UL   作:招代

39 / 69
二十話を書き終えてませんがストックを消費。
しかし二十話は三編構成になりそうなので±0だから大丈夫です。
ただし投稿間隔が長くなってるこの状況は大丈夫じゃない……。

だからではないですが、
久しぶりに三人の情報を載せます。

大童はB型。
藤重はA型。
鏡は基本A型。

ではでは十八話前編を投稿します。


第十八話 『青いクレヨン』 前編

ある夫婦がある中古の家を買った。

中古ではあったが駅までは近いし、

近所にはスーパーなども多く日当たりも良好。

それに値段が格安といっていいほどの絶好の物件だった。

 

ところがある日、

夫が廊下を歩いていると床に一本の青いクレヨンが落ちているのに気付いた。

彼ら夫婦に子供はいない。

だから家の中にクレヨンがあるはずはなかった。

「変だな」と思った夫だが、

前の住人の忘れものだろうと判断して深く考えずにそのクレヨンをゴミ箱に捨てた。

 

数日後、

同じ場所にまた青いクレヨンが落ちていた。

 

さすがに不思議に思ってそのことを妻に話すと、

妻の顔がさっと青ざめた。

話を聞くと妻も同じ青いクレヨンを拾っていたそうだ。

それも同じ場所で。

 

夫婦は「もしかして近所の子供でも入り込んできたのだろうか?」と思ったが、

だとすれば家の中のどこかに落書きがあってもいいはずだ。

クレヨンだけが落ちているというのは何とも不気味だ。

 

恐くなった二人はいつもクレヨンが落ちている場所の周囲を調べてみることにした。

そしておかしなことに気づく。

この家の間取りが変なのだ。

クレヨンを拾ったあたりの廊下は突き当たりになっているが、

家のつくりを考えるとそこにはもう一部屋分のスペースがあるはずなのだ。

 

壁を叩くと他の壁とは違い中に空洞がある音がする。

意を決した夫婦が壁紙をはがすと念入りに釘打ちされた扉が現れた。

おそるおそるその扉を開ける。

もしかしたらとんでもないものがあるのではないか……

 

しかし部屋の中には何もなかった。

ただ、

その部屋で夫婦が目にしたのは、

青いクレヨンで壁にびっしりと書かれた……

 

おとうさんおかあさんがごめんなさいここからだしてください

おとうさんおかあさんがごめんなさいここからだしてください

ここからだしてここからだしてここからだしてここからだして

ここからだしてここからだしてここからだしてここからだして

ここからだしてここからだしてここからだしてここからだして

ここからだしてここからだして……

 

 

 

平成25年4月8日7:30

 学校が始まり3年生になった今日、都学園高等部3-5の教室に3人はいた。

「……にしても、何も変わらないわね」

「変わっただろ。学年もクラスもクラスメイトも」

「今日から3年だからねー」

「確かにそうだけど、席が変わってないじゃない」

「もう定位置って感じだよね」

 その言葉の通りに、藤重の机の位置は2年の時から何も変わっていなかった。大童と鏡に至っては中学の時から。

「席以外は変わったんだから別にいいだろ」

「そうだけど……いや、最初の席替えの時点で変わらなかったんだから今更よね」

 藤重は片肘をついてため息をつく。

「むしろ今席が変わったら凄い違和感が出るかもしれないよ?」

「一年も同じ席だったんだから出てもおかしくはないわね」

「でしょ」

 

「というかもう3年なのよね」

 感慨深げに言う。

「そーだねー。あと11ヵ月もすれば卒業だからね」

「夏休みを考えれば学園に来るのは10ヵ月になるな」

「そこは別に1年で良いんじゃないかしら……?」

「さらに冬休みや3月2月を考えると9ヶ月間ってところか。1年と9ヶ月は大きな違いだと思うぞ」

「3ヶ月って言うと、4分の1だからね。季節一つ分無い感じだね」

「そう考えると短いわね」

「だが、まぁ人によっては夏や冬休みも学校に来ることになるから、そういう奴らはもう少し多いな」

「いや、補習で来てもそれはどうなのよ」

「補習でなくても進路関係もあるだろ」

「あんまりいないけど、就職の人は確かにそうかもね」

「別に就職だけではないが」

 

