UL   作:招代

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鬼門は鬼門だった。

掛屋が出番終了なので情報を載せます。

「掛屋」は「掛矢」で大型の木槌を指しています。
「椿」は「海石榴(つばき)」で、
景行天皇軍が使ったのが海石榴の木で作った槌だそうです。
ランクはBでも現在は大童より実力は上。
血液型はOで、
誕生日は1月2日。
利き手は右です。

では遅くなりましたが後編を投稿します。


第十七話 『怪人アンサー』 後編

平成25年3月9日11:10

 試験中の会議室には25人くらいが席に座って鉛筆、またはシャーペンを用紙に走らせている。試験官も3人いて、座ったまま、時々歩いて受験者を監視している。

 

 そんななか藤重は、

(学校のテストよりは簡単だったわね)

 すでに問題を全て解き終えて、見直しを始めていた。

 

 そして時間になり、試験終了が試験官の一人から告げられて、藤重は解答用紙と問題用紙の両方を提出すると、会議室を出る。

 

 

平成25年3月9日12:02

「お疲れ様」

 会議室を出ると、大童がいた。

「待っててくれたの?」

「うん。昼食のこととかも説明しておかないといけないと思って」

「そう言えばそんな時間なのね」

 携帯に電源を入れて、時計を確認する。

「それで、昼食はどうすればいいの?」

「昼食は食堂にお弁当があるから、食堂に行こっか」

「わかったわ」

 二人は食堂を目指して歩く。

 と言っても、他の人たちも食堂に向かっているので案内が無くても問題はなさそうだった。

 

 

平成25年3月9日12:55

 食事を終えた二人は一旦、副支部長室に戻っていた。副支部長室に現在いるのは大童、鏡、藤重の三人で、掛屋は試験会場のほうに行っている。

「実技は何時から?」

「2時だよ」

「結構時間が開くのね」

「食後にすぐ運動って言うのは良くないからね」

「そうね。だから4限の体育(たいく)は止めて欲しいわ」

「でもうちの学園は4限に体育(たいく)はないよ?」

「私のいた中学校にはあったのよ」

「へー」

 などと、平凡な会話をすること40分。

 

「そろそろ行く?」

 時計を見ると良い時間だった。

「そう、ね。行きましょうか。場所は分からないけど」

「最初は運動場かな」

「そんな所まであるのね」

「うん」

「わかったわ。あ、弓は持っていくの?」

「必要だよ。各自武器持参だからね」

「わかったわ」

「それじゃあ行ってくるね」

「行ってくるわ」

「行ってこい」

 二人は副支部長室を出た。

 

 

平成25年3月9日13:37

 向かう途中。

「でも、全部の支部とかに運動場とかついてるの?」

「全部じゃないよ。むしろないところの方が多いかな」

「その場合の実技は?」

「近くの体育館を借りてやるみたい」

「そうなのね」

 

 

平成25年3月9日14:48

 歩き続けて数分、室内の運動場に着いた藤重は弓を分かる場所に置いて、軽くストレッチをする。

 

 そして始まった試験はスポーツテスト。競技は握力・上体起こし・反復横跳び・20mシャトルラン・50m走・立ち幅跳び・ハンドボール投げだ。

 それらを全てこなし、結果を要約すれば藤重の判定はA。もちろん問題なく、次(最後)の試験に移るため、試験官の指示に従い疲れながらも部屋を移動した。

 

 

平成25年3月9日16:13

 少しの休憩の後、別室で行われた試験は弓による射撃。止まった的や動く的、近遠中距離や上下等々、様々な条件の的を時間制限つきで射抜いていく。

 

 結果、藤重の成績は50射中46射が命中。その内20射が中心の丸を射抜き、外した4射中1射は掠った。

 

 

