6つ子が吹奏楽部へ   作:ボコ砂糖野郎

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お別れは近かった

「やっぱりそろそろですよね…」

 

「そろそろなんだよなぁ……」

 

クラリネットパートのメンバー全員教室で円になって寂しそうに頭を悩ませていた。

 

「それなら新しいパートリーダーは立候補制にする?」

 

そう、世代交代。

まだコンクール支部大会があるけど、早めに次リーダーを決めておこうという部長の提案だった。

去年はコンクールが完全に終わってから、つまり7月下旬に決めていたが、今年はコンクール終わる前から決めておくらしい。

 

「なんか…頭では決めるときがくるって分かってたんだけど、こうやって来るとなんかなぁ…。」

 

三年生のパートリーダーは窓の遠いところを見て言った。

 

「はぁ…」

 

二年生の中にはもう涙目になっている人もいた。

 

「じゃあ…どうやって決める?」

 

特に部活でパートリーダーの決め方は決まっていない。立候補でもパートリーダーの指名でも、後輩の投票でもいい。

 

「「……。」」

 

重い空気の中、結局立候補で決まった次期パートリーダーはユウナ先輩だった。

 

まぁあの人のならリーダーシップあるしいいだろう。ちょっと粘着なところあるけど。

 

ちなみにこの人はここで初登場したから「こんなモブいたっけ?」なんて思わなくていいよ。

 

 

「じゃあよろしくねユウナちゃん。」

 

「はい!」

 

ユウナ先輩は握手とともに硬い返事をした。

 

 

 

 

 

 

「うーんどうしような…。」

 

「先輩、ここに来て悩まないでくださいよ」

 

ダブルリードのパートリーダーでありこの部の部長であるミサキは眉間にしわを寄せる。

 

「指名するならたった二択じゃないですか。」

 

「たった二択だから困るんだよ!」

 

一年のハルネに部長は噛み付いた。

 

「わかる?二つのものから一つを選ぶ難しさ!私のときは選択肢が私しかいなかったから自動的に決まったし…キー!」

 

自動的に決まった人が一時期は129人も部員がいた部活を崩壊せずにまとめられるわけないだろ、と一松は思う。

 

ここダブルリードパートは三年生がオーボエのミサキ部長、二年生がファゴットのマトイとオーボエのオエリ、一年生がファゴットの一松とオーボエのマトイの計5人という1番少ないパートだ。

 

「まぁ悩むも何も次のパートリーダーはマトイですよ。」

 

「まぁオエリにやらせるなら私がやろうかなと思ってる。」

 

「酷い…」

 

「民意がそっちにいってるなら私はそれでもいいんだけど、一松くんとハルネちゃんはどうおもってる?」

 

部長が2人に話をふった。

 

「えええええ…マッマトイ先輩かなぁ……」

 

「マトイ先輩で」

 

オエリ先輩はアカン、アカンヤツや。今まで所々奇行があったし。

 

「やっぱりなーじゃあマトイでいいよ。」

 

オエリはあっさり言った。

 

「じゃあ新パートリーダーはマトイちゃんでー。よろしくー。パートリーダーってパートの人数が多ければ多いほどめんどくさいけど、ここは天下のダブルリードパートだからね、たった4人しかいないよ。」

 

「な、何言ってるんですか。まだ先輩は引退しないじゃないですか!」

 

「まぁね。……あっところでマトイちゃんは部長に立候補するの?」

 

ここの吹奏楽部の部長、副部長はパートリーダーに決まったものの中から決まる。

 

「いや…やめておきますよ……。部長見てて部長ってクソめんどくさいっていうのがよく分かったし。」

 

例の一斉退部以来一切触れてこなかったことにマトイ先輩は触れた。

 

「まぁ部長、楽しかったけどね。」

 

意外にもミサキ先輩は明るく言った。

衝撃的だった。

 

「思い出は美化されるっていうヤツだよ。」

 

「「……。」」

 

当のマトイ先輩も驚きのようだった。

 

「そんなことより、みんなでほぼ毎日ここコーラス室で集まって練習できて楽しかったよ。私の学年でダブルリードなのって私だけじゃん?だから余計に楽しかった。」

 

パーカスが練習する音が重く聞こえてくる。

 

「ずっとここでオーボエが吹き続けれればいいのになって思う。」

 

気がつくとミサキ先輩は涙目になっていた。

 

「ちょっ…!先輩!なんでここで目を赤くしてるんです…か……」

 

そう言うオエリ先輩も涙目どころか涙をこぼし始めた。

 

おいおい、これじゃお別れ会のノリじゃないか……

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