「でもそう考えると何か悪い気がするわね。就職先が決まってるっていうのは」

「こんなに早く決まるってことは滅多にないだろうからね」

「そうよね」

「何だったら試験を作るか?」

「それはー……そのー……」

(作ってほしくないけど、これを否定するとなんだか……どうしよ)

 口ごもる藤重。

「作るわけないだろ、こっちから勧誘しておいて。第一、就職が決まってるからって楽してるわけじゃないんだ。後ろめたく思う必要はない」

「そ、そうよね」

 その言葉に安堵する。

「だからと言って、勉強とかを疎かにすれば弾くけどな。これに関しては最初にも言ったが」

「分かってるわよ」

 その後は他の生徒が来たこともあり、仕事関係の話はやめて雑談に入った。

 

「そういえば二人とも図書委員よね。委員長とかになったりしてないの?」

「僕たちはなってないよ。むしろ藤重さんは?」

「私もなってないわね」

「上手ければ部長になれるわけでもないしな」

「部長になるのに技量とかは関係ないものね」

「でも下手すぎるのはどうなの?」

「世の中には部長になったマネージャーもいるしな。下手どころか、できなくても問題はないだろ」

「へー……そうなんだ」

 と、そんな感じの会話はHRまで続いた。

 

 

平成25年4月14日15:00

「で、今回はこれだな」

 大童の部屋。鏡が二人に紙を渡す。

 

「まさか……部屋を、壊すの?」

「アホか」

 藤重の発言を即、切り捨てる。

「流石にそれは不味いよ」

「しないわよ! 言ってみただけよ」

「それで今回の場所だがここから車で10分ってところだな」

「そこまで遠くないね」

「……」

 スルーされた藤重は咳払いを一つしてから。

「そういえばそんな家、実際にあるの?」

「ある。少し前にちょっとあってな。要するに曰くつき物件だ」

「幽霊とか……?」

「は、いないな。ただ少し事件があっただけだ」

「そう」

「そしてこの前、とある夫婦が買ったみたいだな」

「何かタイミングが良いわね」

「そういう時もあるだろ」

「でもだったら早めの方が良いよね。『部屋』に気づかれる前に」

「こういうのって気づかれたらどうなるの?」

「実現する前だから、条件が当てはまる別の場所に移動することになるね」

「へー」

 

「で、具体的にどうするか、だが。とりあえず現場に行ってみるか」

「今から?」

「時間的には問題ないだろ」

「そうね」

「なら車を取ってくるから、校門前な」

 そう言って鏡は立ち上がると、玄関に向かった。

「了解」

 

 鏡が部屋を出て。

「何時ごろ校門に行けばいいのかしら?」

「んー……もういいんじゃないかな」

「流石に速すぎない?」

「早い分にはいいと思うよ。それに気温も高すぎず低すぎず丁度いいし」

「それもそうね。なら行きましょうか」

「だね」

 二人は立ち上がると、部屋を出て行った。

 

 

平成25年4月14日15:25

「どうなってるのよ……」

 藤重たちが校門に行くと、既に車が止まっていた。

「気にしない方が良いんじゃないかな」

「分かってるわ」

 二人は車に乗り込む。

 

 それを確認して、車は目的地へと発進した。

 

 

平成25年4月14日15:35

 そうしてたどり着いたのは一件の家の前。その家は周りの家と比べると大きいようだ。

 二人は車から降りずにその家を見ている。実現は既に終えた。

「それで、家を見てどうするの?」

「どんな場所かっていうのを覚えとけ。後日、侵入するからな」

「あー……やっぱり侵入するのよね」

 どこか諦めたように藤重が言う。

「侵入しないでどうにかするのは無理だからね」

「そうよね。でもいつ侵入するの?」

「夜だな」

「共働きじゃないんだね」

「それもあるが、家の中から入れないというのも理由だ」

「そういえばそうだね」

「釘打ちされて壁紙で隠されてるのよね」

「そうだな」

 ……。

 

「……ん?」

 何やら考えるように口元に手を当てた藤重。それを不思議そうに見る大童。

「どうしたの?」

「あれ……中から入れないのよね」

「だね」

「何処から入るの?」

「窓だ」

「……ちょっと聞くけど、その部屋は何処にあるの?」

「このあたりだな」

 そう言って、鏡はその家の見取り図を取り出して後ろの藤重に渡す。

 その見取り図には赤丸のしてある部屋があった。

 

