このまま一気にラストスパートを駆けられればいいのですが……躓かないようにしなければ。
今回は日常回。
調子に乗ってノリで書くと何を書いているのか分からなくなってきます。
あんまり気にいないで頂けると幸いです。
では二十七話前編を投稿。
貧しい母子家庭ながらも仲が良く、
助け合って暮らしていた母と娘。
母親は娘を育てるために一所懸命に働き、
娘は家の手伝いをしながら勉強を。
そして娘が受験前日のある日、
母は手作りのお守りを娘に渡しました。
「頑張ってね。これはお母さんからのお守り」
「ありがとう。大事にするね」
「お守りって中身を空けると効果がなくなっちゃうから空けちゃだめよ」
娘は母に心から感謝しました。
そして無事に大学に合格し、
その後も勉強を怠ける事なく大学生活を終えて就職。
娘は社会人になって初任給で母へ旅行をプレゼントしました。
ところが、
その旅行途中で母は事故亡くなってしまいました。
急に独りになって悲しみに暮れる娘には母の形見すらない。
その時、
受験前にもらったお守りを思い出し、
娘は「空けるな」という言葉も忘れてお守りを開けてしまった。
中には紙切れが一枚。
そしてその内容は…
「お前がいなければもっと楽な生活が送れるのに。大学なんて…
お前なんか死んでしまえばいいのに。シネシネシネシネシネ」
平成26年1月1日0:00
「明けましておめでとー」
「明けおめ」
年が一つ増え、2014年が始まる。
大童と鏡は新年を大童の部屋で迎えた。藤重は実家で。
「2013年も無事に終わったね」
暖房の効いた部屋で蜜柑を食べてゆっくりしている大童。
「何を持って無事とするのかは康次第だが、ULとしては無事に終わったな。仕事による死者も出てないし」
鏡はソファでゲームをしている。
「だね。負傷はあったみたいだけど。それで済んだなら良かったよ」
「都市伝説は一発で死ぬようなのが多いからな」
「何回やっても相変わらず理不尽というか、反則的だよね。新しく創ることもできるし」
そう言って、蜜柑を一つ口に入れた。
「まぁ、その『力』を個人が所有できないからこそ、大事にはなっていないわけだ」
「自由に使えたら大変なことになってるよね」
「この『世界』の中で二番目に強い力だしな。やろうと思えば『理』を書き換えることはもちろん、『世界』の一つくらい壊して創れるような『力』だ。相当な量が必要だがな」
「相当な量を溜める前に、勝手に切り離しちゃうからそんなことにはなってないんだよね」
「本来なら『炭酸飲料で骨が溶ける』だって、思いっきり溜めてから切り離せば成分を変えることだってできるからな。そこまで溜められないからできないのであって」
話している内容に反して、二人は世間話をするかのようだ。
「よく考えたら、そんな『力』を都市伝説程度でどうにかできてるんだから、大分マシだよね」
「そうだな。所詮内容通りだし、ある程度パターンだからな」
「まあ、中にはどうしても危険なのもあるけどね」
「それでも他の『力』に比べたらマシだがな。やっぱり他の『力』と違って、知性のある奴らが自由に扱えないのが大きいんだろう」
「心理戦とか罠とか予想外とか無いしねー」
手を拭いてから後ろに重心を傾け、手で支えて天井を見上げて言った。
「内容にもよるが、結局動きも単調だし、避けることも逃げることもないしな」
そう言って、今やっているゲームが終わったのか電源を切る。そして本を取り出した。
「ま、切り離せばいろいろと話は別なわけだが」
「どれもこれもが『カオリさん』みたいだったら楽なんだけどね」
「どれもこれもが『恐怖の大王』みたいだったら面倒だけどな」
「あー……僕が生まれてない時のだからあまり知らないけど、大変だったみたいだね」
大童の言葉に、鏡は読んでいた本を閉じる。
「まぁ『1990年』って言う制限と異常な広まりで勝手に切り離せたのは良かったな。ただ、『恐怖の大王』を地球に降ろすわけにもいかんし……かといって宇宙で戦えるようなのも他にいなかったからやるしかなかったし。バレない様にもしないとだったからなぁ……宇宙に行くのが面倒だっただけですぐに終わったけど」
