キリトとユイのボーダー活動記(仮)【一時凍結】   作:倉月夜光

8 / 8
久しぶりです、倉月さんです

はい、テスト終わったので帰還しました。
いやー、テストは強敵でしたねぇ……(白目

まぁ、それはさておき久しぶりの更新、楽しんでいただければ幸いです。

※ネイバー交戦は嵐山隊が防衛任務中ということにしました。よって前話少し加筆。
 それにより高校まで駆けつけなくてはとっきーと佐鳥は戦闘参加できず、残念。


序章:ネイバー交戦Ⅲ

 ―――笹森の右手が斬られた。

 

 

 

 

 

 

 

 モールモッドの中に一体だけ黄緑色の個体がいた。

 

「なんだ、あれは……?」

 

 辻は先ほど見た、気のせいだと思っていた色違いの個体をトリオン兵の中に見つけた。

 特に他のトリオン兵と変わったことはない。トリオン兵の群れの中に一体混じっていた。今までなぜ気づかなかったのかが不思議なほどに特徴的な色をしている。

 

「辻先輩、あれどうしますか?」

「まだこっちには来ないようですけど」

 

 東隊の二人がこちらに質問するが、正直なところ辻もあのトリオン兵について判断しかねている。

 色が変わるということは他のモールモッドとは何かが違うのだろう。だが、それがトリオン兵の力的なことなのか指揮官的な役割なのかはわからない。

 

「こっちから斬り込みますか?桐ヶ谷先輩のおかげで余裕はありますし」

 

 諏訪隊の笹森は楽観的なようだ。それも一理ある。わざわざ不確定要素で悩むよりも、目の前のことにすぐ対処するほうが大切なことである。幸い、こちらには桐ヶ谷のおかげで余裕は生まれている。

 

 

(……難しいな)

 

 

 辻は普段は普通の隊員だ、いつもは二宮という指揮官に従って動いている戦闘員である。あまり作戦を練るなどの経験があるわけではない。

 今の状況は悪くないものだ。桐ヶ谷の加入でこっちが押し気味になってきたし、自分たちの負担はかなり少なくなった。まだ、こちらの被害は戦力的にはゼロといってもいい。

 

 辻はその頭をフルに働かせ、

 

 

『烏丸君はどう思う、色違いのトリオン兵は?』

『まだ詳しくはわからないですが、特別な改造が弱体化はないと思いますよ。まだ手を出してきていないので様子見でも可能ですね』

 

 

 結局、他人に頼った。

 これも一つの解決法である。一人で解決できないことを多人数で解決するという行為は、それが人間が発展した理由とも見ることができる。古来から人は集団で生活し、自分たちよりも強大なモノにたち向かってきた。指揮官が他の人の意見を取り入れることは大切なことである。

 

『半崎君、色違いのモールモッドが見えるかい?』

『見えますね。撃ちますか?』

『……撃てれば頼むよ。確実性を重視してくれ』

『了解っす。ダルいけど』

 

 今まで校舎の屋上にいたので、あまり会話に参加できずに空気感が薄かった半崎が答える。

 今、こうして思考している間にも一体のトリオン兵を打ち抜いた。その正確性はB級のトップの隊所属である辻も目を見張るものだ。

 イレギュラーな事態にいつまでも気を取られていてもいけない。数で向こうに劣っており、ネイバーに攻められているという状況は変わっていないのだ。

 

「三人とも、今は色違いの奴は放っておこう。こっちに来るなら相手をすればいい。今まで通り、一体ずつ確実に仕留めていく」

「「「了解!!」」」

 

 

 

 四人は一定の間隔を保ちながら近界民(ネイバー)に向かって斬りかかる。あちらも隊列のような陣形を崩さずに向かってくるのでありがたい。密集戦闘ならば自由に動けるボーダー隊員の方が有利だ。だが、プログラムによって動いているトリオン兵はそのことに気付かず、ボーダー隊員を取り囲むようにして展開する。

 そのうち一人はマスターランクの攻撃手(アタッカー)である辻。そして小荒井、奥寺の二人は同じ隊で二人で組めば各上も喰える。その三人と比べると劣ってしまうのが笹森だ。

 辻や小荒井、奥寺のペアがトリオン兵を少しずつ削っているのに対して笹森は余り削れていない。防御一辺倒に回ってしまっている。これで後方からの十分な援護があれば笹森も攻撃に集中できるのだが、いかんせん場所とタイミングが悪かった。学校などで(ゲート)が開くと考えることは普通無いから自然なことだったのかもしれないが。

