UL   作:招代

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土曜に書き終えるつもりが土日が使えず月曜に……。
言い訳がましいですね。

前も言いましたが自己ノルマとしては、
週一回なのでまだ大丈夫……平気平気。

けど仕事のおかげで睡魔が……。
最近うっかりすると風呂で眠ってしまいそうになります。

では後編です。


第三話 『テケテケ』 後編

平成24年1月21日16:10

「着いたぞ」

 そうしてついた場所は両側に家の並ぶ、いわゆる住宅街。道路は車二台が余裕で通れる広さで、電柱が等間隔で並んでいる。空からは雪が降り、道路は程よく積もっていて凍っている様子はない。

「今回はこの辺なのね」

 周りを見渡しながら言う。

「そうだな。じゃ、車を置いてくる」

「了解」

 車はまた何処かへと走っていく。

 

「この前もだけど何処に車置いてるのかしら」

 車が去っていた方を見る。

「その辺の駐車場じゃない? この辺りは路駐禁止みたいだし」

「まぁ、別にいいけど。違反とかしているわけじゃないだろうし。それよりも」

 と、もう一度辺りを見回してから大童を見て尋ねる。

「今回は時間もかかりそうだし、これだけ家があると誰か知らに見られちゃうんじゃないの?」

「それはほぼ大丈夫だよ。特に家の中は」

「何で?」

「今回の内容もだけど、登場人物が『テケテケ』と男性でしょ? だからそれ以外の人は無意識にそこを避ける様になると言えばいいのかな。特に家の中から外を見る事なんて普段でもあまりないし」

「じゃあ今この辺りに人がいないのもそうなのね」

「言霊が溜まり始めているからねー……無意識に避けてるみたい。それでも入ってくる人は入ってくるけどね」

 藤重の方見ながら言った大童。それを受けて藤重は前のことを思い出して答える。

「まぁそうね。実際に私がそうだったんだろうし」

「まさしくそうだね」

 そこで鏡が戻ってきた。片手には筒を持ち、もう片手で機械につないだノートパソコンを持っている。そしてそのパソコンを雪の上に置く。

「雪の上において大丈夫なの?」

「防水だ」

「そうなんだ」

 

 そして立ち上がると、二人を見る。

「今回の作戦を話すぞ」

「分かったけど、逃げるだけじゃないの?」

「人が来る可能性がある以上、うまく逃げないといけないからな」

「なるほどね」

「で、だ。もちろん男性役は康だ。お前は上手く『テケテケ』を誘導しながら逃げてもらう」

「了解」

「『すごいスピード』から逃げられるものなの?」

「正確には避けながら逃げる、だな」

「なるほどねー」

「それで誘導する場所はこの前ミミズパティを捨てた廃工場が直線2kmほどの距離にあるから、そこを使う」

「前言っていた工場ってこの辺りだったのね……」

「あぁ、あそこなら人もいないしな」

「そこで時間まで逃げ続ければいいんだね」

「あぁ。一応周りの警戒はしておくがな」

 そこでポケットに手を突っ込んでイヤホンの様なものを二つ取り出し、一つずつ渡す。

「そしてこれが通信機だ。どっちかの耳につけろ。それで周りの状況の報告、誘導をするからそれに従え」

「わかったわ」

「了解」

 そういって通信機を耳に付ける二人。

「これでいいのね」

「あぁ。それでお前の役目だが簡単に言えば妨害だ」

「『テケテケ』の妨害ってことよね」

「そうだな。こいつが少しでも逃げやすくなるようにだな」

 大童を指さす。藤重は指差された大童を見てから、再び鏡の方を向いた。

「わかったわ」

「それで今回使う矢だが、これだ」

 そう言って持っていた矢筒を渡す。中を見るとざっと20くらいの矢が入っていた。

「これで射ればいいのね」

「いゃ、アレはおそらく速いからな。お前は実力はあるが経験が無いから、いきなりは当たらないだろう。最初は当てるよりも進路を妨害する感じで射ってろ」

「確かに速く動いているのを射ることはなかったわね」

「だが、行けそうだったら当てようとして見ていい。その辺は任せた」

「これは射ったやつは回収してまた使えばいいのよね」

「今回の標的は康だしな。お前は狙われないから近づきすぎない限り大丈夫だ」

「りょーかい。それじゃあ、任せて」

 そう言って大童の方を見る。

「うん。頑張ってね」

 

 そして作戦を説明し終えた鏡はパソコンを持ち上げて片手で弄る。

「実現させる。準備を始めろ」

「了解」

「分かったわ」

 二人は武器を持ってあたりを警戒する。

「ちなみに初めに向かうのは向こう側だ」

 藤重と鏡にとって大童がいる方向を指す。

「向こうに行けばいいんだね」

「そうだ。後8秒。7、6、5、4、3、2、1、0」

 

