「私は巴マミ見滝原中学の3年生です」
「そしてキュゥべぇと契約した魔法少女よ」
ここは巴マミの暮らすマンションの一室。
僕と少女二人…さやかとまどかはあのショッピングモールからマミに誘われるまま彼女の家にお邪魔している。
「うわ・・・」
玄関から部屋に通されるとさやかが声を上げ、まどかも目を丸くしていた。
そこは広めのワンルームのマンションで、薄黄色で装飾されたベッド、机には辞書や教科書が丁寧に並べてあった。部屋を見る限りどうやらきっちりとした性格で年相応のかわいらしさという奴があるようだ。
「どうぞ」
にっこりと微笑んで出せれたのはシフォンケーキとハーブティーだ。
小さな三角形のローテーブルを少女たち三人が囲み僕は近くの椅子に腰かけた。
「一人暮らしだから、遠慮しないで。ろくにおもてなしの準備もしてないんだけど…」
この広さで中学生が一人暮らしか。僕の住居より10倍は広いぞ。
「じゃ遠慮なく。いただきまーす」
さやかは早速フォークを手に取ってケーキを口に入れた。
「うん!めちゃうまですよ」
「槙島先生はよろしいんですか?このケーキとっても美味しいのに」
「あぁ、僕はまだケーキに慣れなくてね。このハーブティーだけで満足さ」
「ケーキに慣れない?不思議なことをおっしゃるんですね」
「そんなことよりそろそろ話してくれないか?あの現象と君たち魔法少女とキュゥべぇのことを」
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「魔法少女システムか…興味深いな。」
「普段であれば『魔法』という言葉など信じないのだがね…あんなものを見せられれば信じざるを得ない。」
「ボクは信じられないよ。魔法少女の素質を持たないものが僕の姿を見ることができるなんてワケが分からないよ。」
とさっきまで傷だらけだった生物キュゥべぇは首を傾げた。
「先生そんなに美形だし、実は女性なんじゃないですかぁ~?」
「し、失礼だよ…。さやかちゃん」
「例え、女性であっても思春期の素質ある少女じゃなければ見えないはずなんだ。」
「肝心なことはいつだって見えないものだ。システムを作った君たちにも穴があった…。ただそれだけの事だろう。もしくは…」
「そんなことよりまどか!さやか!君たちは魔法少女にはならないのかい?」
キュウべぇは僕の話を遮り、二人に問いかけた。
「キュゥべぇに選ばれたあなたたちには、どんな願いでも叶えられるチャンスがある。でもそれは死と隣り合わせなの。」
「でもおいしい話だよね~どんな望みでも叶えられるんだもんねぇ…」
どうやらさやかは本気で悩んでいるようだった。
そのさやかの様子を眺めていたマミは、じゃあ、と口を開いた。
「そこで提案なんだけど、二人とも、しばらく私の魔女退治に付き合ってみない?」
「えぇ⁉」
「魔女との戦いがどういうものか、その目で見て確かめればいいわ。その上で危険を冒してまで叶えたい願いがあるのかどうかじっくり考えてみるべきだと思う。」
マミは優しい微笑みを浮かべてそう言った。
「そのツアー僕も参加することはできないかな?」
「大変申し訳ないけれど、いくらキュウべぇが見えるとはいえ魔法少女の素質がない人を魔女の結界に入れるわけにはいきません。」
「事情を知ってしまった以上、僕は無関係ではいられない。別に君が拒否するというのなら構わない。僕は君たちを尾行でもして無理矢理ツアーに参加することになるだろう。何か君は勘違いしているようだけどこれはね、提案じゃない。決定事項なのさ。」
「私が尾行されて撒けないとでも思います?」
マミが不遜な笑みを浮かべる。
「魔法少女の君ならば容易だろうが…彼女たちもついているとなれば話は別だ」
と、僕はまどかとさやかに視線を向けながら続けた。
「魔法による人間を超えた運動能力はあくまで君だけが使えるものだ。ついてくる彼女達はあくまで人間。しかも運動能力は並の女子中学生レベルときてる」
「私があなたを拘束すればいいだけの話でしょう?」
「少し言葉を交わしただけでわかる。君は僕に危害を加えることはできないよ。優しいからね。」
「…わかりました。でもあなたは魔法少女や魔女とは無関係。危ないと思ったらすぐにこの件から手を引いてください。それが条件です。」
この短い時間で自分がそこまで分析されているとは予想していなかったマミは驚きを隠し、仕方なくという体でそれを承諾した。
「協力に感謝しよう。それとキュゥべぇ、僕は君を見ることができるわけだけど他の魔法少女や素質がある者と同じように僕が呼んだら駆けつけてくれたりはするのかな?」
「優先順位はあるけれど、君は僕達を見ることができる特殊な人間だ。君の事をよく知るためにも極力向かうようにするよ!」
表情を変えずキュゥべぇがそう答えた
「そうか…じゃあ僕はそろそろお暇することにするよ。魔法少女ツアー楽しみにしているからね」
と椅子から立ち上がり空になったティーカップをテーブルに置くと僕はマミの家を後にした。