艦CORE「青い空母と蒼木蓮」   作:タニシ・トニオ
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スカベンジャーってKE装備メインだとちょっとだるいんですよね。
俺は面倒が嫌いなんだ!!


第二十七話「EXTRA MISSION_死神艦隊撃破-05」

 白鳥鎮守府警備担当海域、E-1エリア。シーレーンからも外れたこの海域は普段誰も訪れるようなところではない。精々この国の防衛網を潜り抜けてきた深海棲艦がいないかを確認しに警備艦隊を巡回させる程度の比較的安全な海域である、……本来ならば。

 しかし正規空母『加賀』率いる艦隊にはこの海域とは不釣り合いな緊張感が漂っていた。

 相手は『財団』率いる『死神艦隊』。いくら準備を整えたとはいえ、この鎮守府設立以来最悪の敵性勢力にかわりない。しかも敵にACがいる以上撤退は不可能であり、どちらかが全滅するまで終わりは無い。この緊張は当然と言えた。

 

「作戦海域に到着、これより索敵を開始します。瑞鶴、準備はいい?」

 

「はい!いつでも行けるわ!」

 

 正規空母『加賀』『瑞鶴』から偵察機が発艦される。暫くすると瑞鶴の偵察機が目標を発見した。

 

「目標と思われる艦影を発見。方角は10時、数が……六つ!?那智さんの時よりも多い!」

 

 まだハッキリとした姿が見えないものの艦船より少し小型の異形が二つ、那智の報告より増えていたのを瑞鶴は捉えていた。

 

「その程度は想定内です。瑞鶴、『吹雪弐式』と第一航空部隊を発艦させて。マギーも準備を」

 

 『ブルーマグノリア』と『吹雪弐式』はそれぞれのグライドブーストを吹かして空母から発艦し、敵艦隊へ高速接近していく。空母らの航空部隊も次々に発艦しその後へと続いていった。

 

(よし、もう少し近づいて正体を突き止めてやるんだから!)

 

 瑞鶴は偵察機を敵艦隊へ更に接近させていく。今の位置からでは正体不明の敵戦力の詳細まで確認ができない。そのため偵察機に備え付けの光学カメラのズームを最大にし、接近してその姿を捉えようとしていた。しかし偵察機のカメラからAMSを通して瑞鶴の視覚に写し出された光景は、空母棲鬼『加』から大量の艦載機が発艦されている様子だった。

 『加』から加賀の艦隊へ通信が入る。

 

「流石海軍、時間には正確ですね。では予定通り"演習"を始めましょう。今度は途中で止めたりはしません。最後まで付き合っていただきます」

 

 『死神艦隊』からの宣戦布告と同時に、『加』から発艦された艦載機が瑞鶴の偵察機に襲いかかる。

 

「構ってる暇なんかないわ!」

 

 瑞鶴は偵察機を最高速で敵の航空部隊に突っ込ませ、巧みな操作で抜けさせていく。難度の高い荒業であるが、成功すれば敵の艦載機は反転に時間がかかり、その間に突っ切った偵察機で正体不明の追加戦力の情報を掴むことができる、はずだった。

 しかし突如として後ろから攻撃され偵察機が堕とされてしまう。敵の艦載機にはヘリのローターの様なものが付いており、その場でホバリングしてすぐさま向きを反転、瑞鶴の偵察機の迎撃を行っていた。

 

「くっ、なんなのよあの艦載機!?加賀さん、偵察機が堕とされたわ。敵の艦載機が妙な動きをするの!注意して!」

 

 その通信を加賀づてに聞いていたマギーが瑞鶴に指示をする。

 

「瑞鶴、敵の艦載機の特徴を教えて。もしかしたら知ってるやつかもしれない」

 

 敵は『財団』、となれば自分達の時代の物を持ち出していてもおかしくはない。そうマギーは考えていた。

 

「えっと、円盤状の胴体に四本足が付いてたわ。それでACみたいに火を吹いて飛んでた!」

 

(――――まさか『HELLKITE』?)

