「お嬢様、準備は整いましたか?」
「えぇ、いきましょう。弦護」
少女の長く美しい黒髪が揺れる。
そしてその背後には弦護と呼ばれた少年が彼女の荷物を持って控えている。
「そうでした。ダイヤ様、こちらを預かっております」
少年は少女、ダイヤへと一枚の手紙と小包を手渡す。
封には祖父よりと書かれており、少女は早速手紙を開く。
「またお爺様のヘンテコ発明?アストロ……?」
「どうかされましたか?お嬢様」
「いえ、その小包は預かっていなさい。ただし、中身は開けないで。」
「かしこまりました」
少年はそう言って小包を自身のカバンの中へとしまいこむ。
「それでは参りましょう」
今日は浦の星女学院入学式
これは、生徒と執事と、海と宇宙の物語。
ラブフォーゼ!サンシャイン‼︎
-私立 浦の星女学院-
2人が学校到着するも、辺りに生徒の姿はまだ少ない。
そんな中、1人の初老の男性が2人の前に現れる。
「黒澤さん、天海さん。おはよう、今日も早いね」
「大神(おおかみ)理事長、おはようございます」
「おはようございます。本日は入学式ですから、ダイヤ様も張り切っていますので」
「弦護、そのような嘘をつくのはやめてちょうだい。私はいつも通りよ」
大神理事長は2人のやりとりを見て微笑むと窓から校庭を見る。
「入学式に相応しいいい天気になった。今年はダイヤさんの妹も入学してくるんだったかな?」
「……えぇ、不肖の妹です」
ダイヤは軽くため息をつくようにして顔をそらす。
「どうしてこの学校を選んだのか。私には疑問にでしかありませんわ」
「それならルビィ様に直接尋ねられればよろしいのでは」
「だから弦護はいちいち余計なことを言わないでくれないかしら?」
「ハハッ、確かに今年の浦の星を選ぶの人はなかなかいないからね。僕も理由を聞いてみたいよ。これ、今年の入学者一覧表」
そう言って理事長はクラス名簿をダイヤに手渡す。
「やはり一クラス分しか入学者は集まらなかったね。いや、一クラス分は集められた、とするべきかな」
そこに書かれているのはたった30人の名前。
そしてこの人数しか集まらなかったことで、学院は一つの決定を下さなければならなかった。
「ですが、これで廃校は確定ですね……」
全員の名前を確認し終わるとダイヤは名簿を理事長に手渡し、わずかにうつむく。
「仕方ないけど、これも僕の力不足だからね。せめて残りの3年間、生徒たちにはめいっぱい学園生活を楽しく過ごしてもらいたい」
寂しそうな表情をするダイヤと理事長だが、ダイヤは顔を上げると理事長に向かい頷く。
「そうですね……私も生徒会長として、尽力します」
「ありがとう。でも、黒澤さん、君も学院生活を楽しむことを忘れないように、悔いの残らないように過ごしてほしい」
「大丈夫です。私は常に完璧であり続けますから。それさえできれば、わたしの学生生活、何も思い残すことはありません」
ダイヤはそう言って誇らしげに右手を胸に当てる。
常に完璧であり続ける、それは黒澤家長女である彼女の使命でもあり、彼女自身の信念でもあった。
「私も黒澤家執事として、そして学院の用務員として、微力ならお力添えします。何かあればぜひ私に」
「ありがとう、天海くん。外部の人間にそこまで頼るのは申し訳ない気もするけどね」
そう言って理事長は頭を掻く。
「いえ、特別に学院内の立ち入り許可を頂いてるのですから相応の働きをするのは当然。それに黒澤家の執事として、ダイヤ様が大切に想うものを護るのもわたしの務めです」
「ハハハ、頼もしいな、よろしく頼むよ。さて、じゃあ私は入学式の確認をしなくては」
