ゼロの使い魔~白黒の自称普通の魔法使い~ 完結 作:WryofuW
さて今日もいい天気、朝は早いが、すでに外は賑わっている。とりあえず朝ごはんをもらう為、一階へ降りるとそこにはワルドがいた。向こうもこちらに気がついたのか、その場で立ち上がり帽子を胸付近に持って行き、一礼している。
「使い魔くん、昨日のことは申し訳なかったね。悪気があったわけじゃない」
「へいへいもういいって。昨日は昨日、今日は今日だ。で、出航はいつだ?」
「夕方だね、それまでは自由行動だから好きにするといい。集合はこの宿とする」
適当に返事をし、軽く食事を取り街の探索を行う。昨日はさっと用事を済ませ宿に戻った為、ちょっと楽しみだ。昨日のことは考えない。こういうときこそお酒の出番じゃないか? 他の国は分からないがワインだけじゃなく、一応米からできたお酒はあるらしい。ワインに慣れた人々には未だ普及していないらしい。だからあの学院には無かったんだな。しかしワインに比べ、米のお酒は値段的に安く一般家庭には普及しているらしい。だから一応店には置いている。それを求めいざ参る・・!
・・・
「いひひ、思ったより品揃えよかったな。味見ありだったから好みが選べたぜー・・・ん?あのフードから垂れるロングの緑髪はどこかで?ま、いいやそれよりお酒だ!おっさけ」
その気がかりの者と交差する瞬間、一瞬目が合わさった。そこでようやく分かった、あの鋭い目線、あいつと同じ魔力。間違いないフーケだ。すぐに振り返るが、そこには誰もいなかった。ただ人々が賑わうその光景だけだ。情報が漏れているのか?と考え、急ぎ宿に戻ることに。
しかし戻ったはいいがそこには見知った人はおらずギーシュでさえいない。宿を営むおっちゃんに話を聞くと、出かけているらしい。こんな時に限って・・・。宿屋のおっちゃんから少し席を空ける、と伝言を受けたが、軽い気持ちでスルーする。
すると出入り口から2人見知った顔が・・・しかしなぜここに・・キュルケにタバサ。2人に話を聞いてみると、1日かけて自分たちの居場所を探ったらしい。ストーカってやつか?身近にそんな人がいるなんて、恐ろしい。
キュルケが思考を読み取ったのか、慌てて弁解している。キュルケの性格からして じゃさようなら、と言って帰る訳もない為、他のメンバーを待つ前に今回の事情を軽く話すことに。
「ふうん、ルイズが極秘任務ねえ、ああ内容は話さなくていいわ。極秘任務なんでしょ?」
「お、おおそうだぜ、だからついてこなくてもいいんだぜ?」
「あのイケメンが私を待ってるわ!帰るわけないじゃないの!」
「なんだこいつ・・(そ・・そうか頑張ってくれよ)」
「魔理沙・・・言いたいことが、逆・・」
タバサに指摘され、ようやく気がつき空笑いをする魔理沙に、キュルケはあきれたため息が出たが まあいいわ、と許しをもらえた。とここで魔理沙は先ほどフーケに似た人が、この街にいる事を2人に話す。信用していない様子だが、前回フーケ捕獲の件での活躍もありそれなりには信用してくれたようだ。
そうだ、とキュルケが口を開き話しはじめる。この内容に魔理沙は、苦虫を噛み潰したような顔をし難しい顔をする。その内容とは・・。
「この街に入って気になったんだけどね。こんな人のいない寂れたとこに、いったい何の用があるのかしら?」
「は?人がいない?んな馬鹿な。むしろこの街は活気であふれかえっていたぞ?買い物したしな」
「???、おかしいわね。ねえタバサ、人いなかったわよね」
「いなかった、ミス・魔理沙の話からするとこの短時間で街を出て行ったか、あるいは・・」
とタバサが話を続けようとするが、出入り口からドアを無理やり強く開く音が響き渡る。そこにいたのは同行していたメンバー、ルイズ、ギーシュ、ワルドの三人。あせった様子で入ってきたようだ。
「まずいぞ、使い魔くん。この街はもう・・いやちがうな元々、賊どもの住処だったようだ!」
「な・・なんだってー!!!・・・、それってまずくね?」