 

 

 それを感じ取ったのか黄緑のトリオン兵は笹森を狙った。

 中央にいたが、攻撃に回りトリオン兵に気が向いている三人の隙をぬって笹森に近づく。その速度は他のモールモッドとは比べものにならなかった。その二~三倍の速度で笹森に向かっている。

 

 狙撃手(スナイパー)である半崎が一番早く気付く。

 

 

『笹森!危ない!!』

 

 

 笹森を助けるために狙撃するが、それに反応したのか黄緑のモールモッドは片方の前足、鎌の部分で防御する。しかもスピードを緩めた様子はない。

 

 

「っく!?」

 

 

 笹森は黄緑のトリオン兵を真正面に捕らえ正眼に弧月を構える。

 向かってくるなら鎌を切り落としてからきっちりと片付ければいいだろう。烏丸の銃撃が黄緑のモールモッドに命中するが、コアの上の装甲部分に当たり致命的なダメージは受けていない。だが、少しでもダメージを与えてくれたことはありがたい。

 

 

 

「せあ!!」

 

 

 斬り下し、勢いの乗ったそれはモールモッドの腕を切り落とすには十分な威力を持っていた。

 

 

 

 が、現実は無常である。

 

 世界は残酷である。

 

 

 

 ガキンッ!!

 

 

 

「っな!?」

 

 

 

 笹森の振り下した弧月は()()()()()()

 

 モールモッドのブレードはトリオン兵の中でも随一の硬さを誇っている。それは笹森も十分に承知している。なので笹森の弧月は敵の腕部分の根元を狙って振り下された。

 だが、弾き返された。弧月がはじき返されたということはもっと威力のある攻撃でしかダメージが与えられないということだ。だが、ブレード部分にダメージを与えられないとなるとマズい。敵の反撃を想定した上で確実に動きを停止させるためには、やはり目を狙わなければいけないだろう。だが、モールモッドのブレードを掻い潜りながらそれを行うのはマスタークラスの辻でも難しい。ましてや今回の黄緑色の個体は明らかに他の個体よりも強い。

 

 

 モールモッドはそのブレードを振り上げる。

 

 その時近くに他のボーダー隊員が居れば話は別だったが、今は基本的に一対一で迎撃しなくてはいけない。

 半崎の狙撃は効果が無いことが分かったし、烏丸もあまり意味のない後方援護だ。半崎の狙撃は動く鎌を狙えるレベルなら役に立ったが、流石にそこまでは出来ない。鎌の動きは流石に速すぎる。出来るとしたらそれはA級トップクラスのスナイパーだろう。烏丸もこれだけ攻撃手(アタッカー)が近づいた状態では援護できない。()()()を切ればいいが、それではあのモールモッドを倒した後に自分と言う”駒”が抜けるということである。烏丸は自分のことを強いなどとは言わないが、この状況でA級隊員が抜けるのは危険だろう。その判断から、切り札たる『ガイスト』は使うことが出来なかった。

 

 モールモッドのブレードは二本、対して笹森のブレードは弧月一本。

 この時点で笹森は無傷でこの場を切り抜けることをあきらめた。当然だが、緊急脱出(ベイルアウト)までする気はない。だが、ここでダメージを受けないという欲を出せば確実に自分はやられるだろう。

 

 笹森の左右両方から迫ってくる鎌。

 笹森の反応速度ではトリオン体の反応速度でも捉えきれていないそれを片方は片手、利き手の右手と()で弧月を抑えて受け止める。もう片方の鎌は左手一本で方向を()()()()。その代わりに自分の片手はスッパリと切り落とされ、ブレードを受け止めた衝撃で後ろに後退せざるをえなくなる。

 

 

「っぐ……!!」

 

 

 

 

 

 

 

 だが、それこそが笹森の狙いだ。

 吹き飛ばされれば()()()()()()()

 

 

 

 つまり、()()()()()()()()

 

 

 

 

「笹森!?」

「笹森!下がれ!!」

「笹森君……!?」

 

 

 自分と一緒に迎撃していた攻撃手(アタッカー)たちは驚いたようだが、烏丸先輩は全て見ていた……!!

