UL   作:招代

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あと少し書き終えて無いですが、
まだ今日はあるので大丈夫……なはず。

今回はなんとなく大童について。
前に「鈍感」と書いた気がしますが、
原因としては『Y君』でのこともあり、
人間性の面で自己評価が低くなっているからです。
それ以外の面に関しては正当な評価をしていたはず。

書くことでもなかったかなと思いつつ投稿します。


第二十四話 『星を見る少女』 中編

平成25年10月2日8:32

「おはよ」

「おはよー」

「……」

 3-5教室。本を読んでいた大童に挨拶を終えて、藤重は自分の席に荷物を置いて座ると、大童の後ろを見ながら言う。

「何かいないと違和感あるわね」

「だね。いつも僕より先にいたから」

「たしか大童君は6時半に来てるのよね?」

 大童の方を見て確認を取る。

「うん」

「……いったい何時に来てたのかしら?」

「さあ?」

 二人は暫く空席になる予定の席に目を移す。

「まあ……気になることはいろいろあるけど、切り替えていかないとよね」

「そうだね。切り替えてこ」

 目を離して、藤重は一限の準備を始め、大童は読書を再開した。

 

 

平成25年10月6日7:23

 日曜日。

「ここよね」

「地図通りならそのはずだね」

 二人は目の前にあるアパートを見上げる。

 そのアパートは道路側に窓が複数あり、玄関は裏側なのか大童達の現在地からは見えない。

「とりあえず行こうか」

「そうね」

 二人はアパートの敷地内に足を踏み入れた。

 

 

平成25年10月6日7:25

「202……ここだね」

 二人はアパートの裏へ回ると、なるべく足音を立てずに階段を上り202号室前にたどり着く。

 裏から見たアパートは、扉が1階2階共に4つずつあり、それぞれの間隔が大きめに空いていることから、藤重の部屋よりは断然広いようだ。

「インターホン押していいのかしら?」

「ノックでいいんじゃない?」

「どっちもしなくていい」

 隣の部屋のことを気にしている二人の会話に、玄関扉を開けて否定する鏡。その服装は既に制服だった。

「あ、おはよー」

「おはよ、鏡君」

「ぉはよ」

 久しぶりに鏡と挨拶を交わす。

「もう学園に行くの?」

「いゃ、とりあえず入れ」

「了解」

 促された大童と藤重は、部屋の中に入った。

 

 

平成25年10月6日7:28

 アパート内。中は襖で仕切られて4つの部屋に分かれており、1つはダイニングキッチンで、残りは和室と洋室になっている。確実に藤重の部屋より広いが、大童の部屋よりは狭い。

 そして現在三人は201号室側の道路方向の洋室にいる。

「201号室は空き部屋だから、こっち側なら音はあまり気にする必要はない」

「203側の部屋はもう気を付けた方が良い?」

「そうだなぁ……相手がこっち側にいなければ問題ない」

「つまり私は203号室側では気を付けとけってことね」

「珍しく察しが良いな」

 馬鹿にしながら褒める鏡。

「……貶されてるのかしら?」

「褒められているんじゃない?」

「でも良い気はしないわね」

「まぁどっちもって所だ」

「あ、そ」

 結論、藤重は素っ気なく返事をした。

 

「で、本題に戻るがここにあるのが監視カメラの映像だな」

 指さした先にある、机の上に乗ったPCには窓際の映像が2つ映し出されている。

「他の部屋にはないの?」

「キッチンに1つある」

「じゃあそのどっちかから目を離さなければいいんだね」

「そうなるな。ただし、対象が外出した時は康が気付かれないように後をつけろ」

「了解」

「じゃぁ説明は終わりだが、質問はないな?」

「無いよー」

「無いわ」

「そうか。ならこれはロープを切るためのナイフだ」

 バッグからナイフを取り出して渡す。

「これで切ればいいんだね」

「あぁ。じゃ、言ってくる」

「行ってらっしゃい」

「ちゃんと準備してくるのよ?」

「当たり前だ」

 鏡は襖を開けて、玄関のほうへと出ていった。

 

「それじゃあ……交代で監視しよっか。どのくらいで交代する?」

「一時間くらいで良いんじゃないかしら」

「了解、なら最初は僕が見てるね」

「ええ、お願い」

 大童はPC前の椅子に座って監視を始め、藤重はその後ろにあるテーブルで書類仕事を始める。

 

 それから十数時間後の午後8時。特に何も起こらず鏡が帰ってきた。

「戻った」

「お帰りー」

「お疲れ、進み具合はどう?」

「今の所問題ないな」

「そう」

 そして荷物を置いた鏡が二人を見て言う。

「お前らはもう帰っていいぞ。明日もあるしな」

「そうね。時間も時間だし帰るわ」

 時計を見て時間を確認し、伸びをすると、立ち上がった

「送ってくよ、藤重さん」

 続いて立ち上がる。

「ありがと。お願いするわ」

「うん。それじゃあ何もなければまた来週に来るから」

「またね」

「来週な」

 二人は部屋を出て、帰路についた。

 

 

平成25年10月6日21:14

「ねえ」

「ん?」

 帰り道、藤重が大童に話しかける。

「すごい今更なんだけど、鏡君っていつ寝てるの? 監視してたら寝れないじゃない」

 珍しく鏡の事を心配している藤重の様子を見て、問いかける。

「心配?」

「別に、心配ってわけじゃないわ。ただ無理して寝られたら迷惑なだけよ」

 藤重はそっぽを向いて答えた。それを見て鏡は少し笑ってから、安心させるように言う。

「そっか。でも大丈夫だよ。夕夜は寝なくても平気だから」

「まあ……大童君がそういうなら大丈夫なんでしょうけど」

(けど『寝なくても平気』ってのはおかしいわよね。でもSランクだし……)

