東方騎士譚   作:城縫威

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最期

おっとすいませんでした

まだ騎士の事を何も知りませんよね

なので少しだけ

騎士の全てをお教えすることはできませんが

彼の最期だけお教えしましょう

     ──────────◆──────────── 

何時からか、この命を与えられ赴いたこの世界。

全てを黒ペンキで満たしたような世界をずっとずっと歩いてきた。

粘着質の泥のように足には黒が纏わり付いてくる。

身体は既にボロボロで傷のない所などありはしない。

ずっと歩いてきた、救うために闘うために、終わりなど見えないこの世界を歩いてきた。

左腕はもはや使い物にはならない、自らの意志で動かそうとも神経そのものが断ち切られているのだろうか、だらんと身体に着いたおまけかの様にぶら下がっているだけだ。

盾はない。

我が友のために置いて来た。

後悔はしていない、我が友を守るためだ、後悔などするはずがない。

そもそも左腕が使えず剣を持つことしか出来ない私に盾も持つことは出来ない。

もう一人の皮肉を言うのが大好きな友には増援を呼んできてくれと頼んだ。

今は私一人だけだ、身を守る物は殆ど守る力を失った鎧に使いすぎ使い始めた時の鋼の輝きなど見るも無残になくなったこの大剣しかない。

されど身体はまだ動く、私は生きている、剣を振るう腕もあれば敵に肉薄するための足もある。

ならば終わりなくとも歩き続けよう。

私は王グウィンが騎士、四騎士が一人のアルトリウスだ。

     ──────────◆────────────

ずっと歩いてきたアルトリウスの視界に一つの異形が入る。

歪に動くそれは彼がこの深淵を歩く前から狩ってきたもの、彼が倒すべきダークレイスなのだろうか。

彼は空高く跳び自らの大剣で異形を突き刺す。

――私の獲物だ絶対に殺さなければならない。

異形は呻き散らす。

刺した場所が急所から少し外れたのだろう、異形は腕を振り回し抵抗しようとする。

それを許すアルトリウスではない。

深く、より深く異形に刺した大剣を突き刺していく。

異形は痛みで更に呻くがその声も段々と小さくなっていく

ふとこれとは違う気配がしてアルトリウスは横に視線を移す。

そこにはこれとは違う異形がそこに立っていた。

剣と盾と鎧を身に纏いこちらを見据えている。

今の彼にそれが敵か味方などという事を見分ける事は出来ない。

彼はこの深淵を歩き始めてからずっと、悠久と言える程の長い間ずっと歩き続けてきた。

例え彼が強靭な精神を持つものであっても、この終わりない深淵の中、少しずつ確実に精神は侵食され削り取られていった。

今彼を支えるものは使命、救わなきゃいけない、戦わなきゃいけない、遂行しなければいけない使命を達する為に彼は歩き続けてきた。

そんな今の彼にとって彼の視界に入った者全てが倒すべき敵なのだ。

彼は異形が突き刺さったままの大剣を肩に担ぐ。

彼は高らかに言う

──私は王グウィンが騎士、四騎士が一人アルトリウスだ

さあかかってこい我が大剣でもってその醜い魂たたっ斬ってやる。

彼の者にはただの雄叫びにしか聞こえない。

しかし彼の者は武器と盾を構えることで答える。

アルトリウスは大剣に刺さっている異形を彼の者へと放った

今二人の間で戦いの火蓋が切って落とされたのだ。

     ──────────◆────────────

二人は対峙する。

一人は大剣で以て薙ぎ払い、一人は剣で以て連撃を浴びせ、互いに一歩も劣らぬ攻防。

傷ついた身体を撓らせて鋭い一閃をみまう。

空気を切り裂き胴体おも切り裂こうとする刃は彼の者に届くことなく、後に大きく跳ぶことで回避されてしまう。

