少し仕事に行くのが億劫になりますね。
今回は藤重について少し。
アルバイトで稼いだお金ですが、
毎月その辺のアルバイトで稼げる量を実家に収めています。
性格とかの面については特に書くようなことはないですね。
それでは後編を投稿。
正直今回の『幽霊』設定は無い方が良かったのだろうかと思ってしまいますが、
気にしないことにします。
平成25年10月30日8:31
「あ~……」
教室内。机に突っ伏す藤重にはやる気が感じられない。
「どうしたのかな。藤重さん」
心配する大童は後ろの鏡に尋ねる。
「大方、文化祭の反動だろ。特に、あいつにとっては今までにない忙しさだったからな」
「なるほど……そういえば教室全体がそんな感じだね」
見回すと、全体的にだれているようだ。ダラーっと、ボケーっとした空気が流れている。
「まぁ、明日明後日にはだいたい戻るだろ」
「だね。でも
「今週は時間変更でないぞ」
時間割を見る大童に、鏡が顔を上げて言った。
「あれ? そうだったっけ」
鏡の方を振り向く。
「お前も少し反動が出てるんじゃないか?」
「んー……そうかもしれない」
「大丈夫だとは思うが、今週は仕事があるから正常にしとけよ」
「了解」
「ま、主なのはそこのだらけている奴なんだが……」
鏡と大童が藤重を見ると、いまだに突っ伏していた。
「詳しくは夜な」
「了解」
こうして、全体的にだらけたまま今日の授業全ては終了した。
平成25年10月30日19:49
「で、仕事だが」
「うん」
藤重の部屋で鏡がパソコンを開きながら、藤重を見る。
「あ゛~」
「……お前はいつまでダレてるんだ」
呆れ顔の鏡。
「いーまいち……身がー入らなくてー」
「そんなこと言ってると心霊スポットに放り投げるぞ」
「それは嫌」
姿勢を正して、キッパリと断る。
「そうか、それは残念だ」
どうでもいいという風に言って、鏡は紙を二人に配る。
二人が読み終えた頃を見計らって、鏡が口を開く。
「大まかには『ターボババア』と同じだな」
「ようするにサンルーフから体を出して追い越されないように妨害すればいいのよね」
「大体はそうだな」
「今回は最終的には追い越されないといけないからね」
「ん……そうなの?」
「内容を見れば分かると思うけど、『出会ったら絶対に追い越される』みたいなことは書かれてないから。あくまでも『追い越されてしまうと』としか書かれてないし」
言われて、もう一度紙を見る。
「あー……ホントね。まだ少しボケてたのかもしれないわ」
「大丈夫?」
その言葉に、藤重は自分の頬を叩くと、ゆっくりと頬から手を離す。
「もう大丈夫」
「そっか」
「叩いて直すとか昔の家電みたいだな」
その発言にムッとした顔をする藤重。
「いいじゃない、別に。それで、具体的にはどうするの?」
パソコンを閉じる。
「あぁ。ここから20分の所にある道の始まりから実現させて、国道と合流する終わり辺りまで妨害。追い越されてから出る」
「その妨害は私がやるのよね」
「その予定だ」
「でもこれ……『幽霊』、よね。しかも『深夜』だし」
「『幽霊』が見えれば『深夜』はあまり関係ないと思うんだけど、見えないことは考えないといけないよね」
「だな。そこで聞くが、お前弓を真っ直ぐ構えたのを0として、そこから角度を言えばソレに合わせられるか?」
「へぁ?」
鏡に人差し指で指された藤重は、何を言われたのか分からなかったのか間抜けな声を上げる。
「だから、角度を言えば合わせられるか? と言っている」
「いや……だいたいなら、多分?」
いまだに理解しきれてない様子の藤重は、自信なく答える。
「なら距離はどうだ」
「え、あー……角度よりは合わせられると思うわ」
「そうか。ならそれでいこう」
「えっと、まさかとは思うけど……」
ようやく理解し始めて、恐る恐る聞いた。
「……鏡君の指示した距離に矢を射るの?」
「あぁ。そうすることにした」
「……」
僅かな沈黙の後。
「いやいや!」
勢いよく立ち上がった。
「何言ってるのよ!?」
「だから、距離を指示するからそこに射ればいい」
「無理でしょ!」
「角度よりは合わせられるんだろ」
「それはそうだけどっ……『より』ってだけよ?」
自信の無い目で鏡を見る。
「問題ない。それに距離感は前より分かるようになってきているはずだ」
鏡はその目を真剣な目で見返した。
「……確かにそうだけど」
「えっと、とりあえず座ったら?」
「……それもそうね」
促されて再び座る。
「で、ホントにできると思ってるの?」
もう一度、しっかりとした声で聞く。
