UL   作:招代

46 / 69
すみませんがストック分を消費します。

正直モチベーションが凄く低下していて、
その影響がもろに出ています。

ですが、
徐々にですが回復傾向にあります。
実際に今は少し調子がいいです。
ですので次回からは大体のサイクルを元に戻せると思います。

それでは都市伝説は関係なく、
体育祭編になりますがどうぞ。


第二十一話 『長い夏休み』 前編

ある小学校での話。

 

終業式。

夏休み前最後の登校日ということで、

明日からの長い夏休みに各々期待に胸を膨らませて自宅へと帰っていった。

しかし、

学校の地下で、

絶望的な長い夏休みを開始した女子児童がいることに誰も気づいてはいなかった。

 

彼女はたまたま用事を頼まれて地下倉庫の奥に入って作業しているときに、

中に誰もいないと思った先生によって地下倉庫の鍵を閉められてしまう。

そして彼女に用事を頼んだ先生もそのことを忘れて帰ってしまった。

こうして一人、

暗くひんやりとした地下倉庫に閉じ込められてしまった。

その夜彼女の両親が捜索願を出したが、

学校は盲点となっていたのか誰も探すことは無かった。

 

そして新学期、

地下倉庫を使おうとした先生が扉を開けてすぐに悲鳴をあげた。

そこには餓死した彼女の死体があった。

倉庫から出ようとした努力した結果だろうか、

扉や周りの壁には彼女の爪のあとが無数に残っていたという。

 

それからというもの、

夜になると誰もいないはずの地下倉庫から、

壁を引っかいたり叩いたりする音が聞こえてくるようになったという。

 

 

 

平成25年7月1日8:28

「おはよ」

「おはよー」

「はよ」

 朝練を終えた藤重が席に着く。

 

「今週は体育祭なのよねー……はぁ」

 座って早々頬杖をついて溜息をつく。

 都学園の体育祭は毎年7月の第一金・土曜日に小中高合同で行われる。雨の場合は次週に延期、その日も雨なら室内で行なえるもののみが行われる。

「今週は晴れだから予定通りだと思うけど、乗り気じゃなさそうだね」

「んー……嫌なわけじゃないし、もちろん優勝したら嬉しいんでしょうけど、待ち遠しくはならないわね。この暑い中外に出てないといけないわけだし」

「確かに最近は暑いね」

 大童が外を見ると、良く晴れている。窓から入ってくる日差しは暑い。

「自分の出る競技が終われば観戦くらいしかやる事も無いしな。そこが楽でいいんだが」

「楽かもしれないけど暇ね」

「友達の応援とかは?」

「もちろんするわよ。でもずっとってわけでも無いし。それにやっぱり炎天下の下にずっとって言うのはね……」

 今度は机に突っ伏し始める。

「だったらプールにいれば? あそこは室内だし」

 この体育祭では例外もあるが第一グラウンドと第二グラウンド、そして室内プールで競技が行われる。その為、基本的に応援場所は3つの競技場内なら自由だが、移動時間を考えて行動しないと競技に間に合わなくなる。もし、競技に出れなかったりサボったのが見つかった場合はなんと……自由が無くなってしまうのだ。

「でもプールでずっと競技がやってるわけじゃないし」

「そのくらいは仕方がないんじゃないかな」

「分かってるわ。まあ、何だかんだ言って当日は楽しめると思うから問題ないない、と、思う」

「そっか」

 そう言いながら藤重は起き上った。

 

「そういえば二人は何種目出るの?」

 出場種目数に制限はないが、種目によって人数制限はある。しかし、複数出る場合はある程度余裕を持って決めないと、同時進行は当たり前なので競技の遅れや着替えなどの時間により他のものに出れないということが起き、非常に迷惑なのでそこは良く考えなくてはいけない。

「9種目だよ」

「50m走だけだ」

「一個だけって……まあそんな気はしてたけど。それで、大童君はどれにでるの?」

 鏡の答えに非難の目を向けたが、予想の範囲内だったためか視線を大童に移した。藤重に尋ねられた大童は指を折り数えながらながら答える。

「んーっと、15㎞マラソンと100m走、合同リレー、障害物競走に借り物競争、騎馬戦、ビーチフラッグ。後は200m自由形、4×100mメドレーリレーだね」

「そう。なら行ける時は応援に行くわ」

「うん、ありがとー。藤重さんは何に出るの?」

「私は4種目ね。玉入れと綱引き、50m走に50m自由形よ」

「そっか。玉入れは時間が被っちゃうけど、他のは大丈夫だから応援しにいくよ」

「そう、ありがと」

 そっけなく言っているが嬉しそうだ。

 

 それからHRになった。

 

 