彼の者の隙を突いた剣撃も剣筋上に大剣を置かれ、紙一重の所で躱されてしまう。

横薙ぎの一閃、瞬間後へと跳び、彼の者へと地を蹴り上空からの力の乗った大剣を振るう。

地を抉り轟音を立てるその攻撃は既の所で躱されなかなかどちらとも一撃を入れられない。

そんな戦いの中、アルトリウスは光を彼の者から見出した。

自分にはない光だ。

自分より強く気高い魂の光、異形だと、敵だと切り裂こうとする相手は今深淵の中を照らしている。

だが彼は思う、例え誰であっても倒さなければいけない、使命を全うしなければいけない。

ただその一心に剣を振るう。

今更止まる訳には行かないのだ。

一度歩みだしたのだからあとには引けない、進むしかないのだ。

彼の者は距離を取ろうとする。

そんな彼の者にアルトリウスは肉薄する。

逃しはしない。

矢の如く大剣を突き立てる。

大剣の先が彼の者を捉えることはない。

不意に足に力がいかなくなる。

彼の者は大剣の突き立てる一瞬、横に避けるのではなく地を這うかの様に地面と大剣との間に入りアルトリウスの両足を切り裂いたのだ。

彼の者は巨大なアルトリウスの股の間から抜け出し更に追い打ちをかける。

膝をついた彼に避ける術はない。

随分と久方ぶりに痛みが身体中を奔る。

痛みすら忘れていたこの身体がだ。

激痛となって奔る痛みとともに、熱く煮えたぎる物が口からこみ上げてくる。

立ち上がることも、大剣を振るうことも、出来なくなってしまった。

アルトリウスは倒れこむ。

自らの血の池に沈む。

アルトリウスは、大剣を持てば無双の限りを尽くしたと謳われた彼は、この日この時、敗者となった。

      ──────────◆────────────

まだ彼の者の気配は消えない。

死にゆく敗者を嘲笑っているのだろうか。

足音が近づいてくる。

とどめを刺そうとしているのか。

だが剣を突き立てようとも、足で踏み躙ようともしない。

身体が地から天へと向けられた。

彼の者はこちらをのぞき込んでいる。

何を思ったのだろうか、彼の者はアルトリウスの兜を外す。

最早死にゆく身体だ、何をされても受け入れるしかない。

彼の者は小さな小瓶を取り出す。

彼はそれをアルトリウスの口に押しこむ。

血に満たされている口に中に別の液体が流れ込んでくる。

吐き出す力も彼にありはしない。

血と混ざった液体は喉を通り身体に浸透していく。

瞬間、彼の身体に変化が生じる。

身体の傷が修復されていく。

血が流れ、熱が消え去ろうとしていた身体に熱が戻る。

長らく見ていなかった日の光が目に差し込んでくる。

意識が鮮明に明確なものになってくる。

力が戻ったがゆえに喉の奥へと流れ込んでくる液体にむせる。

アルトリウスはゆっくりと身体を起こした。

「......ここは深淵の中では、ないのか?」

彼の者に話しかけることも自らの事を確認するよりも先に辺りを確認する

「お前の目が光を捉えてるんだとしたら深淵の中ではないだろうな。」

彼の者は襲ってきた筈の彼を前に盾や剣を構えるでもなく皮肉を言った。

ゆっくりと視線を彼の者へと向ける。

「君が私を救ってくれたのか?」

「救ってはいない。両足を切った後その身体に剣を突き刺した。傷を治したのは少し話しをしたかったからだ。」

「そうか......。だが有難う、礼を言う。」

「ふん、傷を治すために貴重な女神の祝福を使ったんだ、存分に感謝するといい。」

彼の者は随分と捻くれた性格のようだ。

「一つ聞きたい。」

「なんだ?」

「私は狂っていたのか?」

「あゝ、狂っていた。いや、狂っていたと言うよりかは殆ど正気を失っていたと言ったほうがいいか。ここに来ていきなりお前に襲われたんだ、参ったよ本当に。」

彼の者の言葉には疲れが見える。

「有難う。大体の事は理解が出来た...。」

