偽悪になった少年 R   作:茶ゴス

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8th

 最近高町なのはの動向へ注意を向けていたため悪行が疎かになっていた。

 今日は高町なのはの事は気にせず悪行を行うことにした。結果としては上々。幾つもの悪行を行うことが出来た。以前見た車のアニメでやっていたように溝落としを真似したであろう車いす少女を普通の道に戻したりしてきたぞ!

 

 ホクホクとした気持ちで歩く。未だに私は未熟ではあるがいずれこのような悪行は私が悪になる時に役に立つだろう。何事も経験が必要だ。

 

 

 さて、まだ悪行はするつもりではあるが、やはり高町なのはを狙う愚かな悪者は気になる。誇り高き悪行には到底思えぬその所業、悪を目指すものとして到底許しておけぬ。

 近い内に潰すとするつもりではある。幸いにも私にはその力がある。魔術があれば大抵、否。条件が揃えば何でも出来る。

 

 更に魔術以外の力もあるのだ。正直そっちの方は解らない事が多いため、探り探りだが、今回の戦いで色々と身につけることが出来るであろう。

 

 

「どうするのさ!管理局に目をつけられちまったよ!」

 

 

 む?公園が何か騒がしいな。もしや、誰か遊んでいるのか……よし、邪魔しに行こう。

 

 

 

「うん、これでジュエルシード集めも難しくなった」

 

 

 あれは、昨日の金髪少女か。取り敢えず茂みに隠れて様子を見るとしよう。

 昨日は高町なのはと争っていたようだが、恐らくは愚かな悪によって巻き込まれた者だろう。あやつからは邪な感情が見えぬ……

 

 

 む?母親?……ほほう、そうかそうか。あの金髪少女の母親、その者があの破壊の石を集めているのか。だが目的は何だ?破壊の力を暴走させるならば回収など必要ない。だが、あの少女は回収を命じられている……

 

 

 は!まさかコレクターというやつか!確かに造形としてはあの石は美しい部類に入るが、些か飾るには危険なものと思う。いや、もしかしてあの金髪少女の母親が愚かな悪なのでは?

 いや、回収を命じている以上それはないだろう。

 

 

「フェイト、いやに落ち着いてないかい?」

 

「ううん、正直焦ってる。だけどそれよりも落ち着いていないといけないから」

 

 

 成る程、昨日見たようにあの金髪少女、中々戦いに慣れているようだ。

 その隣の女は……む?

 

 

「人間ではない……人型の犬……だと?」

 

「誰だ!!!」

 

 

 バレてしまった。仕方ないので潜んでいた茂みから出て、少女たちの前に立つ。

 

 

「私だ」

 

「お前は!!」

 

 

 む?私を知っているのか?昨日見られた時は私だとわからぬ筈だが……

 

 

「フェイト!私が足止めするから逃げるんだよ!!」

 

「ん?戦うのか。それもよかろう」

 

 

 よくわからぬが、この犬、私と戦いたいようだ。狂犬というやつか……仕方あるまい。私が直々に躾けてやるとしよう。

 

 

「待ってアルフ」

 

 

 何故か金髪少女が犬を止めた。成る程、この犬の飼い主として躾の責任は他人に押し付けぬか。立派な心がけだが……悪を目指すものとして、その役目私が引き受けよう。

 

 

「貴方はジュエルシードを持ってる?」

 

「……ジュエルシード、破壊の石か。あのようなもの持っておらぬわ」

 

「そう……」

 

 

 む?金髪少女が踵を返したぞ。

 

 

「大丈夫だよアルフ。あの子にリンカーコアはない。一般人だよ」

 

「そうは言ってもさ、あのガキンチョの仲間には違いないんだろ?」

 

「だけど、私達じゃああのレアスキルには対抗できないよ。今は戦えない」

 

 

 レアスキル?また知らぬ単語だ。

 ええぃ、私の知る言葉で話さぬか……

 

 しかし、この様子。もしや帰るつもりか?そうはさせんぞ。

 

 

「私が逃すと思っているのか?」

 

「うん。武装もしていない相手と戦うの?」

 

「……確かに、そのような事はせぬが、そこの犬は人型で徒手空拳の使い手であろう?武装をしていないとは言えぬよ」

 

 

 一歩足を引いて構える。それに犬も片足を引いて腕を構える。解ってるではないか、理解の速い犬は嫌いではないぞ。

 

 

「アルフ、人型から戻って」

 

「え?どういうこと?」

 

「いいから」

 

 

 ぬ?何故犬型に戻る?まあよい。犬型であっても戦えるのは知っている。

 

 

「そっちじゃないよ、アルフ」

 

「………」

 

 

 何故非戦闘時の子犬形態に成った?これでは戦えないではないか。

 

 もしや、こうまでして他人に躾をされたくないと申すのか。頑固なやつだ。

 

 

「仕方あるまい。だが次あった時は必ず躾けてやるぞ、首を洗って待っているが良い、犬」

 

「………」

 

「そうだねアルフ。それじゃ、さようなら。もう会いたくはないけど」

 

 

 む?どうやら私の行動は少女を不快にさせたようだ。意図せず悪行をこなす私は悪に近づいている証拠なのかもしれぬ。

 

 この調子でやっていくのがよいのだろう。私は公園から立ち去る金髪少女と子犬を見送った。

 躾はできなかったがいい気分だ。

 

 今日はよく眠れるであろう……

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