UL   作:招代

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夢の中で料理の下手なキャラに料理を出されました。
蛍光ピンク色のスープを。

料理下手のキャラに料理を出された主人公たちの気持ちが、
少し分かったような気がした。

……あぁ、
あれは酷かった……。

前編です。


第二十四話 『星を見る少女』 前編

ある大学に通う男子学生が深夜アルバイトから帰るため、

いつもとは違う道を帰っていた。

その帰り道で、

あるアパートの窓に星空を見ている少女がいるのが見えた。

 

それからも少女は、

彼が深夜アルバイトでその道を通る時にアパートを見ると、

飽きることもなく夜空に輝く星々を眺めていた。

 

そんな日が続き、

最初はそれほど気に留めていなかった彼も、

次第に彼女に惹かれていった。

しかしその中でふと不思議なことに気づく。

少女は空が曇り空で星が見えない時も空を見ていたのだ。

 

そしてさらにそんな日が何日も続いた。

さすがに不審に思った彼は、

少女が空を眺めているのを確認してから、

意を決して少女の部屋のインターフォンを鳴らす。

しかし返事はない。

もう一度外から窓を確認するが、

少女はいる。

そのことに怖くなった彼が恐る恐るドアノブを回すと、

抵抗なくドアが開いた。

 

そこで彼は全てを悟ってしまう。

自分が心を惹かれていたのは、

窓際で首を吊っている少女だったのだ。

 

 

 

平成25年10月1日8:36

「10月って言うと文化祭もいよいよって感じね」

「今月だからねー、準備も忙しくなってきたし」

 そう言って周りを見回す大童。

 3-5の文化祭準備作業は自教室と空き教室×2の合計3教室で行われている。その為、教室内にはさすがに大きいものは無いが、こまごましたものや材料が棚などに置いてある。

「お化け屋敷だからな。前年とかに比べて忙しいのは仕方がない」

「そうね。でもこの位忙しい方が『文化祭が始まる』っていう実感がわくわね」

「それに最後だしね。このくらいの方が思い出にも残るかも」

「……それもそうね」

「まぁ、『最後』で『思い出に残る』所悪いが、明日から休むし」

 特に表情も変えずに、パソコンを操作しながら言った。

「あ、お前たちは休まんくて良いしな」

「……仕事?」

「詳しくは夜に」

 二人はそれだけで理解し、その話題を打ち切って他愛もない話を始めた。

 

 

平成25年10月1日21:00

 そして夜、藤重の部屋。

「で、予想通り仕事なわけだが」

「そうじゃなかったら、ただのサボりじゃない」

「でも明日からってことは、何時までとかは決まってないんだね」

「そうなるな。まぁ、これを見ろ」

 鏡は紙を渡した。

 

 そして読み終えた大童と藤重には暗い雰囲気が流れている。

「自殺、しようと思ってる人がいるの?」

 紙を見たまま問いかけた。

「正確には首吊り自殺だ」

「……そう」

「まぁ、世の中自殺自体は珍しいことではない。ただ、『少女』『道路側に窓のあるアパート』『一人暮らし』『首吊り自殺』と揃うことは少ないな」

「この子の親は……?」

 今度は大童が問いかける。

「父親の転勤に母親もついて行ったみたいだ。だからこいつがここに残ったのは自分の意志だったんだろう」

「そっか」

 安心したように息をはく。

「でも何で自殺なんて」

「調べたからある程度の予測は立てられる。だが本当のことは本人にしか分からない」

「そうね……」

 