そう言い理事長は2人の横を通り抜けていく。
「私たちも行きましょう」
「はい、お嬢様」
かすかに不機嫌そうな表情を見せ、歩き始めたダイヤに敢えて何も言わず弦護は後に続くのだった。
〜〜〜
「柴田ひとみ」
「はい」
入学式は例年通り、特に問題なく進行されていた。
特別な点といえば、理事長から廃校に関する知らせがあることくらいだろう。
「お嬢様、少しあたりを見て参ります」
「そう、式が終わるまでには戻って来なさい」
「かしこまりました」
(執事なのにこういう格式張ったものが苦手なのはいかがなものなんだろうか)
弦護はそんなことを考えながら入学式の行われている体育館を後にする。
「ですがこの学校も今年で無くなってしまうと考えるとやはり寂しいですね。3年間毎日通ってた身としては」
弦護は体育館からまっすぐに玄関方面へと向かっていた。
あたりには彼以外誰もおらず、静かだ。
「ち、遅刻遅刻!」
彼女が現れるまでは
「きゃっ!」
「おっと」
赤紫色の髪をした少女が角を曲がったところでちょうど弦護とぶつかる。
少女漫画もビックリなほどちょうどのタイミングだ。
「危ないっ!」
弦護はなんとか左手で少女の右腕を掴み、右腕を背中に回し、引き寄せることでなんとか少女の転倒を回避する。
「大丈夫ですか?」
「ひゃ、ひゃい!」
転びそうになったこと、走ってきたこと、そしてすぐ近くに知らない男の顔があること、少女の心臓は今までにないほどに激しく動いていた。そして
「あっ……」
「大丈夫ですか!?って気絶してる……?」
少女は目眩を起こしたのか一瞬左手で頭を抑えたかと思うとそのまま気絶してしまう。
「というかこの子の服、ウチの制服ではありませんね……とにかく保健室か」
〜〜〜
「以上を、歓迎の言葉とさせていただきます」
ダイヤによる歓迎の言葉が終わると体育館にまばらな拍手が起こる。
全員しっかりと拍手をしていても教員含めて50人ほどしかいなければそれも当然だ。
「お疲れ様でした。今回の挨拶も完璧でした」
「弦護、いつの間に戻ってきたの?」
「ダイヤ様の挨拶が始まるのと同時に。しっかりと聞かなければなりませんから」
「良い心がけですわ。でも、心にもないお世辞など言わなくてもよろしくてよ?」
「いえ、お世辞ではありません。お嬢様が完璧であったか、私はあなたの隣で常に見ていますから」
「……そう。そうでしたね」
「それと今日この後少し寄るところがあるのですがよろしいですか?」
「寄るところ?」
〜〜〜
保健室
「……ん、う〜ん……」
「目が覚めましたか?」
少女はゆっくりと目を開く。
弦護はその側で開いてた本を閉じると少女へ向かい微笑む。
「ここは……?そうだ!私遅刻して!」
「あぁ、まだそんな無理に身体を動かさないでください。また倒れてしまいますよ?」
弦護は飛び起きようとする少女をいさめる。
「見た所あなた、うちの新入生ではないようですが」
弦護は確かめるように少女の制服を見つめる。
「あ、えっと私転校してきた2年生で、この制服も、前の学校の制服なんです」
「なるほど……ということは勘違いですね」
「勘違い、ですか?」
「えぇ、本日は入学式、2年生はお休みです」
弦護は爽やかな笑顔でそう伝える。
「え、えぇぇ!?じゃ、じゃあ私今日ここに来た意味は…」
「全くございませんね」
「うわあああ!やらかしたぁ……」
少女は大きくため息をつく。
日付を勘違いした上に気絶して見ず知らずの人に介抱までしてもらっていた。
いいことが一つもない。