平成25年7月5日8:56

 時は一気に進み体育祭当日の開会式。第一グラウンドには全校生徒……は、ちょっと多いので小学生以外が三団に分かれて整列している。小学生は第二グラウンドで別に開会式を行う。第一グラウンドと第二グラウンド、室内プールにはそれぞれ各団が描いた大きなパネルがあり、校舎にもそれぞれの団の垂れ幕が垂らされている。

 ちなみに、それぞれの団の編成は小学生は1組が青で2組が緑、3組が赤。中学生は1・5組が青で2・3組が緑、4・6組が赤。高校生は1・2・9組が青で3・6・8組が緑、4・5・7組が赤。決め方はそれぞれの最高学年の代表がじゃんけんで順番を決めた後にくじを引いた。大童達は5組なので(せき)団になる。

 

 開会式中、頭に自団の色の鉢巻を巻いた生徒の態度はいろいろだ。具体的に言うと、大童はしっかりと休めの姿勢のまま話し手を見て真面目に聞いている。藤重は大童ほどでしっかりはしていないが、休めの姿勢のまま主に話し手を見ながら聞いている。鏡は適当な休めの姿勢で話し手を見ず、とても聞いているようには見えないが内容だけは聞いている。

 他の生徒も上げればもっと様々だがそこは省略させてもらおう。

 

 

平成25年7月5日9:25

 第一グラウンド赤団パネルの下。

「それじゃ、僕は15㎞マラソンだからもう行くね」

「私も玉入れがあるから行くわ」

「あぁ、行ってこい」

 およそ9:30から第一グラウンドで小中高合同の玉入れ、第二グラウンドでも小中高の玉ころがし、学園内で高校生は15㎞で中学生が10㎞、小学生が5㎞のマラソンが始まる。

「うん、行ってくるよ。藤重さんは玉入れ頑張ってね」

「ええ、大童君も15㎞頑張って」

「頑張ってくるよ」

 互いに軽く手を上げてその場は解散した。

 

 

平成25年7月5日9:34

(あっちは始ったみたいね)

 マラソンが始まり、ここは第一グラウンド。中央付近に玉入れ用の籠が距離を開けて三色×低中高の計9つ設置されている。もちろん一番低いのが小学生用で、一番高いのが高校生用だ。

 藤重の周りには赤い玉が散らばっている。玉も団ごとに分かれているのだ。他のとこにも同様に玉がばら撒かれ始めている。

 

 そして、玉入れがスタートした。

 

 競技中。

(何か一年の時よりだいぶ楽ね)

 最初の数回は外したが、一度入れてから今まで100%で籠に玉を投げいれている藤重。

(距離感がすごく掴みやすいし、力の加減もなんとなくわかる感じ……っていうか、この程度の距離の動かない目標ってこんなに余裕なのね)

 その後も競技終了まで投げ入れつづけた。

 

 結果は2位で一位は緑団。しかし、高校生の中では赤団が一位、さらに数えられてはいないが、個人では藤重が一位だった。

 

 

平成25年7月5日10:17

「そろっと来るだろう」

「そうなの?」

「重りも付けてるしこんなもんだろ」

「ああ……やっぱり付けてるのね」

「当然だ」

 そんな会話をしている藤重たちがいるのは高等部校舎前15kmマラソンゴール付近。ゴールゲートにはゴールテープが張られており、それなりの数の人が生徒の到着を待っている。

 

 数十秒後、遠くに先頭走者が見えた。後続は見えない。

「来たわね」

「そうだな」

 鏡はバックに手を入れると、タオルと飲料水を取り出した。それを藤重に渡す。

「ってわけで、ゴールしたらコレを渡すといい。どっちも康のだ」

「自分で渡せばいいじゃない」

 そう言って返そうとするが、鏡はこれを拒否。

「絵的にお前が渡した方が面白い(いい)だろ。男が男に渡すより」

「絵的って……そんな理由なら自分で渡しなさいよ」

 再び押し付けるように返そうとするが、

「恥ずかしいのか」

 

「へ?」

 その言葉に固まってしまう。

「それならそうと早く言えばいいものを、まったく」

 やれやれという風に言って、小さく溜息をつく。

「あっ……え、ち、違っ! そういうわけじゃ――」

「そうか、じゃぁ任せた」

 鏡は、鏡の発言に焦っている藤重の肩に手を置いてそう言うと、歩いて藤重の視界から消えた。

「ちょっと待っ――」

 慌てて鏡を応用に振り替える。が、

 

「――て、よ?」

 そこには誰もいなかった。

「……」

 取り残された藤重は手元のタオルと飲料水を見る。

(ど、どどどどーしよ! ……って、普通に渡せばいいのよね、普通に! そう、普通に!)