 

 

「ナイス判断だ、笹森」

 

 

 そして、その笹森の行動は実際に無駄な犠牲にはならなかった。

 

 

 烏丸のアステロイドが黄緑色の個体を集中攻撃する。

 

 そして、

 

 

 

「あとは俺に任せとけ……!!」

 

 

 

 この場で最強のエースが駆ける……!!

 

 

 

 

 

     ☆

 

 

 

 

 

 キリトは烏丸から黄緑色の個体がいることを笹森が襲われる直前に聞き、危機感を高めた。

 

 キリトのサイドエフェクト、『強化直感』は基本的に自分に関することしか意味がない。他人の危機が分かるとはいえ、それは数多ある自分に関係ない情報の一部でしかない。それは、このサイドエフェクトをコントロールしようとして切り捨てた情報の部分だ。フルで使えば分かるのだろうが、それでは脳にかかる負担が非常に大きくなる。それは、トリオン体であっても変わることは無い。

 

 

 

 ()()、それがどうした。

 

 

 

 (『強化直感』……!!)

 

 

 

 心の中でとなえた瞬間に()()()()の情報がキリトの中に溢れる。

 それはここにトリオン兵の群れがいることで、さらに情報密度が高くなっていた。

 だが、耐えきれないほどじゃない……!!

 

 自分の周りのトリオン兵は残り7匹。

 内訳はモールモッド5体、バムスター2体。

 バムスターの方が弱いとは言え、キリトレベルになると片づける速さは小さいモールモッドの方が速い。

 

 

 

 (三十秒で片づける。)

 

 

 

 キリトはスラスターを起動させるために剣を構える。

 

 ()()()()では発動させない。

 

 

 

「はあぁぁぁ――――――!!」

 

 

 

 そこから繰り出されるのは平行横薙ぎの一閃。

 

 それは目の前のモールモッドのブレードをすり抜け、目の部分をきれいに両断する。

 

 

 

 だが、そこでキリトの動きは止まらない。

 

 即時にスラスターの加速方向が()()

 

 

 

「ああぁぁぁぁ――――――!!」

 

 

 

 二匹目の、まだ鎌を振り上げていたモールモッドのコアを両断。停止させる。

 

 

 

「ぁぁぁぁぁ――――――!!」

 

 

 

 さらにもう自分を中心に90度切り裂くように一閃。そこにいたモールモッドのブレード部分を根元から斬り裂く。

 

 そして、

 

 

 

「――――――!!!」

 

 

 

 最後の一閃がさらにバムスター一体の足を切り裂く。

 

 

 

 

 

 『ホリゾンタル・スクエア』の四連撃。

 

 比較的隙の少ないソードスキルでキリトがSAO時代に愛用していた技だ。

 

 

 

 そして、この世界ではスキル後の硬直などという物はない。

 

 

 

「スラスター起動(オン)!!」

 

 

 

 鎌を切り落としていたモールモッドを貫く。

 

 ここまでの時間約四秒。

 三体のモールモッドの討伐と、一体のバムスターの動きを止めた。

 残りは二体のまだダメージを与えていないモールモッドと無傷のバムスター、足を止めたバムスターの計四体だ。

 

 

 

 キリトは自分の宣言よりも十秒短い時間で自分の周囲のトリオン兵を一掃した。

 

 

 

 

 

 

 

 (頭が痛い……)

 

 だが、それに構っている暇も無く他の攻撃手(アタッカー)の方向に体を向ける。笹森が狙われているのは把握中。

 

「スラスター、起動(オン)……!!」

 

 加速し、救援に向かう。

 

 

 

 笹森は片手を切り落とされながらもこちらに向かってとんできていた。

 

 

 

 

 

「あとは俺に任せとけ……!!」

 

「桐ヶ谷先輩、頼みます!!」

 

 

 

 ――――――キリトが特異個体と向き合う!!

 

 




キリトが強くなってますね、はい。

なお流石にこのようなことは『強化直感』をフルで使用してないと無理です。
ぶっちゃけ、剣の起動を少しずつ修正しながら的の位置を完璧に把握していなくては出来ない芸当なのでマジでヤバイ

キリトは被害ゼロで生き残りたい(SAOの名残)という思いがありますね。だから使えるものは使う主義。

次でプロローグ(の戦闘パート)は最後かな
お楽しみに!!

感想・評価・お気に入りに、トリガーオン!!
(貰えると嬉しいです)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。