 そして雑音と共に『テケテケ』が形作られていく……進行方向に。距離は30mくらいか。

「思いっきり進行方向じゃない!」

「まぁまぁ、こればっかりは仕方ないよ」

 弓を番える藤重と宥める大童。鏡はパソコンごといなくなっていた。

「とりあえず、僕は向こうに行かないと。藤重さんは僕が一発目を避けたら撃ちはじめてね」

「わかったわ」

 大童は『テケテケ』の方に歩いていく。藤重は大童の後ろ10mほどをついていく。

 

 顔が認識できる距離に来ると『テケテケ』が微笑んでいるのが見えた。大童は刀を握りなおすと『テケテケ』の動向を警戒しながら距離を詰めていく。それを見て藤重は弓を構える。

 

 そして『テケテケ』が電柱の陰から上半身を出した瞬間、大童は進行方向へと走る。少し遅れて『テケテケ』も肘を使って文字通り『すごいスピード』で迫ってきた。

 

テケテケテケテケテケテケ……。

互いの距離が一気に縮まると、そのスピードを冷静に見極めた大童は衝突前に右へ避けると同時に、左腕を切り落とす。そして進行方向へダッシュ。

 

(今なら……!)

 左腕を切り落とされバランスを崩し転倒した『テケテケ』を見て矢を放つ。すると腕が修復されるのと同時に頭が射抜かれる。その間にも大童は距離を稼ぐが、射ぬかれた『テケテケ』は僅かに停止した後すぐに修復し走り始める。もう一矢放とうとしていた藤重は構えを解くと急いで大童を追いかけた。その時に矢の回収を忘れない。

(狙えるときは腕を狙った方が良いかもしれないわね)

 

『二つ目の十字路を右。その後T字路を左だ』

「了解」

 通信機から聞こえる指示に、後ろを警戒して走りながら答える。マイクはついてないので意味はないはずなのだが。

 そして一つ目を過ぎ、二つ目の直前で距離が縮まってきたのを確認すると後ろを向いて構える。

(藤重さんはまだ距離がある……妨害は厳しいか)

 刀を下ろすと向かってきた『テケテケ』を左に避ける。しかし進行方向なので走る事はぜずに刀を構える。避けられた『テケテケ』はスピードと雪もあってすぐには止まらず、少し滑ってから大童の方へ方向転換して再度、つっこんでくる。それとほぼ同時に大童も走り、最初と同じように避けざまに腕を切る。そうして角を曲がってT字路へと向かう。

 

 その間に追いついた藤重は『テケテケ』が転倒する前に体へ矢を射ると、すぐさま次の矢を番え、転倒して起き上がるのと同時に切られなかった方の腕を射る。腕を射られ体勢を立て直すのに失敗した『テケテケ』は再び腕を修復すると体制を直して大童を追いかけようとする。それを見て既に矢を番え構えていた藤重は進路を妨害するように放つ。すると走り始めたために矢の射線上に入った頭を丁度射抜いた。ただ、それはすぐに修復し再び追いかける。藤重も矢を回収しすぐに後を追う。

 

『T字路を曲がったらしばらく真っ直ぐ進め』

「りょー……かい!」

 迫りくる『テケテケ』を左に曲がることで避ける。勢い余った『テケテケ』は雪山に突っ込んだ。

 雪山だったためか『テケテケ』は脱出に少し時間がかかり、出てきたところで藤重が追いつく。走り出そうとするのを確認するとすぐに進路を遮るように矢を放つ。矢は雪に刺さると『テケテケ』はそれを避けて追いかけて行った。

 先ほどと同じように藤重も矢を回収してすぐに追いかける。

 

 

平成24年1月21日16:47

 人を避けながらそんな感じのことを繰り返し、『テケテケ』を誘導すること25分。ついに廃工場についた。周りは塀で囲われているが、誰がやったのか門の鍵が壊されており簡単に侵入ができる。

 

 大童は走りながら門を開けて中に入る。少しして『テケテケ』も門を勢いで押しあけて入っていく。

『中に人はいないな』

「了解。じゃ、もう逃げなくていいんだね」

『あぁ、問題ない。何かあったらまた連絡する』

「うん」

 そう言うと大童はある程度のところまで行ってから逃げるのをやめ、刀を構えて『テケテケ』と対峙するように立つ。

 ……何故か鏡に声は届いているようだった。

 

 向かってくる『テケテケ』を大童は最初と同じように右へ避けながら切るが、体勢を崩して倒れたところを追いかけてもう片腕を切る。そしてバックステップで距離を開ける。

 すぐに修復は終わる。のと、ほぼ同時に息を切らせて来た藤重に大童が余裕の表情で『テケテケ』を避けては切りながら言う。

「あ、追いついたね。矢は好きなタイミングで撃っていいよ。こっちに落ちたのは投げ返すからー」

「ハァ……はぁ……わかったわ」

 そう言って息を整えさっそく弓を構えて矢を射始める。そして射られた矢を隙を見て回収し投げ返す大童。この時、しゃがむついでに『テケテケ』を横に両断し上へ飛んで避ける様は本当に余裕を感じさせる。が、避けた先はコンクリの壁。さすがに激突はしないが壁に背を向ける形になる。