「来るべき日を忘れて休んだわけでもありませんし、今日で学校までどのくらい時間がかかるかもわかりましたし、悪いことだけではないのでは?」
「そうかもしれませんけど、バス代……まだ定期買ってなかったからなぁ」
再び少女は大きくため息をついてうつむく。
「それでしたら、帰りは私がバイクでお送りしましょう。ここで出会ったのも何かのご縁です」
「えっ!いやいやいや、そんな悪いですよ!」
少女はブンブンと大きく手を振って否定するも、弦護の意思は変わらない。
「問題ありません。あなたもこの学校の生徒、それなら、私が助ける理由としては十分です」
そう言って弦護はスマートフォンを取り出し、ダイヤと連絡を取り始める。
怒られたのか少し苦笑いのような表情を浮かべる。
「許可は下りました。もしご迷惑でなければ、ぜひ」
「そ、それじゃあお願いします。えっと」
「そういえば自己紹介がまだでしたね。私、黒澤家執事兼、浦の星女学院生徒会付き特別用務員の天海弦護と申します」
「あ、2年生の桜内梨子です!って、執事!?」
「はい、執事です。といっても、まだ半分は見習いですが」
弦護は相変わらず笑みを崩さず少女、梨子にそう伝えるのだった。
〜〜〜
「気絶してた子が目を覚ましたから送り届ける、弦護らしいというか」
「どーかした?会長」
弦護がダイヤに連絡時、ダイヤは生徒会室にいた。
その場にいるのはダイヤと生徒会副会長の2人だけ。
他の役員は入学式関連の仕事を終えると早々に帰宅してしまった。
「いえ、ウチの執事がまた人助けしてるだけよ」
「あぁ、あの優執事くん?嫉妬してるの?」
副会長はそう言いニヤニヤとダイヤの方を見る。
「その口縫い合わせるわよ、虹夏(こなつ)」
「じょーだんだって、そんなことよりさっさと仕事終わらせよっか」
副会長、水無月虹夏はそう言いながら書類の束を自分とダイヤの机の前に分けておく。
「……残念だったね、廃校のこと」
「仕方ありませんわ。私たちの学年が1クラスしかない時点で既にその方向性で話は進んでいたのでしょう。私が会長になってから半年で、やれることはあまりに少なかった」
「でも頑張ったよ、ダイヤは。生徒会長引退したら暇すぎて死んじゃうんじゃない?」
「まさか、もしそうなったらお稽古を増やしますわ」
「だと思った。まぁダイヤらしいって言えばらしいけど、遊べる時に遊んどかないといつか後悔するよー?お堅いことするだけが人生経験じゃないんだから」
「そうかもしれないわね」
そんな談笑をする2人を生徒会室がよく見える木から見つめる存在があった。
しかしそれに、2人は気づかない。
〜〜〜
「それでは、こちらへ」
「は、はい」
梨子は弦護に手を引かれ駐輪場へと向かう。
そこには既に白いバイクが用意されている。
「一応学校から他の場所へ緊急で移動することがある時用に常に学校に置いてあるんです」
「へー……本当に執事さんなんですね!」
「えぇ、珍しいですか?」
「はい、東京で見たのはメイドカフェのメイドさんや執事カフェの執事さんだけですから」
梨子はそう言って苦笑する。
「そうですか、東京には行ったことがないのでいつかは行ってみたいですね……ん?行ったことがない……?」
「どうかしたんですか?」
弦護は顎に手を当てて考え込む。
まるで何かを探るかのように深く考えている。
「いえ、なんでもありません。私の思い違いでした。さて、それでは出発を……」
その時だった。
「きゃああああ!」
一つ、大きな悲鳴が響いた。
「ッ!?ダイヤ様の声!梨子さん、少々お待ちください!」
そう言うと弦護は一目散に生徒会室めがけ走り出す。
「は、速っ……」
