UL   作:招代

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最終話を「最終話」にするか「第二十九話」にするか……迷う。
もしくは「最終話(第二十九話)」とか「第二十九話(最終話)」もありか。
まぁその辺はまだ時間はあるのでゆっくり考えます。

最近忘れかけていた設定ですが、
大童の使っている刀は真っ黒で平面に見えます。
理由としては、
刀に触れた光を消滅させる力があります。

科学的なことはあまりわかりませんが、
光が反射しなければ凹凸も判断できないでしょうし平面に見えるんじゃないですかね?
間違ってたらすみません。

では、
正直このことは話と関係ないのであまり深く考えないようにして、
気にせず後編行きましょう。


第二十七話 『母のお守り』 後編

平成26年1月24日19:49

 藤重の部屋。

「そういえば3年はスキー授業ないのよね」

「やってる場合じゃないだろ」

「多くの人が受験だしねー」

「何となく言っただけよ」

 

「ま、そんなことより仕事だ」

 パソコンをしていた鏡が紙を取り出す。

「今年初のこっちの仕事ね」

 今さっきまでやっていた書類をしまう。

「そうねるね」

 二人は差し出された紙を受け取って読み始めた。

 

 読み終えた二人は紙をテーブルに置く。

「旬だね」

「確かに時期はピッタリね」

 大童と藤重は若干嫌そうな顔をして言った。

「見ての通り憑依なわけだが、まぁ……これは家庭の問題だしな」

「生死にかかわるものでもないし、さすがに僕達が改善することではないよね。本人たちがどうにかしないと」

「そうよね……でも何をするの?」

「とりあえず万が一に『お守り』の中を見た『娘』のショックを無くすために、中身を入れ替えるくらいか」

「できるとしたらそれくらいだねー」

「『事故』も別に確定したわけじゃないんでしょ?」

「これからのことで確定してるのは『母がお守りを作り、中身があんな感じの内容』ってだけだな。そもそもこいつが『受験』に成功するかもわからないし」

「そうよねぇ……」

 テーブルに肘をつく。

 

「そもそもの話、生活が苦しい故の『紙切れ』だからな。こいつがキチンと就職すればそれなりに改善しそうではあるが」

「でも受験にしても就職にしても失敗したら悪化しそうよね」

 心配そうな藤重。

「でも、それもこの子次第だからね……」

「やっぱり……そうよね」

「アルバイトでも少しは効果あるかもな。これもこいつ次第だが」

「結局どれだけ『娘』が母親の苦労を減らせるかね」

「つまり僕たちがどうこうすることではないってことだね」

「……そうね」

 

「で、とりあえずこの『母』が『お守り』を作ったかどうかを調べないとな」

「受験用の『お守り』のつもりなら、そろそろ作ってもおかしくないよね」

「でも渡すのは受験前日が確率的に高いのよね。ならその前の日に作る可能性もありそうだけど」

「現時点では確実なことは言えないしな。本当は渡してから入れ替えるのが確実なんだが」

「さすがに肌身離さず持ち歩く可能性のある物を入れ替えるのは難しいよね」

「あぁ。だからそれはやめて、とりあえず一週間後に『母娘』がいない時間を狙って一度調べてみる」

「一週間後で良いの?」

「今さっき憑いたばかりだしな。おそらくまだ行動には移さないだろ」

「その時に調べてまた一週間後でいいのかな?」

「そうだな。その後からは少し間隔を狭めるか」

「でも一週間後って学園あるわよね。休むの?」

「お前等は休まなくていい。どうせ二月には自由登校だしな」

「分かったわ」

 

「と、言うわけで来週の金曜は休む」

 パソコンを閉じてそう言った。

「了解。金曜ならテストも終わってるしね」

「あぁ。で、次だが、入れ替える『お守り』の中身を考えないとな」

「確かに中身は無いと駄目よね」

「入れ替えるなら元々の中身と似たようなものじゃないと駄目だね」

「元々のは『紙切れ』なのよね」

「恐らくな」

「なら同じ『紙切れ』に違う内容書くのは?」

「『娘』なら筆跡でばれる可能性もあるからね。別のものが良いんじゃないかな」

「でも紙くらいの薄さって……何かあるの?」

「んー……」

 大童と藤重は考え込む。

 

