間違いだらけの本物探し   作:西川 旭

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俺ガイル2次の続きです。

・原作11巻より後の話(さかのぼり、回想描写アリ)
・設定崩壊、キャラ崩壊多々あると思いますがご容赦ください
・心が痛くなったらブラウザバック


さようなら、2年F組

<八幡視点>

 

 戸塚と並んで歩き、自販機へ。

 なんかアレだよね。戸塚と並んで、って枕詞があればどんな行動でも夢と希望に満ち溢れてる感じが凄い。

 戸塚と並んで仕事、とか。

 ヤバい、働きたくないはずの俺が社畜まっしぐらな響きだ。

 

 雪ノ下に千円札を握らされ「なるべくゆっくりでいいから」と小声で言い渡されたので、特に急ぐこともなくのんびりと話をしながら歩く。

 

彩「八幡……その、怒ってる? 僕と小町ちゃんのこと」

八「え? いや、なんで俺が戸塚に怒る理由があるんだ。

  むしろ戸塚に文句言うやつがいたら俺の前に連れて来い。比企谷菌を感染させてやる」

 

 ちなみに感染すると目が腐る、ぼっちになるという病を発症します。特効薬はない。

 

彩「良かった。八幡は小町ちゃんがすごく大事だから、殴られるくらいの覚悟はしてたんだよ?」

八「いやいや、戸塚を殴るとかないから……。

  そんなことしたら俺の手が天罰喰らってもげるわ。

  でも仮の話、あくまで仮の話だぞ? 

  俺が殴ってでも『小町との交際は許さねえ!』って言ったら戸塚はどうする?」

彩「何度殴られても立ち上がって、八幡に認めてもらうよ」

 

 天使は、漢でもあった……。

 そう言えば戸塚は男らしいカッコよさみたいなものに憧れているんだっけか。

 

八「その言葉が聞けただけで十分だ……小町を選んでくれてありがとう、戸塚。

  バカなところも一杯ある妹だけど、俺にとっちゃたった一人の大事な妹なんだ。くれぐれもよろしく頼む」

彩「うん、頑張るよ!」

 

 

 自販機前に到着。

 

八「千円で買えるだけ全部マッ缶でいいよなもう」

彩「あはは、僕は平気だけどそれで帰ったら雪ノ下さんが怖そう」

八「普通に買うか……」

 

 部室にいた面子が普段好んで飲んでいるようなものを思い出しながら、のろのろと自販機のボタンを押し続ける。

 

沙「……まだかかるの?」

 

 そうしていると川崎が突如現れて後ろから声をかけられた。 

 

八「うわびっくりしたー。

  いきなり話しかけんなよ思わず小銭出しちゃうところだったぞこれしかないんで勘弁してください」

 

 雪ノ下の金だがな!

 急にヤンキーが来たのでと言い訳しておけばお釣りを持ち帰れなくてもきっとわかってくれるはずだ。

 そして、びっくりしたせいでマッ缶を一本多く買ってしまった。

 

彩「川崎さんもまだ残ってたんだね?」

沙「あー、下の妹の保育園終わる時間まで、図書室で勉強してよっかなって……」

 

 お迎え時間までの暇つぶしか。

 見た目ヤンキーだけど根は真面目で面倒見がイイとか、ホント70年代80年代なキャラだよなこいつ。

 

彩「そう言えば小町ちゃんから聞いたけど、大志くんも総武高受かったんだってね、おめでとう!」

沙「まあ、おかげさまで。心配はしてなかったけど」

 

 そうなのか。

 小町の周りをうろちょろする害虫と認識していた大志だが、小町にはもう戸塚がいる。

 そう考えるとやつも哀れな男よ。これからは大志に優しくできるかも、俺。

 

八「そう言うことならホレ。マッ缶余ってるから一本やるよ」

沙「は?」

八「いや、お祝いお祝い。大志の」

沙「おざなり過ぎんでしょ……持って帰ってこれを大志に渡せって?」

八「好きにしてくれよそんなの……特に深刻な意味のこもったプレゼントでもなんでもねえし」

沙「適当すぎなんだけどアンタ……」

 

 川崎は喉が渇いていたのか、俺が渡したマッ缶をその場で開けて飲み出した。

 

