二十二話書き終えられてない……でも投稿しないと一週間たってしまう。
この分は土日で何とか挽回したいです。
そして中編。
いわゆる説明回と言っても過言ではないと思います。
あと長文があるので読み辛いかもしれませんが、
ご了承ください。
では中編へ。
平成25年6月19日20:45
変わって大童の部屋。部活を終えた藤重が大童の部屋を訪ねると、鍵は開いていた。
(……まあ、合鍵のようなものを持っててもおかしくはないわよね)
中に入ると電気がついており、ソファに鏡が座って本を読んでいる。
「来たわよ」
「何だ、来たのか」
「だって何かモヤモヤするし……休みの理由は仕事なんでしょ?」
「そうだな」
「気になるじゃない」
「お前とは無関係でもか?」
「無関係ではないでしょ? この地区に来た仕事なんでしょうし、その……仕事なか――」
言いかけた言葉を飲み込んで、首を振る。
「――ううん……友達、だから」
「いゃ、無関係だ」
藤重には見向きもせずに言い放つ。
「そんなこと……」
「友人だからって関係があるわけではないだろ。これは康の問題だ。それに、そもそもこの地区に来た仕事ではない」
「違うの?」
「あぁ。説明されたと思うが、他の地区に呼び出されることもある」
「聞いたわ。でも何処に仕事に行ったの?」
「静岡だ」
「ずいぶん遠いわね。大童君じゃなくてもよかったんじゃないの? だったらどうして」
「さっきも言ったが、これは……」
と、ようやく本から目を離して、
「『康の問題』だ」
鋭く、射抜くような視線で藤重の目を睨む。
「ッ……!!」
今までに感じたことのない視線に威圧され、鏡の目を見れなくなる藤重。
「それでも知りたいのか? あいつの事を」
「それは……」
(私は……それを知ってどうするつもりなんだろ? 鏡君の様子からして軽いものではないんだと思う。それを知ることは……正しいの? もしかしたら知ることで……なんてことも……)
「本当に知りたいなら教えてやる。だが、知らなくてもいいならこのまま帰れ」
(私は本当に知りたいの……? 鏡君の言う通り、私は「無関係」で……)
その時、藤重の脳裏に大童の顔が浮かんだ。それは困ったような笑みを浮かべていて……。
「それ……でも」
(もし、あの時の顔と今回の問題が繋がっているなら)
「知り、たい」
(どうしてって言われてもわからないけど、そう、思う。自分でもわからないけど……知らないままじゃ駄目だって……)
「だから教えて、大童君の事を。どうして『大童君の問題』なのかを」
未だに貫かれるような視線を感じながらも、意志の宿った視線で鏡を見返す。
「……」
「……」
暫くそんな状態が続いて、
「ま、良いだろ」
「……へ?」
本を閉じ、先ほどとは打って変わって、とても軽く了承する。そして先ほどまでの空気も嘘のように消えて、一気に軽くなった。
そのギャップに藤重は気の抜けた声が漏れてしまう。
「お前に聞かれたら教えてやる約束だしな。ってか、お前が知りたいと言った以上、お前の意思とは関係なく言うつもりだったし」
「……えっと、それじゃあさっきのは?」
「なんとなくシリアスな気分だった」
「あのねえ……!」
胸の位置に握り拳を作って怒りに震える藤重。
「まぁ、座れ。話はそれからだ」
それを意に介さず、鏡は着座を促す。
僅かな空白の後。
「……はぁ。そうね、分かったわ」
手を下ろして溜息をつく。そして言われたとおりに定位置に座った。
(怒るに怒れないわよね……理由がアレだけど。間違ってはなかったと思うし)
「で、康の事だが……」
座ったのを確認した鏡が話し始めたので、藤重は真剣に話を聞こうとした。が、
「……そう真面目に聞かずに楽にしてろ。どう聞いたって内容は変わらないしな。それに疲れるだろ」
「いや、でも」
ためらう藤重を見て、鏡はソファによっかかる。
「まぁいいか。で、これが康が今やっている仕事だな」
紙を取り出して渡す。藤重は静かにそれを読み始めた。
「聞いたことない都市伝説だけど……どうしてこれが大童君に関係あるの?」
読み終えて、紙をテーブルに置く。
「これを作ったのが康だ」
「……え? それってどういう……」
「どういうも何も、そのままの意味だ。この話は康が作って広めた。当時と内容は変わったけどな。ちなみに『Y君』の『Y』は、『やすし』の『Y』だ」
「どうしてそんなことを?」
「その理由を話すには、康の過去から話す必要がある」
「過去……」
「とりあえず黙って聞いておけ」
鏡はよっかかるのをやめる。そして、語り始めた。
「康が生まれたのは静岡県
