「麗華、大丈夫か?」
「な、何とか……」
「妖怪達、全然勢いが収まりませんね」
「全くだ…どこかに原因となって場所があると思うんだけど(さっきの騒ぎで、渚達とはぐれちまったし……)。
藤宮、麗華を頼む」
「ウッス!」
「鈴村、ついて来い」
梯子を下りながら、龍二は彼を呼び鈴村は後について行った。降りていく途中、鈴村は足を止め下を見た。
「……あの、あれは」
「え?どうかし……!!」
校舎の裏の隅……茂みと木々に隠れ見えずらかった箇所から、淡い光が零れそこから次々に妖怪が溢れ出ていた。
「あれだ……あれが、元凶だったんだ」
「……どうする?」
「……
麗華!藤宮!」
名前を呼ばれた二人は、上から顔を出した。
「一緒に下りてこい!
中に入って、外に出るぞ!!」
「ここから飛び降りた方が」
「馬鹿野郎!!死にたいのか!!
良いから下りてこい!
藤宮、妹のパン」
「それ以上言うな!!変態兄貴!!」
麗華の怒鳴り声も共に、彼女の靴が龍二の顔面に直撃した。
教室で身を潜める真二達……その時、真二の携帯が鳴り彼はすぐに出た。掛けてきたのは龍二だった。
「真二、今どこにいる?」
「二年の教室。
さっき、保健室が襲われて緋音達と一緒に」
「分かった。
なぁ、まだいけるか?」
「ギリギリだな。
段々霊力が減って、体的に結構限界だ」
「無理ならやらなくてもいい。
さっき、元凶を見つけた。今からそれを麗華達と壊しに行く。お前と大輔、緋音に敵をそこから離れさせて欲しいんだ。
返事次第で、場所を教える……どうする?」
「俺は良い。けど緋音達は」
「行くわ!」
話を聞いていたのか、緋音は携帯に向かってそう言った。
「オイ、緋音」
「大丈夫!」
「……」
「俺も行けます」
「だそうだ……」
「分かった。
校舎裏の茂みの中だ。一箇所だけ淡い光が放ってる、そこだ。
真二は緋音と雛菊と、大輔は丙と一緒に行動しろ!」
「応!分かった!
じゃあ、敵を引き寄せますぜ!刑事さん!」
「くれぐれも無茶するな!」
「了解!」
電話を切ると、真二は中村に先程の話をしてから、緋音達と共に廊下を出た。
「……僕達にも、やれることがあれば良いのに」
「そうね……」
「やれることはやってるぞ、お前等は」
「え?」
「神崎の話を聞いても尚、あいつのことを心配してるじゃねぇか。
あんな話聞いて、心配する奴相当いないと思うぜ」
「……」
「だからさ、この勝負が終わったらちゃんと礼言うんだぞ。神崎に」
「はい」
「はい」
「はい」
「はい」
校舎を駆ける、大狼姿となった焔と渚。敵を倒しながら、教室を覗いては麗華達を探していた。
その頃麗華は氷鸞と雷光を出すと、彼等の力を借りながら龍二達と共に走っていた。
「何で外に出られないんすか!?」
「妖怪の力だ!
俺等を外に出さないようにしてるんだよ!」
「だったら」
立ち止まった藤宮は、窓の鍵を開けようとしたがビクともしなかった。そして持っていた弓で、硝子を思いっ切り叩いた。飛び散る硝子の破片……破片が当たらないように、龍二は麗華を抱いた。
「おっしゃ!!割れました!」
「雷光!」
侍姿の雷光は、割れた窓から外へ出ると馬の姿へと変わった。龍二は彼の背中に飛び乗った。
「俺が元凶を壊す。
藤宮、麗華を頼んだぞ!」
「オッス!!」
「雷光、兄貴を頼むよ!」
「はい!」
その時、向こうから妖怪が咆哮を上げて麗華達に突進してきた。藤宮は麗華を庇おうと彼女の前に立ち、鈴村は刺股を手に彼等の前に立ち力任せに振り下ろした。
痛みに怯んだ妖怪は、口から煙を吹き出し麗華達の目を眩ませた。
「麗華!!」
「麗殿!!」
呼び掛けに答えるかのようにして、藤宮の雄叫びが響きそれと同時に妖怪の断末魔が聞こえた。
「龍二先輩ぃ!こっちは無事でーす!!」
「ナイスだ!藤宮!
雷光、行くぞ」
「あ、はい!」
龍二に言われ、雷光は降りていった。
校舎裏に来た龍二は、雷光から飛び降り茂みをかき分け目的の場所へ辿り着いた。
そこには、木の枝で作られた陣と真ん中に火が燃えていた。
「やっぱり……
誰かが、妖怪を呼び出したんだ」
「龍二!」
妖怪を倒しながら、真二達は彼の元へ駆け寄ってきた。
「敵は引きつける!
早くそれを、壊せ!」
手にしていた剣の先を向け、龍二は勢い良く陣に突き刺した。
その頃、麗華達は朝妃達がいる教室に辿り着いていた。
「おぉ!大!神崎!」
「虎!無事だったか!」
「麗華!無事だったのね!」
「皆、怪我は?」
「大丈夫!」
「でも、超怖かったぁ!」
泣きながら、華純は麗華に抱き着いた。そんな彼女を宥めていた時だった……何かの気配を感じた麗華は薙刀を構えドアを睨んだ。
“ドーン”
ドアを破り、入ってくる四体の妖怪……
「キャア!!」
「大!いくぞ!」
「応よ!虎!」
藤宮と中村は、持っていた弓矢を構え二体の妖怪を攻撃した。麗華も襲ってきた一体に攻撃をし倒すと、すぐにもう一体の方に行きそいつに刃を貫いた。
「ハァ…ハァ…」
「キャア!!」
杏莉の悲鳴に、ハッとした麗華は顔を上げた。
彼女と朝妃に突進してくる妖怪……薙刀を引き抜き、急いで二人の元へ駆け寄ろうとした時だった。
「……!?」
二人の前に立ち、腕を噛まれる鈴村……その姿に目を疑いながらも、麗華は妖怪の首を切り落とした。
そのすぐ後だった……
妖怪達は忽然と、煙の如く姿を消した。倒された妖怪の亡骸も消え、完全に妖怪の気配が無くなった。
結界の外で待つ桐島達……
その時、張られていた結界が解かれた。解かれたと同時に、桐島はすぐに中へ入り二人を探した。
すると、校舎から杏莉と朝妃が出て来た。二人は彼の姿を見ると、一目散に駆け寄った。
「刑事さん助けて!!先生が!」
後から来た池蔵に、二人を任せ桐島は急いで教室へ向かった。
その部屋では、教室の窓に掛かっていたカーテンを破り腕から大量の血を流す鈴村を手当てする麗華達の姿があった。
「麗華ちゃん!」
「?……桐島さん……
す、鈴村が!」
「すぐに手配する!」
携帯で外にいた池蔵に、電話を掛けすぐに救急隊を入れるよう手配した。数分後器具を持った救急隊が、鈴村を担架に乗せ運んでいった。
校舎に入る警察官や救急隊の人々……その現場を見ようと散乱する野次馬達の中、一人の少年が手に持っていた煙草の吸い殻を地面に落とし火玉を足で踏み消した。
そして、そのまま姿を消した。