キリトとユイのボーダー活動記(仮)【一時凍結】   作:倉月夜光

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鬼怒田さん!ポン吉回!!
キリトとポン吉の関係でござる。

※本日二話目、読んでない人は一話前もチェック!!


序章:剣士の日常Ⅲ

「でもこのトラップって無駄玉少し多いですよね。しょうがないのは分かりますけどトリオンセンサー導入はどうなんですか?」

「それも考えたが、それをするとかなりのトリオンを食うんだわい。まあ、数機にはそれを採用するがな」

 

     ・

     ・

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「やっぱりバックワームをトリガーに組み込むのは無理ですね」

「それは当たり前だろうが。そんなことが出来ていたらカメレオンが無敵トリガーになるぞ?実現したら風間が喜びそうだがな」

 

     ・

     ・

     ・

 

「うむ、ありがとう。ユイちゃん、もういいぞ」

『はい、お疲れ様です』

「それで鬼怒田さん、今回の検査で何かわかったことは?」

「お前の方がトリガー関連以外の普通のプログラムの方面には詳しいだろうが。今のところAI(人工知能)の開発は無理そうだな。プログラムが本当にどうなっているのかわからん。簡単に作れるものならもう世界中に出回っていそうだからあたり前ではあるがな」

「それはそうですね。ユイだって元をたどれば茅場が開発者とも言える存在ですから」

 

 

 

 現在、ボーダー本部のトリガー開発室で二人の男が言葉を交わしている。

 

 一人はこの部署の主、鬼怒田本吉。48歳のボーダー本部開発室長というとても偉い方である。

 彼はいつも怒鳴り散らしているようにも感じるが、それも全て意味があるときのみである。

 彼の実態は、基地の建物の強度管理、近界民(ネイバー)()から手に入れたトリガーの開発、本部周辺の地域にあるトラップの開発、現存するトリガーの改良・改造、トリガーチップの生産など多岐に渡る。

 それらを全て取りまとめるとてもすごい、高技術な技術者なのだ。

 

 もう一人は桐ヶ谷隊隊長、桐ヶ谷和人。約一年前に入隊し、スピード出世でA級まで昇格した実力派の隊員だ。そんな彼がこの部屋で鬼怒田と意見を交わしているのは当然理由がある。

 

 

 

 

 

 

     ☆

 

 

 

 数か月前……

 

 

「鬼怒田さん、ここにお客さんみたいですよ」

「なんだ、今日は特に予定は聞いておらんが?」

 

 

 

 鬼怒田はいつも通り開発室にこもりトリガーの改良を行っていた。現存するトリガーもなかなかの完成度だが、技術だっていつも進歩するものだ。過去に生み出したものをさらに良くできるかもしれない。

 だが、その作業中に開発室所属の寺島雷蔵に声を掛けられる。

 

―――まったく、今日は誰だ?

 

 開発室はその特性上毎日と言っていいほど客が来る。それはトリガーの調整であったり開発についてのブリーフィングであったり、または防衛任務で迎撃トラップの試し撃ちをするための調整であったりと多種多様だ。

 今日は誰が何の用で来たのか。

 

 

 

「失礼します。桐ヶ谷という者ですが。鬼怒田開発室長はいませんか?」

 

 

 

 入ってきたのは黒髪の少年。その服は私服なのでトリガーを起動している訳ではないのだろう。女の子にも見えるその華奢な体つきはそれでよく戦闘できるなと思えるほどだった。

 

 

 

(む…、桐ヶ谷……?)

 

 

 

 鬼怒田はしかし、一瞬だけ何か引っかかる物を感じ動きを止める。

 ここ最近でその名前を聞いた覚えがあるような気がしたのだ。

 

 

 

(桐ヶ谷…、桐ヶ谷……)

 

 

 

「お前!桐ヶ谷和人か!!」

「えっ!?は、はあ。そうですが……」

 

 

 

 鬼怒田はその名前を思い出した。

 確か、A級五位の嵐山隊が『SAO生還者(サバイバー)』の勧誘をテレビへのアピールも含めてやっていたこと。

 その中で一人、飛びぬけて優秀なトリオン能力を持つ少年が居たことを。

 

