偽悪になった少年 R   作:茶ゴス

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5th

「よし総司!模擬戦だ!!」

 

「……何故温泉旅行に来てまで戦わなければならぬのだ?」

 

「したくないなら飲むんだ!」

 

「父さん、小学生に酒勧めたらダメだよ」

 

 

 宴会場、酒を飲んで酔っ払う高町士郎の所業に頭が痛くなった。

 現在私達高町家は高町なのはの友人2名、そして月村家の面々と共に温泉へ旅行に来ていた。

 既に一度温泉で体を癒やし終え、今は夕餉を楽しんでいるのだが……

 

 

「酒!飲まずにはいられない!」

 

 

 一番の最年長であり、保護者となるべきであろう高町士郎が一番はっちゃけていた。

 ストッパーである高町桃子もにこやかな顔をして座っているだけ……否、座りながら寝ている。

 

 高町恭也は高町士郎に酒で潰され、寝ている。高町美由希の方はなんとか私に酒を飲ませようとする高町士郎を止めるのに精一杯のようだ。

 

 高町なのはと友人2名は既に部屋へ戻り布団に入っているだろう。

 友人2名は微動だにしていないが、高町なのはと人間フェレットユーノが何やら動いている所から、高町なのは以外の2人は寝たと考えて良さそうだ。

 月村家の面々は風呂に入っているのと、月村忍が高町恭也の隣で寝ている。

 

 

「総司!何黄昏れてるんだ!」

 

 

 目の前に一升瓶を置き、隣にあぐらを組んで座った高町士郎に眉を顰める。

 

 

「酒臭い」

 

「なっ!!」

 

 

 そう言いコップに入れた冷酒を傾ける。

 焼けるような感覚になる喉に若干の心地よさを感じつつ高町士郎へと視線を向けた。

 私の発言がよっぽどショックだったのか、高町士郎は面妖な顔つきで固まっていた。

 

 

「って総司!何飲んでるんだ!」

 

「あぁ、私のさけ……」

 

 

 お盆の下に隠していた徳利を高町美由希にひったくられる。

 何故顔つきを険しくしているのだろうか……だが、わかったぞ高町美由希、お前は私が飲み終わった徳利を片付けてくれるのだな。今宵はその善意に感謝するとしよう。

 

 

「空じゃないか、まさか全部飲んだんじゃ……って、今何処から出した!?」

 

 

 無論、高町士郎が最初に座っていた場所のを移動させただけだ。

 大量の空の徳利が置いてあるそこには何故か中身が入った徳利も幾つかあり、そこから拝借したというわけだ。

 

 

「ああ、もう恭ちゃん!どうにかして!私じゃあどうにも出来ないよ!」

 

「みゆきぃ?どうしたんだ〜?一緒に寝たいのかぁ?甘えん坊だなぁ」

 

「いや、それは正直嬉しいけど今はそれどころじゃないよ!」

 

 

 む?高町なのはが動き出したな。よし、私も行くとしようか。

 

 

 

 

 

「もう、しっかりしてよ恭ちゃん……あれ?総司何処いった?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私言ったよね?いい子じゃないとガブっと行くよって」

 

 

 む……高町なのは達以外にも人がいたか……奇しくもユーノと同じ……いや、逆か。

 あれは狼が人間に化けているのだろう。

 

 なんせ狼になったしな。全く、とんだファンタジーな存在だな。

 

 

 にしても、あの2人組は何者なのか……勘ではあるが悪ではない。敵対はしているが、どちらかと言えばライバルのような……

 

 まあよい、どちらにしても関係のない話だ。

 

 

「やっぱり、あいつ、あの子の使い魔だ!」

 

「使い魔?」

 

「そうさ。私はこの子に作ってもらった魔法生命。製作者の魔力で生きる代わり、命と力のすべてを掛けて守ってあげるんだ」

 

 

 ならばあれは作られた生命だと言うわけか。生命としては自然に生まれたものと酷似しているが……

 

 

「私参上!!」

 

 

 どうでも良い。私の悪事で塗りつぶしてくれよう。

 

 

「そ、総司君!?」

 

「え?え?い、一般人?」

 

 

 ふっ、この混乱。今宵の悪事の成功を謳っているかのような滑り出し。

 

 

「さて、狼女よ、今宵一曲踊ってもらおうと思うのだが、構わないか?」

 

「ガキンチョが一丁前に…!まさかそっちに仲間がいるなんて思わなかったよ!」

 

「仲間?知らんな。私は今飢えている。この渇き、満たしてくれようぞ!」

 

「そ、総司君?こ、これには理由があってね」

 

「む?なのは。貴様いつ分身の術を会得した?」

 

 

 ええぃ、分身の術とはまた厄介な術を身につけてくれたな。いや、3体ならばまだ対処はできるか。

 

 

「え?ぶ、分身なんてしてないけど……ってお酒の匂い?まさか総司君……」

 

「さあ、行くぞ!私の戦闘力は53万を優に超えてるぞぉぉぉぉぉ!!」

 

「ガッ!?」

 

 

 

 移動し、蹴り飛ばす。

 なんだ、無反応か。実力者だと思ったがそうでもないのか。

 

 移動し、叩き落とす。

 移動し、蹴り上げる。

 移動し、足をつかむ。

 

 そのまま高町なのはへフォロー・スルー

 

 

「にゃ!?なんでこっち!?」

 

「っ!!!よくもアルフを!!」

 

 

 鎌で斬りかかってきた金髪少女の攻撃を躱す。

 そのまま切り上げてくる鎌の刃を拍手で砕く。

 

 

「くっ!!」

 

 

 ふむ、距離を取るのは普通に考えれば良手と言えるだろう。だが私の前では……

 

 

「無意味だ」

 

「な!?」

 

 

 移動し蹴り落とす。今度も高町なのはの方へ。

 

 

「いたた……もう、総司君いきなり激しい……ってまた!?」

 

 

 金髪少女と高町なのはがぶつかったのを見届け、私は重力には逆らわずに地面へと落ちていく。

 動いたら思ったよりも身体に疲労がたまったな。それに原因不明の頭痛もする。これは早急に休養が必要だ。

 

 私はそのまま瞼を閉じた。

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