その余りの速さに梨子は驚愕し、呆然と立ち尽くすのだった。
「ダイヤ様!」
弦護が部屋に飛び込むと、壁にもたれかかり、気絶した虹夏、そして、同じく気絶したダイヤを抱えたカメレオンのような怪人、カメレオンゾディアーツの姿があった。
「お嬢様を離しなさい、化け物」
弦護はそう言い戦闘態勢をとる。
「おっと、手を出したらお嬢様がどうなるか、わかってるよなぁ?」
カメレオンゾディアーツは空いている手の爪をたてダイヤの首元に触れる。
「チッ……」
「ほぉ、ちゃんと躾けられた犬だね。でも、そこじゃ近いかな!」
カメレオンゾディアーツは勢いよくその舌を弦護へ向けて伸ばす。
「うぐっ!」
舌による攻撃を腹部に直撃させられた弦護はそのまま吹き飛ばされ、生徒会室を飛び出し向かいの壁に激突する。
「さよなら」
カメレオンゾディアーツはそう言うとまさにカメレオンのように姿を消す。
見えないのでは追いようもない。
「弦護さん!」
そこへ走ってきたのは梨子。
梨子は壁にもたれかかり苦しそうに息をする弦護に駆け寄る。
「大丈夫ですか!?何があったんですか?」
「いえ、少々厄介なことになりまして……申し訳ありませんが、そこで気絶している方を保健室まで運んでもらえませんか?」
そう言うと弦護は腹部を抑えながらも立ち上がる。
「いいですけど……弦護さんも保健室、いや救急車!」
「このくらいなら大丈夫です。師匠の攻撃の方が何倍も痛いですから」
「ちょ、ちょっと弦護さん!どこへ行くんですか!?」
「執事として、お嬢様を助けに」
弦護は呼吸を整えると再び駆け出す。
「弦護さん!?」
梨子が名前を呼ぶも、もう振り返る様子もない。
「とにかく、私も頼まれたことをしなくちゃ!」
そう言って梨子は虹夏へと駆け寄る。
〜〜〜
「ダイヤ様……!」
弦護は全速力でバイクを走らせる。
向かう先は一つ。彼女の居場所はわかっている。
「制服にGPSを仕込んでおいたのは正解だったみたいですね!」
〜〜〜
既に稼働していない小さな工場、カメレオンゾディアーツとダイヤは、そこにいた。
「無様だね、黒澤ダイヤ」
「クッ……あなた、何者ですの!?」
ダイヤは鎖で柱に縛られ、カメレオンゾディアーツは愉快そうにそれを見ている。
「言うと思ったの?でも、これだけは教えてあげる。黒澤家に恨みを持つ人間だって」
「黒澤家に……?心当たりが多すぎてとてもわかりそうにはありませんわね」
地元の名家である黒澤家、その家は幾つかの事業を展開し、家から政治家や企業家など多数を輩出しており、結果として他人に恨まれることは多々ある。
「そう、そうやってアンタたちは大勢の人を苦しめてるんだ。だから復讐する!」
「それで私をこんなところに?だとしたら、無理だと思いますわよ」
クスリとダイヤは不敵な笑みを浮かべカメレオンゾディアーツを見つめる。
「はぁ?こんな状態でよくそんな強気な言葉が吐けるのね!だったら試してあげようか!」
そう言ってカメレオンゾディアーツは舌を伸ばし、ダイヤの首元にあてがう。
これをダイヤの首に回し、締め付ければ、彼女は確実に窒息死する。
しかしダイヤは眉一つ動かさず、カメレオンゾディアーツのその背後を見る。
「えぇ、試してみたらいかがかしら?ねぇ、そう思わない?弦護」
「!?まさか!」
カメレオンゾディアーツが慌てて振り返る。
するとそこには朝、ダイヤに預かっておけと頼まれた小包、それを手にした弦護が立っていた。
「な、なぜここが!」
「試される前に助け出すのが私の使命なのですが……?」
「そうできると思ってるから言ったの。それで?その小包を持ってどうするつもり?」
