まだストックあるからって余裕ぶっこいて高を括ってたらこの有様ですよ。
第二十九話を全然書き終えてないんです。
この土日に何とかしなくては……。
大童と藤重の武器について。
第二話藤重の「しっくりくる」「自然な感じ」発言の通り持っていて違和感がありません。
まさに体の一部といったような感じです。
理由は持ち主に合わせて作っているというわけではなく、
持ち主と同じ「存在」でできているからです。
あ、
同じといっても痛覚があるわけではありませんし、
武器が傷ついたら持ち主が傷付くなんてこともありません。
ただ単に同じ「存在」なだけです。
ま、
このことも話にはあまり関係ないところなので気にしないでください。
それでは後編に行きましょう。
平成26年2月21日10:00
今日も今日とて大童の部屋に三人はいる。
「仕事だ」
そしていつも通りにそう言って、紙を渡す。
短いのですぐに読み終えた藤重が口を開く。
「聞いたことない都市伝説ね」
「『下水道の白いワニ』同様に外国産の都市伝説だ。日本ではそっちほど有名ではないけどな」
「へー」
藤重が感心したようにそう言って、紙をテーブルに置く。
「確か、何年か前にゴールデンタイムの心霊番組か何かで少しだけ取り上げられてたよね」
「そうだな。その時は少しだったからすぐには実現レベルまでいかなかったんだが、じわじわと溜まったのが今来た」
「たいして話題にならなかったのね」
「そうだね。ホントに少しだったし」
肯定して、大童も紙を置いた。
「それで、今回は『洗面所』から出ればいいの?」
「いゃ、それだと消えないな」
「……どうして?」
首を傾げる。
「『ブラッディ・マリー』が『洗面所』に出るとは書いてないからね。あくまでも『洗面所』で三回唱えると出るってだけだから」
「あー、なるほど。つまり『真夜中』の間、顔を剥ぎ取られなければいいのね」
「だね」
「にしても……」
と、口元に手をやって目を瞑る藤重。
「『顔を剥ぎ取る』って言うのは、惨いって言うかグロいわね」
「まあ、あまり想像するものではないと思うよ?」
「……そうね」
大童にいわれた藤重は、目を開いて気持ち悪そうに呟いた。
「これも内容はいろいろあるんだが、単に『発狂』だの『死亡』だのよりはマシだろ」
「そっちのは方がグロさはなさそうだけど」
「この都市伝説は振れ幅が大きいが、確かにグロさはこれが一番あるのかもな」
「他にはどんなのがあるの?」
藤重に聞かれて、鏡は語り始める。
「そうだな……目を潰されたり、顔を引っかかれる程度だったり、ただ出るだけだったりもする。未来が鏡に映るバージョンもあったか。呼び出し方法も蝋燭使ったり、三回まわるとかいろいろ。場所も『洗面所』じゃなくて、コレとゆかりのある場所で車のバックミラーを見ると、とか。話を聞いた人の所にも表れるとか。存在自体も幽霊だったりする場合があるな。とにかくバリエーションが多い」
「確かに多いわね」
「つっても、都市伝説にはありがちだけどな」
鏡は後ろに体重をかけた。
「どうしても伝播する過程で勝手に削られたり付け加えられたりしちゃうからね」
「所詮噂なんてそんなもんだろ。より面白おかしく怖く話易く、みたいにな」
「確かに、勝手に尾ひれとかがつくわね」
「それで簡単になれば良いんだけど、大変になる時の方が多いから困るよ」
「お前くらいなら大して気にすることでもないけどな」
「まあね」
「で、話を戻すが」
鏡が脱線した話を仕切りなおす。
「今回やるのは大童」
「了解」
「日にちはいつでもいい。指定もないし、どうせ自由登校だ。翌日を気にする必要はないからな」
「だったら早い方が良いわよね。大童君次第だけど」
「なら今日かな」
「それでいいならいいだろ。次に時間だが、『真夜中』だな」
「『真夜中』って深夜?」
「その場合もあるけど、0時を指すのがほとんどかな」
「本当はそれも季節によって変わるんだけどな。そこは気にしなくていいだろ」
「そうなの? まあ、鏡君が大丈夫って言うなら大丈夫なんでしょうけど」
「あー大丈夫だ」
パソコンをいじりながら表情を変えず適当に言う。
「……」
その態度を見た藤重の頭を不安が過った。
「……ホントに大丈夫なのかしら?」