「というかどうしてこいつらがい「危ないルイズっ!」きゃっ・・」
入ってきた三人が中央ほど移動したタイミングで、この場にいる者の話を遮るように、木材が何度も折れ破壊される音と共に宿の半分が横に吹き飛ぶ。ルイズは、魔理沙に頭を押さえつけられつつ同時に伏せる。
衝撃による木屑の破片は、ワルドの使う風の魔法により吹き飛ばす。そのお陰で怪我はなかった。宿を吹き飛ばしたであろうごつごつとした大きな腕、巨大な体…そしてその物体に乗る緑色の髪をした女性、フーケである。見慣れない仮面の人物もおり、二人してこちらを見下している。
「あの大きさのゴーレムまさか…フーケ、なの?」
「やっぱりあれは本人だったか!脱獄したのかよ!」
「ふふっ、あの時の使い魔一行じゃない・・・あっ!しまった、仮面の!今すぐあの金髪女の視野から離れな!」
「フーケらしくない、どうしたそう慌てて」
「あの娘っ子には人一倍それぞれの魔力を感知する能力がある!だから見られたら確実にバレるよ」
「・・何故早くそれを言わない・・ふぅ、なら後は任せたぞ」
そう言うと仮面の男は、消えるかのようにその場を離れる。フーケはもう一度魔理沙たちを見るとすでに避難したのか、一定の距離が開いている。
一方、魔理沙たちはこの状況を打開するために作戦会議しているようだ。
「今回は普通の任務とは違う。出向時間までそれほどないそのため、任務を優先とする」
「賛成、殿となる人は少ないほうがいい。私の考えは、私とキュルケが残るのが好ましいと思う」
「たしかに私たちに、その任務の詳細はわからないわね。それならうってつけじゃない?フーケ程度に遅れはとらないわ」
「そうだね、私もそれでいい。ルイズもいいかい?」
「ええ、大丈夫で「いいや、私はそれにゃ賛成できないぜ」・・・魔理沙?」
「フーケのやろうにもちょっと聞きたいこともあるんでね、ここは私一人に任せてもらおうか」
その言葉にルイズは猛烈に抗議するが、ワルドが少し考えながらも魔理沙に同意する。
理由としては、人は少ない方がいいと言うのと、使い魔には使い魔なりの作戦があるのだろう との事。ワルドに続きタバサも同意してしまう。そこまで言われては、しぶしぶ他の者も納得するしかなく頷く。がしかしタバサは自分の使い魔、シルフィードをここに置いて後で魔理沙への道しるべ役にさせるらしい。
「へへ、タバサありがとうな。今後の事を考えてなかったぜ、参謀ってかんじするな!そっちもがんばれよ」
「・・まかせて」
「気をつけるんだぞ、相手はあのフーケだ。倒そうと思わなくていい、武運を祈るよ使い魔くん」
「いまさらだがその使い魔ってのはやめてくれよなー私は霧雨魔理沙っていう人間だぜ?それに使い魔とかそういう立場にになったわけじゃないし」
「??、そうなのかいルイズ?」
「あんまり深くは考えてなかったわね・・。たしかに使い魔っていうより友達とかそういう分類になるのかしら・・あとは姉のような・・ボソッ」
「・・??よく聞こえなかったが・・そうか、失礼したねミス・キリサメ。じゃ任せたよ とりあえず30分程度は持たせてくれよ?」
「へっ、別に倒してしまっても構わないんだよな?」
ふっ、と笑いワルドを先頭に、裏道から素早く出ていく。ルイズやキュルケはなにか言いたそうに魔理沙を見ていたが、なにも言わずワルドについていった。
「よし…じゃまずは目の前の物取りどもからだな…まぁ足止めだしさっきの閃光玉で大丈夫だな」
盗賊たちは、警戒しているのか進みが遅い。そのおかげでこちらの準備も余裕で完了した。
徐々に進んで来る盗賊たちの後ろに控えるゴーレムとフーケに向け、箒セットした八卦炉のパワーと共に一気に飛び出す。盗賊たちは驚いたのか全員こちらを振り返り、魔理沙はしめしめとニヤけ顔を作りこれでラストだが惜しまず閃光する試験管をすれ違い様に投げ弾幕を当てる。これだけで盗賊は無力化しただろうと考え、振り返らずゴーレムに乗るフーケと目線が合う高さまで上昇し、対峙する。