 数分後。

「定番だけど四つ葉のクローバーみたいなものでいいんじゃない? それを押し花みたいにして崩れないように栞にするような要領で紙に貼って」

「そういうのなら誕生花でもいいんじゃない?」

「誕生花自体は大きすぎるが、花びら一枚なら大丈夫だろう」

「それならどっちもいれる?」

「ただ、こいつの誕生花は茗荷だけどな」

「……ミョウガなの?」

 予想外の誕生花に確認するように聞き返す。

「茗荷だな。花言葉は忍耐」

「そうなの?」

「そうだな」

「茗荷の花って今の時期手に入るのかな? と言うか、僕が言っておいてアレなんだけどクローバーもあるの、かな?」

 口元に手をやって悩む大童。

「まぁ……仕方がないからそれは用意してやろう」

 本当に仕方がないという風に言う。

「うん、ありがと。押すのは僕がやるから」

「お願いするわ」

「あぁ。後は場所に関してだが、これは来週にどうにかできる可能性もあるからまだ言わなくていいな」

「そうだね。それでいいよ」

 

「後質問は無いか?」

「その子の自由登校はいつからなの? 自由登校になったら一日中家にいたりしないわよね」

「自由登校になるのは同じだ。一日中家にいるかどうかは分からんが、まぁ恐らく大丈夫だろう」

「そう」

「他には?」

「無いよ」

「無いわ」

「なら今後の話はこの位でいいか」

 

「それにしても」

 と、藤重は紙をもう一度手に取って見る。

「この内容が実際にあったわけじゃないけど、ショックでしたでしょうね。この子」

「だろうね。とは言え、母親を責めることもできないけど。本当に生活は苦しかったんだろうし」

 大童も紙を手に取った。

「まぁ、こんなことを思いながらもそれを表面に出さなかったのは良く耐えたと思うが。表面上は仲が良かったわけだしな」

「文面からすると一度もそういうことを、少なくとも『娘』の前では言わなかったんだろうしね」

「そうね……」

「それに最期までそう思ってたかは分からないから」

「……良い方だといいわね」

 大童には藤重が二組の『母娘』に向けてそう言ったように感じた。だから大童は優しく言う。

「そうだね」

 

 それからある程度の時間がしてから、大童と鏡は帰って行った。

 

 

平成26年1月26日8:04

 朝の大童の部屋。

「とりあえず四つ葉と茗荷の花は用意した」

 鏡は箱を取り出す。中にはそれぞれそれなりの量が入っていた。。

「ありがと、それじゃあ押しておくよ」

「『お守り』の大きさがまだ分からないからな。何種類か大きさ作っとけよ」

「了解」

 そして大童は、藤重が来るまでの間に押し花にするための作業を終えた。

 

 

平成26年1月31日21:01

「とりあえず調べてきたが、まだ『お守り』を作って無かったな。材料らしきものはあった。タンスの下から二番目に」

 藤重の部屋。対象の部屋を調べていた鏡が、戻ってきて現状を伝える。

「じゃあとりあえず一週間後だね」

「そうだな」

「時間はどうするの?」

「早すぎても母親が仕事に出てないしな。とりあえず午前10時くらいにここでいいだろ。後、昼飯を持って来ておけ」

「分かったわ」

「了解」

「じゃ、帰るか」

「そうだね。時間も遅いし」

 そう言って二人は帰った。

 

 

平成26年2月7日12:00

 曇り空の下、アパート前に一台の車が止まる。

「おはよ、二人とも」

 藤重は暖房のついた車に乗り込みながら挨拶をした。

「おはよー」

「はよ」

 

 藤重が車に乗って、発進してすぐ。

「そういえば何処に行くの?」

「ここから25分程度の所にあるアパートだな」

「そう」

「正確にはその付近で対象が出かけるのを待つことになるが」

「今回は部屋は空いてなかったの?」

「残念ながらな」

「空いてないものは仕方がないよね」

「ま、車の中でゆっくり待てばいいさ」

「停めておける場所はあるのね」

「あぁ」

 車は目的地へと走り続ける。

 

 

平成26年2月7日10:25

「着いた」

 車は目的地付近の有料駐車場の一角に停まった。

「とりあえず場所を確認するために一度降りるぞ」

「了解」

 三人は車から降りる。

 

 

平成26年2月7日10:27

「ここの101号室だ」

 三人の前にあるアパートは年季が入っており、見た目からして古い。

「もう母親は仕事に出てるのよね」

「気配は一人分しか感じないね」

「確認したし、車に戻るぞ」

 三人は来た道を戻る。

 

 

平成26年2月7日10:30

「ちなみにここから気配は分かるの?」

「僕には遠いかな」

「どうするの?」

 運転席の鏡を見る。

「玄関ドアに盗聴器を仕掛けてきてある。だから外に出れば分かる」

「なら大丈夫だね」

 

「それで、これからのことだが」

 鏡はパソコンを取り出して開く。

「『娘』が出かけた後は、お前等は家の中を探せ。前も言ったが、前回はタンスの下から二番目にあった。これは鍵だ」

「了解」

 渡された鍵を受け取ると、ポケットにしまう。

「鏡君は?」

「後をつける。対象が家に帰るようだったら連絡する。お前等も探し終えたら連絡しろ」

「分かったわ」

 

