もう少し遅くなりそうなので本編より先にアイデアだけあった番外編を投稿します
こっちはプロットがほとんどないので更新は未定になります(もしかしたら設定の見落としとかもあるかもしれません)
感想返しも本編更新時に
ではまた
目が覚めると暗い洞窟のような、いや人の手が加わったような感じから察するにドームのような広い場所に私はいた。広さはおそらく、ちょっとした中庭程度はありそう。
冷たい地面の感触、これはコンクリート? 固い地面と冷たい感触からそう思った。
頭痛がする。頭に手を当て、体を起こしてあたりを見渡す。
ふと体を見てみると見慣れない制服を着ていた。そのことが私の混乱を加速させる。私がこの服を着た記憶も持っていた記憶もない。一体誰が何の目的でこんなことをしたのだろうか。
「ううぅ、何なの……、私は一体」
どうしたのかしら、と続けようとして私は固まった。
暗さに目が慣れたのか、それともただ視界に入らなかっただけか、どちらかはわからないけれど、今この瞬間、私は【それら】を認識した。
それは蟲だった。虫ではなく蟲と表現したほうが良いかもしれない。
私が知る限りでは現実には存在しないような奇怪な蟲、その卑猥な形のものから鎧のようなごつごつとした形の蟲が確認した限りではいた。
それも一匹や二匹ではない。私の周囲一メートル以外の地面はほとんどその蟲に覆われるほどの大量の蟲。百かそれとも千か、それを見た瞬間私は数える気を失った。
「何よこれ、本当に何がどうなってるのよ」
私は思ったことをそのまま口に出す。
そして強く願ってしまった。
『今何が起こっているのかを知りたい』と。
ズキン、と頭痛がした。
「え?」
頭痛がした。頭痛がした。割れるような頭痛が頭痛が頭痛ががががががっがががあっがががががっがあっがががが痛い嫌痛い痛い痛いいいいああいい痛たたたったたいいあいたいあい割れ頭が割れ痛い痛い苦し苦苦苦しい痛い死ぬ痛い痛痛たたったたたたた――。
「―――――――――――――――――――ッ!!」
私は叫んだ。未知の感覚が痛みと主に私の中に入って来たから。肺の中の空気が空になると思うほど叫んだ。
それは記憶だった。物心ついたころから高校生の現在に至るまでのとある少女の記憶。
それは凌辱の記憶であり、苦痛の記憶であり、諦めの入った恋の記憶。それに加え私についての記録もあった。
それを一度に頭に叩き込まれたからか、耐え難い痛みとなって私にあらわれたのだろう。
だけどすべてを理解した。
ここがどこで、私が誰で、そして……私に何ができるのかを理解させられた。
「ああもう、不愉快極まりないですね」
吐き気がする。現状を理解して心に余裕ができたからか、先ほどの未知への恐怖より怒りと不快感が上回った。
目を閉じると感じる。私の中にもう一人がいる感覚。いや、むしろ私が彼女の中に生まれたと考えたほうがあっているかもしれない。
いや完全に乗っ取る形で転生しなくてよかった。もし彼女を消してしまっていたら首をくくっていたところだ。
今は眠っているようで、自分の体を勝手に動かされているにもかかわらず何の反応もない。まあ、それはそれで好都合だ。
「こうなるならもっと早く、それこそ遠坂時代辺りにでも目が覚めてくれればよかったものを、この時代じゃあもうほとんど手遅れじゃないですか」
本当に不愉快極まりない。蟲によって少女は凌辱され尽し、体内には蟲と穢れた聖杯の欠片を埋め込まれ、聖杯の泥によって災害が発生して死者が多数、聖杯の女であったホムンクルスとその夫であった男は死に、その娘は実家で歪められた情報による教育の真っ最中でその上短命ときている。これを手遅れと言わないで何というのだろう。
ああ頭が痛い。本当に頭にくる。
今更私に何をしろというのか。このまま眠り続けてシナリオ通りに進んだほうがよかったのではないだろうか。
「ああもう!」
怒りに任せ、私は力任せに地面を叩きつける。
轟音が響き、コンクリートと思われた地面は私の拳を中心にクレーターが生まれたかと思うとクモの巣状のヒビが今場所全体にはしり、壁にも亀裂が生まれる
その余波で蟲が何割か破裂したが、そんなことは知ったことではない。
「……ああそうでしたね、今の私だと力加減を考えなきゃいけないんでしたね」
