微風が吹き、桜の花びらが舞い上がり桜吹雪が起こった。
高校へ入学
鈴海高校の前では、受験に見事合格した一年生が皆新品の制服に身を包み、家族と写真を撮っていた。
その中、一人激しく写真を撮るスーツ姿の女性がいた。その女性の行為に呆れて物も言えないような表情をした男が、カメラを取り上げた。
「いい加減、撮るの止せ!」
「いいじゃない!麗華ちゃんの晴れ姿を何枚撮ったって!」
「いや、それはそうだけど……」
「お前等なぁ、母校に来てまで喧嘩すんなよ」
「……って、そう言うお前は携帯カメラで撮り過ぎだ!!」
「うるさい!!俺の妹なんだから、何枚撮ろうと勝手だ!」
「緋音姉さんはともかく、何枚も人の写真撮るな!!そして、何気に待ち受けにするな!!」
龍二の頭に肘鉄を食らわせながら、麗華は怒鳴った。
ぬ~べ~クラス、そして童守小学校を卒業してから、五年の月日が流れた。
高校生になった麗華は、鈴海高校の制服に身を包んでいた。
「肘鉄食らわす事ねぇだろ!!」
「何度も止めろって言っても、止めないから食らわせたんでしょ!」
「おいおい、学校で兄妹喧嘩すんな!」
「龍二!一応私達は、もう成人したのよ!
私達はともかく、龍二は麗華ちゃんの保護者になったんだから、いつまでも喧嘩しちゃ駄目よ」
「緋音姉さんに怒られてやんの」
「麗華ぁ!」
「止めねぇか」
「止めなさい」
姿を消していた焔と渚は、二人の頭に拳骨を食らわせた。
「全く、こんな所で喧嘩すんな!
真二と緋音と変わんねぇじゃねぇか」
「だって……」
「龍!お前はもう子供じゃないんだぞ!」
「……」
「あれ?神崎か?」
その声に麗華は、振り向いた。そこにいたのは、左右にリストバンドをし額に出来た傷跡を隠すようにして、前髪を伸ばした男の子が立っていた。
「五年振りだな。神崎」
「えっと……」
「俺だよ俺、星崎だ」
「……え?!」
「何だ、お前もこの高校だったんだ」
「何で、アンタがここに?」
「こっちで一人暮らしする事になったからな。それでだ」
「一人暮らしって……親御さん、よく許したな」
「邪魔になって一応義務教育終わったから、家出ろって親父に言われて……だったら、神崎がいるこの童守町に移り住んだ。そして親父が所有してるマンションから近い学校を適当に探したら」
「ここが近かった」
「その通り」
「何ちゅう無責任な野郎だ」
「本当。自分の子供が邪魔になったからって、家を追い出すだなんて。
私は死んでも、麗華ちゃんを手放したりはしないわ!」
「いつから緋音姉さんの子供になったの?!
つか、抱き着かないでよ!変な目で見られるじゃん!」
「大丈夫大丈夫。既に変な目で見られてるから、俺等」
真二の言葉にキレた麗華は、彼の頭に踵落としを食らわせた。真二は仰向けに倒れそのまま伸び、麗華は地面に置いてあった鞄を手にして、大輔と共に校舎の中へ入った。
「ったく、麗華を怒らせるなよな」
「怒らせる要素、どこにあった?!」
配られていたクラス分けの紙を見ながら、麗華は大輔と廊下を歩いた。
「そういや、お前また伸ばしたんだな」
「うん、まあね」
「けど、ちょっと安心したわ。
学校が同じでクラスも一緒で」
「アンタ、友達作るの下手そうだもんね」
「その言葉、そっくりそのままお前に返す」
教室へ入ると、それそれの席に座り各々の事をやっていた。自分達の席へ座りしばらくすると、そこへ先生が入り入学式の説明をした。説明を終えると、皆廊下前で列を作り体育館へ向かった。
入学式を終えた麗華は、後ろからやって来た大輔と共に話しながら教室へ向かった。
「あ~、校長の話長かったぁ」
「危うく寝かけた」
「お前らしいな。
そういえば、俺等の担任女だったな。何か頼りなさそうな」
「ゲジマユ担任みたいに、妖怪と戦えればいいんだけど」
「それはねぇだろ」
「だよねぇ」
他愛のない話をしながら、二人は教室へと入った。
入学式を終えた新一年生達は、一緒に来ていた親と共に家へと帰って行った。麗華は大輔と共に龍二達と一緒に帰った。