わざとらしく溜息をつく。
「でも一応切り離されたし、予言は当たったってことになるのかな? この場合」
「阻止されただけで当たったんだろ」
「そっか」
「ま、こんな世界規模のものはそうそうないだろ」
読書を再開する。
「そう頻繁に世界の危機になってもね」
「危機ってか、危機未遂って感じだけどな。そういうのなら他のも含めれば三年に一回くらいはある。危機になる前に潰れてるだけで」
「物騒だねー」
「世界規模ではないが物騒なことならもっと多いぞ」
「テロとかそう言う規模?」
「もう少し弱くてもいいが。まぁニュースで取り上げられてるの何て、実際に起こっていることのほんの一部でしかない。幽霊妖怪言霊とかなんて一般人は知らないから、呑気にしてられるけどな。身近で起こっているかもしれないのに」
「知ったら知ったで大変だけどね」
「あぁ。それでも昔に比べればマシだ。特に超能力犯罪は減ったな」
「超能力物質の影響を受けない、通さない物質が開発されてから一気に減ったんだっけ?」
本から目を離して、大童は問いかけた。
「正確には、それが普及して全ての物にその物質が含まれているのが義務になってから暫くしてだな」
「そのおかげで犯罪も減ったし、スポーツとかの大会への参加も認められたんだよね」
「それが含まれていない物を買うのに手続きが必要になったが、多少の手間は仕方がないな」
「そうだねー」
少し間が開いて。
「……まぁ、新年早々話す内容ではないな。どれも」
「……だね」
そうして、その後はそう言った話をせずにゆっくりと過ごした。
平成26年1月8日7:23
「もう三学期ねー……」
藤重は感慨深そうにそう言った。
ここは新学期が始まり、朝の3-5教室。暖房が効いていて暖かい。
「三月には卒業だからね」
大童は本に栞を挟んで閉じ、教室内のカレンダーを見る。
「二ヶ月後には卒業なのね」
「つっても、二月なんてほとんど自由登校だから、学校に来るのは実質今月だけみたいなもんだ」
「もうそれしかないのね……」
片肘をついて溜息。
「だね」
「……」
暫くの間そのまま黙っていた藤重。
「……まあ、何時までもこんなんじゃ駄目よね。しっかりしないと」
「一応授業もあるからね」
「仕事もあるしな。何時までも腑抜けててもらっているわけにもいかない」
「そうよね……よしっ。気持ちを入れ替えるわ」
そう言って姿勢を正す。
「それがいいよ」
「残り少ないからこそ、気を抜かずにいかないとよね」
「うん。どうやって最後を迎えるかは重要だからね」
「過程はともかく、最後がグダグダなのは締まらないな」
「終わりよければすべてよしってわけでも無いけど、確かにそうね」
「最後で全てを台無しにもできちゃうからねー」
「そうなりたくはないわね」
「いくら気を付けても他人のせいで台無しになる場合あるけどな」
「……そう言う不吉なこと言わないでよ」
呆れた顔で鏡の方を向くが、鏡は平然と読書をしておりそれを気にする様子はない。
「場合もある、ってだけだ」
「でも大丈夫だと思うよ?」
「だな。受験に失敗したやつらが自棄を起こさない限り」
「それ、受験生のいる教室で言っていいセリフじゃないわよ」
「誰も聞こえてないから問題ない」
その言葉通り、藤重があたりを見回すが誰も聞こえた様子はない。
「ならいいんだけど……」
自分が言ったわけでもないのに胸をなでおろす。
「ま、その辺のフォローは親御さんや先生、友人親類に期待しよう」
「もう受からない人いること前提ね」
「実際みんながみんな、第一志望に入れるわけじゃないからね」
「それはそうだけど……」
分かってはいるが、簡単に頷くことはできないようだ。
「僕たちは勉強の邪魔をしないことしかできないよ」
「……そうね」
「ようするに普段より少し気をつけてやる程度でいいだろ。そもそも授業中騒がしいクラスでもないしな」
「そうだね。あまりにも腫れもの扱いするのもかえって駄目そうだし」
「そう言われると難しいわね……」