そう言って叩きつけた拳を開いたり閉じたりして問題がないか確かめる。
与えられた記録通りのスペックなのか、私の手には傷一つない。
不用意に物にもあたれないとは不便な体だこと。
「何やら騒々しいことじゃ、のう桜」
忌々しい声がした。
嫌々ながら声のした方へ顔を向けると一番みたくない顔があった。
坊主頭に和服の老人。杖を突いて部屋の端に設けられた階段の上からこちらを見下ろすその瞳には老人とは思えない程ギラギラとした強い意思が宿っている。
「誰かと思えば蟲爺ですか、ほんと見たくありませんでした」
私の、いや桜の口からでた自身に対する反逆ともとれる言葉に、蟲爺が一瞬呆気にとられるが、すぐにいつもの嫌な顔に戻る。
「ほう、少し見ぬ間に生意気な口がきけるようになったもんじゃ」
じゃが、少々お仕置きが必要じゃな、と彼は周囲にいた蟲に指示を出し、私を襲わせようとする。いつものように、この少女にやっているように。
「なんじゃ、どういうことじゃ……」
しかし蟲は動かない。主である蟲爺の指示に叛き、私に近づこうともしない。
「蟲たちはわかっているんですよ、私には誰も逆らえない、私を傷つけることはできないって」
そう私は蟲爺の
それに驚いたのか、蟲爺が勢いよくこちらを振り返る。
そして攻撃態勢にうつろうとしたのだろうけれども、遅い。
「じゃあ、消えてください 」
私は振り上げた拳をこいつに叩きつける。
今度はちゃんと手加減したけれど、それでもこいつの体をつぶすには十分だったようで、まず頭と地面が一体化して、次の瞬間には大量の蟲の死骸となって散らばった。
「ああ、そうでしたね、まだ一匹いましたね」
その蟲の死骸を見て、思い出す。
十年前ならいざ知らず、今のこの蟲爺の体は偽物、本体は別の場所にいたはずだ。
そう。
「こんな所に害虫が一匹」
そう言って、私は自分の胸に右手を埋める。そう、文字通り肉をかき分け、血液で手を濡らしながら自分の体にその手を埋めていく。
そうして肉をかき分け、心臓に到達するとその一部を引きちぎり、体外に取り出す。
それは普通の人間には致命傷と呼ぶに十分な傷のはずだった。しかし、彼女はそんなことは意にも介さず、一気に引き抜いた。
心臓の一部を破壊したにもかかわらず、その傷からあふれ出る血液はあまりにも少ない。いや、そもそも次の瞬間には傷跡さえ存在していなかった。通常の人間が見たら卒倒する光景の数々だが、幸いにかここには普通の人間はいない。
彼女はその手に握っているのモノを見つめる。
それは小さな蟲だった。矮小で無様で汚らわしい蟲。それを――。
「えい」
という掛け声とともに握りつぶした。
「あ、気持ち悪かったので思わず握りつぶしちゃいました……、まあいいですよね」
そう言って手に着いた蟲の体液を嫌そうな顔で振り払い、階段を上る。
「桜の記憶によると、……まだライダーは召喚してないようですね、でも令呪が浮き上がって聖杯戦争が始まるのも時間の問題ってところですか、ほんと時間ぎりぎりもはなはだしいですねえ」
ため息をつき、階段を上る。
「いっそ大聖杯を破壊しちゃうのもいいかもしれませんが、ついでですしある程度はシナリオに沿って行動していきましょう、目標は……桜が衛宮士郎と恋仲になることでいいですね、ハーレムも可、です」
目指せ、ギャグ時空の士郎。特にカーファン。
しかし、それには邪魔な奴らがいる。
言わずもがな、言峰と英雄王だ。あれらがいる限り、この物語に平和は訪れない。
「あーでも、どのルートをなぞるべきでしょうか……、
聖杯戦争を前提からの否定である。もともと殺しあいなのに何を言っているのかということになるけれど、彼らがいたほうが面白い。……バーサーカーさんはどうなんでしょう。あの人一切しゃべらないですし、何を思っているのかわかりません。いざとなったら紳士にしちゃいましょう。めんどいですし。
「さてはて、色々考えることが多いですけれど、彼らの生活を生で見れるのはいいことかもしれませんね」
そう思っていると階段を上り切り、扉の前へ着く。
少しの不安とこれから起こる出来事への期待を胸に、私はその扉を開いた。
こっちのBBちゃんの性能はステータスが全部EXに変更されているのと
サクラファイブが設定が明かされているものなら使えるという風に強化されています。
ほぼCCCのBBです。