キリトとユイのボーダー活動記(仮)【一時凍結】   作:倉月夜光

7 / 8
対トリオン兵戦、
キリトの活躍を括目して見よ!!

※ボーダーとの提携校の見取りや通ってる人などはわからないので適当に決めました。その辺の情報が原作で出たら少し書き直すかもしれません


序章:ネイバー交戦Ⅱ

 地面に飛び降りる。

 

 トリオン体なので着地の負担は心配しなくていいレベルのものだ。ボーダー隊員の中には、ビルの屋上から飛び降りる理論派スナイパーがいるのでそれに比べれば大したことではない。飛び降りた地点は運良く玄関前、信じてもいない神様にサンキューと言い、トリオン体だからこそ出せるスピードで駆ける。

 

 視線の先には一匹のモールモッド。改造されたトリオン兵がいると迅が言っていたが、現在目の前にいるトリオン兵は特に変わったところはない。いつも通り、台所にいる全人類共通の敵であるGのようなフォルムで、前足二本が命を刈り取る鎌のような形をしている。トリオン兵の中で一番よく出てくるバムスターの数倍の強さだと個人的には思っている。

 

 だが、キリトはその相手をするのにもう慣れ切った。いや、()()()()()()()()といってもいいかもしれない。

 そもそもトリオン兵とは、一般的には知られていないがトリオンでできた機械人形のようなものである。そのとる行動は機械らしく、設定された動きをパターンに応じて繰り出していくというものだ。人間のように動きが急に変わるということはないし、こちらの動きを学習するという機能もついていないので、相手の動きをある程度()()することも可能だ。

 

 

 

 キリトはなんのためらいもなくモールモッドの正面に向かって地を駆ける。

 彼の右手にはいつものように西洋剣、レイガストが握られている。

 モールモッドは当然だが、キリトを見失うということはない。モールモッドの大きさは人の体より少し大きいくらい、高さ二メートルほどの大きさである。バムスターのように簡単にターゲッティングは外れない。

 

 

 が、問題はない。

 

(モールモッドの正面に回れば確実にどちらかの鎌での横薙ぎが来る……)

 

 既に敵が何をしてくるか、ほぼ把握している。

 

『彼を知り己を知れば百戦して殆うからず』

 

 と兵法で有名な中国の偉人、孫子も彼の残した兵法書で戦闘についてこう語っている。

 さらに加えて言えば、この戦いはSAOの戦闘と似ているのだ。敵AIの次の行動を読んで戦っていたSAOと、敵が組み込まれた動きしかとらない対トリオン兵戦。まるっきりSAOでの積みかさねが生きるこの戦いは、キリトが好むものである。SAOには二年以上捕らえられていたという事実に悪感情があるといえばあるが、あの鉄の城では悪い出来事もあればたくさんの大切な出会いや出来事があった。それを無かった事にはしたくないし、なにより今実際に役立っている。

 

 

 横薙ぎを剣で()()()()

 

 この西洋剣型のものに限らず、レイガストはボーダーの他のブレードトリガー、弧月やスコーピオンと比べて耐久に重きが置かれたものである。改造前のレイガストはブレードが変形可能だったが、その機能は改造により失われている。この「レイガスト《西洋剣》」と開発部で呼ばれているブレードは、ブレードモードの西洋剣と、盾として使うシールドモードしか変形機能が搭載されていないのである。しかし、変形機能を犠牲にすることでブレードモードの耐久力は格段に上昇した。

 

 それによってキリトの手の中の剣は、トリオン兵の中でも随一のブレードの硬さを持つモールモッドの鎌を欠けも折れもせずに受け流した。

 当然だが、キリトの純粋な技量も合わさってこそ出来たことである。これを正面から受け止めれば、剣が折れるか、あるいはその場から吹き飛ばされていただろう。

 

 そしてキリトの目の前にはトリオン兵の()がある。隠しも逃げもさせずに剣を一閃、それだけでトリオン兵は動きを止めた。

 

 

 

 キリトは息をついてその場を離れる。

 すでに視界の隅にあるレーダーには多数のトリオン反応がある。ユイの作業によってそれぞれ色が付けられており、一瞬で敵であるトリオン兵と味方であるボーダー隊員の見分けがつく。正門は敵の数が少なかったようで他の交戦地点に多くの敵の反応がある。

 内心で先ほどの発言を後悔する。自分がもっとトリオン兵のいるところを引ければ良かった、と思いながらキリトはトリオン兵の下へ走る。

 

