UL   作:招代

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6000文字まで書いていたのに日数がかかってしまいました。

何故かと言うとですね、
少しゲーム(放置ゲー)にはまってしまいまして。
放置っていっても最初の方ってあまり放置せずにグングンいけるじゃないですか。
それに気を取られてしまっていました。

今はそれなりに放置できる状況なので執筆時間は取れるはず……。



第三話 『テケテケ』 前編

夕方。

男性が歩いていると、

数十メートルほど先の電柱の影に女性が立っているのが見えた。

だんだんと近づいていくと、

女性はこっちをみて微笑んだ。

つい男性も微笑みかえす。

しかしその笑顔は完全に凍りつく。

電柱から体を出した女性の下半身はなかったのだ。

テケテケテケテケテケ・・・

そしてひじを使って彼のほうにすごいスピードでやってきた。

 

次の日、

足をもがれ息絶えた彼の姿が発見された。

 

 

 

平成24年1月13日17:45

 クリスマスや正月、総じては冬休みを吹っ飛ばして、ここは都学園学生寮。暖房の効いた大童の部屋。大童と鏡は授業が終わって真っ直ぐここに来ていた。外は雪が降っており中々の寒さだ。

 そして大童は今週分の仕事を終えて読書。鏡は携帯をいじっていたが、用が済んだのか携帯を閉じた。

「そーいや」

「?」

 本から目を離した大童は唐突に喋った鏡に目を向ける。

「そのうち藤重を新潟県支部くらいには連れて行かないとなぁ……」

「そういえばそうだね」

「だが正規社員になってからでも良い気がする」

「まぁ、まだアルバイトだし報告はしてあるんでしょ」

「まぁな。と、言うか」

 

 ソファに寝っころがる鏡。そして再び携帯を開いて言う。

「わざわざ行くのがメンドイのが本音」

「ははは……」

 と苦笑い。それを聞いて鏡は顔だけ大童の方を向く。

「実際問題、大した用事もないし何かあった時のついでで良いだろ」

「んー……確かにねぇ。顔合わせの為だけに行って帰ってくるのはもったいなかも」

「だろ? やっぱり何かのついでで良いかぁ……」

 携帯に目を戻す。大童は本に栞を挟み、両足をのばして両手を後ろにして体を支えて考える。

「でも何かのついでって言っても……あ、藤重さんが試験受けるときで良いんじゃないの?」

「Dには筆記だけでなれるだろ。行く必要はないしなー」

「あーそうだったね。それじゃ、最低でもCランクの試験の時だね」

「だがそれだと……無いとは思うが、入社の方が早い可能性もある。試験に実績が必要だしな」

「まぁ、卒業までやってて実績が足りなくなることはないよね。受かるかどうかは別として」

「そうだな。受かるかどうかは別だ」

 

 大童は姿勢を戻して胡坐をかき、テーブルの麦茶を飲む。鏡は携帯を閉じて体制を戻して背もたれによっかかる。

「だが、それもないだろうな」

 それに対し大童は頷く。

「うん。今でもその辺のCランクくらいは能力だけならあるしね」

「だけならな。もう少し経験が欲しいところではあるがな」

「仕事の?」

「それも含むが、あいつ遠距離だからな。もう少し回避や防御とかの技術が欲しな」

「そうだねー……女性が標的のもあるからそういうのから身を守れるくらいには欲しいね。たとえ狭い場所とかでも」

「その位あると楽にはなるんだが。壁とか壊さなくて済むし」

「迷惑かけちゃうからねー……修理費もかかるし、直すのは僕たちじゃないし」

 申し訳なさそうな表情の大童とは裏腹に、鏡は特になんとも思ってい無いようだ。

「ま、出すのは会社だしな。直すのはその時々だが……ってか、いちいち壊すのはスッキリするかもしれないが手間だな」

「んー……それはあるかも。でも正面から入るわけにはいかない時もあるからね」

「あぁ。正面からは下手したら変態扱いだ」

 確かに、と笑いながら人差し指を立てて言う。

「でもさー、だからって壁をぶっ壊すってのは良く考えたら凄い話だよね」

 それに対し少し考えるふりをして答える。

「ふむ……まぁ、綺麗に壊せば一見分からんし問題ないだろ」

「問題はあると思うけど……まぁ、綺麗な分すぐに治るから――」

 と言いかけて、首を傾げる。

「あれ? 今思うといいのかな」

「気にすんな。変態容疑よりは良いだろ」

 大童はその二つを天秤にかける。心の中では悪魔(破壊)と悪魔(変態)が戦っているので、その意見を熟考した結果。

 