「大丈夫だよ」
確信を持って大童が答える。
「私もそうだとは思うけど……」
鏡を再び見ると、またパソコンをいじっていた。
「……まあいいわ。で、深夜と0時の可能性があるみたいだけどとりあえず深夜を試すのよね」
「そうなるな」
「それで出来なかったら0時ね」
「そうだね」
「でも場所はどうするの?」
「大童の家で良いだろ。ここじゃない方の。丁度物が少ない状態だしな」
「そうだね、一軒家だから周りを気にする必要もないし」
「……いいの? 新築なんでしょ?」
特に気にも留めていない様子の大童に、藤重が心配そうに尋ねる。
「どうして?」
分からないという風に藤重を見る。
「いや、だってせっかくの新築なのに傷がつくかもしれないじゃない」
「んー……」
その言葉に少し考えてから、
「大丈夫。わざわざ狭い『洗面所』で戦うわけじゃないし、蹴り飛ばしたりしなければ傷つけないで終わらせられると思う」
自信を持ってそう言った。
「大童君がそう言うなら別にいいんだけど……」
それを見て、鏡が手を1回叩いて鳴らす。
「話はまとまったな。今日の11時に大童の家で行う。ここを出る時間は余裕を持って10時半でいいだろ」
「了解。それまでは時間もまだまだあるし、ゆっくりしてればいいね」
「そうね。まだ午前中だもの」
「やる事があるわけでもないからな」
3人は10時半までマッタリと過ごすことにした。
そして夕飯も終えて10時半。
「行くか」
「そうね」
「了解」
3人は寮を後にして、新築の大童の家に向かった。
平成26年2月21日22:50
藤重のアパートとは若干違う方向に歩くこと20分。3人はカーポートのある駐車場付きで、その辺にある家よりちょっと大きいくらいの2階建ての家の前に立っている。
「ここだよ」
大童は敷地内に入って、玄関にカギを差し込み回す。
「とりあえず何もないけど入って。まだヒーターとかはないけど、床下暖房は付けてあるから床はあったかいと思うよ」
扉を開けて、3人は中に入った。
平成26年2月21日22:51
ここは一階のリビング。家具などがまだ無いことを除けばいたって普通だ。
部屋は床以外冷えているので、大童達は外着のまま部屋の中にいる。
「とりあえず実現させておくか」
部屋の角に座ってパソコンを取り出し、操作し始める。
「ホントに何もないわね」
「買ってはあるんだけどね。まだ配線とか配置を決めてないから。寮の物も移し切ってないし」
「後後で変えるのも手間だものね」
「だね」
「実現は終わった」
数分後、パソコンを閉じる鏡。
「了解。時間も時間だし、そろそろ『洗面所』に行っておくよ」
「そうするといい」
「そう言えば私は何処にいればいいの? やることは無いから見てるだけで良いんでしょうけど」
「この部屋の端で座って見物してればいいだろ」
「うん。『洗面所』をでたらここに来るから」
「分かったわ。ならそうするわ」
藤重はとりあえず鏡の隣辺りに座った。
「それじゃ、とりあえずいってくるよ」
「行ってこい」
「気を付けてね」
大童は『洗面所』へと向かった。
平成26年2月21日23:00
「とりあえず……」
『洗面所』に来た大童は『鏡の前』に立つ。
「『ブラッディ・マリー、ブラッディ・マリー、ブラッディ・マリー』」
……。
「……」
暫く待つが、
「出ないね」
何も起き無いようだ。
(とりあえず戻ろうかな……)
大童は再びリビングに戻ることにする。
平成26年2月21日23:11
「でなかったよ」
「そうか。なら0時だな」
「だね」
それから特にやる事も無いので、0時まで読書やパソコンで時間を潰した。
「そろそろかな」
携帯を開くと、時刻は一分前を示している。
「また行ってくるよ」
「あぁ」
「気を付けて」
「了解」
大童を再度『洗面所』へと向かう。
平成26年2月22日0:00
「『ブラッディ・マリー、ブラッディ・マリー、ブラッディ・マリー』」
先ほどと同じように三回唱える。
「……」
すると大童の横、『洗面所』の入り口の方に雑音が響く。
(……来た)
横を向くと、そこには『血まみれの服をきた女』が立っていた。髪は長く表情は見えない。
狭いので刀を振り回せない大童は、刀を袋にしまったまま持つ。
(先手必勝……!)