 

 瑞鶴から敵艦載機の情報を聞き、マギーは当たりをつける。空母棲鬼『加』に艦載されているのは、マギーの『前世』の時代から普及していた戦闘機『HELLKITE』であった。胴体のローターと後ろ足の様に付いているブースターで高速移動やホバリング、急転換などが可能なのが特徴で、前足の様な銃身から放たれるヒートキャノンやパルスマシンガンは堅牢なACの装甲にダメージを与えるほどの威力を持っている。その上、戦闘機でありながらACのライフルを一、二発程度なら耐えられる装甲まで兼ね備えている高性能機であった。

 

(いくら加賀達でも流石に分が悪いか……)

 

 加賀の巧みな艦載機の操作をマギーは知っていたが、それでも所詮はプロペラ機であり艦載機の性能差が歴然としている。しかも味方艦隊まで『HELLKITE』の接近を許してしまえばその被害は甚大になりかねない。ACにも通用する火力は当然艦船にも通用する。まとわりつかれたら艦船にとってはAC並みとはいかなくてもかなりの驚異となってしまうのだ。

当初の予定では敵ACとの接触を第一目標とし、そのための戦線をもう少し味方艦隊より遠方に設けたかったがこれを無視するわけには行かない。

 

「加賀、瑞鶴、敵の艦載機は私の『前世』の時代の高性能機よ。予定を変更して私たちも迎撃に加わるわ」

 

 マギーは足を止め、『ブルーマグノリア』の右腕武器『Au-L-K29』を以前やない整備長と夕張に開発してもらったAC用超連射型単装砲『秋霧』へと切り替える。

 

「吹雪」

 

「わかっています」

 

 吹雪も『吹雪弐式』の左腕武器『Au-L-K37』をライフル『Au-B-A04』へと切り替えた。

 二機のACは両腕を上空に挙げ、まるで鳥の群れの様な影を海面に作る敵航空部隊を捉える。そしてACのFCSが敵艦載機をロックした瞬間、その両腕に備えられている武器から砲弾を放ち始めた。

 『ブルーマグノリア』のヒートマシンガンとハンドガン、『吹雪弐式』のライフルとガトリンクガンは連射力の高い兵器であり、特に『吹雪弐式』に備えられているガトリンクガン『AM/GGA-206』は高い有効射程も誇る対空にはもってこいの兵器である。それらが作る対空射撃は現在鎮守府で留守番をしている摩耶、秋月が見ていたら自信を失わせてしまうほどの弾幕を形成していた。

 『加』から発艦した『HELLKITE』は二機のACの弾幕により次々と落とされていく。それによりACへの攻撃を諦めたのかACの射程外へ『HELLKITE』は散っていった。

 

「チイッ、逃すか!」

 

 マギーは全滅させるつもりで逃げる『HELLKITE』を撃墜していく。しかし数が多くどうしても取りこぼしがでてしまう。吹雪も同じようだった。敵艦の撤退判断が早く、マギーの想定よりも多くの『HELLKITE』が残ってしまっていた。

 しかしACの射程外へ逃げたはずの『HELLKITE』が次々に煙を吹き出し堕ちていく。

 

「私たちを忘れないで欲しいわね」

 

 加賀の戦闘機『烈風』に搭載されている九九式20㎜二号機銃が『HELLKITE』のローターを撃ち抜いていた。戦闘機としてはあり得ない固さの装甲を持つ『HELLKITE』でも流石にローターは弱点であり、そこを攻撃されれば海面へと堕ちていくしかない。

 

「瑞鶴、思った通り回転翼が弱点よ。そこを狙いなさい」

 

「んなっ、加賀さん!?無茶言わないで!止まってる的とは違うんだから!」

 

「四の五の言わずにやりなさい!ここで仕事ができなければ“一航戦”の名折れよ」

 

 「あ~、もうッ!」と文句を垂れつつ瑞鶴も加賀の真似をして『HELLKITE』に攻撃を加えていく。AC達の攻撃が功をなし敵の数が減っていたことと、何より加賀に戦闘機の操縦技術からAIの座学に至るまでみっちり叩き込まれていた瑞鶴の練度が艦載機の性能差を埋めていた。加賀と瑞鶴によりACが撃ち漏らした『HELLKITE』が次々と堕ちていく。

 そして制空権をこちらが確保した、その時だった。加賀の艦載機が正体不明の敵が迫っているのを捉える。

 

「マギー、吹雪、気を付けて!不明勢力の一体が超高速でこちらに向かってきてるわ!ACよりも速い!!」

 

 加賀からの通信に続けて、吹雪からもマギーに通信が入る。彼女の危機察知能力も何かを感じ取っていた。

 

「"恐いもの"が近づいてきます。この感じは………マギーさん気を付けてッ!!」

 

 吹雪の注意と自身の勘からマギーはハイブーストを吹かしその場から離れた。その刹那、

 

――――クアァァァアッ!!