「というかもう来るし!」

 ゴールの方を振り向くと既に目前だった。

(普通に普通に普通に普通普通普通……)

 落ち付けるように手を心臓の位置に置いて、ゆっくりとした呼吸を心掛ける。

 

 そんなことをしている間にも、1着で大童がゴール! した。周りで歓声が沸きあがる。

(わ、渡さないとと)

 傍から見ても分かるほどギコチナク早歩きで大童に近づいていく。

 

「お、お疲れ様……これ、タオルと飲み物」

 なるだけ平静を装いながら、2つのものを渡す。

「うん、ありがとー」

 大童はそれを自然に受け取ると、周りを見回す。

「あれ、夕夜は?」

「へ? あー……さっきまでいたけど、どっか行ったわ」

「そっか」

 大童の問いに対して、藤重はぶっきらぼうに答える。少し根に持っているようだ。

「まぁ、いるんだけどな」

「っ!」

「あ、いたんだ」

 声のした方向を見ると、二人の側方からバックに突っ込んだ手を出して鏡が近づいてくる。

 

「お疲れ、次は合同リレーか」

「でもまだまだ先だよ」

「……ならそれまで他の競技でも見てましょうか」

「そうだね」

「今やってるのは……」

 三人は場所を移動した。

 

 

平成25年7月5日14:30

 昼食を挟んで、色々と競技が終わり合同リレーの時間、ここは第一グラウンド。第一走者がスタート位置に付き始める。

「大童君はいつ走るの?」

「康はアンカーだな」

 二人がいるのはグラウンドの円周。木で日陰になっているところだ。

 ちなみに合同リレーとは、いわゆる団対抗リレーである。小学生各学年3人ずつがグラウンド四分の一周でアンカーが半周。中学生各学年5人ずつ半周、中学生最後の人は一周。高校生は各学年6人ずつ半周、アンカーは一周半を走る。

「ならまだ先ね。時間は大丈夫かしら……」

 そう言うと、自分の次の競技時間を調べるために日程表を見始める。

 

 見終えて。

「大丈夫そうね」

「そろっと始まるぞ」

 鏡に促されて、反対方向にいる第一走者達の方を見ると体育委員がスターターピストルを上に向けて、乾いた音と共にリレーがスタートした。

 

 結果をまとめると、小学生終了時点で赤1、僅差で緑2、四分の一周離されて青3。中学生終了時点で緑1、半周離れて青2、僅差で赤3。高校生は緑がアンカーにバトンを渡して、一周遅れて青、青から少し遅れて赤だ。そして最終的には大童が青のアンカーを抜いて2位となって競技は終了した。

 

 

平成25年7月5日16:57

 綱引きと50・100走が終わり、第二グラウンドでは借り物競争、第一グラウンドは棒倒し、プールは水鉄砲による射撃が行われている。

 終わった競技の大童達の結果は、綱引きが緑1・赤2・青3。50mは藤重が1位で鏡は2位。大童は100mの方も1位だった。

 

 そして現在、前の人たちが終わって大童達6人の順番が来ると、スタートの合図とともに20m先にある机の上の6つのくじ引き箱からそれぞれ持ってくる物の書かれた紙を三枚引く。

 なお、引き直しは出来ず、書かれているものは同時に持って来ても別々に持って来てもかまわない。正直、運頼りなゲームだ。

(絆創膏と玉入れの玉と幼女か)

 目的のものを探すべくあたりを、ざっと見回す。

(絆創膏はテント、玉入れの玉は第一グラウンドの方かな。幼女は観客の中を探すしかないか……)

「……」

 

(……幼女?)

 もう一度紙を見る。

(……誰が書いたのかは考えても意味ないし、小学校入学前くらいの子でいいのかな? とにかく他のを集めてからにしよう)

 大童は一番近い本部テント向けて走り出した。

 

 玉と絆創膏を集め終えた大童は観客席で、

「この中に幼――」

 女、と言いかけて、

「――稚園か保育園くらいの女の子はいませんかー!」

 そう呼びかけた。

 

 が、そこに幼女はおらず、2ヶ所目で見つけてゴールしたものの結果は3位。その後、第一グラウンドで行われた騎馬戦を大童が終えて、一日目の競技は全終了した。

 なお、騎馬戦で大童は無双した模様。

 




何か体育祭は書いていて楽しかったので、
ついつい文字数を重ねてしまいました。
まぁそのおかげで文字数を稼げたのですが。

最初は大童の参加競技にショットガンタッチとか入れたかったんですけど、
さすがにグラウンドでどうやるんだろうと思いやめました。

次回の投稿は二十三話を今度こそ書き終えてから。
ちなみに次回は二日目と都市伝説少しやります。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。