「この赤丸の所でいいのかしら?」

「あぁ」

「つまり……二階の角部屋ってことね」

 藤重は見取り図の赤丸の部屋がある方向を見る。家の裏なので直接は見れないが。

「そうだね。だから昼間はちょっと、ね」

 苦笑いしながら答える。

「あー……」

「だから侵入の時は黒系の服装でな。見つかったら不審者扱いだぞ」

「と言うか捕まるでしょ」

「絶対に逃げ切れるから問題ない」

「僕も大丈夫かな」

「二人は逃げられるでしょうけど! 私はできないわよ」

「その時は大童に何とかしてもらえ」

 鏡は大童を指さす。指差された大童は少し考えて。

 

「んー……そうだね。もしもの時は抱えて逃げるよ」

「抱え……」

 その言葉に『チェーンメール』の時のことがフラッシュバックする。そのおかげで、顔を赤くしながら手を振って拒否を示す。

「いいわよ! そこまでしなくても!」

「? 『そこまで』って言うか、そうしないと逃げきれる確率が低くなっちゃうんだけど」

 そんな様子の藤重を不思議そうな、本当に不思議そうな表情で見ている大童。そんな二人を見て鏡は笑っている。

「そう言う問題じゃなくて!! 何ていうかそのー……あー、えーっと……その」

 なにやら苦悩している感じだ。

 

 そして、

「あー……もう!」

「ええ!?」

 何か怒られた感じの大童は戸惑いを隠せない。

 そして、そんな感じが少し続いて。

 

「まぁ」

 ある程度落ち着いたところで鏡が切り出す。

「仮に捕まっても前に言った通り、警察とも繋がってるからな。問題ない」

「捕まる時点で嫌よ」

「なんだったら、せめて顔バレを防ぐために仮面でもつけるか?」

「つけないわよ」

「そうか。まぁ通報された時点でアウトだし」

「だねー。だから慎重に行かないと」

「寝室が反対方向なのは幸いだな」

「反対方向って2階?」

「2階だな」

「それならそこまで音を立てない限り大丈夫そうだね」

「ちなみにここな」

 鏡は藤重から見取り図を取ると、何処からともなく青ペンを取り出し、寝室の場所に丸を付けて再び返した。

「それと、そろそろ戻るぞ。あまり止まっていると怪しまれるしな」

 そうして車は寮へと戻っていく。

 

 

平成25年4月14日16:23

 大童の部屋。鏡が車を何処かに置いて戻ってきた。

「でもいつ侵入するの?」

「『隙間女』の時と同じだ」

「つまりー、盗聴?」

「あぁ、亭主に付けてある」

 鏡はバックからラジオのようなものを取り出す。そしてスイッチを入れると、僅かに音声が流れだした。

 

 ラジオのようなものから聞こえてくるのは誰かの笑い声や会話。

「何の音?」

「テレビの音だと思うよ。休日だし」

「なるほどね」

「とりあえずつけっぱなしにしとくか」

「相変わらずプライバシーもなにも、ないわね」

「幽霊とかがいる時点で、ほとんどの人間にはプライバシーなんてないもんだからな。むしろ映像じゃない分、良心的だと思わないか?」

 悪びれる様子もなく言う鏡に、呆れている藤重。

「……ええ、そうね」

「後は盗聴し続けるくらいしかやる事ないけど、これからどうする?」

「特にやる事も無いしな。とりあえず今は亭主が『クレヨン』を見つけるの待ちだ」

「待つしかないのねー」

 テーブルに肘をつく。

「と言っても、ただ待つだけじゃない。今は関係ないが、ある程度の睡眠時間は知っておいた方が安全だ」

「寝たと思っても、途中で何回か起きたりする場合もあるからね」

「確かに……でも反対側なら相当音を立てない限り大丈夫なんでしょ?」

「まぁ、念には念を、だ」

「もしもの可能性は低いに限るよ」

「特に一般人が関わってるのはな」

「それもそうね」

 そうして、今は本当にやることは無いので三人は盗聴しながらいつも通りの時間を過ごした。

 




今見て気づいたんですが、
二十話が三編構成になると、
一・十・二十が三編ってことになるんですよね。
意図してなかったので少し吃驚です。

次回の投稿は早めにしたいんですがどうにもこうにも内容が……
それでも四日以内に投稿したいんですけどね。
じゃないとこれから書く話も遅くなってしまいそうで……。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。