「完璧にできるとは思っていない。ある程度できれば良い」
「……」
藤重は目を瞑り難しい顔で悩み始めた。
「……ある程度でいいのね?」
目を開けて鏡を見て、確認する。
「あぁ、位置と大体の距離はこっちで合わせる」
「……まあ、これも経験よね」
そう言って大きくため息をついた。
「そうだね」
「なら決まりだな。妨害に関してはそれで行く」
「と言うか、どうせ拒否しても意味なかったんだろうし」
片肘をついて、横目に鏡をみる。
「だったら最初から承諾していればいいものを」
「それでも流石に躊躇うわよ」
「まあまあ。それで、妨害の方法は決まったけど、どんな道なの?」
「ん、基本は二車線で、時々せまい場所のある山道だな。舗装はされている。カーブは多少」
「山道って言うと、下るのかな?」
「下りだな。最初に車で上れる所まで上ってから実現して、制限速度無視で下りる」
「制限速度無視って……危なくない?」
嫌な予感に、非常に心配そうな藤重。
「そこは問題ない。事故るつもりはないからな」
「まあ……信用するしかないわよね。『首なしライダー』の速さは?」
「『バイク』の種類にもよるが、制限速度は絶対に無視するだろうな」
「でも『ターボババア』よりはたぶん遅いと思うよ。追い越される側の描写は無いし」
「そうなの?」
「かもしれない、だけどね」
「仮に追い越されそうな場合は、追い越されないスピードを出すからな。精々頑張れ」
「……自身は無いけど、できる限り頑張るわ」
「僕はまた矢を渡したり、指示を伝えればいいのかな」
「そうだな。もし『首なしライダー』が見えれば、直接指示してもいいが」
「了解」
「で、その他のことだが。矢は『カオリさん』の時と同様に破魔矢を使う。『深夜』だから開始時間は夜11時として、集合は余裕を持ってここに10時10分くらいでいいか。日にちはどうする」
「金曜か土曜だね」
「それなら金曜が良いわ」
「ならそうするか」
「了解」
「分かったわ」
「他に質問はあるか?」
二人を見る。
「無いわ」
「無いよ」
「なら話は終わりだ」
鏡が本を取り出したのを見て、二人も仕事モードを解除する。そして雑談などをして過ごした。
平成25年11月1日10:30
決行日。
大童たちを載せた車は目的地の道の入り口に入ったところだ。
「周りがどんな感じか一応見とけよ」
「それは分かってるけど、街灯が少なくてあまり遠い距離を指示されても見えないかもしれないわね」
藤重は外を見て言う。
「問題ない。後方に前方以上の明るさのライトをつけたからな。200m位は余裕で大丈夫だろう」
「ならいいんだけど」
車はガードレールを超えると落下する山道を登っていく。
平成25年11月1日10:46
行き止まりに到着。ここから先は車では通れなさそうだ。
鏡は空いているスペースを使い、車の向きを180°変更する。
「ここがスタートだ」
「何ていうか、木ばっかりだったわね。今もだけど」
「山だからね」
「時間まではまだある。風よけを付けるから、お前等も準備しとけ」
「うん」
「そうね」
鏡たちは車から降りた。
「それにしても……何かでそうな雰囲気ね……」
外は真っ暗で、藤重ではほとんど先が見えない。
「さっき墓地みたいなところもあったからね。確かにそんな雰囲気だね」
「え……墓地、あったの?」
手を止めて、椅子を倒している大童の方を向く。
「うん。さっき上の方に」
「上の方ってことは道の横とかには無かった……?」
「なかったと思うよ」
「そう……ならまだなんとか……」
そう言いながらも、先ほどより辺りをキョロキョロしている。
「付け終わったんだが、お前等はまだか?」
「あ、もう終わるわ」
「こっちは終わったよ」
風よけを付け終えた鏡がトランクから大き目のバックを取り出して閉めた。
「そうか」
すぐに。
「終わったわ」
「なら後は実現させて時間まで待機だ」
「だね」
再び車に乗り込む三人。
「これが今回の矢な」
先ほど取り出したバックを、大童に渡す。
中には『カオリさん』の時より大きめの破魔矢が入っている。
「足りなくなったらまだあるから言うといい」
「了解」
鏡が実現をさせ、三人は11時を車の中で待つ。
そして時間が来た。
「時間になった。いきなり『首なしライダー』が出ることは無いだろうから、まずは通常スピードで走る」
鏡はサンルーフを開けてから車を発進させて、山道を降りはじめる。
平成25年11月1日11:03
一個目の大きなカーブを曲がって、少し。
「来た」
バックミラーを見ないで、鏡が告げた。