アルトリウスの顔が翳る。

「別段お前が何かは知らないが理解するのはいいんだがね、勝手に襲った相手に自己紹介がないってのはどうなんだ?」

そんな事お構いなしに彼の者は聞く。

「私か?私は王グウィンの騎士、四騎士の内の一人、アルトリウスだ」

アルトリウスの言葉に彼の者は少しばかり目を開く。

「へぇ、お前さんがかの有名な深淵歩きアルトリウスさんか。随分と細いんだな。」

「深淵歩き?なんだそれは。」

聞きなれない言葉にアルトリウスは聞き返した。

「強 靭な意志により決して怯まず、大剣を振るえば、まさに無双であった。とまぁ、こんな風に語り継がれてそこらの子供の憧れになっていたな。その内の一つが深 淵歩きのアルトリウスってやつだ。と言っても俺がその手の話に全く興味がなくってね、お前さんが名乗る今の今まで忘れていたがね。」

「私なんかがそんなに評されていたとは、勿体無いな。...ん?まて語り継がれるとはどういうことだ?」

彼の者の言葉の中にあった違和感。

「あゝ、そういや言ってなかったな。俺はこの時代の人間じゃないんだよ。未来から来た未来人ってね。」

「未来から来た、か。また色々と数奇な人生を送っているのだな、君は。」

「全くだ。ただの傭兵がいきなり不死人になって差別されて、勝手に使命を渡されて死に物狂いで進んできた。実際何回か死んでるがね。」

「何回か死んでる?」

「そこも話さないと駄目か。」

彼の者は語る。

自らに負わされた使命を。

王グウィンは自らを薪とし最初の火を継いだことを。

世界に不死人という者が現れ不死院と言われるものに幽閉されること。

最初の火は消えかかり火の時代は終わりが近づいていること。

何もかもが自分の知らない未知なる話。

聞くだけなら全く信じられない話。

だが彼の者の言葉は重く、目には若干の悲しみを帯びている。

しかし彼の者の心は折れてはいない。

たとえ悲惨な運命を背負おうとも折れずに立ち向かっている。

そのどれもがその話が事実だと実感させる。

「それは辛い事が幾重にもあったろう。捻くれた性格もその所為か?」

「そりゃそうさ。こんな性格じゃなきゃやってらんねぇよ。」

彼は同情はしない。

彼の者も同情されることは望んではないだろう。

だからアルトリウスは咲う。

笑って彼の者を送り出す。

「ならその使命を全うするがいい。止まることはないのだろう?」

「当たり前だ。ここまで来て逃げられるかよ。」

彼の者は何のことはないかのように言う。

「君の助けが出来なくてとても残念で仕方がない。」

アルトリウスは少し寂しそうに言った。

「なんだよ。せっかく傷も治って正気も取り戻したんだ。少しくらいは手助けもしてくれたっていいんじゃないか?何にもしてくれないんじゃせっかく女神の祝福を使ったのも損じゃないか。」

彼の者は眉間に皺を寄せ、口調を少しだけ荒く言う。

「済まないな。傷といっても深淵の中で受けた傷までは治ってないみたいだ。左腕も動かない。もう余命幾ばくもないのを無理やり延ばしたのだろう。今こうやって喋っている間も全身に痛みが奔っているんだ。君の手助けを出来るほど私は生きることは出来ないだろな。」

「んだよ。なんだったらさっさと殺せばよかったかねぇ。」

さらっととんでもないことを彼の者は言う。

「まあ、それは運が悪かったと思ってくれ。所で君の名はなんというんだ?私はまだ教えてもらってない。」

「俺の名ね。名なんて物はずっと昔に無くしたんでね、そうだな、高貴なる騎士アルトリウス様?何か名前考えてくれないかね。」

彼の者の言葉にアルトリウスは思案する。

「ならこうしよう、とある場所の言葉で獅子の事をリオンと言う。もう一つ、狼の事をレアンと言う。獅子が如く力を持ち、狼が如く孤高の魂を持つ者として君の名前はレオンとしよう。」

