不滅少女旅譚~Revenant's Journey   作:鯖味噌煮込みうどん

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 ヴェルダのキャラが掴めていないので口調がころころ変わります。すいません。キャラが固まってきたら全部統一します。漢字とかも統一します。しばらくは目を瞑っていてください。


第五話~投じられる石~

 私は表情を凍りつかせ、震える手で手袋を取ろうとする。みんなは顔の色を失っていた。手袋を全て外し終わるまでもなく老婆は口を開いた。

「その眼の模様…!やっぱりあんたは…!」

 バレてしまった。完全にバレてしまった。この状況じゃみんなを巻き込んでしまうかもしれない。いや、もう巻き込んでしまっているだろう。そんなことを考えていると手首を強く引かれていた。

「逃げるぞ、リーヴ!」

 ヴェルダは私を引っ張って走りながらそう言った。フューシャ、ビルネもそれに続く。宿の中を駆け回り、外に出る。外にはもう既に街の住人が数人スタンバイしていた。

「そいつはオディアスだよ!この街から追い出せ!」

 宿の中から老婆の、空気を震わす怒号が響く。それに反応して街の住人たちは石を拾い始める。それも気にせずヴェルダは走る。すぐにヴィークルにたどり着いた。

「フューシャ!最高速で車を出してくれ!」

「もちろん!掴まってなさい!」

 けたたましいエンジン音が轟く。

「クソがッ!出ていけ!俺たちを騙しやがって!」

「帰れ!この街が穢れる!」

 住人たちの怒りが私たちを襲う。石は投じられ、車体を傷つける。石の数は増えていく。しまいには、両手大の石を投げる者もいた。その中には昨日はあんなに優しくしてくれた街長の姿もあった。街長の顔は怒りに歪んでいる。

 これが現実だ、現実なのだ。私はレブナント。オディアスとも蔑まれる穢らわしい存在。しばしの間忘れていたそれを叩きつけられたようで、拳を震えるほど強く握りしめた。それに気づいたのかヴェルダが私の手を握った。

 朝の眩い日差しの中、後ろに石を投げる住人を見送り、私たちは街を後にした。

 

「ごめんなさい。やっぱり、私なんていない方が…」

 私の第一声は自分で思っていたより弱々しく、震えていた。私は怯えていたのだ。さすがにこんなことになってしまったら追い出されてしまうのではないか、また独りぼっちに戻ってしまうのではないかと。

「なあに、気にすんなって。リーヴを連れて旅をするって決めたときから覚悟はしてたしな。」

 ヴェルダは私の背中をポンポンと軽く叩きそう言う。

「ヴェルダ殿の言う通りです。ここにいる三人とも覚悟は決まっていますよ。」

 ビルネがウインクをしながら言う。

「そういうことよ。だから怯えないで。リーヴ、あなたはもう仲間なんだから。」

 フューシャが振り返ることなく言う。

 私の視界は涙で揺らぐ。街を追われたことに対する申し訳なさと、それでもなお私を受け入れるみんなの優しさが私の涙腺に襲いかかる。言葉を出そうとしても嗚咽に遮られて何も喋ることができない私をみんなは慰め続けてくれた。

 

 私が落ち着きを取り戻したころ、車内にはエンジン音だけが聞こえていた。

「そろそろこの旅の目標を決めない?」

 声のない空間を切り裂いたのはヴェルダだった。ヴェルダのその提案に、

「目標?」

「目標ですか?」

 フューシャとビルネが疑問を呈す。

「そう、目標だよ。リーヴという新しい仲間ができた以上、そろそろ目標を持ったしっかりとした集団であるべきだと思うよね?」

「それもそうね…」

「ということで目標を考えよう。」

「「「うーん…」」」

 私たちはしばし思考する。

「そういや、リーヴは記憶がないのよね?」

 一番に口を開いたのはフューシャだった。

「はい、そうですけど…それがどうしたんですか?」

「だったらさ、リーヴの記憶を探す旅にしない?リーヴの出身はどこなのかとか、リーヴが何で死んだのかとか。これならリーヴが私たちの仲間である明確な理由もできるしね。」

「いいね!賛成するよ。」

「そうですね。私も賛成しましょう。」

 ヴェルダ、ビルネが次々と賛成する。私は嬉しかった。こうやって私の居場所を提供してくれるみんなの優しさが身にしみた。

 そして、この旅は私の記憶を探す旅となった。




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