6つ子が吹奏楽部へ   作:ボコ砂糖野郎

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8月
夏合宿!


学校に7時半集合。いつもの朝練の時間だしかし部員たちは大きなボストンバックを持っていた。

そう、今日から3泊4日の合宿だ。

 

「荷物は渡り廊下のところに整理して置いて!広報係は全部の荷物に名札がついているか確認して!楽器運搬係もっと早く動いて!」

 

合宿はここからバスで2時間ほどの山で行われる。4日間そこにいるので必要な用具もたくさんある。楽譜や楽器はもちろん、譜面台に予備のスティックやリード、なども必要になってくる。

 

「パーカス以外のパートも必要なものがないか、忘れ物がないかちゃんと確認して!毎年忘れてるのはパーカス以外のパートだから!!」

 

 

 

「……十四松、今回パーカスどれぐらい持ってくの?」

 

「ほとんどでございマッスル!楽器庫空になりマッスルマッスル!」

 

「えっ……、あの中国っぽい金属板も持ってくの?」

 

「あっタムタム?タムタムも持って行くよ!」

 

「ていうか、今僕らが運んでいる太鼓……こんなにいる?ほとんど同じじゃん。4つもいる?」

 

「トムトムは4つ子!」

 

「はい……。(タムタムの次はトムトムかよ)」

 

 

ちなみにタムタムは中華料理屋に置いてそうな糸で吊るされた大きな丸い金属板である。音は「ぐわアアァァ!!!」という音だ。

トムトムは4〜8個でセットになる太鼓だ。

 

トラックに楽器を詰め込み、紐で中を固定する。もう何回もやった作業なのでおそ松たちもいい加減に慣れてきた。

 

「バス来たから荷物入れるよ!荷物入れた人はさっさと指定のバスの中入って!邪魔!」

 

うーん、このイベント日のドタバタ具合…。嫌いじゃないけど、やることなくてボサッと立ってると「働け!ニート!」と怒られるのが嫌だ。

 

 

バスに乗り込み僕らの合宿がスタートした。

 

車窓は灰色の市街地を抜け、緑色の山々を写し始めた。その中でもポツポツと存在している民家を見ては、そこの人はどのような生活をしているのだろうかと感傷に浸るようなことしていた。

 

 

 

イントロクイズなどをしているうちにバスが合宿センターに着いた。駐車場には先に到着していたトラックがぽつんと居座っていた。

 

「運べー!!」

 

雪崩のようにバスから押し出されると、空気は露草のようにひんやりとしていた。曇り空から時々青空も見える。

 

 

 

 

10:10

センター到着。荷物運搬を始める。

 

 

「ホルンは201、トランペットは203、トロンボーンは205号室へ!打楽器は体育ホールへ!その他よく分からないものは全部体育ホールに運んで!」

 

「「はい!」」

 

「今はとにかくバスとトラックを空にして!美化係はバスに忘れ物がないか確認して!」

 

「「はい!」」

 

「カメラ係ィ!ここにカメラ届いてるんだけど!!」

 

 

10:50

おおよその運搬終了。センターの人への挨拶も終了。早速練習する。

 

パートごとの基礎練だけでお昼の時間がやってきた。

 

 

12:30

飯の時間。持ってきたお弁当を食べる。

 

 

13:00

練習再開。

 

僕らは部屋でマーチングの踊りをみっちりやる。

 

そこそこ速いスピードで動かなくてはならない「フレンドライクミー」を集中的にやる。

もうフレンドライクミーが嫌いになりそうだ。

 

15:00

強制昼寝タイム。

 

おそ松兄さんのいびきが公害レベルだったので、洗濯バサミを鼻と口につけたら静かになった。念のため持ってきておいてよかった。

 

 

16:00

練習再開。

 

コンクールメンバーは合奏に行った。僕らは残ってマーチングの練習。

 

 

18:30〜19:30

飯。食べ終わった人から順次風呂に入る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まぁここまでは普段通りといえば普段通り。だっていつも7:30〜18:30とかいうよく分からない時間練習しているからさ。

むしろ今日は午前中ほとんど潰れてるし、昼寝タイムがあったから楽なくらいだ。

 

で、ここからが未知の領域になる。

 

 

 

 

19:30

練習再開。

 

ホント言うともっと前から練習再開していたりする。いわゆる自主練(強制)だ。

 

体育ホールで一二年生全員でマーチング練習だ。

 

日差しは来ないし、学校よりここは涼しいし、学校の武道場より広くていいことずくめだ。

 

だから中村先生のテンションもマックスになる。

 

「Hからアフタクトォッ!!隊列移動ちゃんと!ちゃんと!ちゃんとやってエェ!!揃うまでやるヨオォ!!」

 

ただの変な人になってる、とは誰も突っ込まない。

 

「ハイ!フレンドライクミー!!」

 

来た、1番嫌なヤツ。

 

「もっかい。」

 

「もっかい。」

 

「もっかい。」

 

「もっかい。」

 

いい加減ホント嫌になってきた。何が『ごっ主人さま〜 御用はなぁに〜♪』だ。

 

 