すんなりここまでこれた魔理沙を、フーケは予想通りだと言わんばかりに鼻で笑う。だがしかし学園で見たような光の玉ではなく、何か物を投げて発光した物だけが疑問に残る。
「よっ久しぶりだな!牢獄生活は楽しかったかい?」
「ちっ、生意気な小娘!その口私の土で固めてあげようか?」
「おーおー怖いぜ、もう少し冷静に周りを見れるように成長しなって。この霧雨魔理沙様のようにな?」
「減らず口を…気が変わったわ、一瞬で片をつけるつもりだったけどジワジワと痛め付けてあげるわ!」
「だめだこりゃ、まぁいいやさっきのお面のやつのこと話してもらうぜ?」
「あれはどうみても仮面じゃないか!…っ、思わずツッコんでしまったわ……あぁもう!あれのこと話してほしけりゃ倒してみるんだね!」
フーケはゴーレムに指示を出すと、魔理沙に向けて大きな腕を叩きつけようとする。…がしかしゴーレムの手や腕が大きい為に挙動の時点でスピードが遅く難なく攻撃範囲外へ回避する。
魔理沙も自信の魔力の玉を、弾幕のように大量に浴びせる…がしかしゴーレムにダメージは殆どなく、少し削れるだけで一瞬のうちに再生している。
どうしたものかと悩んでいると、フーケがぎゃぁぎゃぁと何か叫びながら土で作ったであろう黒茶色の玉を放っている。当たるわけがないのだが、スピードはなかなかあるようだ。
「おい小娘ぇっ、卑怯じゃないか!逃げるんじゃない!」
「うっわぁ…こええ。髪が逆立ってるように見えるぜ…」
一向に近づかず少し離れたところから弾幕を放つ魔理沙に、フーケは大きなゴーレムへ指示を出しつつ土の弾幕を放つ。
ゴーレムは指示を受け、そこら辺の家の破片を持ち、魔理沙へ向け投げつけている。ビュッと風を切る音と共に、魔理沙の乗る箒のブラシ部分が意図も簡単に削れる。
あまりの早さに冷や汗をかきつつ、ぶつかった衝撃で箒から滑り落ち、落下してしまう。
「ふん…あいつによればあの箒はマジックアイテムで、あれのお陰で素早く長距離で飛べてるらしいが…学院の時もそうだったね…さて今頃ペチャンコかしら?…」
フーケがそう呟くと バキッ・・という箒が落ち、地面と衝突したであろう音がフーケの耳まで届き笑みを深める。フーケは基本、殺傷を行わないがやるときにはやる女性だ。しかし魔理沙が地面との衝突音は聞こえない。杖を強く握り締め、警戒しながら周囲を見る。
フーケは、あの仮面の男に強襲する前にいくつか任務の指示をされていた。一つは、あの箒の回収もしくは破壊。回収して調べるつもりだが無理な場合は破壊もやむをえない、ということだろう。2つ目はあの使い魔、霧雨魔理沙の排除。お披露目会で一度未知の魔法を見ている仮面の男は、後々邪魔な存在と判断したのだろう。そんなことフーケは、知るわけはないのだが仲間になった以上頷いた、と言うところだろう。
任務遂行の為に止めを刺すべくフーケは、落下地点へゴーレムから飛び降り周囲を確認する。魔力の消費がきつくなってきた為、ゴーレムを自壊させる。
少し進むと、近くには真っ二つに折れた箒がありフーケは、仕留め終わったら回収しようと画策する。さらに警戒したのかフーケは、懐からナイフを取り出し杖を持つ手と逆の手に持つ。そうすることでもしも接近戦となった場合でも対応可能である。
少し土煙の舞う耳鳴りが起きそうな程の静けさの中フーケは、探索中に何かの音を聞きつけ首をかしげる。キィィィィィ、という聞き慣れない音、その後すぐに後方から漏れた光に気がつきすぐさま杖を一振りしゴーレムを生成し盾にする。
その後すぐにひとつの言葉、マスタースパーク と力強い言葉と共に巨大な複数の色の光線がフーケを襲う。逃げることは無理と判断し生成したゴーレムの再生スピードを上げようと魔力をつぎ込む。しかし所詮土のゴーレムであり、いくら再生しようと努力してもすぐにゴーレムは破壊、蒸発してしまいフーケは飲み込まれる。
「(油断した・・あぁ・・ごめんよ、不甲斐無い姉で・・・強く・・いき、)」
・・・・