偽悪になった少年 R   作:茶ゴス

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2nd

 フェレットに化けた人間を高町なのはが家に連れ帰って来た翌日。下校時に用事があると高町なのはに告げた私は悪行を積み重ねていた。

 様々な悪事を行ってきた私ではあるが、ここまで酷いのは早々無いだろう。なんと、川でダンボールに入り、流されて遊ぶという娯楽をしていた猫を川から拾い上げ、ダンボールを粉砕した。しかし、猫の思考能力では折角の遊びを邪魔されたのだと理解は出来なかったようで、足に頭を擦り付けて甘えてきている。いいのか?猫よ。今お前が甘えている男はお前の娯楽を粉砕した男なのだぞ?

 

 そう問答してみても意味はなく、次なる悪行のために私は違う地へと足を運んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 着いた場所は神社。長い階段を登りつつここで出来る悪行を考える。

 賽銭箱にあえて紙幣を入れる?賽銭箱には大抵貨幣しか入っていないから紙幣が入っているとわかると狼狽えるだろう。

 だが、あまり現実的ではない。基本的に私は金銭というものを持ち歩かない。真に欲しいものならば作り出せばいいのだから……

 

 む?神社から異様な気配がするな……これは昨日の影と同種のものか…取り敢えずあのような程度の低い者を相手にしても仕方がないが、いつこちらへキバを向けて不快にしてくるかもわからぬ。

 取り敢えずは様子を見に行くとするか。

 

 

 階段を登りきり境内に入る。そこには寝ている女性と巨大な犬がいた。

 犬、あそこまで大きいとなると十中八九何者かによって異形にされたに違いない。つまりは、何かの意図があってこの犬を昨日の影と同種の存在に変えたのだろう。

 ならばこの犬を戻せばその者の計画は破綻する。

 

 

 よし、屠るとしようか。犬背後へ移動し、蹴り飛ばす。

 咄嗟に前方へ飛んで衝撃を減らしたか。だがその程度で私の蹴りに耐えれるはずもない。犬は足をがくがくと振るえさせその場に倒れこむ。

 

 

「所詮はこの程度、一思いに楽にしてやろう」

 

 

 犬の方へと歩いて行き、目の前で立ち止まる。そして右手を犬へと近付けて、そのまま……

 

 

「む?」

 

 

 近付いてくる……高町なのはと人間フェレットの気配か。

 まさか犬を変貌させたのは高町なのはなのか?にわかには信じ難い。英雄が計略を巡らせるとは思えぬが……

 

 様子を見た方がいいのかもしれぬ。

 

 

「左手に仮面を」

 

 

 仮面をかぶり、光を屈折させることで正体がばれないようにする。

 もしこの犬を変えたのが高町なのはなのだとすればここで潰しておこう。英雄とならないのであれば必要ないからな。

 

 2つの気配が境内に入る前に背後へと移動しておく。

 

 

「こ、これは」

 

「え?あの犬がジュエルシードの影響を受けているの?」

 

「た、多分。だけどもう随分と弱っている。今のうちに封印を!」

 

 

 成る程、私の考えはどちらかと言えば反対だったわけか。あの犬は高町なのはへと当てられた刺客。つまりはだ、私以外の何者かによる英雄への宣戦布告といったような者……

 

 許しておけぬな。私以外の悪が英雄(仮)と戦おうとするなど。図に乗っている……

 

 

「ジュエルシード、シリアル16!封印!」

 

 

 む?いつの間にか高町なのはの姿が変わって異様な力を感じる。

 芯の通った弱々しい力。これが英雄となり得るものの力か……源は高町なのは自身。放出先はあの棒状の物というわけか……些か非効率なものだとは思うが、問題はないのか?

 

 

「お疲れ様、なのは!」

 

「うん。だけどどうして弱ってたのかな、ユーノ君」

 

「さあ、だけど今は無事に封印できたって喜んでおこうよ」

 

 

 なるほど、あの人間フェレットは優野という名前なのか。漢字は適当ではあるが、日本人なのだな…

 他にも異様な力を持った日本人がいるのかもしれぬ。月村すずか然り、高町なのは然り、人間フェレット優野然り。

 

 これは悪としてはやりがいのある世界だ。日本という小さな島国の海鳴という一箇所にこれだけいるのだ。世界中を探せば物凄い数いるかも知れぬ。

 対する悪は私一人。これこそ悪と正義の戦いになり得るであろう。

 

 楽しみだ……

 では、色々と教えてもらった礼でもしてやろうか。

 

 

「実に見事な手際だったぞ、少年少女」

 

「誰だ!!」

 

 

 背後からの声に驚いたのだろう、優野は焦ったように此方へと振り向いた。

 二人には今、私が仮面を着けた人型の靄に見えるだろう。これならばイタズラに正体がバレる心配もない。

 

 

「お、おばけ!!」

 

「か、仮面!」

 

「……何をそこまで怯えるのかはわからぬが、今日の所は顔見せと決めていたのでな。次に相見える時にでもその力を私に見せるがいい」

 

 

 私の言葉に二人は尻餅をついた。その隙に神社の裏手へと移動する。

 

 

 

 今の、もう少し悪のように振る舞えないものか……やはり私は精進が足りぬな。

 このままでは悪と成るのにどれほどかかるのやら……先の不安を抱えつつ、自室へと移動した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「い、今のは一体……大丈夫?なのは」

 

「う、うん。だけど何処かで聞いた声だった……」

 

「本当に!?」

 

「あと、凄くいい匂いだった」

 

「…え?どういうこと?」

 

「……何だか総司君に会いたくなってきた!帰るよ!ユーノ君!」

 

「あ、待ってよ!なのは!」

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