言葉同様、難しい顔をする。
「だったら黙って授業受けてろ」
即答。
「不用意に動かなければいいんじゃない?」
即答。
「そうしてるわ」
即答。
その言葉の後、藤重は早すぎる授業の準備を始めた。
平成26年1月8日16:36
学校から帰って、大童の部屋。
「やっぱり2学期よりピリピリしてたわね」
「ピリピリしてたねー」
「もう決まってる奴もいるが、いない奴等のピリピリが増してんだろ」
「正直あのピリピリだけで疲れたわ……」
「みんな真剣なんだろうね、ピリピリ分だけ」
「ピリピリしすぎも良くないけどな」
「そうね。ピリピリしすぎず気分転換も必要よね」
「ピリピリを引きずらないことが重要だな」
「ピリピリとそうじゃないののON・OFFはしっかりしないとね」
「寮内でもピリピリを若干感じるしな」
「ピリピリが原因の対人関係の悪化は避けたいわね」
「その辺はピリピリへの相互理解が必要だな」
「余裕な人とかもう決まった人にはピリピリは居辛いだけだろうしね」
「ピリピリねぇ……」
「何だったら今からでもULへの試験を作るか。ピリピリを味わう為に」
「え……作るならもっとまともな理由で作りなさいよ。ピリピリの経験の為なんかじゃなくて」
「そもそも作るつもりゼロだしな。何だよ『ピリピリの経験の為』って。そんな理由で作ってられるか」
「鏡君が言いだしたんじゃない。『ピリピリを味わう為』って」
「そんなピリピリは知らん」
「知らないって……」
「……」
「……」
……。
「……何で私たちこんなにピリピリピリピリピリピリピリピリいってるの?」
頭上に疑問符を浮かべて、不思議そうな顔で二人を見る。
「ノリだろ」
「流れだねー」
「それは仕方ないわね」
「……」
「……」
……。
「……仕方ないの?」
「世の摂理だな」
「逆らえない運命だね」
「抗えないってことね」
「……」
「……」
……。
「抗えないわけないわよね?」
「空気がそうさせる」
「脊髄反射だね」
「本能なのね」
「……」
「……」
……。
「本――」
「ま、これはこの位でいいか」
「だねー」
「――そうね」
それから三人はピリピリの話はやめて、別の話に移った。
「そういえば図書委員はもう引き継ぎ終ってるの?」
「二学期に終わってるよ。受験とかの人もいるから、そっちに集中できるように」
「じゃあ二人はもう図書委員の仕事無いの?」
「いや、僕たちは何もないからまだやってるよ」
「受験とかの為に二学期に引き継いでるんだからな。無いなら手伝うべきだろ」
「でもやらなくてもいいのよね?」
「そうだね。でもこの時期も忙しいから」
「あー……まあ暇なら手伝った方が良いわよね」
「少なくともお前より暇人ではないがな」
「うっ……!」
言葉が突き刺さった。
(た、確かに二人ともアルバイトの私よりは仕事量が多いはずなのよね……)
藤重がそんなことを考えている間に、考えるふりをしていた鏡が言う。
「ふむ……この機会に仕事量増やすか」
「え!?」
言葉が刺さったまま、思わず顔を上げた。
この場合の「仕事」は「書類仕事」である。
「卒業も近いしな」
「確かに、それなら慣れる意味でもいいかもね」
大童も賛成を示す。
「なにも一気に増やすわけじゃない。徐々に増やす」
「その方がいきなり増えるよりはいいと思うよ?」
二人の言葉に少し考える藤重。
「ん……まあ、確かに一気に増えるよりはー……いいの、かし、ら……?」
首を傾げながら答えた。
「じゃ、来週から増やすか」
「来週から……ね。分かったわ」
そうして、藤重の仕事量が徐々に増えることが決定した。
正直な話、
大学受験に関してはよく分かりません。
特にそれなりの進学校のことなんてもっと分かりません。
なので想像と言うか妄想と言うか空想と言うか、
おかしなところがあっても『世界』が違うからとでも思ってください。
……いゃ、
それに頼るのはよくないか。
訂正します。
おかしなところがあったらそれは作者のリサーチ不足です。
それでは次回の投稿は最終話(二十九話)を途中まで書いたらです。