窓はすでに真っ黒になっていた。

 

「フッ…漆黒が降りる山…か……。どうやら俺たちはとんでもないところに来てしまったようだな……。」

 

あぁホントだよ、カラ松。

 

 

 

 

「ラスト!ラストやるよ!ラストが決まったらこれがラストになるから!」

 

こう言って終わったことは一度もない。

 

「もっと、終わりの部分は魔法が解けるように繊細に吹いて!名残惜しくもディズニーの魔法が解けるような感じで!!トランペットは全音符の和音をしっかり!」

 

そういえばこれ、ディズニーだったね。

 

 

22:00

本日の練習終了。

 

反省会をして寝る。しかしそんな簡単に寝れる高校生はいないわけで…。

 

「人狼ゲームしよう!」

 

部屋の先輩が言い出した。

ちなみに部屋は14人部屋だ。

 

「いいっすねー。じゃあ俺が狼やります!」

 

「人狼と騎士の孤独な戦い…。騎士は市民を守るため自らの命を闇への危険に晒す。それは…」

 

バカ松兄さんたちが言った。

 

「いや…狼はゲームマスターが決めるから。ゲームマスターは俺がやってあげる。」

 

先輩は笑いもせずに返した。

ちなみに一松、十四松、トド松の弟松は別室だ。正直ここの場で上二人をどうにかできる自信がない。

「ちなみに」が多いが、ちなみに人狼ゲームというのは人狼を探し出すゲームである。詳しくはググれ。

 

 

「言っておくが、みんなガチれよ?これは生死をかけた戦いなんだからな!」

 

「おう!」

「おう!」

 

ゲームマスターが紙を配る。

 

チョロ松は恐る恐るカードを見る。実を言うと僕は人狼ゲームをやったことがないし、あんまりこういうことが得意じゃない。どうせ何かやるならトランプがやりたかった。

せめて目立たない役職を……

 

 

 

 

 

 

 

人狼だった。

 

 

 

 

 

 

絶望感半端ない。マジかよ。悪役じゃん。すぐバレるに決まってるじゃん。

 

「メタ考察(ゲーム上とは関係のないところの情報を使った考察のこと)とか無しだからな!『あいつがああ言うこと言うってことは狼だろ!』っての無しだからな!」

 

 

 

 

 

結論から言おう。

 

負けた。

 

なんか狂人が役職騙りしなかった。つまりニート。

そのまま占い真確定のまま進行されてオワタ。

 

僕はゲームを進めるうちにおそ松兄さんが狂人じゃないかと思ってた。でもおそ松はあんまルール理解してないただのリアル狂人だった。おい。

 

ニート狂人はカラ松だった。おい。

 

んでもってゲームマスターが僕とカラ松を間違えてゲーム進行を著しく妨害した。まぁそこは仕方ない。

 

 

 

 

僕は人狼ゲーム2度とやらないと心に決めた。

 

 

 

 

 

6:00

起床

部屋長に起こされてそういえば自分は合宿に来ていたんだと思い出す。

 

 

6:20

体育ホール集合

点呼や体調不良者の有無を確認し、ラジオ体操をする。

そして本日予定の確認や諸連絡などをしたあと、CDを全員で聞き耳を鍛えた。すごく眠かった。

 

 

7:15

朝ごはん。おいしい。

 

 

7:40

練習開始

文化祭で演奏する曲の楽譜が配られた。

まだ体育祭も終わってないのに気がはやいような感じがするが、赤塚の吹奏楽部の2学期はとても忙しいのでこれが妥当だなと思った。

 

 

15:00

強制昼寝タイム

 

至福の時間だった。

 

 

22:00

昨日と特に変わり映えすることなく1日が終わった。

 

 

3日目

1日目と同じ。

 

雑すぎるって?だってマジだもん。

強いて言うなら今日は中村先生の機嫌がよかった。

 

 

 

 

 

 

しかしおそ松は違った。

 

「センパーイ!」

 

「ん?何?(なに松だろ、トランペット持ってるからおそ松くんかな…)」

 

「アレってここに持ってきてます?アレ。」

 

「アレ…?」

 

「ほら、あの『ヌ』で始まって『ー』で終わるやつですよー。」

 

「ヌッキー?」

 

「そうそれ!マウスピースがまた抜けなく……」

 

「持ってきてるわけないでしょ。」

 

吐き捨てるようにいわれた。

 

 

 

 

 

 

4日目

今日は最終日なので練習は午前中のみだ。

 

最後にお世話になったセンターの人たちにお礼を込めて演奏していくこととなった。

 

まだ先生に怒鳴られてばっかの僕らのマーチングを見てすごいと言ってくれた。お世辞でもそれがとっても嬉しかった。

見て楽しんでもらえるように頑張ってきているんだなと思った。

 

疲れた僕の脳からはこんな安っぽい感想しか出てこなかった。

 

 

 

そして慌しく帰りの準備をし、トラックに楽器を詰め込み、学校に着いたらそれを下ろした。

 

 

あの山の涼しさはもうここにはない。また明後日からはいつも通りの練習が始まる

 

 

 

 

 

 

 

と思っていた。

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