身体を縛り付けられていることを感じさせないような余裕さを見せながらダイヤはそう言い放つ。
立ち位置だけ見れば悪の親玉と子分の怪人にすら見える。
「そうですね。実は私も、お爺様より、一枚手紙をいただきました。そして今回ばかりは、ダイヤ様のご命令を破らせていただこうかと」
そう言うと弦護は包みを破き、中から『ソレ』を取り出す。
「さぁお爺様、あとはこれの起動方法とちょっとした使い方しか手紙には書いてませんでしたが、どうなることやら」
ソレを腰に装着した弦護は、4つのスイッチを順に下ろしていく。
《3》
「何をするつもりだ!」
《2》
「何ですの、アレは…?」
《1》
「変身!」
弦護はその掛け声とともにレバーを引く。
すると辺りを白い煙が包み、弦護の真上から、降り注ぐように光が出現する。
そして次の瞬間には煙が流れ
フォーゼが、現れた。
「宇宙……キター!」
「う、宇宙?というかその姿、なんなの?」
謎のフレーズに首をかしげるダイヤ。
「ふざけるな!」
一方カメレオンゾディアーツは怒りフォーゼへ向かって駆け出す。
「いつだってお固くて真面目なんだから、こんなときくらい、あげて行こうか!」
フォーゼは拳をカメレオンゾディアーツに向けて突き出し、そう言うと同じくして駆け出す。
「げ、弦護?あなたその口調は」
「気にしないで!」
「は、はい」
ダイヤは聞きなれない弦護の口調に困惑するも、今はそんな場合ではないとそれ以上の追求を思いとどまる。
「まずはさっきのお返し!」
「ぬおっ!」
カメレオンゾディアーツの腹部にフォーゼのパンチがヒットし、大きく後ずさる。
「くそッ!これでも喰らえ!」
カメレオンゾディアーツはフォーゼめがけ勢いよく舌を伸ばす。
「同じ手はくらわないってーの!」
フォーゼは寸前でカメレオンゾディアーツの攻撃を避けるとそのままその舌を掴み、勢いよく引いた。
「うおおおお!?」
舌を出していても喋ることには影響がないのか叫びながらカメレオンゾディアーツはフォーゼの後方まで吹き飛ばされ、そのまま工場の中に放置されたドラム缶に頭をぶつける。
ちょうど、フォーゼがゾディアーツとダイヤに挟まれた位置に立つ。
「つ、強い……!」
「まだまだ、こんなもんじゃないよ、フォーゼの本領はこっから、らしいからね!」
フォーゼは一番右側のオレンジのスイッチを押す。
《ロケット・オン》
機械的なアナウンスと共にフォーゼの右腕にオレンジ色のロケットモジュールがセットされる。
そしてロケット噴射で身体を吊られるようにしてカメレオンゾディアーツへと向かっていく。
「ロケットパーンチ!」
「ロケットパンチのロケットってそういう意味じゃないと思うのだけど!」
「たまにはこういうのもアリでしょ!」
ダイヤにツッコミを入れられながらもカメレオンゾディアーツへ向けて突進する。
「はぁっ!」
しかしカメレオンゾディアーツも再び舌を伸ばすとそれをロケットモジュールに絡みつかせる。
「さっきからちょこまかと、やりたい放題やりやがって!」
「そういうのは嫌いだった?なら、近距離で!」
そのままロケットの推進力でカメレオンゾディアーツの懐に飛び込んだフォーゼは右足でカメレオンゾディアーツの顎に膝蹴りを決める。
「次はこれで!」
フォーゼはロケットスイッチをオフにするとその隣の青いスイッチをオンにする。
《ランチャー・オン》
振り上げられたままのフォーゼの右足に青い5連装ミサイルランチャーが装着される。
「おおっ!ミサイル!」
「なっ!まさか!」
「この距離なら避けられないよね?Fire!」
