不滅少女旅譚~Revenant's Journey   作:鯖味噌煮込みうどん

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申し訳ありません。かなり投稿が遅くなってしまいました。
不定期投稿らしくはなったかもしれません。


第三話~最初の街~

 太陽が天辺を越える頃、ヴィークルは小高い丘の上を進んでいた。丘の頂上に差し掛かったとき、少し離れたところに小さな街が見えた。

「お、久々の街だ。やっと到着だな。」

 ヴェルダが笑顔で言う。

「そうね、まあ小さい街だけど。」

「とはいえ、見た感じリジェクター(※1)もいないようですし、これならリーヴも入りやすいと思いますよ。」

「着いたら急いで服飾店に入るわよ。まあこんな小さな街にあるかは知らないけど…で、リーヴの服買ったらゆっくりしましょう。」

 フューシャがわかりやすくこれからの順序を説明してくれる。彼女がこの旅を引っ張っているのだろう。

「ほんとわざわざ私なんかのためにありがとうございます。」

 私は何度目かの感謝の言葉を口にした。私はこの人たちに助けられているのだ。謝礼はいくらしてもし足りないだろう。

「いいっていいって。旅は道連れ、世は情け。困ってる人は助けないとな。」

 ヴェルダが白い歯を覗かせながら言う。私を連れていくと決めたのは彼だし凄く発言力を持っているのだろうが何故なのだろうか。もしかしたら何かあるのかもしれない…

「丘を下るからどっかに掴まってなさいよ。」

 そうフューシャが言うと車体が傾きややスピードを上げて丘を下り始める。街が近づいてきた。もうすぐ着くだろう。

 

 街のすぐそばまでたどり着いた。

「着いたわね。一旦私が服飾店があるかを見てくるからちょっと待っててね。」

 フューシャはそう言うと街を駆けていった。しばらくするとフューシャが帰ってきた。

「二、三分走って右側に小さいけどあったわ。できるだけ急ぎましょう。」

「おう、そうだな。リーヴ、走るぞ。」

「う、うん。」

 私たちは服飾店へ走った。服飾店の中は非常にごちゃごちゃとしていて、老いた男の店主が一人いるだけだった。

「いらっしゃい。旅人さんかい?」

店主が私たちに話しかけてきた。

「はい、そうです。すいませんが、マジシャンズローブ(※2)はありますか?」

フューシャが普段とは違う柔らかな口調で答える。

「んー、ちょいと待っててねぇ…」

店主ががごそごそと服の山を漁り始めた。

「あったよ。これでいいかい?」

店主が差し出したのはローブというよりはポンチョだった。

「えーっと…リーヴはこれでもいい?」

「私は何でも大丈夫です。」

そう答えた。

「じゃあそれをいただきます。いくらですか?」

「100L(※3)になります。」

「「「「安っ!?」」」」

 みな、異口同音でそう言った。

「この街には旅人割引ってのがあるんでねぇ…まあそれなりに安くなります。」

「へえ、そんなものが…あ、それと手袋はありますか?」

 フューシャがそう言う。

「手袋ねぇ…あったあった。はい、50L。」

「これまた安いですね。ありがとうございました。」

 フューシャがお金を払って店を出る。私たちもそれに続いて店を出た。

「旅人割引があるなんてありがたいわね。あ、リーヴはいこれ。上から羽織ってね。あと、手袋も。」

「ありがとうございます。」

 フューシャに服と手袋を渡されそれを身に付ける。これでレブナントだとは疑われないだろう。

「なかなか似合ってるわよ。」

 フューシャに褒められ私はやや小っ恥ずかしくなった。

「そうだな。よく似合ってる。」

「うむ、私の次に美しいと言っても過言ではないですな。」

 ヴェルダとビルネにも褒められ、恥ずかしくなった私は顔を伏せてしゃがみこんだ。恐らく私はりんごの様に頬を紅く染めているだろう。

「照れすぎだよリーヴ。さ、顔を上げて。とりあえず街を回ろう。」

 顔を上げるとヴェルダが白い歯を見せて手を差し伸べていた。私は手をとって立ち上がる。

「そりゃそんなに褒められたら恥ずかしくなりますよ。」

「とは言っても事実ですよ。リーヴ殿。」

「そうね。ビルネの言う通りよ。」

 また小っ恥ずかしくて私は顔を見せないように後ろを向いた。

「お、二人の意見が珍しく合ったな。って、このままじゃ進まないからここまでにしとこう。街を回って楽しもうぜ。」

 ヴェルダが二人を止め、ヴィークルに乗り込む。フューシャとビルネも乗り込み、最後に私が乗り込んで出発だ。私は熱くなった顔を冷やすために窓を開け街並みを眺めていた。

 

 数分経過し、私の顔の火照りもちょうど冷めてきたとき、私たちは役場に到着した。役場の門を叩くと街長が快く迎え入れてくれた。

「ようこそ私たちの街へ。よく来てくれました旅人さんたち。」

 街長はでっぷりとした腹を抱え笑いながらそう言う。

「私たちの街はどうです?小さいけどなかなかにいい街でしょう。」

「はい、とても居心地がいいです。」

 ヴェルダが答える。

「でしょうね。とにかく旅人さんが来やすいよう、過ごしやすいようにしていますから。」

「そうですね。リジェクターもいませんでしたし、旅人割引というのもあるそうですし。」

「かっはっはっ、どちらも旅人さんへの配慮ですよ。」

「どうしてそこまでするんですか?」

「よくぞ聞いてくれました!話させていただきましょう!まず元々この街は―」

 そこから小一時間街長の話が続いた。要約すると、元々はむしろ旅人相手に排他的だったこの街がブーマカプト(※4)の軍団に襲われたとき、偶然通りかかった旅人たちに救われたということらしい。旅人に甘くする理由はわかったが、それにしても外壁なし、旅人相手には九割引という割引制度はやりすぎなのではないかと私は思うのだが…

 それからみんなで話し合ってこの街には明日まで滞在することに決めた。私がレブナントということもバレてないしこの調子ならなんとかなりそうだ。




(※1)ゲートキーパー、もしくは門番の別名。一般的な街には外壁と門があり、街に入ろうとする旅人や旅商人を厳しくチェックする。そのため旅人や旅商人からはリジェクター(拒絶するもの)と言われている。
(※2)魔術師がよく使う体をすっぽり覆うローブ。特殊な素材でできており、魔術を通しにくくなっている。フューシャがリーヴにこれを渡したのは街によってはリジェクターが魔術を使って調べてくることもあるため。
(※3)この世界の通貨単位。卵一個が10Lくらい。
(※4)人間と敵対する魔族のようなもの。レブナントは含まれないどころかこの種族からも嫌われている。

次回は街を散策する予定です。
できるだけ早めに投稿しようとは思っていますがまた遅くなるかもしれません。
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