 それから待ち続ける事、お昼。

「お昼にする?」

「そうしとけ」

「ならそうさせてもらうわ」

 二人は弁当を取り出して食べ始めた。

 

 さらに一時間と少しの後。

「ん」

 鏡のパソコンから扉が開くような音がした。

「出かけた?」

「鍵を閉めた音がしたからそうだろうな」

「ならもう行かないとね」

「そうね」

 三人は車から外に出る。

 

「それじゃ、僕たちは探してくるね」

「荒らさないようにな」

「気を付けるよ」

 大童は鏡に向かって片手をあげながらそう言って、藤重と共にアパートへと向かう。

 

 

平成26年2月7日13:43

 アパートについた大童達は、念のため中にいないかを気で確認してから侵入した。

「お邪魔しまーす……」

 藤重は勝手に侵入することを気にして、せめてもの礼儀に小声でそう言ってから入る。

 

 部屋の中は和室で綺麗に片付いており、物自体もそこまで多くないようだ。そして先ほどのお昼ご飯に使ったのか、水切り棚には濡れた食器が立てかけられている。

「たしか先週は『タンスの下から二番目』にあったんだよね」

「そのはずね」

「とりあえずはそこから調べようか」

 二人は小声で会話をしながら、足音を立てないようにタンスへと向かう。

 

 

平成26年2月7日13:44

 部屋の角に置かれたタンスの前。

「えっと……下から二番目」

 の、引き出しを引く。

「ありそう?」

 後ろから藤重が覗き込む。

「んー、パッと見はなさそうだけど。藤重さんは別の所も見てみてくれない?」

 表層には無いようなので、中に入っていた箱などを一個一個開けて見ていく。

「分かったわ」

 藤重も目ぼしいところを探しにかかる。

 

 少しして。

「あ」

 声を上げた大童の方に藤重が振り向く。

「あった?」

「あったけど、まだ作ってないみたい」

 大童の手の上にある箱には、おそらくお守りの材料と思われるものが入っていた。

「それなら早く出ましょ」

「そうだね」

 箱を元の位置に戻して立つ。

 

 二人は外に人の気配がないかを、大童が気でしっかりと確認してからでた。

 

 

平成26年2月7日13:55

 大童は鏡に連絡してまだ作られていなかったことを伝え、車の所まで戻ってきた。

「なかったか」

「うん」

 そこにはすでに鏡がいたので、そのまま車に乗り込む。

 

「なら次は明々後日にしておくか」

「了解」

「分かったわ」

 次回の侵入日を決め、車は帰路についた。

 

 

平成26年2月10日13:10

 月曜日、再び『母娘』のアパート。

「今さらだけど」

 玄関を入ったところで、藤重が呟く。

「まさか不法侵入したうえで、家の中を漁る日が来るとは思ってなかったわ……これってやっぱり空き巣になるのかしら」

「金品は盗んでないし、不法侵入じゃない?」

「そう。まあ、だからどうこうってわけでも無いんだけど……」

 藤重は溜息をついた。

 

 

平成26年2月10日13:11

 大童は再び同じ所に行き、同じ箱を開けて見る。

「ん?」

 それから中身を取り出す。

「これかな?」

「あったの?」

 取り出した赤い布で出きた『お守り?』の紐を解いて中身を確認すると、中には折り畳まれた紙が入っていた。

「『紙切れ』も入ってるし、これだと思う」

「なら後は中身を入れ替えるだけね」

「だね」

 大童は胸ポケットから押し花が貼られた二枚の紙を取りだし、入れ替える。そして、再び二重叶結びを施した。

 

「その紙はどうするの?」

 藤重が大童の手にある『紙切れ』を見て言う。

「このままその辺のゴミ箱に千切って捨てるよ」

「そうね。それがいいわ」

 『紙切れ』は開かずに、そのまま胸ポケットへ。

 

 二人はその場を後にして、中身を入れ替えたことを鏡に報告して車に向かった。

 

 

平成26年2月10日13:18

「『紙切れ』はどうした?」

 車の所に来ると、鏡がそう言う。

「その辺のゴミ箱に千切って捨てようかと思ってるけど」

 その返答に、少し目を瞑ってから。

「まぁ、それでいいか」

 と言った。

「終わったならとっとと帰るぞ。雪も降りそうだしな」

「そうね」

「了解」

 藤重が空を見上げると、天気は相変わらずの曇天だった。

 

 

 

第二十七話『母のお守り』終了。

 




残り二話ですか。
あ、
表面上は四話か。
長かったような短かったような……。

兎にも角にも次回は最終話を書き終えたら載せます。
いゃ、
書き終えられなくても月曜に載せることにします。
ストック残しておいても意味ないですしね。
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