 

『ブルーマグノリア』が元いた空間を電子音の鳴き声をあげながら銀色の機影が突き抜けていく。その機影は鋭い嘴を携えた鳥のような独特のフォルムをしており、ACでスキャンをする暇が無かったもののマギーはその正体を掴む。

 

「あれは、『SCAVENGER』!?『財団』のやつ、あんなものまで持ち出してッ」

 

 銀の怪鳥を迎撃しようと『ブルーマグノリア』はハンドガンからレーザーライフルに武装を切り替え身構える。しかしその怪鳥はAC達に見向きもせずそのまま飛び去っていった。

 

「まさか……狙いはこっちの艦隊!?まずい!」

 

 すぐさま追ってあれを倒さなければ艦隊に甚大な被害が出てしまう。

 だが、これ以上戦線を下げる訳にもいかなかった。まだもう一体の正体不明戦力も、そして『死神部隊』もきっとこちらに向かって来ている。今艦隊を助けに引き下がれば『SCAVENGER』を倒している間に他の戦力に接近され、戦闘を味方艦隊付近で行わなければならない。最悪味方艦隊の甲板上が戦闘領域となってしまう。

 それを避けるには『ブルーマグノリア』と『吹雪弐式』で『SCAVENGER』を撃破しに味方艦隊へ戻る役とこの場所に留まり残りの敵戦力の足止めをする役の二手に別れるしかなかった。しかし後者の危険度は段違いに高い。

 

(やれるか……いや、やるしかない!)

 

 その役をいくら素養があるとはいえACでの出撃経験が今回含めてたった二回しかない吹雪にやらせるのは無茶といえた。だから自分が後者を引き受けるしかない。そうマギーが決心し、吹雪にそれを伝えようとしたときだった。

 『吹雪弐式』が敵艦隊の方向へブーストを吹かし進行していく。

 

「吹雪!?」

 

「すいません、マギーさんは『SCAVENGER』をお願いします!マギーさんの武装のほうがアレには有効ですから!」

 

「いくらなんでも貴女じゃ荷が重い!引き返して!」

 

「大丈夫です!やれます!」

 

 マギーの呼び掛けを無視し吹雪は突き進んでいく。引き留めようにも時間の限界だった。

 

(クッ、こうなったらこの子の力を信じるしかないか……)

 

「全くッ!……無理しないで生き残ることを最優先に考えるのよ、吹雪!!」

 

「はい!皆さんをお願いします!!」

 

 マギーは吹雪の説得を諦め、生き残ってくれることに賭けた。そして『ブルーマグノリア』を『吹雪弐式』と反対に向けてスキャンモードを起動し、グライドブーストを吹かす。同時にマギーは旗艦であり自分のオペレーターでもある加賀に通信を繋げた。

 

「加賀!今そっちに敵が向かってる!AC並みに強力なやつよ!!今から指示を出すから従って!」

 

「わかったわ。各艦AMS通信リンク。一時的に艦隊指揮権を『ブルーマグノリア』に移行します。マギー、お願いするわ」

 

 加賀の操作により各艦にマギーの通信が行き渡るようになる。マギーの声が艦隊に響く。

 

「まず加賀、瑞鶴、大井は後ろに下がって!敵は高火力よ、あなた達じゃ数発で致命傷になりかねない。金剛、榛名、妙高は機影が見えたら砲撃を始めて。当てなくていい、敵の注意を引き付けてちょうだい。命中率を重視して戦艦二人は三式弾を装填。敵は攻撃時に跳び跳ねる癖があるわ、接近されたらそのタイミングを狙って!……必ず駆けつける、だからそれまで何とか耐えて!」

 

 マギーの鬼気迫る指示が艦隊に迫っている脅威の大きさを表していた。艦隊に緊張が走る。

 

「Hey !マギー、心配しすぎはnoなんだからネ!No problem デス!私たちのことも少しは信頼してヨ」

 

 金剛がマギーに一言放つ。その明るい口調は艦隊の皆と、必死に戻ろうと焦っているマギーの緊張を少しばかりほぐした。

 

「……ありがと」

 

 マギーは礼を述べ、ACの操縦に神経を集中させる。艦隊もマギーの指示通りの陣形へ移行を終了した時だった。

 重巡『妙高』の電探が猛スピードで接近してくる敵を捉える。

 