ランチャーモジュールから5発のミサイルが連続してゼロ距離で放たれ、爆発する。
「ぐあああっ!」
「うおっと!」
カメレオンゾディアーツは爆風と共に大きく吹き飛ばされ、工場の入り口付近まで、反動でフォーゼもダイヤのすぐ隣まで吹き飛ばされる。ダメージが大きく、すぐには立ち上がれない。
「絶対使い方間違ってるわよね!」
「いいじゃん?当たったんだから!」
「というか早くこれ外してくださらない?」
「あぁ、そうだね、今のうちに……とぉ!」
フォーゼはダイヤを縛る鎖を無理やり引きちぎる。
「さて、それじゃあ止めといこうか!」
《ロケット・オン》
再びロケットモジュールを装備したフォーゼはそのまま天井近くまで飛び上がる。
「こっちの足は何かなっと」
《ドリル・オン》
「おぉ!ドリル!男のロマン!それじゃあ決めるよ!」
《ロケット・ドリル・リミットブレイク!》
「でりゃああああ!」
ロケットの推進力とドリルの貫通力が、ようやく立ち上がろうとするカメレオンゾディアーツに迫る。
「くっ……うわあああああ!」
フォーゼのリミットブレイクを避けることもかなわず、断末魔と共にカメレオンゾディアーツは爆散する。
「うおおおおっ!?っとと」
一方フォーゼは地面に突き刺さった勢いでドリルに振り回されながらもなんとかドリルとロケットスイッチを止める。
「弦護!」
ダイヤの声にフォーゼは振り返ると、変身を解き、ダイヤの元へと早足で駆け寄る。
「お嬢様、お怪我はございませんか?あぁ、制服が汚れてしまいましたね。あとでクリーニングに出しておきます」
「え、えっと、弦護?」
変身を解いた弦護に変身時の口調の面影は一切ない。
別人だったと言われれば信じてしまいそうなほどだ。
「はい、どうかされましたか?」
「いえ、なんでもないわ。それよりあの怪物は倒したの?」
「はい、と言いたいところですが、手応えがありませんでした。それに何より、あの怪物は人間が変身した姿でその痕跡すらないとなると、寸前で逃げたか、それとも怪人の姿は鎧のようなもので中身の人間はまだ無事なのかもしれませんね」
そう言って弦護は爆発が起きた地点を見つめる。
そこに残されたのはドリルによって抉れた地面とその周辺の黒焦げたコンクリートのみ。
「そう……あの怪物、黒澤家に恨みを持っていると言っていたわ」
神妙な顔をするダイヤを見て弦護は何かを閃いたかのようにパチンと指を鳴らす。
「ルビィ様がご心配ですか?」
「なんでそこでルビィが出てくるのよ!」
「一応お約束かと思いまして」
「いらないわよそんなの!全く……相変わらず一言余計なのは治らないわね。そんなことより、あなた送っていくって言っていた子はどうしたの?」
「あっ……」
すっかり頭から抜け落ちていた梨子の事を思い出し弦護は頭を抱えて座り込む。
「しまったああああ!ダイヤ様、すぐに学校に戻りましょう!」
「はぁ……そんなんだから半人前なのよ、相変わらず私やルビィのことになると暴走するの治らないのかしら」
そしてダイヤと弦護は大急ぎで学校へと戻るのだった。
「動き、だしたね」
「えぇ、静かに、ですが確かに」
暗闇で辺りが覆われたその部屋に1人の男、そして辺りに控えるのは3人のゾディアーツ。
「フォーゼ、ゾディアーツ、コアチャイルド、そして…人間。私の元で、どう踊るのか。楽しみだよ」
男はそう言って手に持ったゾディアーツスイッチを見つめるのだった。
仮面ライダーのオリ主、サンシャインキャラ、ともに書くのは初めての試みなのでお見苦しい点も多々あるかと思いますが、暖かく見守っていただければと思います