アルトリウスの命名に彼の者は、レオンは苦笑を漏らす。

「なかなか洒落た名前だな。しかしまあ、ここに来る途中、金色の獅子の鎧着た奴も倒して来たからピッタリっちゃピッタリかな。」

「金色の獅子とはオーンスタインの事か?」

「あゝ、確かそんなんだったと思うが。」

「オーンスタインは私の友だ。四騎士の内の一人のな。」

「そうすると何か?俺はお前さんのお友達を殺しちゃったってわけかい?そりゃ悪い事をしたな。」

「いや別に構わないよ。彼が死んだのはまた運命って事だ。なるほどな、オーンスタインに勝ったなら私が勝てる筈がないな。」

「そうか?お前さんも結構強かったと思うがね。」

「ただの力しか持たない木偶の坊だよ、私は。」

「そうですかい。さすが騎士様。謙虚なこって。」

そんな軽口を言い合う二人。

アルトリウスは不意に真剣な顔へと変える。

「レオン、君頼みごとをしたい。」

「あゝ?なんだよ」

露骨に面倒な様子を見せる。

「私では深淵の主には勝てなかった。そんな私の代わりに奴を倒して欲しい。そしてウーラシールの宵闇様を救いだして欲しい。後私の相棒であり友であるシフを助けだして欲しいんだ。」