「正直な話をすれば、仕事の目的上は自殺しても別に構わない」

「なっ」

 淡々と言われたその言葉に、衝撃を受ける藤重を一瞥して鏡はそのまま話し続ける。

「言霊を消すのであれば、死んだ後に死体を火葬なりなんなりしてくれれば何も問題がないからな。ただ……」

 鏡は肘を膝について前傾姿勢になると、二人を見て言った。

「言霊に後押しされて死ぬというのはよろしくない。死ぬなら自分の意志で死ぬべきだ」

「『死ぬべき』って……ホントにそんなこと思ってるの?」

 藤重は鏡を睨む。

「『死ぬなら』と言った。別に死ねとはいってない。むしろ責任放棄や逃げで大した覚悟も無く、自己完結して自分勝手に自殺するようなのは気に食わないが」

 そう言って鏡はソファの背もたれに体重をかけた。

「ま、それでも自分の意志で死ぬってんなら勝手にすればいい。結局、自分の命をどう使うかなんてそいつ次第だろ。本来なら他人がとやかく言うことでも無い。ましてや無理やり止めるものでもないしな。ただ、勝手に死ぬなら止めるのだって勝手にさせてもらう。さっき言った気に食わないこともあるし、別に人が死ぬのを望んでいるわけじゃないんだからな」

「……」

「……」

 話し終えた鏡は息をはくと、ソファから背中を離す。聞いていた二人は思う所があるのか、何かを考えている。

 

「話がズレたな」

「……そうだね」

「え……あ、ああ、そうね」

 考え事から意識を戻す二人。

「それでこれからどうするかだが、とりあえず対象の隣の部屋を借りた。ずっと外で見張っているわけにもいかないしな。だからその部屋で監視をし続けることになる」

「それで自殺をしようとしたら止めるの?」

「そうなるな。その為に『窓際』だけ見えるように監視カメラを設置した。内容的には『窓際』の可能性が高いからな」

「だね。でもそこ以外で『首を吊った』場合はどうすればいいの?」

「確認したところ壁の防音性はあまりないようだ。だから康なら気づける」

「そっか。了解」

 

 そこで藤重が手を上げた。

「それよりも、そもそも自殺をしようとさせないことはできないの? その方が良いと思うんだけど……」

「僅かではあるが、自分自身でどうにかできる可能性もあるだろ」

 鏡の言葉に藤重は少し考えて、

「……そうね。自分自身の力でどうにかできるならその方が良いわよね」

 小さな声でそう言った。

「それに、身しらずの人がいきなり干渉しても不信感や警戒心を与えるだけかもしれないし」

「そうだな。後、一度死にそうになることで、自殺する意欲の無くなる奴もいる。再度死のうとする奴もいるが」

「そうだね。死にたいと思ってても、本当は生きていたい人とかもいるだろうしね」

 大童は真剣な面持ちで同意する。

「まぁいるだろうな。ただ、今回当てはまるかは知らないが」

「でも……そうなら、いいわね」

 浮かない顔でそう呟いた藤重を見て、大童は優しい声で言う。

「うん。そうだね」

 

 ほんの少しの沈黙の後、藤重は自分の頬を両手で一回叩くと、なるべく明るい声で話を切り出した。

「それで、やる事は分かったけど、監視は鏡君だけがやるの?」

「いゃ、基本はやるがお前等にもやってもらう」

「でも学校を休むのは鏡君だけでいいのよね?」

「あぁ。学園生活最後の文化祭の準備を休ませるというのもな。それも含めて思い出だし、楽しむ要素だろ」

「でも……いいの?」

 申し訳なさそうに聞いてくる藤重。それに鏡は、特に表情も変えずに答えた。

「だからお前等が文化祭準備が休みの時に変われば良い。その時に準備を手伝う。だからお前等は気にせず楽しめ」

「でも……」

 それでもまだ藤重は躊躇っているようだ。そこで大童が口を開く。

「いいんじゃないかな、夕夜もこう言ってるんだし。ここまでしてくれて楽しまない方が申し訳ないよ?」

「それはそうかもしれないけど」

「それにお前等は脅かす役だろ。それに関する打ち合わせにいなかったら不味い。なに、お前等が作業をダラダラやって作業の休みの日にまで作業をしなければいけない状況を作らなければいいだけだ」

