UL   作:招代

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遅くなってしまった上にストック消費。

いまいち書き進められない。
終わりが近づいたおかげで燃え尽き症候群にでもなりかけてるのかもしれません。
いや、
上手いわけでもないのに燃え尽きとか言い訳にしか聞こえないな……。

どうにか気持ちを切り替えたいと思いながら後編を投稿。



第二十六話 『猿夢』 後編

平成25年12月13日11:00

 自室のベットの上の大童の携帯に、鏡から実現完了の連絡が来た。

(それじゃ、一応刀を持って)

 もちろんしまってある状態でだ。

(後は睡眠薬を……1錠。水無しで)

 ラベルの表記通りに1錠取り出して瓶を閉めてから、水なしで飲む。そしてちゃんと毛布をかけて目を閉じた。

「……」

 

 そうしてすぐに、大童は激しい睡魔に襲われ、意識は『夢』の世界へと引っ張られていった。

 

 

平成25年12月13日11:16

 『夢』の中。大童は気づくと走行中の『お猿電車のようなもの』に乗っていた。

 『ようなもの』なので猿はいない。

「刀は……無い」

 空っぽの手元を見て呟く。次に手足や首を動かす。

(体は自由に動かせる。意識もはっきりとしてる。服は私服で靴も履いてる。重りは……無いのか。残念)

 自分の状態を確かめてから辺りを見回すと、内容通りに『後ろから三番目』に座っていて、一番後ろは『男性』、二番目が『女性』だ。

 辺りに光は無く、下は真っ黒で底が見えない。周りも真っ黒で先が全く見えない。それなのに何故か『お猿電車のようなものと乗客』だけがハッキリと浮かび上がっているような感じなのは、やはり『夢』だからだろう。

 

(とりあえず、すぐに動けるようにしないと)

 ゆっくりとはいえ、走行中の『お猿電車のようなもの』のふちに難なく立つ。そしてそのまま落ちないようにバランスを取りながら、慎重に一番後ろまで移動を開始する。

 その最中。

『次は活けづくり~活けづくりです』

 『アナウンス』が流れ、『ぼろきれをまとった小人』が『男性』の斜め四方に現れる。その手には刺身包丁のようなものが握られていた。

 それを見て大童はすぐさま行動を開始。

 

 『男性』に襲い掛かる『小人』の内、大童の目の前にいる(『男性』から見て左斜め前)一体を『刃物』に気を付けながら前方に蹴り飛ばし、その後ろにいた『小人』(『男性』から見て左斜め後ろ)ごと電車から突き落とす。そして『男性』を飛び越えるように軽くジャンプしつつ、着地ついでに『男性』から見て右斜め前の『小人』を左足で踏み潰し、右足のアウトサイドで残りの一体を蹴り落とした。踏み潰している『小人』はそのまま足をスライドさせてずり落とす。

 結果、『男性』には傷一つない。

(とりあえずこんな感じかな。この調子で行きつつ『夢』から覚めるってことで)

 そんなことを考えていると、今度は『男性』の右斜め後ろ→左斜め前後ろ→右斜め前の順番に『小人』が現れる。

 大童はそれを出てきたはしから蹴落としていく。

 

(蹴落とした順番と違う……? 最初に蹴飛ばした二体が軽く蹴落とした三体目より遅く出てきたってことは、下に落とすより遠くに蹴飛ばした方が時間は稼げるってことかな)

 そう考えた大童は次に出てきた一体目を45度の角度くらいで思いっきり蹴り飛ばし、残りを軽く蹴落とす。

 

 すると『小人』が三体現れた。

「三体か……」

(軽く蹴落とした三体は出てきたけど、残りの一体は出ない。やっぱり遠くに蹴り飛ばした方が時間は稼げそう。でも一時間とは言え、『夢』の中だし体感時間でどのくらい続くのか分からないのに全力を出し続けるのは不味いよね。やっぱり余裕を持って鍛錬程度に蹴り飛ばすべきかな)

 これからの方針を定めている間にも、『小人』を蹴り飛ばすのはやめない。

(ただ『夢』の中だからか知らないけど、疲労は溜まりにくい感じ)