「まぁいっか」

 破壊が勝った。当然の結果である。

「だろ? それで話がかなりずれたが」

 仕切りなおすように区切ってから。

「その技術以外にも、不安定な場所、悪条件での射撃もさせておきたいところだ」

「それもした方が良いね。でも藤重さんならすぐに慣れそうな気がするよ」

 妙に自信のある表情で言う。

「そうだな。大会優勝は努力もあるだろうが才能と言えばいいか、弓の適性値が高いんだろうな」

「自分に合ったものを選べてるっていうのは結構な利点だよね」

「まぁな。適性が無くても自分のしたいことをするのが一番だが、その場合それ相応の努力、鍛錬、工夫が必要になるからな。天性のものとしか言いようのないものもあるし」

「そうなると課題は防御と回避かー」

 ごろん、と寝っころがる大童。

「本格的なのは入社してからでいいだろ。今は学園生活を楽しむのが優先だ」

「そうだねー……普通は一度っきりだからね」

 そう言って鏡を見た大童の方を向いて言う。

「あぁ。だからお前も楽しめよ」

「十分楽しんでるよ。これ以上ないくらいに」

 笑いながらもしっかりとした声で答える。それを見て納得したかのように鏡は目線を外して、

「ならいい」

 一言、そう言った。

 

 

平成24年1月18日16:52

 雪が降る学園帰りの道中。

「仕事が入ったからお前の部屋によらせてもらうぞ」

「うん。いいよー」

 二人は寮に向けて歩いていく。

 

 

平成24年1月18日16:56

 そして部屋についた。タイマーを設定していたのだろう、中は既に暖房が効いている。二人は定位置に座ると、鏡が鞄からパソコンを取り出して画面を開いてから大童に渡す。

「旬ものだぞ」

 

「あー確かに旬だね……」

 パソコンを返す。そしてそのパソコンを閉じると、再び鞄にしまった。

「ま、頑張れ」

「うん」

「だが今回は少し楽かもしれないぞ」

「また藤重さんにも何かしてもらうの?」

「妨害だな。それに『すごいスピード』がどのくらいか分からんが、動く的だと思えば良い経験になるだろ」

「なるほどね。でもそうすると矢がいっぱい必要になりそうだね」

「いゃ、刺すのが目的ではないからな。再利用すればいいだろ。どうせ狙われないし」

「そーだね」

「問題があるとすればお前だろ」

「ん?」

 他人事だったのか、突然の「問題」宣言をされて分からないという風だ。

 

 そんな大童に対し、他人事のように言う。

「あいつの空いている日、土日に地面が凍っていないといいな」

「もし凍ってたら難易度跳ね上がるよね……」

 季節の特性を思い出して上を向き、溜息。鏡はパソコンを取り出して何かを検索。それを大童に見せる。

「一応今週の天気は雪だ」

「吹雪かなければいいんだけど」

「晴れて凍った地面を動くよりマシだろ」

「でも視界が悪いのも厳しいと思うんだけど……」

「そこまで吹雪だったら厳しいが、暴風雪の予報ではなさそうだ。まぁ、予報は予報でしかないが」

「うーん……凍結はスパイク付きの靴である程度どうにかなるけど、視界が見えなくなるのはどうしようもないよね」

「見えなくなるほどの暴風雪なんて今週は無いと思うがな」

 それを聞いて、鏡の方を向いてあっさりと言う。

「ま、自分でも見え無くなるほどっていうのは無いなーとは思ってるけどね」

「あぁ。だからそこは気にしないでいい。だがスパイクは用意しとけ。雪とは言え、積もるとは限らないからな」

「うん。たしか前冬用に買った靴についてたと思うんだけど……」

「サイズは確認しとけよ。当日になって履けないとか話にならんぞ」

「買った時からサイズは変わってないよ」

「いつ買ったのか知らないが、ならいい」

 開いていたパソコンを閉じて再度しまう。

 