 しかし、そんなことは関係ない。

「おっと……あ」

 『すごいスピード』で突っ込んでくるのを今までのように避ける。が、後ろは壁。『テケテケ』は勢いを弱めることなく突撃し、壁をぶち抜いた。穴の奥で何かがガシャガシャと音を立てて落ちていくのが聞こえる。

 

(あの破壊力だと足をもがれる前にぶつかられてで死んじゃうんじゃないかしら……)

 そんなことを考えながら、今まさに創られたばかりの穴の方へ狙いを定める。大童は壁から少し離れて穴の方を見ている。その表情には、やってしまった感がでている。

「あー……まぁ、廃工場だし。大丈夫大丈夫」

 自分に言い聞かせるように呟く。すると中から段ボールが出てきた。よく見ると手が出ているので『テケテケ』だろう。それを確認してから藤重は矢を射る。今回は段ボールがあるため矢は刺さったままだ。

「んー……」

 それを見て少し考えるそぶりを見せた大童は、向かってきた段ボールを避けると、切ることはせずに横から蹴り飛ばした。段ボールと中身は一緒に数百m地面を転がっていく。

「おー……吹っ飛んだ。やっぱり下半身がない分よくとぶねー」

「何やってるのよ……」

 スッキリした顔の大童をみて藤重は飽きれていた。

 

 緊張感があるのかないのか……そんな感じで仕事は進んでいく。あれ以降、壁に穴は空いていない。

 

 あたりは一気に暗くなり、夜と言っていい。しかも廃工場なので明かりは無く、本当に真っ暗だ。そんな中でも大童の動きは変わらない。

「良く動けるわね……真っ暗なのに」

(矢も正確に投げてくるし……)

「前も言ったけど夜目が利くからね」

「流石にこれは利きすぎでしょ」

「そういう藤重さんも、見えてないのによく当てられるね」

「んー……音の方向で何となく? 正直命中してるのか分からないんだけど」

「なるほどねー」

(それでも約50%。こういうのがすぐにできるのはやっぱり才能なのかな)

 そう思いながら、射られて落ちた矢を拾っては投げ返し、避けては切る。

 

 そして……。

 

『そろそろ消えるな』

 言い終えると同時に『テケテケ』は消えていく。

「ホントだ。じゃあ最後に……!」

 猛スピードで『テケテケ』に接近する大童。そのまま横を走り抜けつつ腕を切り落とし、すぐに方向転換をしてもう片腕を切り落とす。そして動かなくなった『テケテケ』に二閃。胴体を4等分にする。

 分割された『テケテケ』はそのまま雑音と共に消えていった。

「終わったよー」

「あ、終わったのね」

 大童は藤重のいるほうを見て言い、藤重は声のした方を見て言う。ちなみに先ほどの事は藤重には見えていない。

『門前に車を止めてある。帰るぞ』

「了解。藤重さんは門の方まで行けそう?」

「大丈夫よ。向こうの方は光があるから」

「そう? じゃぁ帰ろうか」

「そうね。帰りましょ」

 廃工場を出て車に向かう。

 

 

平成24年1月21日17:26

 温かい車内。

「お疲れ、ってほど疲れてはいないな」

 二人の様子を見て言う。

「そーだね。後半は走らなくてよかったし」

「前半は疲れたけどね……はぁ」

「そうか。なら前半お疲れ」

 大童と、溜息をついた藤重にペットボトルの温かいお茶を渡す。そして車を発進させた。

「ん、ありがと」

「ありがとー」

 キャップを開けて飲む。そして一息ついて……。

「あー……あ」

「どうしたの?」

「そう言えば段ボールに刺さった矢を回収し忘れてたわ」

「そういえばー……そうだったね」

 大童も思い出したようだ。

「大丈夫なの?」

「別にいい。特別なものでもなければ高価なものでもないしな。仮に見つかったとしても問題ないだろ」

「そう。ならいいんだけど」

「それに」

 と、大童の方を見て。

「矢が問題になるなら壁破壊の方が問題だろ」

「ははは……」

「ま、問題ないからどうでもいいが」

「よかったー……」

 車は雪道を走っていく。いつの間にか雪はやんだようだ。そして誰も鏡のよそ見運転を気に掛けなかった……。

 

 

 

第三話『テケテケ』終了。

 




戦闘? シーンって書くの難しいですね……まぁ、
他のシーンが上手く書けているわけではないですけど。
これを誰かの視点とかで書いたらもっと難しそうですね。
でも書けるよう努めなければ……。

さっきからキーボードが上手く打てないのは自分の打ち方が悪いのか……。

次回は六話を書き終えたら載せます。
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