 その少年の名が桐ヶ谷和人。

 鬼怒田は他人越しで聞いた話だが、入隊試験の初戦闘訓練で緑川という少年と共に最速記録を更新したらしい。

 緑川が桐ヶ谷より先に挑戦し四秒、桐ヶ谷はたったの二秒という過去最速でクリアした二人がいたという話を聞いた。

 正確には確か1.8秒という凄まじい記録だったはずだ。

 

 

 

「それで、お前さんはここに何の用だ?」

「えっと、A級に上がるとトリガーの独自カスタムが出来ると聞いて来たんですk「何!?A級!!???」えど……」

 

 鬼怒田の驚きも当然である。今季入隊した隊員がA級昇格である。B級のランク戦が確か少し前まで行われていたはずだ。それでB級のトップに残ったというのか……。

 

「お前さん、A級に上がったのか?」

「え、ええ……。それで、米屋にそれを聞いて来たんですけど」

「ああ、あの槍バカか。それで、カスタムということは方向性は決めてあるんだろうな?」

「あ、はい。俺の使ってるのは……」

「フムフム……、ほう……」

 

 

 

 鬼怒田が聞いていたその改造は面白いものだった。今まで誰も思いつかなかったものである。確かにそれをうまく扱えられれば強力な武器になるだろう。

 

「どうですかね、出来そうですか?」

「無論だ、任せておけ。完成まで少し時間がかかるがな」

 

 鬼怒田は久しぶりに仕事意欲が湧いてきた。これが成功すれば今まで人気の無かった武器に人気が出るかもしれない。

 

「あ、じゃあお願いしたいことがまだあるんですけど」

「む、何だ?」

 

 鬼怒田は今の発案をしたこの少年を少し気に入り始めていたので機嫌よく返す。

 

「それ、()()していいですか?」

「…なに?」

 

 

 だが、帰ってきたのは鬼怒田も予想外の言葉だった。

 

「見学って、トリガーの設定を弄ることをか?」

「はい。俺、元の高校ではそんなことばかりやってましたから」

 

 頬を掻きながら話すその様子に鬼怒田は呆ける。

 嘘ではない様だ。少なくとも今ここで嘘をついて得られる特などない以上、嘘をつく理由もない。

 だが、隊員でこのようなものを見たいというのは初めて聞いた。トラッパーという希少なポジションについている隊員は別だが、戦闘員は基本的にこのような作業に興味を示さない。

 なので、目の前の隊員は初めて興味を示した存在とも言えるだろう。

 

「ふむ、何かプログラミングの研究とかかね?」

「あ、それもありますけど。機械工学にも手を出してましたね。色々とやってました」

 

 はははと笑い声をあげる桐ヶ谷だが、その知識は本物のようだ。

 

「なら邪魔せん限りは問題ないぞ。後ろで見てるくらいならな」

「はい、ありがとうございます」

 

 

 

 

 

 

    ☆

 

 

 

 

 

 

 鬼怒田と桐ヶ谷和人、キリトの出会いはこのようなものだ。

 

 そのあと、少したってからユイの相談を受けた鬼怒田はこれまでで一番驚愕したと言ってもいいような狼狽ぶりだった。

 完全に完成したAIなど生まれてから見たことも無かったし、それの開発者である茅場という男のことも調べた。

 世間を騒がせていたSAOの開発者であり、デスゲームを作った男。

 その生涯を鬼怒田は詳しくは知らないが技術者として卓越しているということは分かった。

 ユイの体をトリオンで作りたいと聞き、即答で答えて共同で開発に当たったのは今ではいい思い出だ。

 

 とまあ、これだけの経緯を経て今ではキリトが一番仲のいい上層部の幹部は鬼怒田さんということになっている。忍田派である桐ヶ谷隊だが、技術開発に際してそのようなことはほとんど問題にならない。

 彼の発想力もあり、鬼怒田もかなりの信頼と好感を持っている隊員だ。

 

「それで、今日はこれからどうしますか?」

 

 鬼怒田とキリトはいつも一緒に研究できるわけではない。

 鬼怒田は通常の勤務内容が詰まっているし、キリトは防衛任務や学校で時間をとれないことも多い。二人が研究する日は多少変動することもあるが、基本的に週の開始の夜前だった。