 その後、やる事もないので大童は栞を挟んだところから本読みを開始する。鏡は何かの資料を読んでいる。

 

 そして本を読み終えた大童は、一息ついてから携帯を取り出した。

「そういえば藤重さんに何も連絡してない」

「まだ部活中だろ」

「あ、そっか。じゃぁメールしておこうかな」

「好きにすればいい。部活中ならいつやってもほぼ一緒だしな」

「そうするー」

 そう言って携帯を操作し始める。が、すぐに止まる。

「どうした」

「今回は何時集合にする?」

「4時くらいで良いだろ。目的地までは10数分ってところだしな」

「了解。持ち物は弓持って来てもらえばいいね」

「あぁ」

「それじゃー……」

 

『仕事が来ました。

 

 時間は16:00に

 迎えに行くので、

 空いている日を

 教えてください。

 

 持ち物は弓で。』

 

「オッケー、送信したよ」

「そうか」

 携帯を閉じた大童が鏡の方を向く。

「この後特に用事は無い?」

「今日は無いな」

「じゃあトレーニングに付き合ってくれる?」

 少し考えるようにして。

「ふむ、まぁいいか。場所はいつものところで良いな」

「うん。いいよー」

「じゃ、とっとと行くぞ。刀を忘れるなよ」

「了解」

 大童と鏡は立ち上がって玄関の方に行き、傘を持って部屋を出た。

 外はまだまだ雪が降り続けている。

 

 

平成24年1月19日6:30

 いつも通り1-2教室。すでに中は暖房がついており、温まりきっている。

「おはよー」

「ぉはよ」

 席に座る。

「藤重さん、今週の土曜は大丈夫だって」

「そうか。天気予報はいまだ雪だな」

「気温はどのくらいになりそう?」

 聞かれたので鏡はかまっていたパソコンで調べる。

「低くはなさそうだ。水っぽい雪になるかもしれないな」

「それならその方が良いよね。滑らないし。靴は濡れそうだけど」

「まぁ、もし滑ったらそのまま転がってけ。変に耐えるよりはいいだろ」

「だねー……服が濡れるのが難点だけど」

「その時は諦めろ。と、いうかそこまで服にこだわりはないだろ」

「うん。でもびしょびしょなのを着てたら体にもよくないし、気持ち悪いよ」

「なんなら合羽でも着てくか? レインコートでも良いが」

「その二つの違いは分からないけど、あれって蒸れるんだよね……その方が嫌かな。でも濡れるのもなー……」

 暫く考え込む大童。甲乙つけがたい選択のようだ。

 

「なら転ばないように祈るしかないな」

「そこは地面が凍っていないように、じゃないの?」

 その疑問に鏡はパソコンから目を上げて、大童の方を向いて答える。

「凍って無くても転ぶ時は転ぶからな。世の中には何もないところで転ぶ強者もいるし」

「僕はそんな転び方したことないんだけど……もしかして僕ってドジだったの?」

(あれ? もしかして転んだことあったのかな……記憶にないけど……でもそう思うとあったような気がしてくる……)

 自分ではそう思っていなかったのか、戸惑いながら聞く大童。

「いゃ? そんなことはないが」

「え、あ、そう」

「あぁ」

「ならいいんだけどさ……」

「それにしても」

 と溜めを作って、

「雪降ってたら普通に濡れるだろ。傘をさすわけにもいかないんだから」

「あ……」

「濡れても問題ない上着着てけよ」

「うん、そうする。これって藤重さんにも伝えておくべきだよね」

「ふむ……そうだな。あいつの家集合だからその場でもいいとは思うが、手間は少ないに限るな」

「了解」

 携帯を取り出してメールを打ち始める。

 

『仕事の日は天気が、

 雪の予定なので、

 濡れていい服装で。』

 

「送ったけどー……いま朝練中だね。まぁメールだしいいや」

 仕事の話を終えて、二人はHRまで雑談に興じた。

 