 

 

 

 

 

     ☆

 

 

 

 

 

 

 キリトが今の戦闘状況をユイに聞くと、校舎北側はキリトがいる場所で比較的トリオン兵が少なかったとのこと。東側にはグラウンドがありそこに今のところ半分以上のトリオン兵が存在している。そこで戦っているボーダー隊員はB級一位・二宮隊の辻、B級六位・東隊の小荒井と奥寺の二人、B級十位・諏訪隊の笹森、B級十一位・荒船隊の半崎、玉狛所属の烏丸らの六人が戦闘しているらしい。

 南側にはテニスコートやプールなどが固まっており、そこにはトリオン兵は出ていない模様。

 最後に西側、学校の中庭に残りのトリオン兵が姿を現している。そこで戦闘中なのはA級トップ・太刀川隊の出水、A級・三輪隊の三輪と米谷の三人。三人だけだがさすがA級というべきか、殲滅速度はそちらの方が早いようだ。

 それ以外の隊員は校舎内で生徒の誘導や追加の戦力が来た時のための護衛のような役割についているという。

 この学校にはほかにA級隊員嵐山隊の佐鳥と時枝がいるのだが、今は嵐山隊が防衛任務に就いておりこの学校まで到着するのに時間がかかるらしい。ということから今、戦闘している戦力がひとまずの全戦力と言うことになる。無論、敵に追加戦力が投入されれば校舎に残っている隊員も戦闘に参加するだろう。

 

 

 キリトはグラウンドに向かって走る。人数的には西側の方が危険なようにも見えるが、A級の戦闘民族二人に加えて隊長がいればおそらくだが大丈夫だろう。

 B級でだいたいの戦力を確保しているグラウンドは、迅の予知が正しければ立ち回り的に穴が開きかねない。人間というのは急な出来事には弱い存在なので、そこから一気に崩れていってしまう可能性もある。

 

 キリトはレイガストの刀身を消し、鞘にそれを収めてから全力で駆け抜ける。

 

 

 

 

 

 

      ☆

 

 

 

 

 

 

 一言でいえばなかなかカオスな状況だった。

 同じ隊の人間で戦闘にあたれているわけでもないのでチームプレーができているわけでもなく、烏丸が銃型トリガーで後方支援しながら攻撃手(アタッカー)である辻、小荒井、奥寺、笹森がそれぞれトリオン兵と交戦している。アタッカーは回避優先の戦闘をしているのであまり数を削れてはいない。半崎は狙撃手(スナイパー)として、仕留められる敵を一体ずつ打ち抜いている状況だ。

 

 

「とりまる!!」

「桐ヶ谷先輩。玄関の方はもういいんすか?」

「ああ、全然いなかったから即斬ってこっち来た。俺も入るからよろしく」

「了解です。こっちで援護しますんで、好きに斬ってきてください」

 

 

 それだけ告げ腰の鞘からレイガストの柄を抜く。

 

 走りながら剣を構える。それはキリトが得意としている攻撃手段だ。

 

 

『スラスター起動(オン)

 

 

 トリオンを噴出しブレードを加速するそのトリガーは、レイガスト使用者が少ないのであまり注目されていないが、かなり強力な手札になる。

 今回、キリトがよく攻撃で使っているのはその加速を用いた斬撃だ。速さはそのまま大きなエネルギーに直結するので、攻撃するには大きな威力のファクターになる。

 

 

 SAOやALOで数多の戦いを潜り抜けてきたキリトが初めてこれを見たとき思った。

 

(っあ。これ、SS(ソードスキル)再現できるのでは……)

 

 その発想から生み出されたのが、キリトの使っているスラスター(改)だ。

 ソードスキルのように一定の構えをとると起動し、その設定された線上をブレードが走るようになっている。もちろん、普通の加速として使用者が自分の意思でスラスターを起動させることも可能になっている。

 これをキリトが使用し、一時期レイガストを扱うアタッカーが増えたのだが、今となってはそんなこともあったな程度の印象の出来事だ。デメリットが大きすぎて実戦利用するのはキリトくらいなものだった。デメリットは今後の機会に話すことがあるだろう。

 

 

 その加速を完璧に生かした突進攻撃(チャージアタック)でキリトは一体のモールモッドを斬る。勢いに乗りすぎて背中の装甲まで貫いてしまったが、倒した事実は変わらない。

 