「ウーラシールの宵闇の件と深淵の件はすでに頼まれているからいい。シフってのがどんな奴か教えてくれ。」

「シフは狼だ。灰色の毛色をしているんだが...。」

「あゝ...あれか?口に剣加えてる奴。」

「あゝそうだが、何故知っているんだ?」

「いやちょっと未来で会っていてね、すごく大きい狼だったから覚えているんだよ。」

アルトリウスは嬉しそうに咲う。

「そうか、それなら安心できる。」

「助けることは約束してやるよ。少し損の方が大きかったがあれだ、名前をくれたお礼にお前さんの尻ぬぐいはしてやるよ。」

「どこまでも有難い。」

アルトリウスはとても安心した顔でレオンを見る。

「ずっとここに長居するのもなんだ、俺は行くとするよ。」

レオンはそう言って、アルトリウスの言葉も待たず言ってしまう。

手を振りながら行く彼は道の途中、一度止まりこちらを見て言う。

「一ついい忘れていた。白猫の魔女も元気にしてたよ。彼奴俺に沢山の皮肉を言いやがって憎たらしいやつだったよ全く。」

それを言い終えた彼はさっさと行ってしまった。

彼の姿が見えなくなった後、彼と話している間ずっとこちらを見ていた気配に言う。

「出てくるといい。いるんだろう?王の刃キアラン。」

どこからともなく現れる一人の人影。

歩いてくるそれは仮面を被った女性。

四騎士の内の一人、王の刃キアラン。

「こうやって逢うのは久しぶりか?」

「あゝそうだな。」

アルトリウスは仰向けの状態になる。

だんだんと身体は限界を迎えていく。

「お前ほどの奴が無様な格好になったものだな。」

少し刺々しい彼女の声に口元は自然と笑みを浮かべる。

「何時もは口数が少ないお前は今日はよく喋るな。」

「なんだ?キアラン、嫉妬か?」

「なっ、何言う。死ぬ間際で頭でもとんだか?」

視界が霞む。

段々死に近づいているのだと感じる。

「なあキアラン」

「なんだ?」

「済まないな。」

「いきなりどうした。」

「一番先に逝く事になりそうだ。さっきのオーンスタインの話、多分先の、未来の話なのだろう。」

「何、気にしないさ、お前とオーンスタインとゴーだけだったの時の様に、今度は私とオーンスタインとゴーの三人になるだけだ。」

「それなら良かった。意外と寂しがり屋な君は誰か一人でも知り合いが逝くと泣く様な奴だと思ってたのだがね、違うようならそれでいい。」

「当たり前だ。誰がその程度のことで泣くか。」

キアランがアルトリウスの真横に来た後、アルトリウスは頭に何か感触を感じた。

「何かしたのか?キアラン。」

「膝枕だ。石の床よりかはましだろう?」

アルトリウスは最早殆ど見えない目を細め言う。

「あゝ、とてもいい気持ちだ。冷たい床じゃなく、君の温もりを感じる。」

「ふん、馬鹿なことを言うな。」

つっけんどんにキアランは返す。

「なあキアラン。」

「なんだ?アルトリウス。」

「また四人で酒を飲み交わしたいものだな。ここ最近全く一緒にいる時間が少ない。私は少し寂しいよ。」

「そうだな、お前は人一倍寂しがり屋だったからな。」

アルトリウスの熱ははどんどん消えていく。

されどアルトリウスは話すことをやめない。

「なあキアラン。」

「なんだ?アルトリウス。」

「皆で飲み交わすのもいいが、一人ずつ語るのもいいな。」

「そうだな。」

「ゴーとは酒の飲み比べをして、オーンスタインからは日頃の愚痴を言い合って、キアラン、君には私が色んな事を教えるんだ。」

「私だけが何をするわけでもなく、ただただお前の話しを聞かされるのか?」

「そ うだな、場所はウーラシールの森の奥にある開けた場所がいい。あそこには綺麗な花も咲いているし、そして何より月がよく見えるんだ。そこは私が此処に来て 見つけた穴場なんだ。 君は何時も仕事に追われて疲れているだろう?あそこは休むのにちょうどいい場所でね、あそこにアルヴィナとシフを連れて行って寒い 時はその身体を抱けば温まるし気持ちがいい。そこで私は君に話すんだ。光る花のことや沢山の動物のことや、色んな事を。」

「なんだ、労ってくれるのかと思ったら結局自己満足か。」

少し呆れたような口調で彼女は言った。

「いいじゃないか、君も疲れが取れるし私も君と居ると心が休まるんだ。」

彼女の身体が少し震えている。

「なあキアラン。」

「なんだっ。」

「私の為に泣いてくれているのか?」

「そ んな訳ないだろうっ!誰が、誰がお前なんかの為に泣いてやるもんか。何時も鋭いくせして、ふとした時は鈍感で、周りの奴らよりも大食らいで調理人たちを困 らせて、いつまでもいつまでも自分の殺してきた奴らのことで悔やんでいて、そんなお前なんかの為に泣いてやるもんか、絶対に泣いてやるもんか。」

アルトリウスは目を閉じる。

「そうか、それならいい。やっぱり泣いている君よりも咲っている君の方が数段美しい。」

アルトリウスの顔に何滴もの水の雫が落ちる。

「逝くなら逝け、さっさと死んでしまえ。そんな月並な台詞を言われて私はどうすればいいんだ。」

「ははっ。月並か、確かにそうかもしれないな。でも美しいと思っているのは本当なんだぞ?」

アルトリウスは微笑む。

自分はもう生きることは出来ない。

それは寂しいことだし哀しいことだ。

だけどそれを塗り潰す喜びが彼にはあった。

咲って逝ける程の安堵が彼にはあった。

何もかもを受け入れられる安らぎが彼にはあった。

「なあキアラン。」

「なんだアルトリウス。」

「......有難う。」

その一言を残して彼は逝った。

彼の身体にあった熱は全て消え去った。

淡く光る彼のソウルだけを残して。

 

「アルトリウス。安心しろ、そんな長い時間お前を一人にするつもりはない。何、直ぐだ。」

そう言って王の刃キアランはその場を去っていく。

 

深淵歩きアルトリウス

大剣を振るえば、まさに無双であったという彼は今、親愛なる友の見守るなかで逝った。

語り継がれる伝説とは違い、それは道半ばで終わっていたが、友を愛し生きた彼は、彼を知る者達によって英雄として語り継がれていく事となる。

 

アルトリウスに名をもらいし戦士レオンは後に散々の苦悩を乗り越えながらも王グウィンを倒し、最初の火を継いだ。

その先の未来の世界がどうなるのかは解らないが、これでやっと彼らの長い長い物語が終わったのだ。

 

眠る彼らの魂へ

どうか争いのなく安らかに

長らく疲れたその魂に休息を

       ──────────◆────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

グスっ

いやぁ哀しいですねぇ

何かが死んで消えるというのはとても悲しいものです

しかし彼の物語は終わりまた始まるのです

次の世界の物語はどの様に進むのでしょうね

それではそれでは

ここからが本当の

 

[東方騎士譚]の始まりです

 

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