 メールはHRが終わった後に帰ってきた。

 

 

平成24年1月21日15:55

「えっと……服装はこれで良いかな。濡れてもいい服装ってあったし」

 五分前。家で準備を終えた藤重は最終チェックをしていた。

「弓も持ったし、靴も動きやすいものにしたしー……よし! 準備完了!」

 そうして家を出ようとするが、ふと立ち止まり家に戻る。

(暖房消し忘れてた……)

 無言でスイッチをOFFにする。そして今度こそ家を出るためにドアを開けると車は既に止まっていた。

 

 

平成24年1月21日15:57

「お待たせ」

 ドアをかけて藤重が後部座席に座る。大童は助手席から振り返る。

「今来たところだよ」

 そして車は発進する。

 

 少し走った後、暖房の効いた車内で藤重が聞く。

「目的地までどのくらいなの?」

「十数分だな」

「そう。それで今回はなんの都市伝説なの? 聞いてないんだけど」

「旬ものの『テケテケ』だよ」

「テケテケってあれよね。上半身しか無いやつ。どうしてそれが旬なのよ」

「んーと。パターンの一つで『テケテケ』の正体が『冬の北海道で電車に轢かれて下半身を失った女性』の時があるんだよ。だから旬」

「へー……そうなの」

「うん。あ、これ今回の内容ね」

 そう言って紙を取り出して渡し、藤重はそれを読み始める。

 

「『すごいスピード』ってどのくらいよ」

「その時々で上下はあるけどー……凄いよ?」

「凄いの?」

「うん」

「計ったことはないがな」

「そう。で、今回は夕方が終わるまで逃げるしかなさそうだけど。内容的に」

 紙を大童に返す。それを受け取って再びしまう。鏡はバックミラー越しに藤重を見ながら言う。

「『テケテケ』じゃ無くすとか意味が分からんだろ」

「……そうね」

「下半身を付けるわけにもいかないしね」

「そもそも付けられるの?」

「いゃ、付けられないよ?」

 当然のことのように言う大童に対して、

(じゃぁなんで言ったのよ)

 という思いは閉まったまま言う。

「まぁそうよね。一瞬溶接でもするのかと思ったわ」

「溶接は溶けるが、縫う事自体は可能だ」

「できるの!?」

「だがそれで下半身があることになるのかというと、どうだか」

「まぁ、ただ繋がってるだけになるかもね」

「中身を付けられないからな」

「中身って……内臓のことよね」

 自分で言ったのに気持ち悪そうにする藤重。

「基本内臓とかはないしな。『口裂け女』や『人面犬』も血とか出なかったろ」

「そういえばそうね」

 言われて気づく。それに対し大童が後ろを向いて付け加える。

「でも内容にそういう描写があれば内臓とかもあるよ」

 言われて想像したのか、口を押えながら言う。

「できれば……会いたくないわね」

 それを見て前を向いてから、ばれない様に笑う大童。鏡は飽きれている。

「そうだねー」

 そして藤重は想像で少し気分が悪くなったのか、数分の間無言だった。

 

「そういえばさぁ」

 復活した藤重が唐突に発言をする。

「ん?」

「夕方が終わるギリギリで実現させれば楽になるんじゃないの?」

 名案とばかりに提案するが、そういう考えが出るのは仕方がないという感じで大童が言う。

「あー……そう思うよね。でも、それはやめた方がいいよ」

「どうして」

「時間の設定がある場合、その始まりの方が実現する可能性が高く、時間経過とともに低くなっていくからな。もし実現できるくらい溜めておいて実現しなかったら不味いだろ」

「次の日に被害者が出るかもしれないからね」

「そうだったんだ……確かにそれは駄目ね」

 自分の浅はかさに少し反省するが、そもそもそんなことは聞いていなかったので仕方がないだろう。

 

 そうこう話している間にも車は目的地周辺についた。

 




自分としては何もない限り、
一週間に一回くらい更新できればいいと思っているんですが、
できる自信はないです。

無理に頑張るとその分の反動が来る可能性が……
リバウンドしないように気を付けたいです。

次回は六話を途中まで書いたら載せます。
ちなみにまだタイトルが決まっただけです。
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