光り輝くその瀬戸際に   作:いろすけ

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理不尽それはブルーな気分

 

 視線が痛い。針のむしろってやつか。入学初日の休み時間って辛いよね。うん、ここまで辛いとは聞いてない。さっきまでは一夏も居たからまだマシだったよ。それが呼び出されやがって色男(ヒーロー)が。…ええっと、確か〝篠ノ之箒〟とか言ってたな。やたらとノが多くて言いにくい。

 

「ちょっと、よろしくて」

 

 しかし、この空気の中一夏に声かけるなんてなかなか勇気あるよね。僕ならできいな。

 

「聞いています?」

「え、僕?」

「まあ、なんですの、そのお返事。わたくしに声をかけられるだけでも光栄なのですから、それ相応の態度というものがあるのではないかしら?」

 

 うわぁー、変なのに絡まれたー。

 今の世の中、ISのせいで女性はかなり優遇されている。女尊男卑ってやつだ。女=偉い、だなんて勘違いしている人も少なくない。

 

「…えっと、セルシウス・オルゴールさん?」

「誰ですの、それ?」

 

 …違ったらしい。外国人の名前って覚えにくくない?間違えてもしょうがなくない?

 

「〝セシリア・オルコット〟ですわ。馬鹿にしていますの?」

「いやいや、そんなつもりはないよ?」

「ではなんで疑問形なんですの!」

 

 おぉ、ナイス突っ込み。この子意外とできるね。

 

「イギリス代表候補生にして入試主席のこのわたくしを知らないなんて、無知にも程がありますわ」

「IS関連は何にも知らなくてね、教えてもらいたいくらいだよ」

「フフン、わたくしは優秀ですから、あなたのような人間にも教えて差し上げあげますわよ」

「そりゃ、助かる。今のままじゃ、間違いなく落ちこぼれるからね」

「…ま、まあ、男にしてはいい心がけですわね」

 

 僕の返答が予想外だったのか少し間があったな。うーん、何かこの子違和感あるんだよね。無理しているっていうか。美人なのにもったいないなー。

 

「じゃあ、よろしく、オルゴールさん」

「オルコットですわ!いい加減覚えなさい」

 

 やっぱりこの子、できるね。ってか、近い、近い。

 

「ええっと、ちょっと近くない?」

「…!!」

 

 僕の言葉でようやく自覚したのかとっさに顔を離す。

 少し残念とか思ってないからね!でも悪い子じゃなさそうだ。

 そんなことを考えているとチャイムが鳴った。

 一夏よ、ご愁傷様。

 

 

 

 

 

 

 結局一夏は三秒遅刻し、千冬さんの出席簿アタックをくらた。

 この時間は山田先生ではなく、千冬さんが担当するらしい。いかん、真面目に聞かねば。

 

「授業の前に再来週のクラス対抗戦の代表を決める」

 

 クラス代表?学級委員長みたいなのか?

 

「はいっ!織斑君を推薦します」

「じゃあ、私は瀬戸君を推薦します」

 

 予想道理です、はい。けどね、何で僕はおまけ扱いなんですか。じゃあ、って何?

 

「では、候補者は織斑一夏と瀬戸光輝だな。…他にはいないか?自薦他薦は問わないぞ」

「お、俺!?」

「一夏諦めろ」

「なんで光輝はそんなに落ち着いてるんだよ」

「なんで、って?」

 

 僕は目線を教壇の方へやる。

 

「織斑、自薦他薦は問わんと言ったはずだ。他薦されたものに拒否権はない」

 

 鬼が決めたことだからです、キリッ。…やべぇ、超睨まれた。

 

「い、いやでも―」

「待ってください。大体男がクラス代表なんていい恥さらしですわ!わたくしにそのような屈辱を一年間味わえとおっしゃるのですか!?」

 

 あ、オルゴールさんだ。しかしこの状況あまりよくないな。

 

「大体文化としても後進的な国で暮らさなくてはいけないこと自体耐え難い苦痛で―」

「オルゴールさん、落ち着いて」

「オルコットですわ、何回言えばわかりますの」

「ごめん、ごめん。でも国のことは今関係ないでしょ?」

 

 世界中のIS操縦者を育成する機関とは言え、クラスの三分の一以上は日本人だ。事実日本のことを馬鹿にされクラス全体が何とも言えない空気になっていた。

 このままほっとくとクラスから孤立しそうだね。さすがに入学初日からそれはもったいなさすぎる。ちょっとフォローしないとね。

 

「確かにISについて素人の僕たちがクラス代表なんて変だと思うけどね」

「ご自身の身分をよくご存じのようで、極東のサルにしては知性がありますのね」

 

 褒められた?貶された?…まあ、間違いなく後者だろうね。

 

「イギリスだって大したお国自慢ないだろ。世界一まずい料理で何年覇者だよ」

 

 おい、こら、一夏。

 

「あ、あなたねぇ、わたくしの祖国を馬鹿にしますの!?」

「一夏、イギリス料理も捨てたもんじゃないぞ」

「え?そうなのか」

「おう、古き良き味わいがあるんだよ」

「「「「へ~」」」」

 

 クラスのみんなも食いついてきてくれた。なんだかんだで、このクラスにはお祭り好きが多いのかもね。

 

「へ~、例えば?」

「ん?…例えば?」

 

 しまった、具体的な料理考えてなかった。というか、イギリス料理って何だ?フィッシュアンドチップスとか?お世辞にもうまいと言えないな。

 

「光輝、思いつかないんだろ?」

「全て無駄にするようなこと言うなよ、一夏」

「あなたたち…。もういいですわ、決闘です」

「いいぜ、四の五の言うよりわかりやすい」

「二人とも落ち着けって、話せばわかる」

「さて、話は纏まったな」

 

 何が!?どこをどう取ったら纏まったんですか、千冬さん!?

 

「勝負は一週間後の月曜。放課後、第三アリーナで行う。織斑、瀬戸、オルコットはそれぞれ準備をしておくように」

 

 ん、なんで僕も?

 

「僕もですか?」

「当たり前だろ。お前も推薦されている身だ」

 

 ですよねぇー。今確実に笑ったな。ドSめ。

 

「それでは授業を始める」

 

 こうして理不尽な戦いに巻き込まれてしまった。

 

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