「皆さん、目標が接近してきます!」

 

「OK! こっちも捉えました!榛名も準備はOKですか!?」

 

「榛名は大丈夫です!お姉さま!」

 

「Yes!!じゃあ砲撃をstartしマース!Fire!!」

 

「第一・第二主砲、斉射、始めます!」

 

「主砲!砲撃開始!」

 

 向かってきた『SCAVENGER』に三隻の艦が砲撃を始める。重巡『妙高』から高精度の20.3㎝(2号)連装砲と61㎝酸素魚雷が次々と放たれ、金剛型戦艦二隻から三式弾による対空弾幕が張られる。海上、空、どちらにも逃げ場のない砲撃であった。

 しかし『SCAVENGER』は突撃形態を解き、海面に噴出口を向けて高く跳躍をする。そうして妙高の攻撃を回避した後、近信管に変更されている三式弾から散弾の様に放たれる焼夷弾をハイブーストを駆使し器用に回避していった。

 

「Shit!!分かっててもここまで綺麗に避けられると流石にshockデスネー」

 

 金剛が『SCAVENGER』の動きに舌打ちをする。妙高との即席の連携とはいえ、ここまでいとも簡単に避けられるとは思っていなかった。成る程マギーがあそこまで危険視するわけだ、と金剛は納得する。

 しかし当たらないからといって攻撃を続けない訳にはいかない。装甲の厚い自分達に注意を引き付けることが目的であるため、引き続き連携を絡めた砲撃を行っていく。

 そしてその目的通り『SCAVENGER』は金剛達目掛けて接近していた。そして突如としてその口から青い光弾を放つ。既に『SCAVENGER』はその攻撃の射程内まで近づいていた。

 光弾は戦艦『榛名』に直撃する。

 

「きゃあ!ッ……被害の確認を!」

 

 榛名が艦体にスキャンを走らせる。光弾は四つ付いているうちの主砲の一つに直撃しており、その主砲は使い物にならなくなっていた。しかも運悪く装填されていた砲弾が熱により誘爆し、周囲の区画に火災まで発生している。

 榛名は急ぎ戦艦『榛名』の消化装置を起動させ隔壁を閉鎖し、被害を最小限に押さえる。しかしそれにより攻撃の手が緩んでしまった。

 連携砲撃で榛名が抜けた穴を掻い潜るように『SCAVENGER』は再び突撃形態をとり艦隊に急接近する。そして艦橋からその独特の姿を確認できるほど戦艦『榛名』に接近し、レーザーキャノンとミサイルを放った。

 

「きゃあああ!」

 

 三連射で放たれたレーザーキャノンにより艦橋前の二つの主砲が潰され艦体に大穴が空く。そしてミサイルにその周囲を兵装も含め吹き飛ばされた。不幸中の幸いか辛うじて機関部までは被害が及んでいなかったものの、戦闘が継続困難な状態にまで『榛名』は追い込まれてしまう。

 そして『SCAVENGER』は『榛名』に止めを差すべく高く跳躍し、狙いを定めた。

 

「Hey!!やらせませんヨー!!」

 

 『SCAVENGER』に金剛から放たれた三式弾が直撃し、三千度にまで達する榴散弾が怪鳥を丸焼きにする。マギーから『SCAVENGER』が攻撃する時に跳躍する癖を聞いていた金剛は怪鳥が榛名から離れる隙を狙っていたのだ。

 炎に包まれた怪鳥は海面へと落下し大きな水しぶきをあげる。跳ね上がった水が三式弾により炙られた装甲を冷し、ジュウジュウと音をたてながら水蒸気へと変化した。その煙の中から現れた『SCAVENGER』の装甲は熱耐性が低いこともあり変形している。

 

「これでFinish!な訳無いデショ!!」

 

 戦艦『金剛』がここぞとばかりに『SCAVENGER』に砲門を向ける。しかし『SCAVENGER』はそれを避けるようにハイブーストを吹かし高速で移動、『榛名』の甲板へと降り立った。

 無論『榛名』に止めを差すわけでも盾にするわけでもない。自身に被害を与え撃破優先度が最上位となった戦艦『金剛』を確実に仕留めるべく安定した足場に乗り、狙いを定めるためであった。

 『SCAVENGER』は『榛名』の甲板の上で機体を頭中心に回転させ反転、そして足から鳥の爪のようなブレードを展開する。突撃形態、その嘴を『金剛』の艦橋へと向けた。

 その嘴の先が自身を狙っていることを理解し、金剛の背中から汗が吹き出る。『SCAVENGER』が狙いを確認でもしたのかその目を赤く光らせた時だった。

 一筋の光線が怪鳥の嘴を穿つ。その熱量と衝撃に装甲が耐えきれず嘴がちぎれ飛んだ。

 

――――クァァァアッ!?