「へ~、こいつが例の島に住んでた同級生か」
「星崎大輔。霊感があって、同級生の中じゃ唯一の理解者だったかな」
「フ~ン……俺、滝沢真二。イタコの血を引いてるんだ。よろしく」
「私は日野崎緋音。あなたと同様に霊感持ってるの。よろしくね」
「あ、ハイ……
神崎、お前何人兄妹だ?」
「二人よ。真二兄さんと緋音姉さんは、兄貴の幼馴染で同級生。それプラス、この学校の卒業生で、私が入学するのが決まった時一緒に行くって言って。それで保護者としてきたんだよ」
「そういう事」
「まあ、龍二がもし行けなくなった場合の事を考えてたんだけど、普通に休講だったみてぇだな?」
「授業あろうとなかろうと、俺がこっちに来る。妹の晴れ姿見に行かない兄がどこにいる」
「それもそうだな」
「しかし……お前がいれば、少しは安心だな。大輔」
「同じクラスだし、麗華ちゃんの事よろしくね」
「何か、任されてるんだけど……お前の事」
「承知しなくていいから。
それより兄貴、電話出なくていいの?」
「え?」
「携帯、なってるよ」
麗華の言う通り、胸ポケットに入れていた携帯がずっとなっていた。それに気付いた龍二は慌てて取り耳に当てながら先を歩いた。
「お前の兄貴、もう」
「大学四年生。
今就活と卒論で、大忙し。って言っても、兄貴卒業後は警察官になるって言って今猛勉強してるし」
「へぇー」
「真二、緋音!悪いけど、あと頼んでいいか?」
「おう!任せとけ!」
「気を付けてね!」
「兄貴を頼んだよ!渚」
「承知」
人から鼬姿へとなった渚は龍二の肩へと登り、彼はそのまま駆けていった。
「兄貴、呼び出されたのか?」
「多分ね」
「……」
「そんじゃあ、今日は牛鬼の店に行って、お前等二人の入学祝いだ!」
「賛成!」
二人の肩に腕を乗せ、真二は緋音と共に牛鬼の店へと向かった。
神崎麗華(小学五年生(十一歳)→高校一年生(十六歳))。
容姿
身長146㎝体重33㎏→身長160㎝体重43㎏。
小学生時代の肩につくほどだった髪は腰上まで伸び、耳下で結っている。首にはいつも通りの翡翠の勾玉のネックレスを着用(学校では、制服の下に隠している)。
小学校を卒業後は、広達と同じ童守中学へ入学し、そして卒業後は兄・龍二の母校、鈴海高校へ入学。
現在はぬ~べ~や広達とは連絡を取っておらず、気ままに焔達の力を借りながらかつてぬ~べ~がやっていた妖怪退治を引き継ぐかのようにしてやっている。
夜の麗華
桜の簪で髪の毛を纏め、その上から耳の着いた白い毛を被り顔には狐の面を着け、陰陽師の着物を纏い下駄(時々天狗下駄)を履き夜道を狼姿の焔と歩きながら、妖怪退治をしている。(知り合いに会った時の対処として、この様な格好をしている)
神崎龍二(高校二年生(十七歳)→大学四年生(二十二歳))
容姿
身長166㎝体重55㎏→身長180㎝体重70㎏。
髪型は依然と変わらず。手首にはいつも通り勾玉のブレスレットを着用。
大学四年生。成人したおかげで、麗華の親権は輝三から譲られた。
親権を譲り受けたせいか、かなりの心配性となり麗華を人一倍気に掛けるようになった。
滝沢真二(高校二年生(十七歳)→大学四年生(二十二歳))
容姿
身長164㎝体重60㎏→身長178㎝体重70㎏
龍二同様余り依然と然程ど変わりはない。
医大へ入学。その為まだ学生。
日野崎緋音(高校二年生(十七歳)→大学四年生(二十二歳))
容姿
身長154㎝体重51㎏→身長167㎝体重61㎏
高校時代はロングヘアーだったが、今は髪を切り頭に麗華から貰ったカチューシャを付けている。
真二と同様、医大へ入学。卒業後は動物病院を経営している父の後を継ごうと思っている。現在真二と交際中。
星崎大輔(小学五年生(十一歳)→高校一年生(十六歳))
容姿
身長148㎝体重45㎏→身長170㎝体重65㎏
中学を卒業後、島を出て童守町へ一人住み移り、鈴海高校へ入学。額には昔の古傷があり、それを隠すような髪型をしている。両手首に中学を卒業した際、七海達と作ったリストバンドを着用。現在久留美と交際中。