平成25年3月9日16:57

「ふぅ……」

 試験会場を出た藤重は疲れと緊張から解放された為か、目を閉じて息をはいた。

「お疲れ様」

「あ、大童君」

 目を開けると、大童がペットボトルを持ってそこにいた。

「はい、スポドリ」

「ありがと」

 差し出されたそれを受け取ると、キャップを回して一口飲む。

「それで、どんな感じだった?」

「そうね……悪くは無いと思うわ」

「そっか」

「ええ」

「お風呂もあるけど入ってく? 汗とかもかいただろうし、着替えも持ってきてあるよね」

「そうさせてもらうわ。さすがにこのままは帰れないわね」

「それじゃー……荷物は副支部長室? 何だった取ってくるけど」

「大童君が取ってきても、私がお風呂の場所が分かんないんだから意味ないでしょ」

「あ、そうだね。じゃあ一旦副支部長室に戻ってから、お風呂に案内すればいいかな」

「それでいいわ」

「了解」

 

 二人は副支部長に戻って荷物を持った後、風呂に案内された藤重は湯船につかり疲れを取って、髪や体も洗って汗も流して風呂から出ると髪を乾かし、持ってきた服に着替えて副支部長室に向かった。

 

 

平成25年3月9日17:45

「こっちに来たついでに仕事を終わらせていくぞ」

 風呂から戻ってきた藤重に行き成り告げられたのは、仕事だった。

「こっちじゃないとできないの?」

「あぁ、『10人』必要だ」

「『10人』っていうとー、アレかな」

 思い当たる節があるのか、大童がそう言う。

「アレって何?」

「これだな」

 そう言って紙を渡す。

 

「『携帯』って自分のを使うの?」

 読み終えた藤重の心配はそこだった。

「支給品だ。個人のものを壊すわけにもいかないだろ」

「やっぱり壊すのね、これ」

「正確には『携帯』じゃなくて『液晶画面』を壊せばいいんだけど、まあ『携帯』が壊れるよね」

「それで、その『10人』は?」

「ここにいる三人と椿、残りは椿に適当に選んできてもらってる」

「そう。で、壊すって言うのはどうやって?」

「壊すのは椿がやる。今回のはあいつの武器が適しているからな」

「そうなの?」

 大童の方を見る。

「だね」

 それに、大童は頷いて見せた。

「だからそろっと集まるはずだ」

「え、ここでやるの?」

 驚く藤重。

「別にどこでもいいならここでもいいだろ」

「いや……そうかもしれないけど」

「気にするな。それに来たぞ」

 鏡がそう言うと、扉が開き掛屋を含まない男女6人が入ってきた。6人は鏡を認識すると、頭を下げて挨拶をしていた。

 

 『10人』そろったところで、鏡が指示を出す。

「知っていると思うが、『怪人アンサー』をやるから適当に円を作れ。椿は『携帯』を」

「分かりました」

 9人が円形を作り、掛屋はそれぞれに『携帯』を渡すと、部屋の棚から大きな木製ハンマーを取り出して円形に加わる。

(あれが掛屋さんの武器なのかしら? ……にしても漫画とかに出てきそうなハンマーよね。木製だけど)

 その様子を見ていた藤重はそんなことを思ったが、鏡が話し始めたので視線を鏡に移す。

「隣の奴の電話番号は電話帳に入っているから、カウントゼロで通話な。『怪人アンサー』に『質問』されたやつは手を上げてから、『携帯』を真ん中に放り投げろ。後は椿が壊す。それと、されなかった奴は『質問』をしてもいいぞ。ただ、待ったりはしなから短めにすると良い。他に質問はあるか?」

 鏡からの確認に、周りからは「無い」といった意味の声が上がる。

「ならとっとと始める」

 その言葉に全員が『携帯』を操作し、電話帳に唯一入っている番号を開いて準備。鏡はそれを見てからカウントを開始する。

「3、2、1、0」

 「0」と共に、同時に押される通話。繋がらないはずのそれはどこかに繋がった。

 

 それぞれが『質問』をする中、一人の男性が手を上げた。

 掛屋はそれを見ると、すぐに放り投げられた『携帯』目がけて木製ハンマーを振り下ろす。

 

 それは一瞬の風切り音と共に部屋に轟音を響かせた。

 

 部屋の中にいた七人は思わず耳と目を塞ぐ。まあ、携帯を持っているので6人は片耳を完全には塞げなかったが。

(うっさ! ってか床大丈夫なの!?)