 その後も快調に蹴り飛ばしていく。

 

 そして大童の体感時間で20分経過。

(今さらだけど、眠ってすぐに『夢』を見ているか分からない以上、1時間以下の可能性もあるのか。だとすればもっと力を出しても余裕を持っていけるんだけど……確実なわけじゃないし、むしろ今くらいが鍛錬には丁度良いのかも。本当は重りもついてくればもっと良かったんだけど……無いものはしょうがないよね。まあ『夢』の中で鍛錬して効果があるのかは分からないけど、イメージトレーニングには繋がるかな?)

 先ほどから大童は「鍛錬」と頭の中で言っているが、だからわざわざ不安定な足場で無駄に動いて蹴り飛ばしているのである。

 

 つまりどういう事かというと。『小人』は現在4体。で、あるならば、両足で2体を踏み続け、両手で残り2体を掴み続けて『夢』から覚めるのをジッと待っていれば本来はいいのである。

 もちろん大童もそのことには気づいているが、「鍛錬」の為にしていない。それに、ゆっくりとは言え、走行中の乗り物の上の不安定な足場で戦える経験など滅多にないからだ。現実ではせいぜい船上か、極稀に走行中のバスぐらいだ。

 

 さらに体感時間で40分後。

(ふと思ったけど……皆がこういう話で思い浮かべる『小人』はしわくちゃなのばかりなんだよね。頭身おかしいし。偶には子供向けな綺麗な『小人』でも不気味さは出ると思うんだけど)

「んー……」

 出てきた一体の『小人』にバク宙しながら蹴りをくらわせる。

(というかこれじゃ『小人』じゃなくてゴブリンみたいだよ。せめて人間をそのまま小さくしたのとかはないのかな……)

「それにしても……」

 同時に出てきた二体の内、一体を踵で真横に飛ばしてもう一体も巻き込み落とす。

「……まだ覚めないのかな」

 大童は坦々と蹴り落とす作業を繰り返し続ける。

 

 蹴り落とし続けて体感時間で20分後。

「……ん」

 電車の進行方向に白い点が見えたと思ったら、雑音が響き、その白い点を起点として「黒」が崩れていき「白」が現れていく。

 それに伴う形で大童以外のものが全て崩れて消えた。

(起きたら学校行かないと……)

 そんなことを気にしながら、妙な浮遊感の後に意識は現実へと戻っていく。

 

 

平成25年12月13日12:01

「んー……」

 ゆっくりと目を開け、体に違和感がないことを確認してから体勢を起こす。

「時間は……」

 携帯の時計を確認しようと、携帯を開くとメールが来た。鏡のパソコンからのようだ。

「……」

 要件は簡潔で、『完了』とうってあるだけだ。

 それを見てからこれから学校に行くことをメールで伝える。

「学校行こ」

 ベットから降りて立ち上がり、制服を着始めた。

 

 着替え終えて、刀を定位置にしまう。それからキッチンの冷蔵庫にある、予め作っておいたものをレンジで温め、昼食を軽く済ませて洗い物を終える。

 

 そして、今日必要なものは準備してあったので、大童はそれを持って学園へと向かった。

 

 

平成25年12月13日12:25

「おはよー」

 クラスメイトに挨拶をしながら自分の机に来た大童が、2人に挨拶をする。

「はよ」

「おはよ、って言ってももうお昼だけど」

 時計を見ると、今は昼休みが終わりに差し掛かる頃。

「まぁ、寝起きならそれでいいだろ」

「寝起きに『こんにちは』って言うのも変だからね」

 大童は席に座る。

「そう言われれば……まあ、そうね」

 

「でも昼休み中に間に合ってよかったよ」

 次の授業の準備をしながら、大童が言う。

「結構ギリギリだったわね」

「お昼ご飯を食べてきたから。さすがに食べないと午後の授業に響くからね」

「先に食べておいたりはしなかったの?」

「11時前は少し早いかと思って」

「確かに少し早いわね。でもよくそれで間に合ったわね」

「うん。先に作っておいたから温めるだけだったし」

「なるほどね」

 その後、先生が来て4限の授業が始まった。

 

