西方妖々花   作:縁々

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 ハリポタの要素は皆無です。
 次話辺りから少しずつだしていく予定です。


妖花と霖之助とボロ刀

 午後からは門限まで自由時間となる。

 来客が来ることなどほとんど無い所なのもあって、白玉楼は超ホワイトな職場なのだ。私は白玉楼の掃除を任されているが、一週間で白玉楼を一周するように掃除すれば、勤務時間は三時間にも満たない。

 

 私が足取り軽く冥界を飛び出しやって来たのは無縁塚と呼ばれる場所だ。私は一年ほど前から暇があれば此処にあしげく通っていた。

 此処は冥界と同じように薄暗いが、彼方とは違いおぞましい気配が辺りに満ちている。足元を見れば墓標代わりの石がそこらじゅうに転がっている。一体どれだけの亡者が此の地に眠っているのか、想像もつかない。

 私は目をつむり、黙祷を捧げてから、歩きだした。

 此処に来た目的は唯一つ。外から紛れ込んだ様々なものを拾うことだ。

 此処周辺は幻想卿を丸ごと覆う博麗大結界のほころびがある場所で、外から度々ものが迷い混んでくる。現に少し視線を巡らせれば、半分に割れた黒板やら、罅の入ったちゃぶ台やらが転がっていた。

 どうにもこの辺りにはめぼしい物は無いようだ。

 私は未だ見ぬ宝を求めて歩きだした。

 

 二時間ほど歩き続けて、戦利品が十に届いた頃。私は薄汚い棒切れを持ってうんうん悩んでいた。

 棒切れ、といったがそれは適切ではない。正確には刀だ。あまりにみすぼらしく、一目見ただけでは刀と認識できない。私も無造作に転がるこれに躓かなければ、認識すらしなかっただろう。

 試しに抜いてみると、曇った刀身が覗いた。やはり大した物には見えない。

 だが、みすぼらしい外見に反して、この刀からは妙な威圧感を感じる。あるいは妖刀の類いなのかもしれない。母様が趣味で収集している刀剣類⎯⎯私に言えたことではないが、女らしさの欠片もない趣味である⎯⎯にはいくつか妖刀が含まれているが、その中にはやけに歴史を感じさせる、端的に言えば古くさいものも多かった。

 ひとまず、この刀も持ち帰ろう。仮に見た目通りのなまくら刀だったとしても、溶かしてしまえばいくらかの儲けには成るだろう。

 先ずはこの陰気な場所からさっさと退散してしまおう。

 

 

■□■□■□

 

 

 かくして、私が戦利品を引きずってやってきたのは、人里随一の大手道具屋『霧雨店』である。東方projectの主要キャラである霧雨魔理沙の未来の生家でもある。

 毎回、ここに私は収穫の一部を買い取ってもらっている。私が持ち込んだ品には一定の需要があるらしく、なかなかの高額で買い取ってもらえている。

 入り口の扉を潜ると、店主さんが笑顔で出迎えてくれる。

 

「やあ、いらっしゃいませ!妖花ちゃん、今日の収穫はどんなもんだった?」

 

「店主さんこんにちは。まあまあですね。気になるものを拾ったので、途中で切り上げてきました」

 

「例のコレクションかい?買い取りの後で鑑定してあげるよ」

 

「お願いします」

 

 私は店主さん伴われ、奥にある、専用の買い取り台の方に進む。店の中は様々な品で溢れ帰っているが、何処に何があるか分かりやすいように、工夫がなされている。

 買い取り台に刀を除く、今日の収穫を並べると早速店主さんが子供のように目を輝かせて、鑑定していく。その目の輝きが珍しいものを見た故なのか、それともこれからの儲けを考えてのものなのかは分からない。

 鑑定を終え、暫くの値段交渉の末、料金を貰う。白玉楼の仕事に給料は発生しない⎯⎯小遣いは別にあるが⎯⎯ので、この金が私の稼ぎの全てとなる。

 次いで今日の本題である刀の鑑定にはいる。ややあって、彼は驚きの声をあげた。

 

「何かわかったんですか?」

 

「ああ。これは良い拾い物をしたね、妖花ちゃん」

 

 良い拾い物、店主さんの言葉に期待が高まる。彼もやや興奮した様子で話し始めた。

 

「先ずは鞘や装飾だね。こちらには残念ながらあまり価値はないよ。元は素晴らしいものだったのだろうけど、状態が悪すぎる。だが、刃の部分は素晴らしいものだよ。今は曇ってしまっているけれど、手入れすれば直ぐにでも使えるはずさ」

 

「何か、特殊なものなんですか?」

 

「特殊も特殊、超特殊さ!もう一度刃をよく見てくれ。柄や鞘は劣化が激しいのに、こっちには破損や錆の欠片もないだろう?この刀には日緋色金が使われているんだ。聞き覚えはあるかい?」

 

「ええあります。確か、永遠に錆びることの無い、理想の金属の一つでしたか」

 

「ああその通り。物は相談なんだけど、譲ってくれたりは・・・」

 

「すみません無理です」

 

「だよなぁ。いや、分かってたんだけどね、コレクターからコレクションは奪えないってさ。」

 

 口では残念というが、表情は明るいものだ。騙し取ろうとすれば出来たはずなのに、それをしない辺り、やはり彼は根っからの善人らしい。

 