「分かったわ」
サンルーフから上半身を出して、ライトに照らされた遠くを見る。
「見えないわね」
「僕も見えないよ。はい、これ矢」
「これね」
差し出された矢を、受け取って番える。
「スピードを少し上げる」
「了解。スピードを上げるって、藤重さん」
鏡の言葉を、藤重に伝言する大童。前と同じで、鏡の声は藤重には聞こえていない。
「分かったわ」
車のスピードが制限速度を超えた。
(下り坂のせいか少し後ろに引っ張られてる感じがするわね……)
「100mだ」
「100mだって」
「100mね」
すぐに矢を100mであろう場所目がけて放つ。矢は藤重と大童にとって何もないところへと飛んでいく。
(当たってるか分からないって言うのは不安ね……)
「当たったが、場所が悪い。もう少し低めで次、もう一度100m」
「当たったけど、もう少し低めで100mだって」
「もう少し低めね」
矢を受け取ってすぐに番えて、100m辺りに射る。
「今度はOKだ。カーブに入るから一旦車の中に入れ」
「カーブに入るから一旦戻って」
「分かった」
車の中に戻る藤重。
「今のはちゃんと当たったってさ」
「そう」
「とりあえずカーブに備えろ」
「了解」
「ええ」
二人はとってに掴まり、体が流れないようにする。
カーブに差し掛かると、ドリフト音と共に遠心力が2人を襲う。
「ッ……!」
「……」
藤重と違い、余裕そうな大童。
カーブが終わり体が解放されると、すぐに指示が出た。
「次、150mだ。合図したら射って当たり外れ関係なく車に戻れ」
「150ね」
「はい」
矢を渡され、若干遠心力被害の余波がありながらも、立ち上がって150mあたりに照準を定める。
10秒後。
「射れ」
「射って」
「……」
指示通りに放ち、すぐに車の中に戻る。
「どうだった?」
「外れたが、カーブが終わったらすぐに40mに射れ」
「もう矢、渡しとくね」
「……次は、外さないわ」
カーブに備えながら、藤重は悔しそうに言った。
そしてカーブ後、立ち上がってすぐに40mを狙って矢を放つ。
「当たった。次は150mに構えとけ」
「当たったって。次は150m、準備しといてって」
「分かったわ」
(次は外さない)
二回目の150mへ向けて、矢を番える。
(さっき外れたってことはもう少し手前……このくらい)
微妙に修正をし、そのまま指示を待つ。
「射れ」
「射って」
「……!」
大童からの伝言を受けて、すぐに狙った場所に矢を放つ。
「……」
「カーブに入るから戻れ」
「カーブに入るって」
藤重は車内に戻る。
「どうだった……?」
「吹き飛んだ」
「よしっ!」
グッと拳を握り、ガッツポーズ。
「喜んでるとこ悪いが、まだ続くから気を抜くなよ。あとカーブに備えろ」
「わかってるわよ」
カーブに備える藤重の顔は、150mを当てたおかげか少し自信が見て取れた。
その後も自信がついたからか、最初よりも命中率は良くなっていった。
平成25年11月1日11:08
「止まるぞ」
鏡が国道の合流手前でブレーキをかける。
「後は待つだけでいいのよね」
「お前の仕事はこれで終わりだ。康は外に出て念のため国道から来る車とかを警戒」
「了解」
大童は車を降りて、あたりを見渡す。
数秒後。鏡が窓を開ける。
「今、『首なしライダー』が追い越した。大丈夫だとは思うが、このまま警戒しつつ出るぞ」
「了解」
アクセルを軽く踏み、ウインカーを出して慎重に出て行く。大童もそれに着いて歩く。
車も自転車も人も来る気配はない。
「……」
「……」
「……」
車が完全に国道に出て、路肩に車を止める。
「これで終わりだな」
「はぁぁ……」
「お疲れ様。大丈夫?」
一気に緊張が解けた為か、大きく溜息をついた藤重に大童が労いの言葉をかけた。
「そうね……いつもより疲れたわ。でも、少し自信がついたかも」
「そっか」
「風よけを取る。お前等は席を戻せ」
「了解。藤重さんも席、戻そ?」
「そうね」
一度抜けた力を入れ直してドアを開け外へと出ると、二人は席を直し始める。
それを終えて、車は深夜の国道を走り帰路につく。
ちなみに矢は後日の朝にはすでに回収されていた。
第二十五話『首なしライダー』終了。
携帯の「5」「PWR」ボタンが割れました。
最近圏外になることが数回ありました。
勝手に再起動されることもありました。
きっとまだまだ大丈夫なはず……。
次回は二十八話を途中まで書いたら載せます。
ただし、
題材が決まってないので少し遅くなるかもしれません。
なるべくならないようにはしたいですが。