 

平成25年12月13日17:12

 暖房の効いた大童の部屋。

「それで、明晰夢ってどんな感じだったの? 私見たことないんだけど」

 興味津々といった様子の藤重。

「んー、『夢』だったから風景とかはいろいろおかしかったけど、意識もはっきりしてるし体も自由に動くし現実と変わらない感じかな。これが『猿夢』じゃなければ、もっといろいろと出来たのかもしれないけど……」

 少し残念そうにしている。

「正確には明晰夢ではないしな。その辺は仕方がない」

「だねー」

「そう、ならその『夢』の記憶ってはっきりしてるの?」

「今のところははっきりしてるよ。これからは分からないけど」

「へー」

 それから、今回の都市伝説は大童しか見れていないので、内容を大まかに鏡に報告した。

 

「そういえば今日は『13日の金曜日』だな」

 報告を終えてしばらくした後、本を読み終えたのか、それを閉じて鏡が言った。

「そういえばそうだね」

「確か……何か不吉な日だったかしら」

「そうだな」

「……」

 

 少し間を開けて。

「……実際どうなの?」

 探るように聞いてくる。

「全人類がそんなものに左右されてたら大問題だな」

 その答えにホッとする藤重。

「そうよね、所詮朝の占いみたいなものよね」

「朝の占いっていうと血液型とか星座とか、誕生月みたいに大雑把だよね」

「そのくらいの方が興味本位で見るには丁度いいんじゃないの?」

「だね」

「まぁ、それとは違うがな」

「ん……どういうこと?」

 大童の方を向いていた藤重が、顔だけを鏡の方に向けた。

 

「『全人類』は左右されないが、『個人』なら左右される人もいるってことだな」

「つまり人によっては左右されるの?」

「『特異体質』ってやつだね」

「特異体質……そんなのもあるの?」

 首を傾げてから、大童を見る。

「うん。不幸体質とか晴男雨女みたいなやつ。後は動物に好かれやすいとか影が薄いとか」

「『不幸体質』とかはともかく、『影が薄い』は本人の努力次第じゃないの?」

「そういう人もいるけど、中には特異体質でそうなってる人もいるってこと」

「具体的に言うなら、他人より『存在が希薄』ってことだな」

「なるほど……で、話の流れ的に13日の金曜日に影響される体質の人がいるのね」

「それ以外にも、『黒猫が前を横ぎる』みたいな、いわゆる縁起や伝承に左右されやすい人間はいる」

「何か大変ね」

 他人事のように言ってから、何やら少し顔を下に向けて思案顔になる。

「でも、だいたいは良い方も影響するから±0じゃないかな」

「本人次第だけどな」

 

「だったら朝の占いみたいなのも影響される人はいるの?」

 顔を上げた藤重が問いかける。

「流石にあそこまで大雑把だとなぁ……マジもんの占いでも、A型の人全体の平均値みたい感じだから当てにならない」

「なら客相手の占いは?」

「マジもんであるなら体質とか関係ないな」

「おみくじとかは?」

「あれはどっちかって言うとただの運試しだ。詳しい内容は当てにならないが、大吉とか大凶に影響される奴はいるな」

「迂闊にできないわね……」

「そういう体質ならな」

「私はー……違うわよね?」

 藤重は違うと半ば分かりながらも念のために聞いた。

「そう言った経験がないならそうなんじゃないかな?」

「そうよね。ならいいのよ」

 胸をなでおろす。

 

 それからも何となく雑談は続き、それ以外にも仕事や読書をして二時間ほど立つと、藤重は大童に送ってもらってパートに帰った。

 

 

 

第二十六話『猿夢』終了。

 




今から言っておきますが、
最終回とかだからって大変な仕事がきたりとかはありません。
むしろあっさりと終らせて、
日常話をメインにする予定です。

基本的に谷も山もない内容ですからね。
最終回も平和に終わらせられればいいやと思います。

次回は二十八話を書き終えたら載せます。
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