 

 『SCAVENGER』はうめき声のような電子音を上げ、堪らないとばかりに『榛名』から飛び立つ。しかしそれも考慮済と言わんばかりに12発のヒートミサイルがその後を追い炸裂した。ミサイルの先端から噴き出すメタルジェットが深々と『SCAVENGER』の装甲に突き刺さる。

 

「どうやら間に合ったみたいね」

 

「Just in time!!冷や汗出ちゃいましたヨ、マギー!!」

 

【挿絵表示】

 

 

 ギリギリ間に合った『ブルーマグノリア』の猛攻により深手を負った『SCAVENGER』は再び撃破対象を切り替え『ブルーマグノリア』をそれにする。

 嘴は吹き飛ばされたもののまだレーザーキャノンは生きており、『榛名』にしたのと同じように三連射のレーザーとミサイルを『ブルーマグノリア』へ向けて放った。

 しかし当然ACと戦艦では挙動もサイズも全然違う。『ブルーマグノリア』は右腕のレーザーライフルにエネルギーを溜めながら最小限の動作でそれを避けてみせる。一対一の状況であればこの手の単調な攻撃はACに当たりはしなかった。

 

――――クアアアアアアッ!!

 

 『SCAVENGER』はまるで苛立っているかのように電子音を響かせ、両腕に付いているパルスマシンガンを『ブルーマグノリア』に向けて乱射してくる。

 

「苛立ってるのはこっちよ!!」

 

 『ブルーマグノリア』は右腕のレーザーライフルを放つと同時にハイブーストを吹かし、パルスマシンガンの射線上から消える。そして『SCAVENGER』の横合いからヒートミサイルとヒートマシンガンを浴びせかけた。レーザーライフルは『SCAVENGER』の左足を吹き飛ばし得意の跳躍を潰す。そこへCE弾が雨あられと浴びせられ、次々に装甲へ食い込むメタルジェットが『SCAVENGER』の右半身を千切り飛ばした。間接各所から青い爆発が起き、バチバチと放電している。しかしそれでも怪鳥は沈まない。

 

「いい加減これで終わり」

 

 『ブルーマグノリア』は再チャージが完了したレーザーライフルを『SCAVENGER』に向ける。そして放たれた光弾がその頭を貫いた。数瞬後、出来た穴から噴き出すように大きな爆発が起こりついに怪鳥は事切れ海へと沈んでゆく。

 

「Year!流石マギーですネー!!」

 

 金剛がマギーに賛辞を送るがマギーはそれを無視して加賀へと通信を繋ぐ。"もう一つの懸念事項"があるため勝利の余韻に浸っている暇は無かった。

 

「加賀、吹雪は今どうなってる!?」

 

 こちらの『SCAVENGER』一体なんかと違い、不明戦力及び『死神部隊』という危険極まりない戦力を相手にしなければならない吹雪の心配をする。加賀の返事は期待していたものと違っていた。

 

「マギー……それが……」

 

 口籠もった返事。普段であれは冷静に受け答えしてくれるはずの加賀の反応に、マギーは最悪の結果を想像してしまう。

 

「クッ!………加賀、落ち着いて事実だけを述べて……」

 

 やはり今のあの子じゃ無理だったか……。

 マギーは後悔の念にかられ操縦桿を握りしめる。しかし加賀からの報告はマギーの想像と全くの逆だった。逆だったからこそ加賀が口籠もっていた理由を知る。

 

「……『吹雪二式』は不明戦力、……戦艦棲姫でしたが、それを撃破。続けて『死神部隊』も撃破……。損傷は軽微、今敵艦隊に向かっているわ……」

 

 加賀の声には困惑の感情が混ざっていた。吹雪の圧倒的な戦果を艦載機越しに見ていたはずなのに今だに信じられないといった様子だった。そしてただ一言こぼす。

 

「これが………『黒い鳥』…」






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