 思うところがあるものの、考えても仕方のないことなのでそこでソレについての思考をやめた。

 

 

平成25年10月13日15:33

 先週と変わらず、大童と藤重は202号室で監視をしている。今は藤重の番。

「さっきから窓から外を眺めてばっかりで、全く動かないわね」

 目の前のモニターに映る『少女』は、二時間前から沈んだ表情で外を見続けていた。

「もしかしたら結構進行してるのかも」

「……かもしれないわね」

 その後も交代で監視を続けたが、その日も何もなく終わった。

 

 

平成25年10月19日12:32

 文化祭を6日後に控えた都学園は、生徒が忙しなく動いており慌しい雰囲気に包まれている。

 

 そんな中、休憩時間中の3-5。

「確かに」

 と、弁当を食べ終えた藤重が机に肘をついた。

「今までのクラスの出し物は手間のかかるものじゃなかったけど……」

「一年二年と準備はそれ程大変じゃなかったからね」

「ええ、でも周りを見て大変さは分かってるつもりだったわ」

 ぐるりとクラス内を見回し、目を閉じて溜息をつく。

「でもまさかこんなに忙しいなんて……今回ようやく文化祭の大変さを知ったわ」

「確かに今までで一番忙しいかもね」

「大童君からしてもそうなの?」

 藤重は落としていた視線を大童に向ける。

「忙しいときはあったけど、今年ほどではなかったよ」

「そう。正直、ここまで忙しいと他の事を気にしてる余裕もないわね……」

 そう言ってまたついた溜息からは、疲れが滲み出ていた。

「でも今の所、予定より早めに進んでるし、前日は余裕を持って迎えられるんじゃないかな」

「……だといいわね」

 

 その後休憩時間が終わり、クラスは忙しさを取り戻した。

 

 

平成25年10月20日18:47

 今日も大童と藤重は監視を続ける。

 この日、『少女』は窓から外ばかりを見ていた。

「窓から離れたわ。時間的に夕食かもしれないわね」

「かもしれないね。キッチンに向かったみたいだし」

 どの号室も造りは一緒なので、大童が気配でおおよその位置を確認する。

「でも気は抜けないわよね……」

「うん。そうだね」

 

 少しして。

「キッチンから移動したよ」

「分かったわ」

 画面を見ながら返事をする。

「……」

 そして画面に『少女』が現れた。

「椅子を持ってきたわ……まずいんじゃないの!?」

 慌てて大童の方を向く。それでも慌てずに、大童は立ち上がるとナイフを取り出し、落ち着いた声で確認を取らせる。

「ロープは」

「あ、えっと……!」

 映像を確認。

「白い紐みたいなのを持ってるわ!」

「分かった。藤重さんは夕夜に連絡できる準備をして。映像は僕が見ておくから」

「分かったわ!」

 椅子から立ち上がり携帯を落としそうになりながらも何とか取り出して、鏡の番号にいつでも掛けられるようにする。

 映像の向こうでは、『少女』が着々と自殺の準備をしている。

 大童はソレをじっと見続けた。

 

 準備が終わり、『少女』は椅子の上に乗ると白い紐で作った輪を首にかける。しかし、椅子を蹴る様子はない。

 大童の後ろでは、藤重も画面を覗いている。その表情は、何も起こらないことを願っているかのようだった。

 

 『少女』は暫くの間そのままだったが、目を固く瞑ると椅子を蹴ってしまった。首を締める白い紐。

「藤重さんは夕夜に連絡、僕は行ってくるから!!」

「わ、分かったわ!」

 すぐに部屋を出ていく大童。藤重もボタンを押して鏡に連絡を急ぐ。

 その間にも画面の中で少女は苦しそうにしている。ただそれも次第に弱まっていっていた……。

 

 

平成25年10月20日19:29

 玄関扉を蹴破り、急いで現場へとたどり着いた大童が見たのは、電源コードで『首を吊った少女』だった。

 その肢体は力なく垂れ下がっている。

(意識は無いようだけど、まだ時間は全然経ってない。生気もある。なら助かるはず……いや助ける!)

 一瞬だけ止まって思考するが、すぐに行動を開始する。

 

 まず落ちないように体を支えて、片手でナイフを使い電源コードを切断。そのまま重力に従い落ちそうになる上半身をナイフを捨てて受け止める。次にゆっくりと地面におろし電源コードを解き、呼吸と心音を確認。

 幸いにもすぐに助けたためかどうやらどちらも正常なようだ。

 そのことに大童はホッと胸をなでおろす。そして意識を取り戻させるために名前もわからない『少女』に呼びかけ続けた。

 

「大丈夫!?」

 そこに携帯を握りしめた藤重が到着。

「大丈夫。呼吸もあるし、心臓も動いてるよ。意識もじきに戻ると思う」

「そう……よかったー……」

 安心して力が抜けたのかのかその場に座り込んでしまう。

「とりあえず藤重さんは隣の部屋に布団を敷いてくれる? 僕はこの子を運ぶから」

「分かったわ」

 藤重はすぐに立ち上がると202号室へと戻る。大童も『少女』を抱っこすると、振動を与えないよう丁寧に移動を始めた。

 




暑い……10月のくせに。
秋なはずですよね?
本当は夏なのかと疑いたくなります。

こんなんでは読書の秋どころではありません。
食欲も出ませんし、
運動……は元からしないので関係ないか。
芸術も同じく。

つまり何が言いたいのかと言うと、
早く涼しくなれということです。

次回は二十七話を途中まで書いたら載せます。
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