 週一でも開発室長と合同研究をしているキリトが凄いのか、はたまたその才能を認め、きちんと取り入れている鬼怒田が凄いのか。おそらくはそのどちらもがユイの体の作成成功やカスタムの多様化の要因だろう。

 

「ユイちゃんについては定期データをしっかり取れたからそれでいいだろう。今日はこれと言ったことはないな」

「それじゃあ、何か意見が出ないかディベートですかね?」

「うむ、それも久しぶりだわい」

 

 キリトが意外と誰とでも仲良くできるのも一種の才能なのだろう。鬼怒田との話し合いは外が暗くなるまで続けられた。

 

 

 

 

 

 

     ☆

 

 

 

 

 

 

「あぁぁ~~~!」

 

 キリトはボーダーの基地内を歩きながら背伸びをする。

 

 鬼怒田さんとのディベートは有意義なものだった。

 ユイのためにやっていた研究はトリオン技術ですべて解決したわけだが、アミュスフィアの研究に関してやフルダイブ技術に関する勉強はまだまだ止めていない。専門的な技術について勉強する時間はないが、一人で専門書を読んだりはしている。

 鬼怒田はそんな話題に付き合ってくれる数少ない人だったりするので、キリトはあの萌えキャラが好きだったりする。

 

 

「あら、桐ヶ谷君じゃない」

「こんにちは、桐ヶ谷先輩」

 

 

 正面から歩いてきたのは二人の女性。

 

 先に言葉を発したのが加古望。A級部隊の隊長であるセレブな印象の()()()()だ。なお実際にセレブかはキリトは知らない。

 後が黒江双葉。加古隊のアタッカー。その小さな体と背負った日本刀であるトリガー、『弧月』の印象から忍者に見えたりする少女だ。今は私服なのでその日本刀は無いが。

 

 

「こんにちは、加古さん。双葉もご苦労様」

「桐ヶ谷君は開発室からの帰り?大分遅いみたいだけれど」

 

 加古も言っているが、キリトが開発室の鬼怒田さんと懇意なのはボーダーの特にA級には知れ渡っていることである。

 それはユイの存在もやはり大きいのだろう。

 

「ええ、今まであの部屋に籠ってました」

「桐ヶ谷先輩ってもっとアウトドア派な印象があるんですけどね」

「いや、俺は超インドア派だから」

「それは誇ることなのかしら」

 

 少し雑談が起きるがそんなものは隊員同士では良くあることだ。

 三人であたりさわりのない、雑談的な内容について話す。

 

 

 

「では、俺はこれで帰るので。失礼します」

「はいはい。またね」

「お疲れ様でした」

 

 キリトは少し歩みを進め、角を曲がるとホッと一息つく。

 それは加古望という存在にであったら誰しもが必ず起こしてしまう反応と言える。

 

 

 加古のチャーハン。

 

 ボーダー隊員で知らないものはいないとばかりの話だ。

 加古さんは昔から料理をしていてそれなりに得意らしい。

 その証拠に双葉がバレンタインの友チョコを貰ったがとてもおいしかったらしい。

 そして、加古さんの、彼女の趣味に炒飯づくりというものがある。

 これはボーダー隊員の堤さんを二回、太刀川さんを一回殺したという伝説の料理だ。二人の紹介はキリトと出会った時に行うとしよう。なお、堤さんは一度に二回も死んだのではなく、一度()()()()()再び挑戦したらしい。結果は聞いての通りだが。

 

 そんな伝説の炒飯を自分から食べたいと思う人はいないだろう。唯一、胃が頑丈だという(本人談)双葉だけがその炒飯を食べて無事だったという事実がその凄まじさを物語っている。

 

 

 なんか最後にものすごくきわどい一日になったな、とキリトは思うのだった。

 

 

 

 

 

『加古さんの炒飯は本当にそんなにひどいものなのでしょうか。パパは食べてみないのですか?』

「勘弁してくれ、ユイ……」

 

 純粋な天使は疑うことを知らない様だ。

 

 




ユイちゃんのトリオン体開発にもちろん携わっている鬼怒田さん。
相変わらずこの作品でもハイスペックである。

なお、この作品の萌えキャラはユイちゃんなので鬼怒田さんすまない…、本当にすまない……!!

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