陰陽師少女   作:花札

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花言葉のメッセージ

「ハッハッハ!麗華のみたらし団子、独り占めだぁ!」

 

「何言うてんねん!俺も食ってるんやから、独り占めではないで!」

 

 

机に並べられた和菓子を、陽一と真二は美味しそうに食べながら競っていた。

 

 

「で?

 

何しに来たの?真二兄さん……」

 

「実習が意外にも早く終わったから、母校の学祭に遊びに来たんだろう?

 

そうしたら、妖怪騒動が起きてたから手ぇ貸したまでだ」

 

「それはありがとうございます。

 

けど、陽と競うのやめて下さい!端ないですよ!!」

 

「何を言う!滅多に食べる事の出来ない麗華の和菓子を、この俺が」

 

 

言い掛けた真二の頭を、背後から現れた緋音が殴った。大きいたんこぶを作った彼は、机に伏せた。

 

 

「全く、大人気ない。

 

麗華ちゃんが困ってるでしょうが!!」

 

「お!緋姉!

 

久し振り!」

 

「陽一君、お久しぶり」

 

「緋音、何故?」

 

「私も実習、今さっき終えて超特急で来ただけよ。

 

って、人の話を聞きなさい!」

 

 

緋音の話を無視して、真二は団子を食い続けた。食べ終えていた陽一は、麗華に次の注文をした。

 

そんな時、麗華達の教室に一人の生徒が小さな花束を持ってやって来た。教室を見渡す彼女に、杏莉は歩み寄った。

 

 

「どうかした?」

 

「あの、神崎麗華さんはこちらのクラスですか?」

 

「そうだけど」

 

「良かった!

 

あの、これ神崎麗華さんに渡してくれとお客様が」

 

「どんな人だったか、分かる?」

 

「顔をしっかり見ていなかったので……どんな人だったかは……

 

あ!男性の方でした」

 

「……分かった。

 

じゃあ、渡しておきますね」

 

「はい!お願いします!」

 

 

一礼した女子生徒は、杏莉に花束を渡すと教室を後にした。

 

 

「麗華ぁ!プレゼント届いてるよー!」

 

 

その言葉に団子を食べていた陽一と真二は、怒りの目を向けた。その目をやめさせるかのようにして、緋音と麗華は二人の頭を軽く叩いた。

 

 

「誰から?」

 

「来賓した男性だって。

 

顔見てないから、それ以外は分からないって」

 

「……」

 

 

花束に目を向ける麗華……その花は、手に掴めるほどの小ささでピンクの花が彩っていた。

 

 

「それ、ゼラニウムって言う花だよね?」

 

「ゼラニウム?」

 

「確か花言葉は、『決意』」

 

「え?何?

 

花言葉のメッセージ?」

 

「愛の告白ってか?」

 

「おい!ここに」

 

 

言い掛けた陽一に、麗華は足刀を食らわせた。

 

 

「……麗華、従兄弟さん伸びちゃったけど」

 

「大丈夫。陽の奴、空手の関西大会で前に優勝してるから」

 

「空手?

 

あれ?確か去年、何かどっかの高校生が乱入して空手部を危うく潰そうとした輩がいたって」

 

「その犯人」

 

「嘘ぉ!」

 

「陽、真二兄さんが最後のきなこ餅食べようとしてるよー」

 

「きなこ!!」

 

 

麗華の声にすぐに起き上がった陽一は、麗華に背後から抱き着きながら、きなこ餅を真二の手から奪い取り口に入れた。

 

 

「あー!俺のきなこ餅!!」

 

「抱き着くな!」

 

「ええやん、別にー」

 

「公共の場でやるな!」

 

「あぁ!ズルイィ!

 

俺も麗華に」

 

 

抱き着こうとした真二に、麗華は肘鉄を食らわした。倒れた彼に続いて、陽一の腹に肘打ちを食らわせようとしたが、彼はヒラリと避けた。

 

 

「麗、一般人に肘鉄はアカンやろう」

 

「いや真二兄さん、アンタと同じ空手家だから」

 

「クソ……久し振りの麗華の肘鉄、効いたわ」

 

「ほらね」

 

「……」

 

 

「あれ?滝沢じゃないか!それに、日野崎!」

 

 

その声の方に振り向くと、そこには剛田が教室に入ってきた。

 

 

「懐かしい声が聞こえてきたから、もしやと思ったが……

 

 

あれ?神崎、お前の兄貴は?」

 

「仕事です」

 

「そうか……お前等いつも三人でいたから、てっきり一緒かと思ったが」

 

「そんな、人をハッピーセットみたいに括らないでくださいよ」

 

「悪い悪い!

 

で……神崎に抱き着いている、その男は誰だ?」

 

「私の従兄弟です」

 

「ウッス」

 

「どこの高校だ?」

 

「麟音高校ですけど」

 

「麟音高校?

 

はて、どっかで聞いたことあるような…ないような」

 

「空手部で聞いたんじゃないんですか?

 

去年、コイツ少し問題起こしてますし」

 

「何!?」

 

 

驚いた剛田が目を向けたが、陽一は売店へ行き別の商品を選んでいた。

 

 

「その件については、私共でキツく叱っておきましたので」

 

「そ、そうか……

 

 

あ!そうだ、忘れるところだった。

 

来賓者はもう、お帰りの時間だ。とっとと帰れ」

 

「え~。

 

もう少し良いじゃないですか~

 

俺まだ、麗華の和菓子全部食べてませんしぃ」

 

「また明日来い」

 

「明日は無理です~

 

今日の実習レポート、まとめなきゃいけないんで」

 

「それは残念だな」

 

「だから、まだ居座る~!」

 

「帰ってレポート書け」

 

「早う帰って書けば、明日午後にでも来られるで」

 

「お前等二人揃って、酷いな……」

 

 

 

 

夜……

 

夕飯を食べ終えた陽一は、お風呂に入っていた。

 

 

その間、麗華は貰った花束を花瓶に生けようと、包装紙を取った。

 

 

「……?

 

あれ?違う花がある……」

 

 

広げたピンクのゼラニウムの中に、別の花があった。それは、小さな黄色い花を咲かせた草だった。

 

 

(……この花…)

 

「ん?何だ、その花」

 

「あぁ、これ。

 

さぁ……花図鑑、持ってくる」

 

 

そう言って、麗華は自身の部屋へと行った。本を手にして戻ってきた彼女は、ページをめくりながら花を調べた。

 

 

「えっと……

 

あ、あった」

 

「何て花だ?」

 

「弟切草」

 

「オトギリソウ?」

 

「そ」

 

 

「麗ぃ!タオルー!」

 

「棚に置いてない?」

 

「見当たらん!」

 

「えぇ……準備したと……

 

あ」

 

 

居間に置かれているバスタオルを見て、麗華は慌ててそれを風呂場へと持って行った。




ピンクのゼラニウムの花言葉


『決意』




弟切草(オトギリソウ)の花言葉


『復讐』
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