沙「あまっ……」

八「慣れれば病み付きになる」

彩「勉強してるときは甘いものがイイよね!」

沙「はいはい」

 

 ごくごく、と男らしく(?)一気飲みしてゴミ箱に缶を捨てる川崎。

 

沙「そういやアンタの妹も受かったんでしょ。おめでと」

八「おお、ありがとな。今部室に小町来てるけど会ってくか?」

沙「なんで入学前なのに校内にいるんだか……自由すぎ。ま、これからいつでも会えるし、今はいいよ」

彩「勉強頑張ってね、川崎さん」

八「けーちゃんによろしくな」

沙「はいはい。じゃあね」

 

 ひらひらと手を振りながら俺たちに背を向け歩み去る川崎。

 無駄に絵になるというか、かっこいいやつだ。80年代風味だが。

 

 しかし、川崎が自分の携帯に今しがた来たであろうメールかなにかの確認をして。

 

沙「うぇえ!?」

 

 と、キャラに似つかわしくない声を上げた。

 何か嫌なメールでも来たんですかね。

 そう言うたぐいのイタズラはもちろん俺に全くかかわりのないことだぞ。

 なにせ川崎のメアドなんぞ知らんからな。

 

彩「川崎さーん、なにかあったの?」

沙「大志からメールで……春休み初日に、比企谷の家に集合って……」

 

 大志経由でその情報を川崎に送った元々の発案者は小町だろうか。

 そんなにうちに人を集めてどうしたいんだ、小町ェ……。

 

<結衣視点> 

 

 ヒッキーと彩ちゃんがジュースを買って部室に戻ってきた。

 

小「お兄ちゃんに戸塚さん、おっかえりぃ~♪」

八「あれ、一色いねえじゃん」

結「な、なんかね? 4月に新入生と上級生が集まる集会あるじゃん? 

  それで部活の発表とか、いろはちゃん生徒会長だから生徒代表からの、歓迎のあいさつ?

  なんかそんな感じで色々あるみたい。

  ちょっとそんな話したら戻ってったよ。ハハハ」

彩「一色さんも相変わらず生徒会長、大変そうだね」

八「主にそのとばっちりが来るのは俺なんだがな……」

 

 ヒッキーが恨み言みたいに言ってるけど、心底嫌がってるわけじゃないってのはあたしでもなんとなくわかる。

 だけどやっぱりあたしたち、今までヒッキーに頼りすぎてた。

 ヒッキーだって自分の好きな本を読んだり、自分の受験のために割と真面目に勉強したりしてるのに、その上で他の人から持ちかけられた相談事とかの相手をしてるから、それなりに大変な一年だったんじゃないかなって思う。

 

結「そ、それなんだけどさ! 部活発表会の手伝いって聞いて、あたしちょっとやってみたいかなーって思うことあって! そっちの方は任せてもらっていいかな?」

八「ほう?」

雪「どんなことかしら」

結「隼人くんたちがね、運動系の部活は入部希望者少なくなるだろうって話をしてたんだよね。

  少子化? みたいな感じで総武も小町ちゃんの学年から生徒数減るし、

  今はスマホとかで時間とられることも多いし」

彩「うん、テニス部もそれが心配なんだ。特にうちの部はそれほど強いわけでもないから……」

 

 テニスは最近、プロテニスの有名な日本人プレイヤーが活躍してるから人気ありそうだけど、やっぱり自分で部活に入って道具をそろえて……って考えたら運動系の部活ってハードル高いなあって思う。

 

雪「確かにうちは進学校だから、運動系の部に入ってもプロになったり

  スポーツ推薦で大学に入れたりということは少ない分、

  アピールポイントとして弱いというのはあるかもしれないわね。

  文科系、学術系の部活ならそもそもの知名度がない分、

  活動内容を紹介するだけである程度新鮮なアピールになるでしょうけど、

  運動系の部活は練習して大会を目指すということは誰でも知っていることだから

  それを今更新入生に説明してもあまり意味はないでしょうし」

結「うんうん、だからね、運動部全体で『入りやすい雰囲気』みたいなのを

  ぐっとアピールするような部活紹介にすればいいと思う!」

小「確かに運動部の練習が厳しいのは誰でも知ってることですから、

  雰囲気のいい部活じゃないとせっかく興味持っても足踏みするってのはあるかもですねー」

 