淡々と語り終えて、鏡は後ろに体重をかける。
「……」
「まぁ引き取ってからも大変で、呆然自失だし食事もとらないし、ある程度回復した後も全ての大人が屑ではないことを教えたり、社交性があまりにもないからその辺りも普通くらいにもっていかないとだったし、小学校に行っていないから勉強も教えて、ULに入社するって言うから訓練したりな。それで入社する際に『Y君』が来たら全部康に回すようにしてもらった。幸いにもかなりマイナーで今回が初だ。で、この学園の中等部に入学して今は大分まともになったな」
「……大分?」
その言葉に引っ掛かりを覚える。
「あいつは今も、弟や子供を殺したことを後悔している。大人に対してはー……少し。だけど……両親を殺したことは間違っていたとは思っていない。まぁ、それが目的だったわけだしな。それと、その事件があって、あいつは殺すことに慣れた。殺す時は全く躊躇わずに殺せる。相手にどんな事情があろうとも、人間だろうが妖怪だろうが幽霊だろうが、どうでもいい。殺すなら殺す。そういう人間だ」
「そんなこと――!」
机をたたいて反発しようした藤重の言葉を、鏡が遮る。
「無いと思うか? ならどうしてあいつは天界と魔界の存在を知らなかったんだろうな」
「どういうことよ」
不機嫌ながらも藤重は机から手を離して座りなおす。
「お前がそのことを聞いたのは魂を消すことに躊躇いがあったからだろ?」
「そうね」
「今までにそういう仕事がなかったと思うか? そんなわけがない。けどあいつは魂を消す時にそのことを聞かなかった。つまり、魂を消すことに疑問を感じなかったし、どうでもよかったということだ。まぁそれだけでそう言い切れはしないかもしれないが事実、あいつは最初から仕事に対して躊躇いはなかった」
「……そんな」
ショックを受けたのか、下を向いてしまう。
「だからって別にそれが悪いと言っているわけではない。お前も見てわかる通り、日常生活に問題はないし、一緒にいて楽しいだろ?」
「それは、そうね」
「それにむやみやたらに殺すわけではない。命の重さを分かっていないわけでもない。あくまでも必要な時に躊躇わないだけ。だったら、さして問題はない。むしろそういった面だけを強調して見るほうが問題がある気がするな」
「そう、ね。でもまだ気になることが何点かあるんだけど」
鏡を見る。
「答えるぞ」
「大童君のあの異常な夜目とかもなんか関係あるの?」
「あーあれな。あれ以外も関係あるぞ」
そのままの楽な姿勢のまま答える鏡。
「夜目以外も?」
「話すとまた長くなるが、そもそも食事もまともに取れていないような奴が、人を確実に殺し続けられると思うか?」
「ちょっとそのあたりは良く分からないけど……どの程度かもわからないし」
「言ってしまえば無理だ。対象が動く上に小学3年生だぞ? 普通ならできない」
「そう言われるとー……そうなのかしら?」
首を傾げているところを見ると、いまいち分かっていない。
「で、ここで重要なのが言霊による後押し、だ」
「たしか『その人の願いを後押し』するのよね? だから大童君の殺人欲……が大きくなったんでしょ」
「あぁ。だが後押しされたのはそれだけじゃない。その時の康の願いは『殺す』こと。だから言霊は康がより、人を『確実』に殺しやすくなるように後押し、つまり『力』を与えた」
「それってつまり……」
「確実に殺せるように身体能力を強化したり、より確実に殺せるように使っていた包丁、つまり片手刃物に対する適性を上げたりな。このおかげで康は人を確実に殺し続けた。まぁ、身体能力に関しては言霊の力が消えたときに元に戻ったけどな。肉体への影響だし。ただ、片手刃物に対する適性は今も残ってる。適性は才能だから精神的なもの、つまり魂への影響。そういったのは残るってわけだ」
「えーっと……つまり夜目も魂関係?」
口元に手を当てて難しそうな顔をしている藤重。
「言霊の直接的影響ではないが、魂関係だな」
「なら間接的影響なのね」
「霊的な話になるが、魂には正と負がある。+と-、明と暗、光と闇や陽と陰でもいいな。これはなんとなく分かるな?」
「まあ、なんとなくなら」
「で、妖怪って夜、日没後が得意なイメージだろ」
「? そうね」
霊的な話から妖怪の話に行ったことに疑問を持ちながらも、とりあえず聞き続ける。
「だが実際には妖怪にも昼や朝などの日中が得意なのがいる。日没後の方が断然多いけどな」
「そうなの?」
「あぁ。それで日没後と日中が得意なのの違いだが、これは妖魂の性質の違いによるもので、この性質は魂が妖魂になった時の正負で決まる。ちなみに性質は引き継がれるから、親が負なら自分も負になるな」