「あとこれは只の勘なんだけどさ、それには他にも何かある気がするんだ。マジックアイテムについては素人も良い所だからね僕、そっち方面じゃあ、お手上げなんだよね」

 

「貴方の勘なら信用できますね。そっち関連に詳しい友人を当たってみます」

 

 私は一つお辞儀して、霧雨店をあとにした。日が暮れる前に件の友人に会いに行こう。

 

 

■□■□■□

 

 

 「それで、僕のところにやって来たって訳かい妖花」

 

 今私の前にいる男の名は森近霖之助、私のコレクター仲間である。私の前世知識では褌一丁の変態であるとされていたが、そんなことはなかった。もしかしたら原作開始までにそう成ってしまうのかもしれないが、友人として必ず阻止して見せるつもりだ。

 私は例の刀を取り出すと、一つうなずいた。

 

「ええ、早速で申し訳ないのですが、霖之助、鑑定をお願いできますか?早くこの刀の正体を知りたくてうずうずしているんです」

 

「構わないよ」

 

 彼は刀を手に取るとじっと見つめた。道具の名前と用途が判る程度の能力を使っているのだろう。彼固有のその能力は使用すると、文字どうり道理の名前と用途が判るというものだ。反面、使用方法は分からないが、観賞する分には問題ない。

 ある程度読み取り終えたらしい。彼は刀に向けていた顔を上げると、私に言った。

 

「凄いものを拾って来たじゃないか!」

 

「私にはその凄さが分からないんですよ、だから貴方に鑑定を頼んだんです。」

 

「そうだったね。それじゃあよく聞いてほしい。・・この刀の正体は『草薙の剣』だ」

 

「・・・確か、スサノオノミコトが討伐したヤマタノオロチの尾から現れた剣、でしたよね?」

 

 三種の神器が一つ、天叢雲剣の別名であったはずだ。熱田神宮の御神体とされていたはずだが、この世界では違うのだろうか。

 

「さらに、この剣にはとある特別な力が宿っている」

 

「ふむ。あまのむらくも、と言う位ですから、空に関わりのある能力でしょうか」

 

「近いね。ずばり、天下を取る程度の能力さ」

 

 随分反則的な能力だ。織田信長に持たせてみたい。

 

「・・・確かに凄い力ですが、正直扱いに困りますね」

 

「確かに。君は野望を持つタイプじゃないし、こんな力は不要か。まぁ、安心して良いよ。この剣に主と認められない限り、力は使えないようだから。」

 

「剣が主を選ぶのですか。剣士としては、ぜひ認められたいものですね」

 

 剣に選ばれると聞くと勇者のようで少し格好いい。まぁ、この世界に魔王など居ないのだろうが。

 霖之助は微笑むと、私に剣を返した。

 

「ぜひ僕の棚に並べたいところだけど、君に振るわれる方がこの剣も幸せだろう。」

 

「ええ、この剣に恥じないように精進します」

 

 決めた。今日からこの剣が私の愛刀だ。いつか、真の主に認められるようにこれからも腕を磨いていこう。

 さしあたって、先ずは・・・。

 

「早速で悪いと思うのですが、鞘の修理、お願いできますか?」

 

「ふふ、了解。承ったよ」

 

 

■□■□■□

 

 

 私は霖之助にお礼を言って彼の家を出た。

 腰には新品と見間違うほどにに輝いた草薙の剣が差してある。成長途中の私には未だ少し大きすぎるが、いずれ合うようになるだろう。

 

 ピチャンと水滴が頬に当たり、空を見上げてみると、黒い雲が集まりつつあった。一雨来るかもしれない。空も紅く色付いてきていて、今の時間帯を教えてくれる。

 そろそろ門限も近い。

 私は雨に降られる前に、白玉楼に飛んでいった。





⎯⎯妖花ちゃん
 物品収集が趣味。魔法界に行ったらめっちゃはしゃぐ。


⎯⎯霧雨店
 魔理沙どころかその両親も生まれてません。


⎯⎯霖之助くん
 二次創作での扱いがなかなか酷い人。例)褌一丁の変態 フラグクラッシャーなど
 公式の生産チート。彼にかかればただの火炉が山を焼き払うミニ八卦炉になる。
 未だ香霖堂はやってない。


⎯⎯草薙の剣(天叢雲剣)
 本来は魔理沙が香霖堂に持ち込むはずだったアイテム。天下を取る程度の能力を備えている。
 主と認めた人物に雨を降らせる。そして今回のラストシーンでは雨が降り始めていた・・・後はお察しの通り。
 やったね妖花ちゃん!何時でも天下が取れるよ!
 織田信長や、ヴォルデモートの手の届かないところに保管してください。


⎯⎯スサノオノミコト
 フルネームは建速須佐之男命(たけはやすさのおのみこと又は、たてはやすさのおのみこと)
 イザナギが鼻を濯いだら生まれたと言う訳の分からない逸話を持っている。
 ヤマタノオロチを討伐する際、クシナダヒメを嫁に貰うことを条件にした。ゲスいぜ・・・。

⎯⎯ヤマタノオロチ
 酔っぱらってる間に殺られた人。
 酒は飲んでも飲まれるなの教訓を身を持って教えてくれた。
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