「……」

 藤重が目を開いて音の発生源を見ると……そこには『携帯』だった粉と、無傷の床があった。

「……何で無傷なのよ」

 そう呟く。

「終わったから解散。金は後日振り込んでおく」

 鏡がそう告げると周りから了解が聞こえ、6人は一礼をしてから部屋を出て行った。

 

「それにしても……粉々ね」

 6人が部屋を出た後、藤重は床にある粉をつまんでそう言った。

「なのに何で床は無傷なのよ……」

 今度は床を触るが、ツルツルで傷は見当たらない。そこに大童が近づいてくる。

「床を『気』で強化してたからだね」

「できるものなの?」

「基本は武器の強化と一緒だから。範囲の指定とかが若干難しいけど、僕も少しはできるよ」

 そう言われて藤重は少し考えてから、

「確かに、よく考えたらあまり変わらないわね」

 と、納得した。

 

 その後、粉を片付けてから新幹線の時間に余裕を持って間に合うように支部を出た三人は、18時56分の新幹線に乗って、20時13分に日高駅に着いた。

 

 

平成25年3月9日20:23

「それじゃあ、おやすみなさい」

「おやすみー」

「またな」

 日高駅に着いた三人は、試験の合格通知が届く日などを歩きながら話した後に、分かれ道で解散した。と言っても、大童と鏡の歩く方向はまだ一緒だった。

 

「今回藤重さんは昇格したよね」

 分かれてすぐに、喋りだした大童。

「まだ結果は出てないが、ほぼ確実だろうな」

「……だよね」

 

 暫くの無言が続き、また喋る。

「前回のことがあって、危険度が上がるのにそれでも昇格したわけでしょ? 何でかな」

「乗り越えたのか、ただ流されただけか、はたまた別の理由か。もしくは昇格に対してそこまで深くは考えていないのかもしれない。それはあいつにしか分からないだろ」

「そう、だね。でもさ……何となく、なんだけど。試験を見ててさ、『隠しておきたくない』って思ったんだよ。本当に何となくなんだけど……」

 そう語った大童を、鏡は珍しく真面目な目で見ていた。

 シリアスな空気が流れる。

「試験中の藤重さんの顔は凄く真剣にやっているように見えて……仕事や自分自身に対して真剣に向き合っているような気がして……やっぱり何となくなんだけど、『隠しておきたくない』って思ったんだ」

「そうか」

「うん」

「で、どうするんだ?」

「……うん。『隠したくない』とは思ったんだけどー……」

「けど?」

 

「何ていうかーそのー……タイミングが、ね」

 頭を掻きながら照れくさそうに言ったその一言で、先ほどより空気が軽くなる。

「……まぁ、何の脈絡もなく言うのもな」

「それで、お願いがあるんだけど」

 と、また真面目な空気に戻る。

「もし今度、藤重さんが僕のことを夕夜に聞いてきたらあの事を話してほしいんだ。今度は『隠したくない』から」

「分かった」

 

 ……。

「でもやっぱり自分で言うべきかな……人に頼らずに」

 口に手を当てて難しい顔をする。

「そういう時もあるだろ。だが『事実』を伝えるなら誰が言っても同じだ。捻じ曲げない限りはな。だからどっちが良いとは言えない、なら別にどっちでもいいだろ」

「そっか……うん。ならお願いするよ。もちろん、僕が聞かれたら僕が答えるから」

「あぁ」

 話はここで終わり、その後は分かれ道まで雑談が続いた。

 

 ちなみに、数日後に藤重の合格通知は届いた。今回は前回とは違い、喜んでいたそうだ。

 

 

 

第十七話『怪人アンサー』終了。

 




無理矢理感が強いかもしれませんが、
理由はあるんです。

次の投稿は二十話を書き終えたらですが、
鬼門なので時間かかります。

それでもなるだけ早く書き終えたいとは思っているんですが、
どうにこうにもうまくも行かなくて……。
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