「大人にはなりきれないものだな。これほどに胸が躍るとは」
マミの家から帰宅する道すがら僕は今日得た情報を整理していた。
「待ちなさい」
薄暗い路地から声がした。
「そろそろ来ると思っていたよ…。暁美ほむら」
鞄からドミネーターを取り出し振り返る。
『犯罪係数・オーバー200・執行対象ですセーフティーを解除します』
ドミネーターは形を変えパラライザーモードに切り替わった。
「なにかしら?そんなおもちゃで私がどうにかできるなんて思っているの?」
「じゃあこのおもちゃに撃たれてみるかい?当たり所が悪ければ1週間は動けなくなるかもしれないけれど…」
「あなたは何者?何が目的なの?」
僕の皮肉を遮り、彼女は僕に問いを投げた。
「自己紹介は学校で済ませただろう?目的なんてものはない。あるとすれば僕の知的好奇心を埋めるため…かな」
「好奇心は猫をも殺す。ここで手を引かなければあなた…死ぬわよ」
彼女は真剣なまなざしで僕に告げた。
弱ったな。僕はこういう言葉にはめっぽう弱い。
「気遣いに感謝するよ。でもあいにく命ならあと8つは残ってる。」
彼女は少し困惑した表情を見せた。
「ところで暁美ほむら、君には聞きたいことがあってね。あの魔法少女システムについて…君はどこまで知っているんだい?」
「どういうことかしら?私は何も知らないのだけれど」
動揺を隠すように、彼女は僕から目を離した。
僕はその隙に彼女の犯罪係数に確認した。
やはりそうだ。彼女の犯罪係数はわずかだが上昇していた。
犯罪係数は動揺や恐怖で上昇するという論文を読んだことがある。
つまりドミネーターを使えば嘘発見器のような使い方ができるのではと思い試してみたわけだ。
「真実を知っているからこそ君はキュゥべぇを殺そうとしていたんだろう?」
「っ…⁉」
「少し考えればわかる。鹿目まどかを追い回し、希望を振りまく魔法少女を量産するキュゥべぇを殺そうとする意味。つまり君は鹿目まどかを魔法少女にしたくはないのだろう?」
「しかし鹿目まどかを魔法少女にしたくないというのなら彼女を殺してしまえばいい。殺さないにせよ痛めつけて脅すなり他にやりようがあるはずだ。でも君はそれを実行しない。何故か魔法少女を製造するキュゥべぇを殺そうとしている…ということは、君は鹿目まどかを救いたい。そしてキュゥべぇは何かを隠している…。」
「どうかな?僕の推理は。推測通りであるならば僕は君の力になれる」
「あなたは本当に何者なの…?」
「しがない国語教師さ。君たちみたいに魔法も使えないし、コスプレだってしない」
「しがない国語教師は、おもちゃの拳銃を持ち歩かないし、魔女を見れば裸足で逃げ出すわ。協力するという話、少し考えさせてもらうわ。あなたを信用するにはまだ情報が足らなすぎる。」
「なら存分に僕を観察するといい。あぁ…あと巴マミには君と会ったこと、僕の仮説諸々は伝えない方がいいのだろう?」
「えぇ。あなたが私に協力したいというのなら自分が得た情報で仮説を立てても決して彼女…いえ彼女達には口にしないことね。」
ほむらは一瞬で魔法少女の変身を解くと元いた路地の暗がりの方へその身を翻した。
「最後に一つだけいいかな?魔法少女のソウルジェム…
「何が
ほむらは足を止めず路地の暗闇に吸い込まれていった。
「やれやれ…嫌われてしまったかな」
ほむらが立ち去りもはや自分以外誰もいなくなった薄暗い路地から去り、帰路につく。
少し町から離れた場所で奇天烈な造形ではなく機能を重視した住宅街に僕のマンションはあった。
そしてこの街の住人は変わった造詣の住宅を好むようでこの住宅街に人気はない。それ故に僕をつけている人間がいることに気付いた。最初は暁美ほむらを疑ったが彼女なら気配を絶ち尾行できると考えた。
家までついてこられるのは厄介だし、こちらにはドミネーターがある。最悪肉片にして放置してしまえばこの世界の警察が処理してくれるだろう。
そこまで考えた槙島は立ち止まり謎の人物に問いを投げた。
「もうかくれんぼはやめにしよう。姿を見せてはくれないか」
鞄のドミネーターをいつでも引き抜ける体勢で周りを見渡す。
「いやぁ…やっぱりマキシマの旦那には敵わないなぁ」
「君は…………チェ・グソンか?」
「お久しぶりです…
一つお聞きしたいのですが哲学やらなんやらが出てきたら元ネタを書いた方がいいですか?