 『ヴォーパル・ストライク』を手本に作った直進攻撃。一番基本で強いと言える斬撃だろう。

 

「桐ヶ谷…!」

「桐ヶ谷先輩!」

「うおっ!さすがっすね」

「桐ヶ谷先輩!」

 

 ちなみに上から辻、奥寺、小荒井、笹森の反応である。約二名ほど同じセリフだが気にしてはいけない。そんな細かいことより目の前の(ネイバー)のことである。

 

「全員!気を逸らすなよ!!」

「ああ……!」

「「「はいっ!!」」」

 

 

 キリトは正面から次のモールモッドに向かう。

 先ほどの玄関の繰り返しになるかと思われたが、敵は複数体。視界の外から()()()()()。自分のサイドエフェクトにより感知できている。

 真後ろからの斬撃を振り向きもせずにかがんでよける。その斬撃は逆に味方であるトリオン兵、同じモールモッドに直撃。目はさすがに斬れていないが相当なダメージである。斜め後ろから烏丸が射撃するだろうと予測を立て、真後ろのモールモッドに首だけ振り返る。

 そして、敵の位置を確認し、

 

「スラスター起動(オン)

 

 自分でオプションを起動させる。

 後ろに先を向けている西洋剣は加速し、見事にモールモッドの目を貫いた。

 それと同時に射撃音。烏丸の銃からの通常弾(アステロイド)が目の前の傷ついた方のモールモッドを穴だらけにしていく。

 

 それに内部通信で、

 

『ナイス、とりまる』

 

 と褒めれば、

 

『光栄です』

 

 と端的に返ってくる。さすが、自分の仕事はしっかりと果たすイケメンという訳だ。

 

 

 立ち続けに二体が沈められ、こちらを危険と認識したのか一気に五体ほどのトリオン兵がこちらに来る。内訳はモールモッド三体にバンダー二体。

 

「俺を仕留めたければその千倍持ってきな」

 

 キリトは剣を右手に持ちながら、一人その集団を迎え撃つ。

 その姿は、傍から見ると大きな怪物に襲われる小さく弱い英雄の卵のように見える。

 だが実情はまったく異なり、小さな英雄(ヒーロー)に大きな怪物(モンスター)が襲い掛かるという図が出来上がっていた。

 

 

 

 

 

 

      ☆

 

 

 

 

 

 

「すげぇ……」

「ああ、さすがNo.2(ナンバーツー)攻撃手(アタッカー)ってところか」

「さすが桐ヶ谷先輩…!」

 

 後輩である攻撃手(アタッカー)三人は、キリトの技量の高さに感嘆の意を持っていた。

 彼が来た途端に自分たちの負担は一気に減少し、彼はトリオン兵を切り刻んでいる。その技量は後輩に憧れの感情を抱かせるには十分なものだった。

 

「こっちもやるよ、三人とも」

「「「はい!」」」

 

 辻の言葉に自分たちもと奮い立てる三人。

 

 トリオン兵の集団に向かって走る。正面にはキリトの方向に向いていないトリオン兵。先ほどまでに比べれば少なく見えるその中に、少し異色のトリオン兵を見つけた。

 

(ん……?)

 

 辻の記憶ではトリオン兵は一律して白色だった覚えがある。だが、チラっと一瞬だけ見えたその体の色は黄緑色に見えた。

 

(気のせいならいいんだが……)

 

 まだ何かあったわけではないので、自分も後輩三人と一緒に斬り込む。

 

 

 

 

 

 

 だが、この判断が裏目に出てしまったようだ。

 

「ぐっ……!?」

 

 一人の体から多くのトリオンがこぼれ出る。

 

「笹森!?」

「笹森!下がれ!!」

「笹森君……!?」

 

 

 笹森の腕が一本、敵に斬られた……!!

 

 




キリトのA級カスタムトリガー

・レイガスト《西洋剣》
 攻撃力:B((シールド)時:E)
 耐久力:S((シールド)時:SS)
 軽さ:D  防御重視・継戦型
 キリトが鬼怒田にカスタムしてもらった彼専用のレイガスト。西洋剣の形で基本的に折れないが、代わりにかなり重い。使用者は米屋の槍のように他にいない。

・スラスター(改)
 キリトが考案したトリガー用SS(ソードスキル)のようなもの。基本的には普通のスラスターの機能に加えて構えで起動するようになっただけ。

黄緑で通はわかりますかな?(ニヤリ

次回も戦闘継続!お楽しみに!!


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