。確かに一日じゃ終わらないかもしれないよね」

「その辺は運だ」

「運は無いんだよなー……」

 そう言って上を見上げる。

「その辺は根気よくやるしかないな」

「だねー」

 

「で、分かってると思うが、今回は『じゃんけん』に負ければいい」

「相手を勝たせればいいのよね」

 藤重が当たり前のことを言う。

「そうだね」

「それで具体的にどうするの? ……と言うより、どうにかできるものなの?」

「できる」

「できるの?」

「あぁ、方法は簡単だ。後出しすればいい」

 何て事でもない、と言う風に言う鏡に藤重は呆けたように聞き返す。

「……え、いいのそれ?」

「都市伝説に対して良いも悪いもないだろ」

「そういうことじゃなくて、確かに『じゃんけん』的に負けたことになるでしょうけど……相手がいつ違う行動をするか分からないんでしょ? そもそも後出ししようとしても相手がただの鏡に映った自分なら『じゃんけん』にすらならないじゃない」

「それよりも自分に出す気がないのに、『じゃんけん』として判断されるかが怪しいんじゃないかな」

 珍しく鋭いことを言ったかもしれない藤重に、大童も同意する。それに対して、鏡は呆れたように溜息をつく。

 

「……お前等、そんな見え見えの後出しをするわけないだろ」

「でも後出しってそういうものよね」

「そうだね」

「それも含めて今回のやり方を説明する」

 鏡はソファの背もたれから背を離す。

「まず、基本はグーを出し続けろ。そうすれば、鏡に映る自分もグーを出し続けるからな」

「グー、だね。了解」

 拳を握ってグーを作り、答える。

「そして後出しの時に注目するべきところは相手の指だ」

「指?」

「グーの状態から指が動けば、チョキかパーを出すということになる。だからこっちはそれを確認してからパーを出せばいい。相手がパーでも相子になるだけで問題無いしな」

「チョキとパーの見分けが付けれたら、グーを出してもオーケー?」

「つけばそれでもいいが、基本はグーに負けるチョキを出す可能性が高いだろう。内容的に出そうとしたものに負けるやつを出すはずだからな」

「了解」

「ちなみにこれは上手くやれば後出しだとばれないからな。日常生活でも使える。まぁ、それなりに動体視力がないとできないが」

「私には出来なさそうだけど、大童君ならできそうね」

「そうだねー……でも普段は使わないようにしようかな。何か申し訳ない気分になっちゃいそうだし」

「それが良いと思うわ」

 藤重は頷いた。

 

「それじゃ、とっとと始めるか。時間も場所も指定されてないからな」

「『鏡』はー……」

 んー、と考えて。

「アレでいいかな。寝室にある姿見」

「小さいのでも構わないが、まぁ大きい方が分かりやすいな」

「なら持ってくるね」

 立ち上がって、寝室に向かう。

 

 大童が姿見を持ってくるまでの少しの間。

「そういえば実現してあるの?」

「お前が来る前にしておいた」

「ならいいんだけど」

 

 そして大童が姿見を持って戻ってきてた。

「持ってきたよ」

「なら後は、根気よく勝手にやってくれ」

「了解。頑張るよ」

「勝手にって……まあ、私たちにできる事もないけど」

 やや不満そうだ。

「飽きてきたら途中で休憩も入れろよ。こんな単調作業続けてたら集中力が足りなくなって、うっかり見逃すなんてことも起こりえるしな」

「そんなことになったらやってらんないわね」

「仕事投げ出すなよ」

「しないわよ! ただその位やる気がなくなるってこと」

「そうだねー。それなら休憩を適度に挟みながらにするよ」

「それがいい」

「じゃ、とりあえず始めるね」

 大童は姿見の前に座る。

 

「最初はグー、じゃんけん、ポン」

 定番な言葉で、大童と鏡の中の大童の『じゃんけん』が始まる。もちろん、相手もこちらもグー。相子だ。

「相子でしょっ」

 グー。

「相子でしょっ。相子でしょっ」

 グー。グー。

「相子でしょっ。相子でしょっ。相子でしょっ。相子でしょっ……」

 グー。グー。グー。グー……。

 

 その様子を見ている二人。

「ねぇ、『相子でしょ』っていう必要あるの?」

「テンポだろ」

「でも口が渇きそうよね」

「休憩で飲み物飲めばいいだろ。何にせよ、やりやすいようにやるのが一番だ」

「それもそうね」

 

