月の女神と神刀の主人さま。   作:薊芭 昊

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プロローグです。
処女作ゆえ、機能など全くわかっておりませんがよろしくお願いします。


【序章】満月の夜

 とある世界に、一柱の神様が降りてきました。

 

 太陽の女神でもある彼女は、それはそれは綺麗な神様だったそうです。

 

 彼女は、一つの刀に宿りました。

 

 自分の主人を探すため。

 

 月夜が綺麗なある日。

 

 彼女は自分の主人と出会います_______

 

 

+ + +

 

 

『なあなあ蒼詠ー。今どこに向かってる?』

「父さん曰く、許嫁の候補との見合いだってさ。」

 

 どこからか、声が響いた。幼い子供の澄んだ声だ。だが周りに子供はいない。そこにいるのは少年__蒼詠だけだった。所々跳ねた蒼髪に少々目つきの悪い鶯色の瞳。非常に整っているが、童顔で幼さのある顔。

 そのことに蒼詠はさして驚くことなく返事する。声はその返事にどこか驚いたような声を出し、ケラケラと笑った。

 

『君の親も馬鹿だなあ。私みたいな美少女がいるってのに蒼詠が浮気するわけないじゃないかぁ。』

「月讀、てめえの人型の姿を見たのは俺だけだ。」

 

 声__月讀はそれもそうか!、と随分と明るい声で相槌を打った。蒼詠は特に興味がある物もなく、すたすたと廊下を歩く。

 

 蒼詠が歩くその場所は、蒼詠の家、武家葵家が主とする浅葱芭家である。落ち着く色合いの赤茶の床に桜や梅、椿などが描かれた数多の襖。ゆらゆらと薄暗い廊下を照らす提灯に、どこか気品のある置物の数々。縁側からは満月が覗き、提灯はないがその場所は月明かりによって照らされている。

 

 変わり映えしない景色。蒼詠は月讀と出会った、今日のような満月の夜を思い出していた。

 

 

+ + +

 

 

「ねえ父さん、今からどこへ行くの?」

 

 幼き日の蒼詠は父である栄翁に純粋な疑問を持ちかけた。

 

 だが、栄翁は全くもって気が気ではなかった。葵家が主とする浅葱芭家。そして敵対勢力とも言える逢坂家。

 前の満月の日、逢坂家長男が神宿りの刀を引き抜いたというのだ。

 神宿りの刀は、いや神宿りの刀だけでなく聖霊宿りの刀も厳密にはわかっていない。古来から強大な力を持つ武器であり、武器にはそれぞれ神、聖霊が宿されていた。

 満月の夜、幼い子供は皆その刀を引き抜く。もしも刀に認められればその刀を引き抜ける、儀式のようなもの。その儀式が、これから始まろうとしていた。

 

 蒼詠が刀たちの並ぶ台座へと連れてこられると、ついに儀式が始まった。

 

「まずは、____」

 

 家臣の言葉と共に、次々と候補の刀がなくなっていく。

 最後の刀だった。紅色の漆喰の梢ごと深く深く突き刺さっている、綺麗な刀。

 

「では蒼詠様。お願いいたします。」

 

 蒼詠は、その刀を___一気に引き抜いた。

 バチバチと霊力と霊力がぶつかり合う音。騒めく家臣や浅葱芭家、逢坂家のものたち。というのも、この刀は少々特殊だった。その刀は、古来、という昔の最も前からいる古き神宿りの刀だというのだから。

 すると、声が響き渡った。少女の欠伸する声。そう、それは刀に宿る神の声だった。

 

『君が、今回の私の主かい?』

「……うん。」

 

 随分と、幼い声。刀から出る声に、蒼詠は驚きながらも、ただじっと刀を見つめていた。

 

『そうかそうか! ふむ。随分と面白い子共だな。__母親の、綺麗事を実現したいと?』

 

 蒼詠の、母親は少々夢見がちな人であった。

 

 そもそも栄翁という名門武家の者と、平民である自分が婚姻できたことから、それはあったとも思う。だが、蒼詠にとっては綺麗事が大好きな、優しい”お母さん”であり、大好きだったし、父と母の仲もそれはそれは良好だった。だが、母親は病持ちであった。ざあざあと雨が降る、冷たい夜のなか母親は死んだ。

 だから、蒼詠は幼心にも、母の夢を叶えてあげたいと、そう思った。

 

『ふむふむ。では、私に名前をつけてもらおうか! 名前がないと不便でな!』

「月讀。」

 

 栄翁が考える間を与える隙もなく、蒼詠は即座に答えた。

 栄翁はそのことにギョッとするが、そんな場合ではないと刀の方を見た。

 

『おお、いいな、その名前! よし、これからよろしく頼む、主!』

 

 そう、実に簡単に蒼詠と月讀の契約は終わったのである。

 

 

+ + +

 

 

「お前が、浅葱芭家長女か?」

「仮にも私、許嫁候補よ? その言葉遣い、どうかと思うけど。」

 

 それが蒼詠と許嫁候補__浅葱芭家が長女、浅葱芭鶯佳との最初の会話であった。

 

 浅葱芭鶯佳は、葵家の主とでも云うべき家の長女であり、刀の才能があると話題の美しい少女であった。浅葱色のふわり、とした長髪に勝ち気そうなつり目の蒼詠と同じ鶯色の瞳。紅色と白色の巫女服を着込み、神秘的な美しさを誇る少女。そして、その容姿に不似合いな側に置かれた紅色の刀身の太刀。

 その太刀は聖霊刀であった。聖霊とは、神とほぼ同類の存在であるとし、神よりも力は低いがそれでも強大な力を持つ。

 

「お前は、婚約する意はあるのか?」

「私はないわ。貴方は?」

 

 どこか上から目線な返答に苛立つ蒼詠であるが、無言で首を振った。どこか、悲しそうな声色で鶯佳はそう、と言った。そして、すぐさま何か切り替えるように、真剣な表情で蒼詠を見上げた。

 

 

「貴方に手伝って欲しいことがあるのよ。」

 

 

 

 




大体二千文字です。
一応起承転結、考えておりますので完結できると思います。
みなさま、しばしお付き合い願います。
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