「うん。その辺はちゃんとやるから大丈夫」

「と言っているが?」

 鏡は藤重を見る。

「……ちゃんと、やるに決まってるじゃない」

 肘をついてそっぽを向くと、納得いかないのか不貞腐れたように言う。

 

 そんな藤重に鏡はわざとらしく溜息をつくと、呆れ顔で思いっきりバカにするようにこう言った。

「それに、知能的に劣るお前はしっかり授業を受けるべきだろ? それで赤点をとられでもしたら全く関係ないのに責任を感じて非常に目覚めが悪いじゃないか」

「はぁ?」

 放たれた言葉達にカチンときたのか、鏡の方を向く藤重。というか凄い睨んでる。しかし鏡はどこ吹く風。

「じゃ、康。もろもろは任せたぞ。これは『アパート』の地図、部屋は202号室で、対象の部屋は203号室だ」

 取り出した地図を大童に渡す。

 地図の場所は歩いて行ける距離のようだ。

「了解」

「ちょっ! 無視!?」

「あーはいはい。それで対象の情報だが」

 驚きの声を適当に流した。

「うん」

「……」

 

 大人しくなった藤重を確認してから、パソコンを開いて情報を話し始める。

「何処とは言わないが高校一年生。一人暮らしで、生活費は仕送り。一学期は学校に行っていたようだが、二学期からは学校に行っていない。恐らく外にもあまり出ていない。もちろん無断欠席の為、先生が数回訪ねたらしいが大した反応も無く、進展は無し。今は放置だな。そして学校に行かなくなった理由だが、内部告発によるといじめがあったらしく、その線が濃厚だろう。ってか確定だな」

「いじめ……」

 藤重は顔をしかめる。

「そのことを親は知ってるの?」

「知らない。学校は連絡先を知らないようだし、『少女』は教えてないようだからな」

「そっか……言いにくいことだもんね」

 大童は視線を紙に移して、若干沈んだ声で言った。

「なら私たちが親にいじめのことを伝えるのは?」

「本人が言ってないことを伝えたら、それが逆に追い詰めることになるかも」

「それに、さっきの康の言うとおり言いにくいのもあるだろうが、心配や迷惑をかけたくないのもあるのかもしれない。なら本人の意思を尊重して、親には知らせずに自殺を辞めさせれるならそれが良いだろ。それが最善かは知らないが」

「……そう、ね。その方が……良いのかもしれないわね」

「……」

「とりあえず情報はこんなところか」

 鏡はパソコンを閉じた。

 

「後はそうだな……外出の時も念のため気づかれないように一人、まぁ康がついて行け」

「了解」

「それと最初のほうに言ったが、音は漏れやすいから大声とか騒がしくしないようにな」

「普通に話すくらいなら大丈夫かしら?」

「壁の近くでなければ」

「分かったわ」

「他に質問はあるか?」

「私は無いわ」

「食べ物とかは冷蔵庫にある? あとキッチン」

「どっちもある」

「だったら質問はないよ」

「そうか。なら明日から休むし」

「うん。了解」

「ちゃんと監視しててよ?」

「当たり前だ。じゃぁそろそろ帰るぞ」

「そうだね。藤重さん、また明日」

 大童と鏡は立ち上がる。

「ええ、また明日。鏡君はまた日曜ね」

「あぁ、日曜な」

 

 そして玄関から出て行った二人を見送る藤重。その脳裏にはどうしても『少女』のことが残り、寝るときまで現在何もできないことに対するモヤモヤに襲われた。

 




前も書きましたが、
こういう話を書くのは苦手です。
内容の上手い下手ではなく精神的に。

まぁ前も書いたことはいいや。
今は二十六話をどうにかしなければ。
それもこれも某ゾンビゲームが懐かしくなって、
プレイ動画を見ているせいです。
もう少しで終わるのでそうすればきっと……。

次回は二十六話を書き終えたら載せます。
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