 30分ほど相子を続けた大童に変化が現れた。

「相子でしょっ。しょっ。しょっ。しょっ。しょっ。しょっ……」

 

 飲み物を飲みながらその様子を見ている藤重。

「……短縮されたわね」

 鏡はパソコンを操作しながら答える。

「こっちの方が回数は稼げるしな」

 

 さらに1時間が経過。

「しょっ。しょっ。しょ。しょ。しょ。しょ。しょ。しょ……」

 微妙な変化が訪れていた。

 

「……あれは『じゃんけん』なのかしら……?」

 藤重の視線の先にある光景は、大童が右手をグーにした状態で肘を曲げては伸ばすを繰り返している光景だった。結構な速さで。

「まぁ、一応『じゃんけん』なんじゃないか」

「……そう」

 

 特に変化は見られずに1時間。

「しょっ! ……ちょっと休憩しようかな。喉乾いてきた」

 動きを止めた大童は、テーブルの方を向く。

「はい、麦茶」

 藤重がコップに麦茶を淹れて、それを大童に渡す。

「ありがと」

 それを左手で受け取り、一口飲む。

「それにしても……あれだけやっても何もないわね」

「こればっかりは運だしな」

「こうなると、ホントに大童君は運がないのかしら?」

 首を傾げながら考えている。

「だねー」

「でもさすがにあのペースなら今日中には終わるでしょ」

 そう言って鏡を見る。

「……かもな」

 大童を見る。

「だといいんだけどねー」

「……」

 

「それにしても、ずっと手を振ってたから何か変な感じ」

 右手を握ったり開いたり、ブラブラ振ったりする。

「ずっとやってたら、っていうか2時間近くも良くできるわよね」

「鍛えてるからね」

 笑顔で答える。

「……まぁ、予想通りね」

「でもさすがに少し疲れたかも」

「無理は良くないわ」

「しっかり休ませておけよ。手が反応しなかったとか話にならないからな」

「了解。充分に休ませてから、また始めるよ」

「でも、左手は使わないの? ずっと右手だったけど」

「やっぱり利き手だし、左手だと少し反応が遅れるから。それにもしもチョキを出すとき、あの速さだと親指も開いちゃいそうで」

 そう言ってゆっくりとグーからチョキを出して見せる。

「……そうかしら?」

 それを聞いた藤重は左手でグーチョキを繰り返そうとするが、

 

「あ」

 一発で開いた。三人がその手を凝視している。

「……」

「……」

「いくらなんでも早すぎだろ」

 えー、と言う感じの目で見ている鏡。

「も、もう一回!」

 再びチョキを出そうとするが……

「……」

「……」

「……」

 今度は薬指も開きかけていた。落ち込む藤重。

「えっと……」

 大童が気遣うような声をかけようとするが、言葉が見つからない。

「き、利き手なら……!」

 余りの不甲斐なさに、本来の条件を無視する藤重。しかし現実は甘くない。

 

「……」

「……」

「……馬鹿だろ」

 無情にも一回目と同じようになった藤重の右手。それを見た鏡が馬鹿にするように、いや、馬鹿にする。

「というか」

 鏡はパソコンを閉じると、二人を見て言う。

 

「お前等は親指が外に出てるから駄目なんだよ」

 と、親指を外に出すバージョンのグーをして見せる。

「だから親指を中に入れれば問題ない」

 そうして親指をしまうバージョンのグーをして、そこから難なくチョキをして見せる。さらにそれを高速で繰り返す。

「なるほど」

「そう言うことだったのね……」

 納得しながら、言われたとおりの方法でグーチョキを繰り返す二人。

「まぁ」

 藤重を見る鏡。

「別に外に出した状態でもできるけどな」

 言いながら両手で親指が外バージョンのグーチョキを高速で繰り返す鏡。その声は馬鹿にしつつ呆れている。

「つまり?」

 大童が右手で問題なくグーチョキをして聞いた。

「つまり、利き手でもできないのはこいつが駄目なだけだ」

「う……」

 言われた藤重はもう一度試すが、

 

「……うぅ」

 親指は閉じずに、悲痛な呻き声をあげて机に突っ伏した。

「ええっと……」

「ほっとけ。そのうち元に戻るだろ」

「でも……」

 藤重を心配する大童。すると、突っ伏している藤重から声が聞こえた。

「だ、大丈夫よ……このくらい……どうってことない、わ……」

 むっくりと起き上がる。

「ならいいんだけどー……」

 全く大丈夫そうに見えない藤重の状態に、そう言いつつも心配そうな大童。

 