「両親が正と負だったら?」
「五分五分でどっちかになる。妖魂に中間は存在しない。そしてこの性質が負だと、夜が得意になって……夜でもはっきりと周りが見える」
「!」
その言葉に衝撃を受けた藤重は真剣な顔で。
「つ、つまり……大童君は妖怪?」
「……」
間が開いて、呆れ顔の鏡が言う。
「人の話を聞いてなかったのか? 『霊感があったら確実に妖怪になっていただろう』って言っただろうが。それに『音楽教師の霊』も見えてなかっただろ」
「そ、そうよね! 私ったら何言ってんだろ……あはははは」
「何って馬鹿言ってんだろ」
顔を赤くして誤魔化すように笑う藤重を、鏡は引き続き呆れ顔で馬鹿にした。
「話を戻すが、このことは魂にも当てはまる。と言ってもかなり珍しいことで、妖怪になるくらいの負の感情を軽く超えた康だからこそって感じだな。だからあいつの魂は真っ黒に染まりきってるぞ。確実に地獄逝きだ」
「え……もう決定?」
藤重の頭の中で地獄のイメージが繰り広げられる。鏡はそれを見て。
「何を想像してるか知らんが地獄、魔界だからどうとかないぞ。魔界も天界も魂の扱いは同じ。ただ単に正と負で、天界と魔界って分けているだけだ」
「そう、良かったわ」
安心して、ホッと胸をなでおろす。
「それに負だから悪いとか、正だから良いとかはない。例えば『怒り』だが、誰かの為の怒りと、逆切れ的な怒りは違う。しかし、どっちも怒りは怒りだ」
「そうね。確かに」
納得して頷く。
「他に聞くことは」
「んー」
その問いかけに藤重は唸ってから、言いづらそうに言う。
「……そんなに被害が出るまでULって何してたの?」
「何でも相手が子供だと油断していた上に、康の殺人欲を舐めきっていたらしい。そのせいで対応が遅れたうえに二人、死者も出したみたいだ。対象の調査を怠った結果だな。特にこういうのは念を入れてやらないといけないというのに……まったく」
言い終わって溜息をつく鏡。
「もしかしたら……もっと被害は減っていたのかもしれないのね……」
(そしたら大童君も殺さずに……)
呟いて、こちらも溜息をついた。
「『もしかしたら』何て言いだしてたらきりがないぞ。無駄だしな。起こってしまった事が全てだ」
「それはそうだけどー……やり切れないって言うかなんて言うか」
理解できても納得はできない。そんな感じの藤重は下を向きながらブツブツと何かを言っている。
「とりあえず他に質問があるなら聞く。無いなら帰れ」
「いや、あるわよ」
顔を起こす。
「そうか」
「えっと、大童君の扱いってどうなってるの? 前回の『ベットの下の男』は捕まったみたいだけど」
「確かに似ている点はあるな。ただ、小3の上に両親や周りなどからの暴力等々。話を聞こうにも呆然自失状態で喋らないし、放っておくと死ぬような状態だった。ってか死んでるような状態だったな、既に。それらを考慮した話し合いの結果、事件の犯人は自殺したと言うことにした。ULの社員しか目撃者もいなかったしな」
「でも」
と、言いかけた言葉を飲み込む。しかし鏡はそれだけで分かったのか、話を続ける。
「確かにどちらに対しても最善とは言えないかもしれないが、無難だな。まぁ、罪に問われなかったからと言って罪が無いわけではない。そして罪は一生消えない。それはあいつが一番分かっている。その辺なら大丈夫だ」
「……そう」
そこまで話したところで、鏡は背もたれから背を離して前傾姿勢になる。
「さて……そろそろ話すのが面倒になってきたんだが。まだ何かあるのか?」
「最後に一つだけいい?」
「最後ならいい」
問いかけられて面倒そうな鏡に藤重は、
「じゃあ最後だから教えて欲しいんだけれど、大童君の――」
最後の質問をした。
自分がネガティブだからでしょうか?
こういった内容を書いていると、
自分の他の話より薄っぺらく思えてしまいます。
あ、
いつもの内容が濃いだの厚いだの言っているわけではありません。
むしろ差異なんてそこまでないのかもしれない。
ただどうしても書き手として書いているとそう思ってしまうだけです。
読み手として読む分には何も問題はないんですけどね。
あと個人的には康に弟がいることをもっとどこかで匂わせておきたかった……過ぎたことですけど。
次回は二十三話を途中まで書いてからのせます。
しかし前書きにもある通り二十二話を書き終えてないので、
もし一週間以内に途中まで書けなかったらストック分を使わせていただきます。
でもなるべくそうならないようにしなければ……。