 あたしの話にヒッキーがフムと考えて意見を出す。

 

八「それくらいのことはどの部活でも考えてそうなことだがな。

  考えてても実現が難しいって感じなんじゃねえの。

  うちの部は和気藹々としてて楽しいです、って言葉で言っただけでどれだけ伝わるかってのもある」

結「うん、そこであたしが考えたのはさ……」

 

 あたしの案は、例えばテニス部の紹介にサッカー部や野球部と言った他の部の人がゲスト出演して「別の部から見たこの部のいいところ」をアピールしてもらうということだった。

 自分たちの部活だから自分たちがいいように紹介するのは、ある意味わかりきっていて新入生も見透かしてくると思う。

 でも他の部の人がわざわざ「この部はとても楽しそうです」って言ってくれれば説得力があるんじゃないかな!

雪「確かに他の部活がわざわざ言ってくれるというのは、

  客観性を演出するのにも有効な手段だと思うわ。

  なにより他の部活をわざわざ応援の形で紹介するくらいなのだから、

  きっとこの学校全体、上級生全体がいいコミュニケーションをとれているだろうと

  新入生に思わせる効果もあるわね」

 

 由比ヶ浜さんだからこそ思いつくアイデアね……とゆきのんは小声で言った。

 

八「少なくとも運動部全体の部長クラスを一度集めて、

  全体で方針を理解してもらって協力体制を作り上げないと成立しないアイデアではあるがな……」

 

 ヒッキーが難しい顔をしている。

 いろいろ自分一人でできちゃうヒッキーだけど、だからこそ「沢山の人に理解してもらって角が立たないように調整して協力を得る」ということだけは苦手としてるんだ。

 そしてそれは、おそらくヒッキーやゆきのんにはできないけど、あたしができる唯一と言っていいことだと思う。

 

結「とりあえず運動部の知り合いとかに話してみるよ! 彩ちゃんは協力OKってことでいいよね?」

彩「うん、由比ヶ浜さんありがとう」

小「ほわー、結衣さんが頼もしい……」

 

 小町ちゃんが意外な顔で驚いていた。

 小町ちゃんの中であたしは頼りなくて情けないキャラだったのかな……。

 まあしかたないけどさっ。

 

 そうしてあたしは3学期残りの日、春休が始まるまでの間、隼人くんや戸部っち、大岡くん大和くんはもちろんのこと、普段あまり話をしない他の運動部関係の人たちと会って話し合った。

 たどたどしいあたしの説明でもみんな興味深そうに聞いてくれて、あたしの説明が下手なところは彩ちゃんや隼人くんにフォローしてもらったおかげで、ほぼすべての運動部系部活動の協力を得ることができた。

 

 それに加えて、部室でみんなに説明したこととは別にちょっとしたいたずら心と言うか、隠しているアイデアをあたしは持っていた。

 その協力者はテニス部の彩ちゃんとサッカー部の隼人くん。

 この二人に協力してもらって、部活発表当日にサプライズ的なものを発表できるように動いているのだ。

 

隼「まさか結衣がこんなこと思いつくとはな。

  どっちかって言うと比企谷の考えそうなことだけど……」

彩「僕も最初聞いた時驚いたけど、絶対面白いと思うよ。ちょっと恥ずかしいけどね……」

 

 二人とも苦笑しているけど、仕方ない。

 ヒッキーは驚くかな。笑ってくれるかな。

 

 

 

 三学期が終わり、明日から春休み。

 部活動紹介のための下準備も着々と進んでいて心配はない。

 明日はヒッキーのおうちで小町ちゃんと大志くんの合格、入学祝いパーティーだ。

 早めに行って料理の準備とか手伝おうかって言ったらゆきのんにやんわりと

 

雪「いろいろ忙しかったでしょうからゆっくり寝て昼から来てくれればそれでいいわよ」

 

 ってすごく優しい笑顔で言われた。

 

 2年F組、楽しかったよねって話をしながら優美子たちとカラオケに行った。

 優美子ちょっと泣いてた。あたしも少し泣いた。

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