 まあ、軽傷だったためか数分後には元に戻った藤重を確認した大童は30分ほど休憩して、作業に戻る。

 それを見ながら藤重はグーチョキを繰り返していた。成功率は五分五分か。

 

 その2時間後。まだまだ繰り返している大童

「……えっと、一旦帰るわね」

 夕飯などの為にとりあえず帰ることにすると、大童は手を止めて藤重の方を見て左手を振る。

「あ、またねー」

「『一旦』じゃなくて、普通に帰っても良いぞ。今回は今日中には終わらないかもしれないしな」

「あーそうだね」

「んー……でもやっぱりまた来るわ。気になるし。だから無理しない程度に頑張っててね、大童君」

「了解、頑張るよー」

 振っていた左手の親指を立てる。藤重はそれを見て部屋を出て玄関を出てアパートに帰った。

 

「あー送っていった方が良かったかな。外暗いし」

 窓を見ると、言うとおりに外は暗かった。

「今更もういいだろ。どうせまた来るんだしな。それより、カーテン閉めるぞ」

「うん」

 鏡が立ち上がってカーテンを閉めながら、後ろを向いて言う。

「ってか、そろそろ休憩したらどうだ。テンポがズレてきてるぞ」

「ならそうしようかな」

 言われたとおりに手を止める。

「ついでに藤重がいない間に、少し早いが飯とか風呂を済ませばいい」

「そーだね。そうするよ」

 大童は立ち上がると、風呂掃除をするために風呂場に向かった。

 

 その後、夕飯を作って食べて、暫くゆっくりしてから『じゃんけん』をを始めて、藤重が来たのは午後9時20分ごろ。

「まだ終わってない?」

「終わってないな」

「そう、よかった……って、よくないわよね!」

 慌てて訂正をする。

「確かに良くはないが、どうしようもないしな」

「まあそうなんだけど」

 二人の視線の先で大童はいまだに『しょ。しょ』と呟きながら、『じゃんけん』を続けていた。

「あの呟きはもはや、呪術的な感じにすら聞こえてくるな」

「……否定できないわね」

「これを寝ている耳元で聞かせ続ければ誰かしらが呪えそうだな」

「……悪夢が見れそうね」

 そう言うほど、なかなか不気味な光景だった。これだけの間続ければ、そうなるのも頷けるのだが。

 

 休憩を挟んだりして4時間後。

「しょ。しょ。しょ。しょ。しょ。しょ。しょ。しょ。しょ。しょ……」

(しょ。しょ。しょ。しょ。しょ。しょ。しょ。しょ。しょ。しょ……)

 休憩を挟んでいるために疲れは問題なく、姿見の中の自分の手に集中し続ける大童。

「しょ。しょ。しょ。しょ。しょ。しょ。し――」

 その刹那、集中した大童の目が姿見の中の僅かな変化を見逃さなかった。

 

「――ょ」

 躊躇わずに指を全て開く。

「……」

 その目に映る姿見の自分の手は人差し指と中指が開いており……嬉しそうな顔をしていた。

「勝っ……た」

 そのままやり切ったという風に、後ろに倒れる大童。

 姿見の中の大童は雑音と共に消え、そこには倒れた大童が映っていた。

 

「お疲れ様、大童君」

 藤重が倒れている大童に麦茶を渡す。

「ありがと」

 上半身を起こしてそれを受け取る。

「それにしても……かなりかかったわね」

「うん。でも今日中にー……ああ、もう一日終わってたんだね」

 時計を見ると、1時半を差したところだった。

「仕事も終わったし、私は帰るわね」

 藤重はコップに入っていた麦茶を立ったまま飲み干す。

「あ、こんな時間になっちゃったし送ってくよ」

 その言葉に少し考えて。

「……そうね。お願いするわ」

「うん、了解」

 

 玄関。

「それじゃあ、また明日ね」

「明日な」

「じゃ、送ってくるね」

「行ってこい」

 二人は玄関を出た。

 

 

 

第十五話『じゃんけん』終了。

 




最近は満腹になるのが早くなって困ります。
夜に出される弁当とか量が多すぎますよ……。

次回の更新は書き終えていないので十八話を書き終えたらです。
今回はしっかり書かねば……きっと土日もあるし大丈夫なはず。

今書いているのが別段難しいわけではないんですよ。
鬼門はもう少し先かもしれないし……。
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