大童は相手が動く前に体勢を少し低くして右足を相手の両足の間に入れると、自分のつま先を相手のアキレス腱に引っかけ思いっきり引寄せる。それと同時に手に持った刀を袋ごと相手の胸辺り向けて突く。
刀は袋に入っているので貫くことはせずに、相手を勢いよく押す。それが足の引きと合わさり、相手はバランスを崩した。
(とどめ)
大童は体勢を直して、体制が崩れて倒れかけている相手の心臓辺りを足で踏み潰し、強制的に地に伏せさせる。それを踏み越えてリビングへと向かった。
平成26年2月22日0:01
リビングについた大童は袋から刀を取りだし、袋を藤重たちの方に投げ捨てる。
「預かっといて」
「わかったわ」
それを藤重がキャッチ。
そして大童が今通った方向に向き直ると、起き上がったのか、相手がこちらに向かってくる音が聞こえる。その音が近づくほど、血の臭いが濃くなっていく。室内なのでなおさらだ。
数秒後、相手がリビングに入ってきてそれなりに近づいてきたところで一歩踏み込み、床を傷つけないように下から上へ相手を両断する。さらに壁に近い右から左へ少し斜めに切断。そのまま流れるように左足を軸にして半回転。踏み込んだ右足を後ろに引き、今度はそれを支えにして一本足で立つと、左足で四分割された相手の右上(大童から見て)を壁にぶつけない程度に蹴り抜き、そのまま左上を踵で蹴り落とした。
(とりあえず様子見で……)
後方に跳んで、踏み込んだ分より若干多めに距離を取りリビング中央あたりへ移動する。
分割された相手の部位はそれほど離れていなかったので、数秒後には下半身同士もくっついて大童の方へと歩きだしていた。上半身も修復されつつある。
大童は再び踏み込んで下半身を左下から右上へと切り、Xを描くように右下から左上へと切るのを繰り替えし刻み込む。
切り刻まれた欠片が次々と床へと落ちていく……ボトボトと。光景としては良い光景ではないが、修正する片っ端から切り刻んでいるので相手は修正も出来ず動けない。
大童はそれを繰り返し続けた。
一方、単純作業を繰り返している大童を見ている藤重と、読書をしている鏡。
「やってる事は単純だけど……よく続けられるわね」
呆れと感心の混じった声で言う藤重の視線の先の光景は、かれこれ30分は続いている。
「本当ならもっと蹴り飛ばしたいところだがな。家を傷つけないようにするならあれが良いだろ。ま、1時に終わるだろうから、あのペースなら一時間は余裕だ」
「相変わらずおかしな体力と言うか、何と言うか……」
「そんなに力を入れてるわけでもないしな。少し『気』で補助もしてる」
「便利ねー」
「お前も入社したらあの位は使えるようになってくれないとな」
「……精進するわ」
それからも見学し続けて、時間は過ぎていく。
……そして、1時。
部屋中に雑音が響き始め、大童は刀を振るのを止める。
「ふぅ……」
息をはき、藤重の方に向かう。
「刀をしまうから、袋をくれる?」
「ええ、お疲れ様」
藤重は立ち上がって大童に袋を渡し、それに刀がしまわれる。
大童の後方では雑音が止んで、血の臭いも消えていた。
「見た感じは部屋に傷もないし、無事に終わってよかったよ」
辺りを見回して言う。
「そうね」
「なら帰るぞ」
鏡は先ほどまで読んでいた本を閉じた。
「そうだね。送ってくよ、藤重さん」
「お願いするわ」
自然な流れでそう言い、三人は家から出る。
そして藤重は大童に送られてアパートに帰り、大童も寮に帰った。
第二十八話『ブラッディ・マリー』終了。
次回は最終話(前編)か……前後編に分けたりしたとは言え、
よく表面上は60話以上書けたなと思います。
……まぁ、
内容のことはさておいてください。
それでは次回の更新は日曜日に。
それまでにはせめて最終話を書き終えないと……いけませんね。
最後でポカやらかしたくはないので。
できる範囲で頑張りましょう。