不滅少女旅譚~Revenant's Journey 作:鯖味噌煮込みうどん
なんか微妙にR-15要素が少ない気がします。
前話で種族の見た目的な特徴を書いてなかったのでここで書きます。
ヒューマン…実際の人間とほぼ同じ。黒や茶の髪が多い。
ドワーフ…背がヒューマンの子供ほどで、肌は褐色、髪は赤や茶。男は髭を生やしている。
エルフ…背は2mほどで、肌が非常に白い。髪は白や黄。耳が細長く尖っている。
レブナント…元となった種族とほぼ同じ。肌がやや青みがかっているが、不健康に見られる程度。明らかな違いは、背と手のひらにある大きな眼の紋章。強力な魔術が使えるらしい。
「ご飯の用意って…さっき済ませたでしょうに。」
ドワーフと思われる少女が言った。他種族を嫌っているはずのドワーフがどうして他種族と一緒にいるのかはよく分からない。
「いやぁ、この子がお腹空いたらしいからさ。」
私をおぶったヒューマンの男が言う。そうストレートに言われると少し恥ずかしくなる。私はこれでも女の子だ。
「ったく、どこまでもお人好しなんだから。しょうがないわね…」
にしても助かった。どうやら私が何かにも気づいてないようだしこのままご飯だけ貰って去ろう。そう思っていたとき、
「手のひらを見せていただけませんか?」
エルフの男がそう言った。マズい、このままではバレてしまう…
「え…?」
ドワーフの少女がこちらに駆け寄ってくる。私がどうしようか考えてる間に手を掴まれ手のひらを見られてしまった。
「この紋章…まさか…」
バレてしまった…逃げなければ…さもないと何をされるか分からない。しかし空腹で身体は動かない。
「みんな離れなさい!」
ドワーフの少女が口を荒らげる。
「やはりレブナントでしたか…」
ドワーフの少女とエルフの男が私から距離を取る。しかし、ヒューマンの男は私を払い捨てるでもなくただ私をおぶったままだった。
「そんな逃げなくたっていいじゃん。この子は多分いい子だぞ。」
私の頭をぽんぽんと叩いた。まるで意味がわからなかった。
「はぁ?何言ってんの?レブナントだよ?私たち食われちゃうかもしれないのよ?」
「だったら俺を既に食ってるはずだろ?俺がまず近づいたんだから。だからそうビビるなって。」
「ヴェルダ殿…流石にそれは…」
「ビルネも逃げるなって。こっちに来なよ。ほら、こうやって問答してる間もこの子は何もしようとしてないじゃないか。この子は本当にお腹が空いててご飯が食べたいだけなんだよ。」
「でも…」
「しかし…」
「あー、もう二人とも、俺を信じてよ!大丈夫だって。今までだって何だかんだ大丈夫だったじゃないか。だから、ね?」
「ったく、しょうがないわね…このド善人は…いつか絶対危ない目に合うわよ?」
「全く、フューシャ殿の言う通りです。危機管理能力が無さすぎます。」
二人はヴェルダと呼ばれていたヒューマンの少年の元へやって来た。
「二人とも、ありがとう。じゃあ、ご飯の用意をしよう!」
そうヴェルダが言うとフューシャがヴィークルの荷室から調理道具やらを取り出して料理を始めた。
料理が出来上がった。ヴルストとアイントプフ(※1)だ。
「スープから飲みなさい。動けないほど空腹だってんなら胃が弱ってるでしょうしね。レブナントに胃袋があるかは知らないけど。」
私はスプーンでアイントプフをすくう。コンソメの香りが鼻を抜ける。涎が流れ出そうになるのを堪え、喉の奥に流し込む。
「美味しい…」
自然とそう呟いていた。溶けた玉ネギや煮込まれたジャガイモの甘み。胸が温かくなるその味に私は溢れ出る涙を堪えきれなかった。
「美味しい…美味しいよ…こんな美味しいもの…いつ以来だろ…」
私は涙を溢れさせながらそう言った。
「そんな泣かなくたっていいじゃない。それにそんなに泣いたら私のスープが薄くなっちゃうじゃない。」
「あ、ほっぺた赤いよ。もしかして照れてる?」
ヴェルダがフューシャに向かって言う。
「う、うるさい!食べたらさっさと片付けて出発するわよ!」
頬を赤く膨らませたのが涙越しでもよく見えた。すごく可愛げのあるドワーフだなぁ…と思ったが、それは口に出さずに黙々と食べた。ヴルストも美味しくて頬が落ちてしまいそうだった。
「こんな、美味しいもの食べさせてもらってご迷惑をおかけしました。ありがとうございました。」
涙を拭って礼を言い、その場を去ろうとすると、
「あれ、行っちゃうの?一緒に旅しない?」
ヴェルダが言った。私は驚いた。まさかそんな言葉が出てくるとは思わなかったからだ。この男は頭が沸いてるんじゃないかとすら思った。いや、さっきから尋常じゃないお人好しだということは分かっていたのだが…
「馬鹿なんじゃないのッ!?」
フューシャが先程以上に声を荒らげる。そりゃそうだ。私はレブナント。穢らわしい種族なのだ。しかし、
「まあでも今のでこの子がいい子ってのは十分わかったじゃん?だからいいでしょ。」
ヴェルダが満面の笑みで答える。
「というわけでよろしく。えーっと…名前聞いてなかったな。名前はなんて言うんだ?」
「人の話を聞きなさいよヴェルダ!!」
フューシャの言葉を無視して話を進めるヴェルダ。ビルネは呆れた様子で調理道具の片付けをしている。フューシャやビルネには悪いが私はこの優しさに乗りたくなった。
「私はリーヴです。よろしくお願いします。」
「アンタも何勝手に旅に参加しようとしてんのよ!!」
フューシャは怒号を上げるが、諦めたようでもういいわよ、知らない。とでも言いたげな表情を見せる。ヴェルダとビルネがそれを見て笑い出す。私もそれに釣られて笑った。いつかこの旅は終わり、また独りになる時がきっと来る。でもそれまではこの甘い時間を噛み締めていたかった。
(※1)ヴルストは豚、羊や牛などの肉を潰して、動物の腸に詰めた料理で、煮込んだり焼いたりして食べる。アイントプフは玉ネギ、ジャガイモ、ニンジンやトマトなどをコンソメと一緒に煮込んだスープのこと。どちらもドワーフ種族の伝統料理である。
書いてたらお腹空いてきました。ドイツ料理っていいですよね。
次回は自己紹介だったり容姿紹介だったりになると思います。多分。